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Trademark Appeal Case

称呼の長音の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第15672号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「FORMULAR RS−K」の欧文字(標準文字)を横書きしてなり、第4類「潤滑油,潤滑グリース,その他の工業用油,潤滑剤,燃料,燃料に添加する非化学剤,グリース,塵芥を吸収・加湿・結合させるコンポジション,ギアオイル,トランスミッションオイル,ろうそく,イルミナンツ」を指定商品として、平成10年1月23日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、同10年10月6日付け物件提出書に代る手続補正書により、「潤滑油,ギアオイル,トランスミッションオイル,工業用グリース,その他の工業用油,固形潤滑剤,燃料,ろうそく」に補正され、さらに、同11年4月30日付け手続補正書により、「潤滑油,ギアオイル,トランスミッションオイル,工業用グリース,その他の工業用油,燃料,ろうそく」に補正されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願の拒絶の理由に引用された登録第2017814号商標(以下「引用商標A」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和45年12月18日登録出願、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和63年1月26日に設定登録され、その後、平成10年2月24日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第2032558号商標(以下「引用商標B」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第19類「台所用品、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和61年4月30日登録出願、同63年3月30日に設定登録されたものであるが、商標登録原簿の記載によれば、平成10年3月30日に商標権の存続期間満了により消滅し、その抹消の登録が同10年12月22日にされているものである。同じく、登録第2638761号商標(以下「引用商標C」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、昭和62年11月13日登録出願、第5類「デイ―ゼルエンジン油、軽油」を指定商品として、平成6年3月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第2651190号商標(以下「引用商標D」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、昭和62年12月8日登録出願、第5類「燃料、潤滑油、その他の工業用油、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成6年4月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第3324318号商標(以下「引用商標E」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、平成6年12月28日登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同9年6月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第4275813号(以下「引用商標F」という。)は、別掲(6)のとおりの構成よりなり、平成8年5月27日登録出願、第4類「工業用油,工業用油脂,燃料,ろう,靴油,固形潤滑剤,保革油,ランプ用灯しん,ろうそく」を指定商品として、同11年5月21日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第4357667号(以下「引用商標G」という。)は、「FORMULA 1」の欧文字と数字とを(標準文字)横書きしてなり、平成9年9月12日登録出願、第4類 「工業用油,燃料,ランプ用灯しん,ろうそく」を指定商品として、同12年1月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 原査定の理由

原査定は、「本願商標は、その構成中『RS−K』の文字部分が商品の記号・符号の一類型を表したものと認識されるものであるから、自他商品の識別機能を発揮する部分は『FORMULAR』の文字にあり、これより単に『フォーミュラー』の称呼をも生ずるものと判断する。一方、引用商標Dは、その下段の『Shell』の文字がハウスマークと認められるところから、個々の商品の標識として機能するとみられる部分である上段の『FORMULA』の文字より、単に『フォーミュラ』の称呼をも生ずるものということができる。してみれば、『フォーミュラー』と『フォーミュラ』の称呼において、長音の有無の差にすぎないものであるから、両称呼は極めて近似したものである。したがって、本願商標と引用商標とは、称呼上類似の商標であり、かつ、その指定商品においても互いに抵触するものである。」と認定、判断して、本願を拒絶したものである。

4 当審の判断

(1)本願商標について

本願商標は、「FORMULAR RS−K」の欧文字を横書きしてなるところ、その全体をもって、特定の観念を有するものとして知られているものとはいえず、その他これを常に一体のものとしてのみ把握しなければならないとする特別の事情を見出せない。

そして、本願商標の指定商品中の商品「工業油、燃料」等を取り扱う業界において、欧文字と数字及びこれらとハイフンとの組み合わせは、商品の品番、型式、規格等を表示するための記号、符号として、取引上類型的に用いられており、例えば、コスモ石油ルブリカンツ株式会社のインターネットホームページ<http://www.cosmo-lube.co.jp/>の商品紹介「コスモリオPSF/PSF−R」の記事、出光興産株式会社のインターネットホームページ<http://www.idemitsu.co.jp/>潤滑油製品一覧中「アポロイルギヤHE−S」の記事、日石三菱株式会社のホームページ<http://www.nmoc.co.jp/index.html>の自動車用潤滑油「日石三菱RACING SPEC PRO−4T」、「日石三菱HDS−3」の記事が認められるところである。

そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、その構成中の「RS−K」の文字部分は、商品の品番、規格などを表す記号、符号の一類型を表示するものと認識させるにすぎないから、本願商標に接する取引者、需要者は、自他商品の識別標識として機能するとみられる前半部の「FORMULAR」の文字部分を捉え、これより生ずる「フォーミュラー」の称呼をもって取引に当たる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。

したがって、本願商標は、全体として「フォーミュラーアールエスケー」と称呼されるほか、その構成中の「FORMULAR」の文字部分に相応して「フォーミュラー」の称呼をも生ずるものといわなければならない。

(2)引用商標について

引用商標Aは、本願商標が上記1のとおり補正されたものであるから、指定商品において本願商標と抵触しなくなったものである。

引用商標Bは、上記2のとおり、商標権の存続期間の満了により抹消の登録がされているものである。

引用商標Cは、別掲(3)に表示したとおりの構成からなるところ、複数の横縞が施されている横長図形内の左側に貝殻の図形とその右側に「FORMULA」及び「Diesel」の文字を配されているものであり、これらの文字と図形とを常に一体のものとしてのみ認識しなければならない格別の理由は見いだし難いものである。

