Trademark Appeal Case
複合商標の要部抽出類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第12588号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成からなり、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘」を指定商品として、平成6年5月12日に登録出願されたものである。
第2 原審の拒絶理由
原審において登録異議の申立てがあった結果、原査定は、「別掲(2)のとおりの構成からなる商標(以下『引用商標』という。)は、登録異議申立人であるザ ポロ/ローレン カンパニー(以下『申立人』という。)がその取扱いに係る商品『被服』等に長年使用した結果、『ポロプレーヤーマーク』と称し、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本願出願前から我が国の取引者、需要者の間において周知・著名となっていた。しかして、本願商標は、これを構成する文字と図形とは左半分が『ポロ(POLO)スポーツ競技者』を、右半分が『クリケット(CRICKET)スポーツ競技者』を、それぞれ文字と図形の組み合わせにより表現したものと看取される。そして、本願商標を構成する図形中、乗馬の人がポロ競技をしている図形を示す左側部分は、右側の部分と対照的に異なる技法で描かれており、該部分は抜け出て看者に強く印象されるものであって、引用商標とは、共に乗馬の人がポロ競技をしている図形を描いてなる点において構成の軌を一にするものであるから、両者を時と処を異にして離隔的に観察するときは、彼此相紛らわしく外観上類似する商標といわざるを得ない。してみれば、引用商標と外観上混同を生じさせるおそれのある図形をその構成中に有してなる本願商標をその指定商品について使用するときは、前記事情に照らし、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとする本件登録異議の申立ては理由がある。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。
第3 請求人の主張の要点
請求人は、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものでないとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1及び第2号証を提出している。
1 本願商標を構成する「POLO」「&」「CRICKET」の語彙は日本の人口に膾炙されたものであり、纏まり良く表現された図形と同書、同大、同間隔に表記された「POLO&CRICKET」からは一連不可分な「ポロアンドクリケット」の称呼のみが生じ、「四人一組のチームで行う馬上競技と11人づつの二組で行う戸外球技」の観念が生ずる。
2 本願商標の「POLO」と対応する上部の部分は、「CRICKET」部分と分離判断されるものではない。すなわち、本願商標は、「POLO&CRICKET」部分が図形部分と相俟って、それぞれのスポーツがイギリスにおける国技とまでいわれるスポーツとして関連づけられた構成となっている商標であってみれば、本願商標から「POLO」(図形部分を含む。)部分だけを分離して判断しなければならない理由はない。
3 本願商標に描かれた「ポロプレーヤー」は、引用商標の図形とは逆向きになっており、図法も異なり感覚的にかなり異なったものとなっていて、全く別異の表現となっている。加えて、「クリケットプレーヤー」の図形が纏まりよく一緒に表現されているわけであるから、本願商標の図形部分を「ポロプレーヤー」と「クリケットプレーヤー」に分離して「ポロプレーヤー」の図形が引用商標の図形と外観において類似するとの査定の理由は、図形商標についての外観類似判断根拠を誤った不合理なものである。
第4 当審の判断
1 原審において申立人が提出した証拠及び当審において職権により調査したところによれば、以下の事実が認められる。
(1)株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきたこと、1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞したこと、1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字及び引用商標と同一の馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標(以下、これらをまとめて「ラルフ・ローレン商標」という。)が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれていること、が認められる。
(2)株式会社洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
(3)ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、昭和53年2月16日付け日本経済新聞(夕刊)の広告、前出「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月20日発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月20日発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年5月25日発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月20日発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年5月25日発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、前出「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
(4) 平成3年研究社第3刷発行「英和商品名辞典」には、「POLO ポロ」の見出し語の下に「⇒Polo by Ralph Lauren」との記載があり、「Polo by Ralph Lauren ポロバイラルフローレン」の見出し語の下に「米国のデザイナーRalph Lauren(1937?)がデザインした紳士物衣料品。通例Poloと略して呼ばれる。・・・1976年に紳士服でCoty賞を受賞、翌年には婦人服で受賞。・・・1974年の映画The Great Gatsby(「華麗なるギャッツビー」)の衣装を担当して、人気が急上昇した」と記載されている。平成11年1月10日小学館発行の「ランダムハウス英和大辞典」には、「polo」の見出し語の下に「3《商標》ポロ:米国のRalph Lauren デザインによるバッグなどの革製品。4ポロ⇒POLO BY Ralph Lauren」」の記載があり、「Polo by Ralph Lauren」の見出し語の下に「《商標》ポロバイラルフローレン:米国の Ralph Laurenデザインのメンズウエア」と記載されている。
(5)ラルフ・ローレン商標を模倣したブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付朝日新聞夕刊、同4年9月23日付読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付読売新聞(大阪版)朝刊、同11年6月8日付朝日新聞夕刊に報道されている。
(6)ラルフ・ローレン商標の周知性について認定した判決として、東京高裁平成2年(行ケ)183号(平成3.7.11言渡)、東京地裁平成8年(わ)1519号(平成9.3.24言渡)があるほか、東京高裁平成11年(行ケ)250号、同251号、同252号、同267号、同290号(以上平成11.12.16言渡)、同268号、同289号(以上平成11.12.21言渡)、同288号(平成12.1.25言渡)、同298号、同299号(以上平成12.2.1言渡)、同333号、同334号(以上平成12.3.29言渡)、平成12年(行ケ)140号(平成12.10.25言渡)、同112号(平成12.11.14言渡)、同162号(平成13.2.8言渡)、平成13年(行ケ)90号(平成13.7.10言渡)、同119号(平成13.11.29言渡)等がある。
2 上記1の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する標章として遅くとも本願商標の登録出願時には既に我が国において取引者・需要者間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
3 かかる事情の下において本願商標をみると、本願商標は、別掲(1)のとおり、図形と文字の組み合わせからなるところ、その構成中の左側に描かれた図形は、「POLO」の文字と相俟って、馬に乗ったポロ競技のプレーヤー(競技者)を表したものと、また、右側に描かれた図形は、「CRICKET」の文字と相俟ってクリケット競技のプレーヤー(競技者)を表したものと看取されるものである。そして、左側の馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形は、黒くシルエット風に描かれており、細線のみで描かれた右側のクリケット競技のプレーヤーの図形とは明らかに異なった表現方法で表されているから、それ自体、看者の注意を強く引きつけるものといえる。
しかも、この馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形と引用商標とは、駆ける一頭の馬に乗ったプレーヤーがポロ競技のマレットを振りかざした状態をシルエット風に表した点において、構成の軌を一にし、酷似した印象を看者に与えるものである。
さらに、ポロ競技とクリケット競技が常に一体不可分のものとしてのみ認識されるべき格別の理由も見出し難い。
また、本願商標の指定商品と引用商標が使用されている被服、眼鏡等とは、いずれもファッションに係る商品であって、少なからぬ関連性を有するものといえる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、本願商標の構成中の「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」及び「POLO」の文字に着目して、引用商標を含むラルフ・ローレン商標を連想、想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
4 請求人は、本願商標から「POLO(ポロ)」の部分のみを分離抽出して観察すべきではない旨主張している。
しかしながら、上記3のとおり、本願商標中の「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」自体が顕著に表されており、「POLO」の文字と相俟って看者の注意を強く引くものであるから、請求人のこの主張は採用することができない。
5 以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべきかぎりでない。
よって、結論のとおり審決する。
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