結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−30370(T2001−30370/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2708765号商標(以下「本件商標」という。)は、「Hi−spec」の文字を書してなり、昭和57年12月29日に登録出願、第10類「温湿度試験器、その他の理化学機械器具」を指定商品として、平成7年7月31日に設定登録、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録は取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
(1)本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが「温湿度試験器、その他の理化学機械器具」について使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定により、その登録は取り消されるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
被請求人提出の乙第1ないし第3号証は、以下に述べるとおり、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を指定商品「温湿度試験器,その他の理化学機械器具」について過去3年以内に日本国内において使用している事実を示していない。
(ア)本件商標について
本件商標は、英文大文字で表された「H」及び英文小文字で表された「i」と、英文小文字で表された「s」、「p」、「e」、「c」という4文字とをハイフンで結びつけた商標である。
外観を検討すると、ハイフンで結合されているから、本件商標は、「Hi」と「spec」の二つの部分を結合した商標といえる。
称呼を検討すると、本件商標から生じる自然な称呼としては、「ハイスペック」、「ハイエスペック」、「スペック」または「エスペック」という異なった四つの称呼がある。
観念を検討すると、本件商標は「Hi」と「spec」の二つの部分を結合してなるが、「Hi」は、一般的に、商品が高級であることを表示するものとして、または、そのような意味の誇示表示として認識されており、本件商標は、これと、一般に広く使われている「仕様」の意味の「spec」との結合であるから、「高い仕様」という観念が生じる。
よって、本件商標は、「Hi」と「spec」の二つの部分が結合した商標であり、その態様から「ハイスペック」、「ハイエスぺック」、「スペック」又は「エスぺック」というそれぞれ異なった四つの称呼が自然に称呼され、かつ、「高い仕様」という観念が生じる。
(イ)使用商標について
乙第1及び第2号証によると、被請求人が「HISPEC」なる商標(以下、使用商標という。)を高温恒温器に使用し、製品の販売をしていることが見受けられる。
使用商標の外観を検討すると、使用商標は、「H」、「I」、「S」、「P」、「E」、「C」という各構成文字を、同一書体、同一間隔でまとまりよく一連に表記したものであり、特定の部分で分離すべき特段の事情も認められず、一体不可分の商標である。
称呼を検討すると、使用商標は、各構成文字が同一書体、同一間隔でまとまりよく一連に表記され、いずれの文字も軽重の差なく、一体不可分に結合されたものであり、一連に称呼される。そして、語頭が「HIS」ではじまる語を一連に称呼するときは、例えば、「HISTORY」、「HISTOGRAM」、「HISPANIC」をそれぞれ「ヒストリー」、「ヒストグラム」、「ヒスパニック」と称呼するように、「HIS」の部分を「ヒス」と称呼するのが一般的であるから、使用商標は「ヒスぺック」と滑らかに発音されるのが通常である。
使用商標「HISPEC」の称呼について、被請求人の製品カタログは「ハイスペック」と明記し、意図的に「HISPEC」から「ハイスペック」なる称呼を生み出しているにすぎず、なんら需要者の間で「HISPEC」を「ハイスペック」と称呼している根拠にはなり得ない。たとえ、生じるとしても、「ハイスペック」のみを生じるとはいえず、「ヒスペック」及び「ハイエスペック」の称呼も生じ得るものである。
観念を検討すると、使用商標は、造語と考えられることから、何ら特別な観念を生じない。
取引の経験則においても、最近の商標に対する取引者、需要者の意識状態は、このような場合、商標をいくつかの部分に分離したり、あるいは、商標に如何なる観念があるかを充分に考えることはほとんどなく、商標をそのままの状態で聴取したり、認識したりすることが通常である。
よって、使用商標は、同一書体、同一間隔でまとまりよく一連に表記された一体不可分の商標であり、かつ、その態様から「ヒスぺック」と自然に称呼され、何ら特別な観念を生じないものである。
(ウ)本件商標と使用商標の同一性について
