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Trademark Appeal Case

供給者名の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2002−90474(T2002−90474/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4559132号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4559132号商標(以下「本件商標」という。)は、「LES CUISINIERS DE FRANCE」の欧文字を横書きしてなり、平成13年4月12日に登録出願、第30類「フランス産のコーヒー及びココア、フランス産のコーヒー豆、フランス産の茶、フランス産の調味料、フランス産の香辛料、フランス産の食品香料(精油のものを除く。)、フランス産の米、フランス産の脱穀済みのえん麦、フランス産の脱穀済みの大麦、フランス産の食用粉類、フランス産の食用グルテン、フランス産の穀物の加工品、フランス産のぎょうざ、フランス産のサンドイッチ、フランス産のしゅうまい、フランス産のすし、フランス産のたこ焼き、フランス産の肉まんじゅう、フランス産のハンバーガー、フランス産のピザ、フランス産のべんとう、フランス産のホットドッグ、フランス産のミートパイ、フランス産のラビオリ、フランス産の菓子及びパン、フランス産の即席菓子のもと、フランス産のアイスクリームのもと、フランス産のシャーベットのもと、フランス産のアーモンドペースト、フランス産のイーストパウダー、フランス産のこうじ、フランス産の酵母、フランス産のベーキングパウダー、フランス産の氷、フランス産のアイスクリーム用凝固剤、フランス産の家庭用食肉軟化剤、フランス産の酒かす、フランス産のホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、同14年4月12日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第4477167号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成12年2月15日に登録出願、第30類「主としてフランス料理に使用される食用粉類、フランス風の穀物の加工品、フランス風のサンドイッチ、フランス風のハンバーガー、フランス風のピザ、フランス風のホットドッグ、フランス風のミートパイ、フランス風のラビオリ、クロワッサン・バゲット及びその他のフランス風の菓子及びパン、フランス風の即席菓子のもと、フランス風のアイスクリームのもと、フランス風のシャーベットのもと、フランス風のアーモンドペースト、主としてフランス料理に使用されるイーストパウダー、主としてフランス料理に使用されるこうじ、主としてフランス料理に使用される酵母、主としてフランス料理に使用されるベーキングパウダー」を指定商品として、同13年5月25日に設定登録されたものである。

(2)第3条第1項第6号について

本件商標は、「LES CUlSINIERS DE FRANCE」の欧文字を普通に書してなる標章であるところ、かかる標章は、「フランスの料理人」又は「フランス料理の料理人」という意味のフランス語の一般的な名詞である(甲第2号証に示されているように、「cuisiners」は、「料理する人、料理人、コック、板前」を意味する通常に用いられるフランス語であり(最後のsは複数形を示す。)、「LES」は、複数形の定冠詞、「DE」は「〜の」を意味する前置詞である。)。

いうまでもなく、「料理人」とは、種々の食材(米、麦などの穀物を含む。)と、各種の調味料とを用いて、様々な料理を提供又は供給する者として、普通に用いられる一般的な総称である。また、料理人が、自らの生産した食材や自らの調合した調味料を提供する場合も多い。

そこで、本件商標の指定商品を参照すると、所謂「加工した植物性の食品及び調味料」全般であり、これらの商品は、すべて、「料理人」が、業として、購入し利用する商品又は供給する商品である。即ち、「料理人」は、食品、食材及び調味料等の商品の取引市場において、供給者または需要者でもあり、「料理人」という語は、商品の供給者又は需要者の一般名称である。

そこで、本件商標をその指定商品と照らし合わせて検討すると、既に述べた如く、本件商標は、フランス語で普通に「フランスの料理人」又は「フランス料理の料理人」と表記しているに過ぎないものであり、同登録の商品は、加工食品と調味料のうち、特に「フランス産」のものとなっている。本件商標の意味するところの「フランスの料理人」又は「フランス料理の料理人」は、まさに、「フランス産の」前記の商品を取引する供給者及び需要者である考えられ、従って、本件商標は、単に、その指定商品の供給者又は需要者の一般名称を普通に表記したに過ぎないものである。

一般に、或る商品について、その商品の供給者又は需要者の一般名称を、普通に用いられる方法により表記した語は、その商品の取引市場において広く普通に且つ一般的に用いられるものであるから、そのような普通の標章や語が、特定の取引者の業務を特定することができるとは考えられない。例えば、寿司又は寿司の材料について、「寿司屋」又は「寿司職人」という標章を付した場合、かかる標章に自他商品識別能力があるとは考えられない。また、そのような一般に用いられる語であって普通に表記されているもののみから構成される標章について、特定の者に対して、商標登録としてその標章の使用の占有を認めると、今までの市場に於ける慣習が不当に制限され、これにより、市場は混乱し、産業の発達を阻害することとなり、商標法の趣旨に反する。

