Trademark Appeal Case
臍の緒観音の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第4098号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「臍の緒観音」の文字をやや大きく横書きし、その下段に「ヘソノオカンノン」の文字を小さく振り仮名風に横書きしてなり、第42類「臍の緒奉安堂の提供」を指定役務として、平成6年5月13日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、指定役務との関係において、『臍の緒を奉納し祈祷する観音』の如き意味合いを認識させるに止まる『臍の緒観音』の文字を普通に用いられる方法で書してなるから、これをその指定役務に使用するときは、単に役務の質(内容)、提供の用に供する物を表示するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定・判断して本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は上記のとおりの構成からなるところ、岩波書店発行「広辞苑第5版」によれば、「臍の緒」の語は「臍帯に同じ。」とされ、「臍帯」は「胎児と胎盤とをつなぐ柔らかな索状の器官。」を意味し、「観音」の語は「観世音の異称。」とされ、「観世音」は「『妙法蓮華経』普門品(観音経)などに説かれる菩薩。大慈大悲で衆生を済度することを本願とし、勢至菩薩と共に阿弥陀如来の脇侍。」の意味を有するものであることが認められ、本願商標がこれらの語を結合してなるものであることは明らかである。
ところで、(株)弘文堂発行「日本民俗辞典」の「へそのお 臍の緒」の項によれば、「昔は、へその緒を切るのにカナモノを忌み、竹のヘラや葦・貝殻などを用いるのが普通であった。....その仕末のしかたにはいろいろの風習があるが一般には真綿でくるみ紙に包んで水引をかけ、生年月日を誌して、名付けの日の名前書とともに保存することが多い。」とされている。
そして、へそ(臍)又は臍の緒に係る信仰と迷信が日本各地にあることは、例えば、インターネットにおける北海道富良野市のホームページ「へそ博物館」の記載に徴しても認められる。また、該「へそ博物館」のページには、「大阪府大東市には『臍の王神社本宮』と称する臍の緒を祀り、安産・家内安全・夫婦和合・子孫繁栄を祈願する神社もあり、...また、佐賀県佐賀市の佐賀八幡宮神社でも、母と子の絆として臍の緒を奉納することが行われている。」と記載されていることが認められる。
更に、新聞記事データベースによれば、朝日新聞90.11.11付朝刊東京版には、「...昔の人は胞衣とへその緒に超自然的なものを感じたとみえ、その処分方法にはいろんな約束事があった。...」と、毎日新聞97.2.27付地方版には、「安産の守り神として有名な六所神社(名古屋市東区矢田南1)で....安産の神社にちなんでヘソの緒をかたどったといわれるあめ「カッチン玉」を売っており、...」と、同96.5.13付地方版には、「...的場の竜翔寺の檀家らが、境内に建つ『へその緒観音』を供養した。...へその緒を大事にして親孝行の気持ちを忘れないように』と、...既に十数人分が奉納されている。」と、静岡新聞97.5.12付朝07版には、「『へその緒を通して母子の絆(きずな)を深めて』...引佐町的場の紫雲山竜翔寺で...『へその緒観音絆祭』が行われた。同寺では全国的にも珍しい『へその緒観音菩薩像』を祭っている。」と、読売新聞87.3.30付東京読売夕刊には、「...岐阜県中津川市の恵那神社に、日本中の人のヘソの緒を納める施設を作ろうという計画が持ち上がっている。」と、96.4.24付西部読売夕刊には、「...市内に『ヘソ神社』が出来た。神社が出来てしばらくすると、子供が生まれたと言って、そのヘソの緒を納める人が出てきたという。...」と、それぞれ新聞報道されていることが認められる。
これらの事実からすれば、臍の緒を神社仏閣に奉納して祀ることは、請求人(出願人)のみならず、一般に行われているものといえる。
以上を総合勘案すると、本願商標は、上記の2語を結合してなるものであるとしても、全体として「臍の緒を奉納して祈願するための観音像」の如き意味合いを容易に認識し理解し得るものであり、これをその指定役務に使用するときは、これに接する取引者・需要者は上記観音像を祀って役務を提供するという役務の質(内容)を表示したものと認識するに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。
なお、請求人が挙げる審決例は、本件とは事案を異にするものであり、上記判断に影響を及ぼすものではない。
よって、結論のとおり審決する。
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