使用商標は、本件商標との関係では、商標法第50条第1項括弧書きの「書体のみに変更を加えた同一の商標」ではない。使用商標は、「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示の相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じさせる商標」でもない。さらに、使用商標は、「外観において同視される図形からなる商標」でもない。
本件商標と使用商標の相違点を検討すると、外観において、本件商標はハイフンで結びついた商標であるが、使用商標は、同一書体、同一間隔でまとまりよく一連に表記した商標であり、両商標には著しい差異がある。
称呼を比較すると、本件商標からは「ハイスペック」、「ハイエスペック」、「スペック」又は「エスペック」の異なった四つの称呼が自然に称呼されるのに対し、使用商標は、「ヒスペック」の自然な称呼が生ずるに過ぎず、両商標は著しく相違する。
観念を比較すると、本件商標からは「高い仕様」という観念が生じるのに対し、使用商標は、造語であるから、何ら特別な観念が生じることはなく、両商標は、著しく相違する。
なお、上記のような変更は、本件商標の指定商品の取引社会一般において常識となっているものでもない。
よって、使用商標は、本件商標とは、社会通念上同一の商標ではない。
(エ)乙第3号証について
乙第3号証の審決は、指定商品が第17類「被服、布製見回品、寝具類」で、使用態様がワイシャツ類に係るものであることから、本件の「理化学機械器具」とは、取引者などを異にし、取引者、需要者を基準に考える社会通念上の同一の範囲が異なる。特に、同審決は、「両商標は、同一の『ピンアップ』(ピンで留める)の称呼・観念を生ずるものであって、社会通念上同一の商標と認めるのが相当」とあることから、商品「ワイシャツ」について使用したという特段の取引事情の上に成り立っているものである。
また、使用商標についても、同審決が「PIN−UP」に関するものであるのに対し、本件の「HISPEC」はハイフンを含まない態様であり、かつ、登録商標についても、同審決が「PINUP/ピンアップ」とローマ字及び片仮名文字を同書、同大、等間隔に2段に併記してなるものであるのに対し、本件商標は「Hi−spec」であり、その態様が著しく異なる。
よって、同審決は、本件とは事案を違にし、先例的価値を有するものではない。
(オ)本件商標の指定商品と使用商標に係る商品について
本件の請求に係る指定商品「第10類 温湿度試験器,その他の理化学機械器具」の概念は、主体が研究用又は実験用であるものに限定される。そして、「理化学機械器具」として掲げられている「恒温器」も、研究用又は実験用の極めて限定された「恒温器」であり、そうでない「恒温器」は、その概念に含まれない。
被請求人が本件商標の使用を主張し、乙第1号証の1のカタログ中に示す「高温恒温器」は、同カタログの2頁の「温度試験用から生産ラインでの熱処理・乾燥用までバリエーション豊かなラインナップでお答えします。」との表現が示すとおり、専ら研究用又は実験用に利用されるものではない。
よって、使用商標に係る商品の「高温恒温器」は、本件商標の指定商品「第10類 温湿度試験器,その他の理化学機械器具」には含まれない。
(カ)以上のとおり、乙第1ないし第3号証によっては、被請求人が本件商標を使用しているとは認められず、また、被請求人が指定商品「第10類 温湿度試験器,その他の理化学機械器具」について使用しているとも認められない。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、その証拠方法として、乙第1ないし第4号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)平成13年6月7日付け答弁書の要点
(ア)本件商標は、「HISPEC」の商標として、以下のとおり、商品「高温恒温器」に使用されている。
(a)カタログでの使用
被請求人は、商標権者として、「HISPEC」の商標を乙第1号証の1に係るカタログに使用しており、同カタログには、表紙や3頁、9頁、11〜12頁、15頁、17〜18頁等にその使用商標が記載されている。
該カタログは、1998年6月に作成され、株式会社レディオコムが印刷し、1998年6月30日に1000部が被請求人に納品された(乙第1号証の2)。その最終頁には、「9806−RC−1000」の記載があり、1998年6月にRC(株式会社レディオコム)が1000部を印刷した事実を裏付けている。
(b)商品での使用
乙第1号証の1に係るカタログの1頁、2頁等に掲載されている商品の写真で明らかなとおり、「高温恒温器」の筐体の左上方に使用商標が付されている。