なお、本件商標が、日本語ではなく、フランス語で表記されていることから、我が国の市場では、本件商標の意味が日本語の場合と同様に認識されないとの反論があるかもしれない。しかしながら、本件商標に関して、取引きされる商品は、いずれもフランス産の加工食品又は調味料等であるので、それらの商品の取引市場及び関連の業界は、我が国のその他の市場又は業界よりもフランス語、特に、料理や食に関する用語に関して精通しているはずである。したがって、取引者間においては、本件商標が、フランス語であっても、単に、「フランスの料理人」又は「フランス料理の料理人」と普通に認識されるものであると考える。実際、我が国のフランス料理の業界において、フランス国のメートル・キュイジニエ・ド・フランス協会(Association Maitres Cuisiniers de France)という団体が知られており、同団体の主催するフランス料理コンクール「メートル・キュイジニエ・ド・フランス杯」に多くの我が国の料理人が参加している(甲第3号証参照)。また、Maitre Cuisinier de Franceとは、フランス国が、優秀な料理人に対して与える称号の名称にもなっており、我が国においても、多くの料理人が、その称号を受けて、その称号の名のもとに、その腕を振るっている(メートル[Maitres]とは、長、巨匠、名人などの意味を表すフランス語である。)。

従って、本件商標を構成する語は、フランス語の表記ではあるが、我が国のフランス産の食品、食材及び調味料等の取引市場及び関連業界において、広く一般に普通に用いられる語として認知されているものと考えられる。

以上の如く、本件商標は、当該登録に係る指定商品の供給者又は需要者の一般名称を普通に表示するものにすぎず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当し、同法第43条の2第1号の規定により、取り消されるべきものである。

(3)第4条第1項第11号について

本件商標は、「ルキュイジニエドフランス」の称呼を生ずるものであるのに対して、引用商標は、図案化されてはいるが、その文字部分より「キュイジーヌドフランス」の称呼を生ずるものである。

本件商標が、日本語ではなく、フランス語により表記されているため、「フランス産の」各指定商品についての我が国の市場の取引者においても、「フランスの料理人」又は「フランス料理の料理人」を普通に書してなる標章ではないと判断されるとすれば、本件商標は、引用商標と称呼において類似するものである。

そして、本件商標に係る指定商品のうち、第30類「フランス産の食用粉類、フランス産の穀物の加工品、フランス産のぎょうざ、フランス産のサンドイッチ、フランス産のしゅうまい、フランス産のすし、フランス産のたこ焼き、フランス産の肉まんじゅう、フランス産のハンバーガー、フランス産のピザ、フランス産のべんとう、フランス産のホットドッグ、フランス産のミートパイ、フランス産のラビオリ、フランス産の菓子及びパン、フランス産の即席菓子のもと、フランス産のアイスクリームのもと、フランス産のシャーベットのもと、フランス産のアーモンドペースト、フランス産のイーストパウダー、フランス産のこうじ、フランス産の酵母、フランス産のベーキングパウダー」は、引用商標登録に係る指定商品と類似又は同一である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第43条の2第1号の規定により、取り消されるべきものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第6号について

本件商標は、「LES CUISINIERS DE FRANCE」の欧文字を書してなるところ、「LES」は、「複数形の定冠詞」、「CUISINIERS」は、「料理人(最後のsは、複数形を示す。)」、「DE」は、「〜の」及び「FRANCE」は、「フランス」の意味を有するフランス語であることは、我が国で比較的よく知られている(「CUISINIER」の語が、我が国で比較的よく知られていることの証左としては、「現代用語の基礎知識2003」、1406頁、自由の友社2003年1月1日発行を参照されたい。)。

そうとすれば、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標をフランス語風に「レキュイジニェドフランス」と称呼し、「フランスの料理人」を観念するものと認められる。

しかしながら、本件商標が「フランスの料理人」の観念を生じさせ、また、本件商標に係る指定商品中の「調味料、加工穀物」等がフランス料理に使用されるものであっても、そのことをもって、本件商標が、指定商品の供給者又は需要者の一般名称を普通に表記したものであるということはできない。

また、本件商標が、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないという格別の事情を見いだすことはできない。

したがって、本件商標は、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものであって、これをその指定商品に使用した場合、該商品が何人かの業務にかかる商品であることを認識することができないものであるということはできない。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「LES CUISINIERS DE FRANCE」のフランス語を書してなるものであるところ、これよりは、取引者、需要者間が、「レキュイジニェドフランス」と称呼し「フランスの料理人」を観念すること、上記(1)で述べたとおりである。

他方、引用商標は、別掲に表示したとおり、「Cuisine de France」の欧文字を横書きし、その下に、交差した二本の葉と思しき図形を描いてなるところ、文字部分と図形部分とを一体として把握しなければならないとする格別の事情は認められないものである。

そして、「Cuisine de France」の文字の構成中、「Cuisine」は、「料理」、「de」は、「〜の」及び「France」は、「フランス」の意味を有するフランス語であることは、我が国で比較的よく知られている(「Cuisine」が、我が国で比較的よく知られていることの証左としては、「現代用語の基礎知識2003」、1406頁、自由の友社2003年1月1日発行を参照されたい。)。

そうとすれば、引用商標中、「Cuisine de France」の文字からは、「フランスの料理」の観念を生じさせるものである。

しかしながら、引用商標は、「フランス料理に使用される」商品又は「フランス風の」商品に使用されるものであるから、「Cuisine de France」(「フランスの料理」)の文字部分は、単に引用商標に係る指定商品の品質、用途を表示したものにすぎないものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないと判断するのが相当である。

したがって、引用商標の「Cuisine de France」の文字部分が、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとし、その上で、引用商標と本件商標とが称呼において類似するという申立人の主張は、理由がないものといわなければならない。

(3)結び

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第6号、第4条第1項第11号の規定に違反してされたと認められないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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