Trademark Appeal Case
ポロ図形商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−5492(T2000−5492/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成10年5月29日に商標登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の趣旨
原査定は、「本願商標は、その構成中の『馬に乗った競技中のポロプレーヤーを表したものと理解される図形』は、『ザ ポロ/ローレン カンパニーリミテッド パートナーシップ』が、商品『被服』等に使用して著名な図形と『馬に乗った競技中のポロプレーヤーの図形』を描いている点において構成の軌を一にするものであり、両者を時と処を異にして離隔的に観察する時は、外観上相紛らわしく類似すると認められることから、これをその指定商品に使用するときは、前記会社又は前記会社と何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生じるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1.当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章(以下、「ポロ図形標章」といい、別掲(2)に表示したとおり。)及びこれらを組み合わせた標章(以下、「ポロ標章」といい、別掲(3)に表示したとおり。)に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
(1)(株)講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング 昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典 ’84 ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバン等のデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服のデザインにも進出、服飾業界の名誉ある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」で主演したロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことからアメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。わが国においても、そのころからラルフ・ローレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by Ralph Lauren」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形からなる商標(以下「引用商標」という。)並びにこれらを組合せた標章(以下「ラルフ・ローレン標章」という。)が用いられ、これらの商標は「POLO」「Polo」「ポロ」と略称されている。
(2)(株)洋品界 昭和55年4月発行「海外ファッションブランド総覧 1980年版」における「ポロ/Polo」の項、ボイス情報(株) 昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略 ’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項及び同63年10月29日付けの日経流通新聞には、わが国においては、ポロ・ファッションズとの契約に基づき、西武百貨店が昭和51年にポロ・ファッションズから使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始した旨記述されている。
(3)ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、「dansen男子専科」(株式会社スタイル社 1971年7月発行)、前出「男の一流品大図鑑」、「世界の一流品大図鑑 ’79年版」(株式会社講談社 昭和54年5月発行)、別冊チャネラー「ファッションブランド年鑑 ’80」(株式会社チャネラー 同54年9月発行)、「男の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社講談社 同55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’80年版」(株式会社講談社 同55年6月発行)、「MEN’S CLUB 1980.12」(婦人画報社 同55年12月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社 講談社 同56年6月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、「流行ブランド図鑑」(株式会社 講談社 同60年5月発行)において、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑 ’80年版」、「ファッションブランド年鑑 ’80」、「男の一流品大図鑑 ’81年版」において、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」及び「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されている。
(4)ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第253号判決(「PALM SPRINGS POLO CLUB」商標について)を破棄する最高裁判所平成12年(行ヒ)第172号平成13年7月6日第二小法廷判決があり、同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡、判例時報1401号)及び東京地方裁判所の判決(平成8年特(わ)1519号、平成9年3月24日言渡、判例時報1619号)があるほか、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日言渡)、同第268号、同289号(以上11年12月21日言渡)、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第298号(平成12年2月1日言渡)、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第333号(平成12年3月29日言渡)、東京高等裁判所平成13年(行ケ)第15号(平成13年8月9日言渡)、東京高等裁判所平成13年(行ケ)第468号(平成14年4月25日言渡)等の一連の判決がある。
(5)引用商標を模倣した偽ブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付け朝日新聞夕刊、同4年9月23日付け読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付け読売新聞(大阪版)朝刊、同11年6月8日付け朝日新聞夕刊等において報道されている。
(6)前記(1)ないし(5)の事実を総合すると、前記ポロ図形標章及びポロ標章は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものであり、その状態は現在においても継続しているものと認めることができる。
2.商品の出所の混同のおそれについて
本願商標は、別掲(1)のとおり、ポロ競技用のスティック(マレット)を上方にかざして、乗馬用の帽子、被服を身に着けた一名のポロプレーヤーが疾走する馬に乗った姿を表した図形と、その下段に「JASS InTERnATIOnAL InC.」の文字(構成文字中「n」の文字は、他のアルファベット文字と高さ、大きさが揃えられている)を横書きしてなるものであるところ、これらを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特別な理由・事情があるものとも認められず、その構成中の図形部分も看者の注意を引くものというのが相当である。
一方、前認定のポロ図形標章及びポロ標章も、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形を有するものであって、「POLO」「Polo」「ポロ」と略称され、我が国において、遅くとも本願商標の出願の時までには、「ラルフ・ローレン」のデザインに係る商品である被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品を表示するものとして、当該商品に関する取引者、需要者の間において著名となっていたといい得るものである。
そして、本願商標の図形部分とポロ図形標章及びポロ標章における図形部分とを比較するに、両者はともに疾走する馬に乗った人物がポロ競技用のスティック(マレット)とおぼしき棒状の道具を振りかざしている図形を描いてなる点において、構成の軌を一にするものといえるものである。
さらに、本願商標の指定商品は、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」であり、ラルフ・ローレンに係るポロ図形標章及びポロ標章が使用されている商品と共通しているから、上記の構成からなる本願商標に接する一般的な需要者は、その構成中に有する図形部分において、上記の構成からなり「ポロ」と称されているポロ図形標章、ポロ標章や、「ポロ」の観念を、その著名性ゆえ想起し、本願商標が使用された商品について、ラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように誤解したり、あるいは、本願商標の図形部分からポロ図形標章と同じく「ポロ」と称呼し、この称呼をもって商品の取引に当たることもあるであろうと推認することができ、これらの需要者の間で、その商品の出所について混同を生ずるおそれが十分にあると認めることができる。
なお、請求人(出願人)は、「ポロ」はポロ競技を表すスポーツ名にすぎない旨、主張している。
しかし、我が国においても、「ポロ」の語がポロ競技を指すものであること自体は知られているとしても、ポロ競技は、我が国においてはほとんど普及していないスポーツであり、競技者は極めて少なく、ポロ競技を現実に観戦したり、テレビ等を通して見るという機会もほとんどないことから、具体的にルールや競技内容を知る人も少なく、我が国においては極めてなじみの薄いスポーツであることが認められる(東京高等裁判所平成13年(行ケ)第90号(平成13年7月10日言渡))。
そして、「ポロ」の語や本願商標図形部分が、直ちにポロ競技を想起させるものとはいい難く、むしろ、前記で認定したとおり、ファッション関連分野でラルフ・ローレンの商品に使用される「Polo」「POLO」又は前記ポロ図形標章が著名となっているという事情の下では、本願商標中の図形部分は、ラルフ・ローレンのブランドとして著名な「ポロ」(POLO)を連想、想起させる蓋然性が高いというべきであるから、請求人(出願人)の主張は採用することができない。
3.以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、本願商標は、登録すべきものとすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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