使用商標が付された「高温恒温器」の販売例としては、2001年3月1日に被請求人からディックテクノ株式会社に、「爆発ベント付き恒温器(HT320S)」が販売されている。2000年12月7日付のディックテクノ株式会社発行の注文書(乙第2号証の1)には、完成納期2001年3月1日として「爆発ベント付き恒温器 ハイスペック 一式」を被請求人に1台注文した旨の記載がある。そして、2001年3月1日付けの納品伝票(乙第2号証の2)には、該注文に対応して「爆発ベント付き恒温器 HT320S」を1台、ディックテクノ株式会社に納品した旨が記載されている。「HT320S」とは、乙第1号証の1に係るカタログの3頁及び21〜22頁に記載されているとおり、「高温恒温器」の横型で爆発ベント付きタイプ300°C仕様の商品を示す。
(イ)本件商標と使用商標を比較すると、本件商標が「Hi」と「spec」をハイフンで介した構成よりなるのに対し、使用商標は「HI」と「SPEC」が一連に記載されている。
しかし、本件商標と使用商標は、ハイフンの有無という差異があるものの、共に「ハイスペック」の称呼を生じ、同一の観念を有するから、社会通念上同一であるといえる。
過去の審決例(乙第3号証)においても、登録商標からハイフンを除いた様態で使用した商標を登録商標と社会通念上同一であると認めた例がある。
(ウ)以上のとおり、本件商標と同一性を有する使用商標は1998年6月30日に納品されたカタログに使用され、また、商品の販売に際して、2001年3月1日に納品された「高温恒温器」に付されて使用されていたのであるから、本件商標が商標法第50条の規定に該当しないこと明らかである。
(2)平成14年5月2日付け答弁書の要点
(ア)本件商標と使用商標は、以下のとおり、共に「ハイスペック」の称呼を生じ、また、観念上でも差異がなく、共通しており、社会通念上同一の商標である。
(a)称呼の同一性について
乙第1号証の1に係るカタログでは、使用商標に対して、「ハイスペック」の語が併用されており、「HISPEC」が「ハイスペック」と呼称されることを明記している。被請求人は、使用商標を常に「ハイスペック」と呼称して使用しており、需要者間においても、「ハイスペック」とのみ称呼されている。
乙第2号証の1(被請求人に対する商品注文書)では、品名に「爆発ベント付き恒温器ハイスペック 一式」と表示されており、需要者の一人である「ディックテクノ株式会社」が使用商標を「ハイスペック」と称呼している。
また、使用商標は、他の需要者にも「ハイスペック」と称呼されている。乙第4号証(科学機器総合カタログ 1999/2000)の981頁に、「恒温器 ハイスペックオーブン 横型」の記載があるが、この型式は、乙第1号証の1の3頁、17頁、18頁にある「HISPECシリーズ 横型 HTタイプ」を示す。同じく、982頁に、「恒温器 ハイスペックオーブン 縦」の記載があるが、この型式は、乙第1号証の1の3頁、11頁、12頁にある「HISPECシリーズ 縦型 HSタイプ」を示す。乙第4号証は、1999年10月にFINEグループ(東京硝子機械株式会社)によって発行され、株式会社桝水によって配布されたものであり、「HISPECシリーズ」の恒温器を「ハイスペックオーブン」と表示し、需要者である「FINEグループ」が使用商標を「ハイスペック」と称呼している。
請求人は、「HISTORY」、「HISTOGRAM」、「HISPANIC」のように、「HIS」と続く語は「ヒス」と発音すると主張しているが、使用商標は、「HI」と「SPEC」とを結合した商標であって、「HIS」部分で分離しなければならない理由はない。使用商標は、「HI」部分が「ハイ」と発音され、「ハイスペック」と称呼される。
(b)観念の同一性について
請求人は、(i)本件商標は「高い仕様」の観念を生じる、(ii)使用商標は造語であって特定の観念を生じない、と主張しているが、「Hi−spec」及び「HISPEC」の語は、共に「HI」と「SPEC」とが組合わされて1つの語として認識されるものであり、両者に観念上の差異は全く生じない。
(c)乙第3号証について
請求人は、本件商標と乙第3号証の審決に係る商標では需要者が異なる旨主張しているが、本件の指定商品の需要者は、一般消費者ではなく、高温恒湿器のユーザーで、研究機関や研究所など限られた分野の需要者層であり、その取引界では、本件使用商品は「ハイスペック」の称呼のみをもって流通している。
本件商標と同審決の商標との外観上の比較のみをもって事案が異なるとする請求人の主張には、合理的な理由がない。
(イ)請求人は、使用商標に係る商品「高温恒温器」が本件商標の指定商品に含まれない旨主張し、乙第1号証の1に係るカタログ中の「温度試験用から生産ラインでの熱処理・乾燥用までバリエーション豊かなラインナップでお答えします。」との表現を、その根拠としているが、これは、本件商品が生産ラインで熱処理・乾燥用に使用されることが本来の姿であることを意味するものではない。
本件商品は、供試品(半導体など)に温度や湿度を一定のパターンで繰り返し与えて、品質の劣化を検査するために用いられる高温恒湿器である。