そして、右側下段に書された「Diesel」の文字部分は、指定商品「デイ―ゼルエンジン油、軽油」との関係からすると、デイ―ゼルエンジン用油を表すものであって、商品の品質、用途を表示したものであるから、引用商標Cに接する取引者、需要者は、「FORMULA」の文字部分を捉え、これより生ずる「フォーミュラ」の称呼をもって取引に当たる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。

したがって、引用商標Cは、全体として「フォーミュラディーゼル」と称呼されるほか、その構成中の「FORMULA」の文字部分に相応して「フォーミュラ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。

引用商標Dは、別掲(4)に表示したとおりの構成からなるところ、複数の横縞が施されている横長図形内に「FORMULA」及び「Shell」の文字が上下に配されているものであり、上記引用商標Cと同様に文字部分と図形部分とを一体のものとしてのみ認識しなければならない格別の理由は見いだし難いものである。

そして、その構成中下段の「Shell」の文字部分は、指定商品との関係からすると、東京都港区台場2−3−2所在の昭和シェル石油株式会社が自動車用の燃料に用いている代表的商標であり、同社の個別商品を表す場合に他の商標と組み合わせて用いられているものであるから、引用商標Dに接する取引者、需要者は、構成中の「Shell」の文字部分以外に上段に書された「FORMULA」の文字部分を捉え、これより生ずる「フォーミュラ」の称呼をもって取引に当たる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。

したがって、引用商標Dは、全体として「フォーミュラシェル」と称呼されるほか、その構成中の「FORMULA」の文字部分に相応して単に「フォーミュラ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。

引用商標Eは、本願商標の指定商品が上記1のとおり補正されたものであるから、指定商品において本願商標の指定商品とは抵触しなくなったものである。

引用商標Fは、別掲(6)に表示したとおりの構成からなるところ、その構成は幾何図形部分と「Formula 1」の文字と数字の部分からなるものであり、これらの文字及び数字の部分と図形部分とは常に一体のものとしてのみ把握しなければならないとする特別の事情を見出せない。そして、「Formula 1」の文字と数字の部分は、その指定商品と関係の深いモータースポーツの分野では、例えば、現代用語の基礎知識2001(自由国民社2001年1月1日発行)のF1〔Formula 1〕の項目に、「フォーミュラ・1・ワールドチャンピオンシップのかかったレースを走るマシンがフォーミュラ・ワンである。」との記載(同書1323頁)があり、コンサイスカタカナ語辞典第2版(株式会社三省堂2001年2月10日発行)のフォーミュラワンの項目にF1の項目を参照することとされており、参照先のF1[FormulaOne]の項目によれば、「国際自動車連盟の規定する単座席の競技専用車のうち最大の重量・排気量をもつ車。」との記載(同書1238頁)がそれぞれされているものである。

以上のことよりすれば、「Formula 1」の部分は、モータースポーツの分野においては上記の如き特定の意味合いを有する語であるといえるものである。

してみれば、引用商標Fの「Formula 1」の部分は、数字を含めて一体のものとして把握され、これよりは「フォーミュラ・1・ワールドチャンピオンシップのかかったレースを走る競技専用車」の観念を生じ、一連に「フォーミュラワン」の称呼のみを生ずるものというのが相当である。

引用商標Gは、「FORMULA 1」の文字と数字よりなるものであって、引用商標Fの場合と同様にモータースポーツの分野においては上記の如き特定の意味合いを有する語であると認識されるものであるから、全体をもって一体のものとして把握され、これよりは、「フォーミュラ・1・ワールドチャンピオンシップのかかったレースを走る競技専用車」の観念を生じ、一連に「フォーミュラワン」の称呼のみを生ずるものというのが相当である。

(3)本願商標と引用商標Aないし引用商標Gとの類否について

(ア)本願商標と引用商標A、引用商標B及び引用商標Eとは、上記(2)のとおり、補正により指定商品において互い抵触しなくなったものか、引用商標の商標権が存続期間満了により消滅しものである。

(イ)本願商標と引用商標F及び引用商標G

本願商標より生ずる「フォーミュラー」の称呼と引用商標F及び引用商標Gより生ずる「フォーミュラワン」の称呼とを比較するに、両称呼は、語尾部分において長音「ー」と「ワ」「ン」音の有無という音構成の顕著な差異を有するものであるから、両商標をそれぞれ一連に称呼しても、称呼上、互いに相紛れるおそれのないものである。

また、外観においては、商標の構成はそれぞれ別掲記載のとおりであり、両者は明確な差異を有するから、互いに区別し得るものである。

さらに、観念についてみると、本願商標は特定の観念を有する語といえないから、本願商標と引用商標F及び引用商標Gとは観念について比較することができないものである。

そうとすれば、本願商標と引用商標F及び引用商標Gとは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

(ウ)本願商標と引用商標C及び引用商標D

本願商標より生ずる「フォーミュラー」の称呼と引用商標C及び引用商標Dより生ずる「フォーミュラ」の称呼とを比較するに、両称呼は、語頭部分を含めて「フォ」「ー」「ミュ」「ラ」の音を共通にし、わずかに語尾部分において長音「ー」の有無の差異を有するものである。

しかして、該差異音は、称呼の聴別上印象の薄い語尾に位置し、しかもその前音である「ラ」の音に吸収されて「ラア」と前音をのばして一音のごとく発音、聴取されるものであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の音調、音感が近似し、彼此聴き誤るおそれがあるものといわざるを得ない。

してみれば、本願商標と引用商標C及び引用商標Dとは、外観、観念において相違するとしても称呼上類似する商標であり、かつ、本願商標の指定商品と引用商標C及び引用商標Dの指定商品は、同一又は類似の商品を包含するものである。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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