Trademark Appeal Case
著名商標と混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−8037(T2000−8037/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「BEVERLY HILLS POLO CLUB」の文字を横書きしてなり、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、平成8年5月10日に商標登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、『BEVERLY HILLS POLO CLUB』の文字よりなるものであるが、これはアメリカ合衆国ニューヨーク市出身の著名なデザイナー『ラルフローレン』の関連企業であるザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップが、被服、眼鏡等の商品に永年使用して著名な商標である『POLO』の文字をその構成中に含むものであるから、このような商標を出願人が本願指定商品に使用する場合、需要者は上記会社もしくはこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1.当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(以下、「ポロ標章」といい、その構成は別掲のとおり。)に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
(1)(株)講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング 昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典 ’84 ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバン等のデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服のデザインにも進出、服飾業界の名誉ある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」で主演したロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことからアメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。わが国においても、そのころからラルフ・ローレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by Ralph Lauren」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形の各商標(以下「引用商標」という。)が用いられ、これらの商標は「POLO」「Polo」「ポロ」と略称されている。
(2)(株)洋品界 昭和55年4月発行「海外ファッションブランド総覧 1980年版」における「ポロ/Polo」の項、ボイス情報(株) 昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略 ’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項及び同63年10月29日付けの日経流通新聞には、わが国においては、ポロ・ファッションズとの契約に基づき、西武百貨店が昭和51年にポロ・ファッションズから使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始した旨記述されている。
(3)ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、「dansen男子専科」(株式会社スタイル社 1971年7月発行)、前出「男の一流品大図鑑」、「世界の一流品大図鑑 ’79年版」(株式会社講談社 昭和54年5月発行)、別冊チャネラー「ファッションブランド年鑑 ’80」(株式会社チャネラー 同54年9月発行)、「男の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社講談社 同55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’80年版」(株式会社講談社 同55年6月発行)、「MEN’S CLUB 1980.12」(婦人画報社 同55年12月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社 講談社 同56年6月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、「流行ブランド図鑑」(株式会社 講談社 同60年5月発行)において、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑 ’80年版」、「ファッションブランド年鑑 ’80」、「男の一流品大図鑑 ’81年版」において、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」及び「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されている。
(4)ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第253号判決(「PALM SPRINGS POLO CLUB」商標について)を破棄する最高裁判所平成12年(行ヒ)第172号平成13年7月6日第二小法廷判決があり、同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡、判例時報1401号)及び東京地方裁判所の判決(平成8年特(わ)1519号、平成9年3月24日言渡、判例時報1619号)があるほか、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日言渡)、同第268号、同289号(以上11年12月21日言渡)、東京高等裁判所平成13年(行ケ)第15号(平成13年8月9日言渡)等の一連の判決がある。
(5)引用商標を模倣した偽ブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付け朝日新聞夕刊、同4年9月23日付け読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付け読売新聞(大阪版)朝刊、同11年6月8日付け朝日新聞夕刊等において報道されている。
(6)前記(1)ないし(5)の事実を総合すると、前記ポロ標章は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものであり、その状態は現在においても継続しているものと認めることができる。
2.商品の出所の混同のおそれについて
本願商標は、「BEVERLY HILLS POLO CLUB」の文字を横書きしてなり、その外観上、4個の英単語から成るものであって、引用のポロ標章と同一の「POLO」の語と、「BEVERLY」「HILLS」及び「CLUB」の語とを組み合わせた結合商標である。また、本願商標は、全体として常に一体不可分の既成の概念を示すものとは認められないし、欧文字で20字、称呼で長音を含め17音から成るであって外観及び称呼が比較的冗長といえる商標であるから、簡易迅速性を重んずる取引の実際においては、その一部分だけによって簡略に表記ないし称呼され得るものであるということができる。
一方、前認定のポロ標章も、「POLO」「Polo」「ポロ」と略称されているものである。
また、本願の指定商品は、「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」等を含むものであり、これらの商品はファッション関連商品ということができるものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、前記ポロ標章の周知著名性の程度の高さや、本願商標とポロ標章とにおける商品の同一性並びに取引者及び需要者の共通性から、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字に注目し、前記ポロ標章を連想し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
3.請求人(出願人)の主張について
請求人(出願人)は、甲第3ないし5号証を提出して、本願商標は、ビーエイチピーシー マーケッティング インコーポレイテッド(名義変更前の本願出願人)による1983年に婦人服分野への進出から始まり、ブランド誕生後10年を経ずして世界的に周知著名なブランド商標に成長した。我が国でも既に10年以上に亘って総合的な商品展開、新聞や雑誌への派手な広告が継続的に行われた結果、短期間のうちに、我が国需要者間でも広く知られるに至っている旨主張している。
しかし、本願商標が、ラルフ・ローレンとは何らの関係のないものである旨の広告・宣伝がなされているとか、本願商標がラルフ・ローレンとは関係のないものとしてよく知られるに至っているとかの特段の事情を認めるに足りる証拠もなく、ポロ標章が「POLO」「Polo」「ポロ」と略称されて著名である事実を考慮すれば、前記のような特段の事情がない限り、取引者・需要者は、本願商標について、「POLO」の文字に注目し、ラルフ・ローレンに係る著名なポロ標章と誤解し、あるいは、ラルフ・ローレンに係るポロ標章とは全体の文字の構成が異なることに気付いたとしても、同じ「ポロ」の一種であって兄弟ブランドないしファミリーブランドであると誤解して、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきであるから、請求人(出願人)の上記主張を採用することはできない。
また、請求人(出願人)は、平成11年8月10日付提出の意見書に添付の資料6(同意契約書)を掲げ、原出願人(名義変更前の本願出願人「ビーエイチピーシー マーケティング インコーポレーイテド」)が、1985年にポロ・ファッションズ・インコーポレイテッドとの間で、商標に関する同意契約書を締結しており、その内容が同意契約書に定める態様での各当事者による商標使用を互いに容認することを内容とし、定められた態様であればラルフ・ローレン側の「POLO」商標と本願商標に相当する「BEVERLY HILLS POLO CLUB」商標とでは、出所混同を生ずるおそれがないことが当事者間で確認されている旨主張している。
しかし、商標法第4条第1項第15号の「混同を生ずるおそれ」があるか否かについては、取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品又は指定役務の取引者・需要者における普通に払われる注意力を基準として判断されるべきものであって、この判断は、保有者が当該商標の登録について、異議を述べない旨を合意したか否かによって行われるべき事柄ではないから、採用することは出来ない。
そして、このほか請求人(出願人)の提出に係る審判請求書、上申書及び意見書においてそれぞれ述べる理由を検討するも、なお上記認定を覆すに足りない。
4.以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、本願商標は、登録すべきものとすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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