乙第1号証の1に係るカタログには、ハイスペックシリーズでは、供試品を用いて高温や恒湿の試験を行い、品質の性能試験を行うことを本来の目的とすることが記載されており、その29頁には、「H TYPE/高温器」の説明として「セラミック、各種金属等の無機材料やエンジニアリング・プラスチックの耐熱試験、恒温寿命試験など幅広い用途に適しており、安全かつ高精度で使用できます。」と明記されている。
このように乙第1号証の1に示す「高温恒温器」は、研究用または実験用に使用されるものである。
また、乙第4号証は、理化学機械器具の総合カタログであり、奥付には「このカタログに掲載されている商品は専門知識をもって研究をされている研究者の方々を対象としており・・・」の記載があり、本件の「高温恒温器」が研究用に使用される商品として流通していることを裏付けている。
よって、乙第1号証の1で使用が立証されている「高温恒温器」は本件商標の指定商品の「温湿度試験器」に該当するものである。
(1)被請求人は、「HISPEC」の文字よりなる商標を「高温恒温器」に使用している旨主張し、各乙号証を提出しているので、乙第1号証より検討するに、乙第1号証の1のカタログには、裏表紙に被請求人(商標権者)の名称とその本社や支店、営業所の住所が記載されている。そして、おもて表紙には、「高温恒温器」の商品の表示とともに、「HISPEC」の文字が大きく記載されているほか、3頁には、「シリーズ」の文字を下段に従えて、また、9頁、11〜12頁、15頁、17〜18頁には、商品の形状を表示する「縦型」又は「横型」の文字を従えて、「HISPEC」の文字が記載されている。さらに、同カタログの表紙、1頁、2頁等には商品の写真が掲載されているところ、該写真によれば、商品自体にも、「HISPEC」の文字が表示されている。
してみれば、乙第1号証の1に係るカタログをもって、被請求人(商標権者)は、「HISPEC」の商標を商品「高温恒温器」に使用しているということができる。
(2)本件商標と使用商標の同一性について検討するに、本件商標は、ハイフンを介して「Hi」と「spec」の文字を結合させて「Hi−spec」と書してなるものであり、「Hi」と「spec」の各文字が親しまれた語でもあるから、「ハイスペック」と称呼され、「Hi」と「spec」の語をもって構成されるものと認識されるものである。
一方、使用商標は、「HISPEC」の文字を書してなるが、乙第1号証の1は「HISPEC」の商標を使用した「高温恒温器」のカタログと認められるところ、該カタログの1頁には、「HISPEC」の商標を使用した「高温恒温器」と推認し得る商品の写真とともに、「エタックの高温恒温器ハイスペックシリーズは・・・」との表示がされており、また、3頁には、構成図の上部に「HISPEC」と大書された文字とともに「ハイスペックシリーズ・・・」との文字が表示され、関連機器の構成が説明されている。そして、同カタログの9頁、11頁、12頁、15頁、17頁、18頁には「HISPEC 縦型(横型)」の商標が表示されているとともに、5頁、6頁、7頁、21頁、23頁、25頁には「ハイスペック(シリーズ)」の文字が表示されていることから、このカタログで使用されている「HISPEC」の商標は、「ハイスペック」と称呼するものとして使用されているとみて差し支えないものである。
また、乙第2号証の1の注文書にある「注文番号」欄の「3PG1890101」の記号が乙第2号証の2の「納品伝票」の「註文No.」欄の記号「3PG1890101」と一致していることから、乙第2号証の1の注文書は乙第2号証の2にある「品名」「爆発ベント付き恒温器HT320S」にかかるものと認められ、該恒温器は、乙第1号証の1のカタログの3頁、21頁及び22頁によれば、「HISPEC」の商標が使用されているところである。そうとすれば、同注文書に、品名が「爆発ベント付き恒温器ハイスペック 一式」と記載されていることから、「HISPEC」の商標は「ハイスペック」と読まれているといえるものである。
さらに、乙第4号証は、件外の第三者が発行した「科学機器総合カタログ」の写しであり、その2枚目下段には、商品の写真とともに「61−20 恒温器 ハイスペックオーブン 横型」の表示があるところ、該写真の商品は乙第1号証の1のカタログの1頁の写真の商品(左側)と同一といって差し支えない程度のものであり、しかも、乙第4号証の2枚目下段の「型式」欄にある「HT210」、同「310」、同「220」、同「320」の記号は乙第1号証の1のカタログの17頁及び18頁の「HISPEC横型」の仕様表の「仕様」欄にもあり、乙第4号証の2枚目下段に掲載の「温度範囲」、「温度分布」、「仕様」の内容が乙第1号証の1のカタログにある同記号の仕様表に掲載のものと合致するものである。