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Trademark Appeal Case

使用による識別力と商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2000−6878(T2000−6878/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第29類「まぐろの刺身の加工食品」を指定商品として、平成10年12月31日に登録出願されたものである。

2 原査定の理由

本願商標は、魚を3枚におろしたときに残った中央の骨、頭のつけ根から尾のつけ根までの多少身のついている脊椎からとった身のかたちににせたまぐろを薄く切った商品の意を観念させる『中おち 風』『「まぐろスライス」』(「風」と「まぐろスライス」の文字は小さく)の文字を書してなるから、これを指定商品に使用するときは、単に商品の品質、形状を表示するにすぎない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 当審の判断

本願商標は、別掲に示すとおり、「中おち風」(「風」の文字は他の文字の4分の1程度に小さく表示している。)の文字と、その下段に『「まぐろスライス」』(カギ括弧を含む。)の文字を二段に横書きしてなるところ、「中おち」の文字は、魚を3枚におろしたときに残った中央の骨で頭のつけ根までの多少身のついている脊椎のこと、また、そこからとった身のことを意味する語であり、「風」(ふう)の文字は、いかにもそれらしい様子、それらしいふり、すがた、ていさい等を意味し、名詞に接続して「○○風」と書き表された場合は、「いかにも○○らしい」のごとき意味合いとして用いられていることから、「中おち風」の文字部分は、「風」の文字を他の文字の4分の1程度に小さく表示しているとしても一連に表されているので、「いかにも中おちらしい」の意を容易に理解させ、また、カギ括弧内に表されている「まぐろスライス」の文字部分は、鮪(まぐろ)の薄切りの意を容易に理解させるものである。

そうしてみると、本願商標は、需要者をして、全体として「いかにも中おちらしい鮪の薄切り」の意を容易に理解し、商品の形状、原材料、品質を表しているものと認識するものと認められ、本願商標をその指定商品について使用しても自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるをえない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

しかしながら、請求人は、本願商標は、その指定商品に使用した結果、ほとんど日本全国において請求人の商品を表すものとして周知となっており、商標法第3条第2項のいわゆる使用による顕著性の要件を具備している商標である旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証を提出している。

これらの証拠及び請求人の主張からすると、以下の点が認められる。

(1)平成11年7月ないし同年12月までの中おち風「まぐろスライス」の商品売上推移(個数)表である甲第1号証によると、規格100グラムから1キログラムまで10種類あり、その最も売上の少ない200グラムは毎月12千個ないし13千個売り上げ、最も売上の多い150グラムのものが毎月37万個ないし42万個程度売り上げている。

(2)商品の包装状態における実物写真である甲第2号証及び同第3号証によると、商品の入った四角形状の包装用容器における一つの角に三角形のレッテルが貼られ、そのレッテルには三角形の輪郭が付され、その内側に波と思しき地模様と「Fresh」、「中おち風」(「風」の文字は本願商標と同様、他の文字に比較して小さく表されている。)及び『「まぐろスライス」』(カギ括弧を含む。)の文字が三段に表示されており(同写真の左下に「1999.12.16」と撮影日と思われる表示がある。)、また、商品カタログ及び店頭宣伝用の立体説明書(立体的に組み立てることのできるもの)である甲第4号証及び同第5号証においても、甲第2号証及び同第3号証に表されている表示と同様に「中おち風」、『「まぐろスライス」』の文字が二段に表され、その「中おち風」の文字はいずれも同一書体で表されているが、その書体は本願商標におけるものと相違するものである。

(3)前出甲第4号証及び同第5号証によると「中おち風」及び『「まぐろスライス」』の表示と共に請求人の名称「県水通商株式会社」及びそのハウスマーク(図形)が表示されている。

ところで、その商標の構成態様からして自他商品を識別する標識として機能し得ないものであるとしても、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものとして登録が認められる商標及び指定商品は、その需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる表示(使用されている商標)と同一の商標であって、その商標を使用していた商品と同一の商品にのみに限られると解される。

してみれば、商品の包装用容器に貼られたレッテル、商品パンフレット、店頭宣伝用の立体説明書に表されている「中おち風」の文字の書体は本願商標の書体と相違しているものであり、また包装用容器に貼られた三角形のレッテルは全体として地模様、文字部分、輪郭をまとまりよく表されていることからして、そのレッテル全体が一つの表示とみられるものとなっている。そして、商品パンフレットや店頭宣伝用の立体説明書(甲第4号証及び同第5号証)には、「中おち風」及び『「まぐろスライス」』の表示と共に請求人の名称とそのハウスマークが表示され、その商品が請求人の取り扱いに係るものであることが判るように表されているので、結局、「中おち風」及び『「まぐろスライス」』の表示は、商品の品質を表示しているものと理解されるに止まるものであることが認められる。そして、生鮮食料品として代表的な鮪の刺身は大量に販売され、スライスされたものや中おち部分も多数販売されている商品流通状況との関係において、「中おち(風)」や「まぐろスライス」の語が品質を表すものとして相当に親しまれていることを考慮すると、請求人から提出されている証拠では、本願商標が需要者の間に何人か(請求人)の業務に係る商品であるかを認識されるに至っていると認めることはできないものである。この点についての請求人の主張は採用できない。

したがって、本願商標は、上記法条に該当するものとして、その登録出願を拒絶した原査定を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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