同じく、乙第4号証の3枚目上段には、商品の写真とともに「61−20 恒温器 ハイスペックオーブン 縦型」の表示があるところ、該写真の商品は乙第1号証の1のカタログの2頁の写真の商品(右側)と同一といって差し支えない程度のものであり、しかも、乙第4号証の3枚目上段の「型式」欄にある「HS210」、同「220」、同「240」、同「310」、同「320」、同「340」の記号は乙第1号証の1のカタログの11頁及び12頁の「HISPEC縦型」の仕様表の「仕様」欄にもあり、乙第4号証の3枚目上段に掲載の「温度範囲」、「温度分布」、「仕様」の内容が乙第1号証の1のカタログにある同記号の仕様表に掲載のものと合致するものである。そうとすれば、乙第4号証中の上記商品は、乙第1号証の1のカタログに掲載されている商品のひとつと認められ、しかも、乙第4号証のカタログには、「恒温器 ハイスペックオーブン 横型」及び「恒温器 ハイスペックオーブン 縦型」と記載されていることから、「HISPEC」の商標は「ハイスペック」と読まれているといえるものである。
してみれば、使用商標は、商取引の場において、被請求人はもちろん、需要者、取引者によっても、「ハイスペック」と称呼されていたとみるのが相当であり、かかる称呼の下では、これを、親しまれた「HI」と「SPEC」の語を結合させたものと理解することも不自然ということはできない。
そうすると、使用商標と本件商標は、「ハイスペック」の称呼を同じくし、しかも、ハイフンの有無や、大文字と小文字の差異があるとしても、「Hi」(HI)と「spec」(SPEC)を結合させてなるものと認識されるといえるものであって、殊更に観念を変更するものともいえないことから、使用商標と本件商標はその外観が完全に同一であるとはいえないものの、社会通念上同一の範囲にある商標とみても差し支えないというべきである。
(3)次に、使用に係る商品について検討するに、上記(1)のとおり、乙第1号証の1に係るカタログのおもて表紙には「高温恒温器」の文字が記載されているほか、乙第2号証の1に係る注文書には、品名として「爆発ベント付き恒温器」の文字が記載され、また、乙第4号証に係るカタログには、「恒温器」の文字が記載されていることからすると、使用に係る商品は「恒温器」の一種ということができる。
加えて、乙第1号証の1に係るカタログには、1頁に「温度試験用から生産ラインでの熱処理・乾燥用まで、バリエーション豊かなラインナップでお答えします。」、4頁に「信頼性試験において、最適機種の選定は重要な仕事です。」との記載がある。また、同じく8頁には、「環境試験器の集中管理・監視システム」の見出しの下に「試験器の設置場所が事務所から離れている場合・・・大変めんどうな仕事でした。しかし、ハイスペックシリーズとC−BUSを接続することによって、複数試験器の設定条件の入力から・・・個々の試験器の温度状態の確認・・・すべて事務所内の1台のパソコンで行うことが可能となります。」と記載され、使用に係る商品を試験器としてシステムを説明していることが認められる。これらの記載からすると、該「恒温器」の機種の中には、試験や実験に用いる機種が含まれているとみるのが相当である。
そして、本件商標の登録出願時に施行されていた商標法施行規則の別表をみると、同別表第10類には、「理化学機械器具」の「実験用機械器具」の範疇に属する商品として「恒温器」が例示されているところである。
そうすると、仮に、請求人の述べるとおり、「理化学機械器具」の概念が研究用又は実験用に限られるとしても、少なくとも、使用商標に係る「恒温器」の中の試験や実験に用いる機種の「恒温器」は、「理化学機械器具」の範疇に属する商品といえるから、使用に係る商品は、請求に係る指定商品に含まれているということができる。
(4)前記以外の商標法第50条第2項に規定する商標登録の取消しに関する要件についてみるに、被請求人の答弁の全趣旨並びに各乙号証を総合勘案すると、乙第1号証の1に係るカタログは1998年6月に作成されたものであり、乙第2号証(枝番を含む。)に係る取引伝票は、2000年12月に商品の注文、2001年3月に商品の納品をした際の伝票であり、乙第4号証に係るカタログは1999年に作成されたものと判断され、これらの期日がいずれも本件審判請求の登録前3年以内にあたることから、使用商標は、本件審判請求の登録前3年以内に使用されていたということができる。
また、被請求人はもちろん、乙第2号証(枝番を含む。)に係る取引伝票の注文主や、乙第4号証に係るカタログの配布主も、日本国内に住所や営業所を有し、日本語の取引伝票やカタログを利用しているのであるから、これらを通じた前記商標の使用を、敢えて外国で行われたといわなければならない理由もない。
(5)以上のとおりであるから、本件商標は、被請求人(商標権者)によって、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、請求に係る指定商品中の「恒温器」について使用されていたというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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