結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35157(T2002−35157/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
第1.本件商標
本件登録第4049686号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)とおりの構成よりなり、平成8年3月5日登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同9年8月29日に設定登録されたものである。
第2.請求人の引用する商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和52年11月30日登録出願、第24類「運動具、その部品および附属品」を指定商品として、同57年2月26日に設定登録された登録第1499855号商標、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和55年7月31日登録出願、第22類「はき物、その他本類に属する商品」を指定商品として、同61年9月29日に設定登録された登録第1893754号商標、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和55年7月31日登録出願、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、同61年2月28日に設定登録された登録第1838770号商標及び別掲(3)のとおりの構成よりなり、昭和54年3月27日登録出願、第21類「かばん、その他本類に属する商品」を指定商品として、同57年11月26日に設定登録された登録第1551631号商標(以下、一括して「引用商標」という。)である。
第3.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第63号証(枝番を含む)を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同法第4条第1項第15号及び同法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきものである。
請求人 アディダス サロモン アーゲー(adidas−Salomon AG)は、世界的に有名なスポーツ用品メーカーであり、請求人が所有する別掲(2)及び別掲(3)の構成からなる引用商標「adidas」(甲第2号証ないし甲第5号証)は、1949年に請求人の本国であるドイツ国において最初の商標登録がなされて以来、我が国のみならず、世界中で商標登録・出願がなされており、国際的に広く知られている商標である。
さらに、請求人は、独特の書体からなる「adi」及び「adi」「ADI」「Adi」「アディ」等の3文字を語頭に有する「adi」ファミリー商標(甲第6号証ないし甲第18号証)を所有している。
これに対して、別掲(1)の構成からなる本件商標「adikid」は、丸みを帯びた独特の書体を使用している点で著名な引用商標「adidas」と一致するものであり、さらに、語頭部「adi」を有する点で、引用商標「adidas」のみならず「adi」ファミリー商標(甲第6号証ないし甲第18号証)とも一致するものである。また、本件商標において語頭部「adi」を除いた残りの構成文字「kid」は、本件商標の指定商品との関係上、商品が「子供用、子供向け」又は「キッド(小山羊の革)製」といった商品の用途、原材料等の品質を表すものとして容易に認識理解される。
したがって、本件商標が指定商品に使用されたときには、請求人の業務に係る商品と出所について混同を生ずるおそれがある。
また、請求人の著名な引用商標を顕著に含む本件商標の使用は、引用商標の名声に便乗する不正目的によるものであって、引用商標の顧客吸引力及び出所表示力を稀釈化するから、請求人に精神的かつ経済的損害を与えるものである。
よって、請求人は、本件商標の登録無効審判の請求をすることについて利害関係を有するものである。
(1)商標法第4条第1項第7号に該当する理由
本件商標は、請求人の所有に係る世界的に著名な引用商標の顧客吸引力に便乗し、引用商標の出所表示機能を稀釈化することにより、引用商標の名声を毀損するものである。
したがって、本件商標の登録は国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。
(2)商標法第4条第1項第15号に該当する理由
本件商標「adikid」は、丸みを帯びた独特の書体を使用している点で著名な引用商標「adidas」と一致するものであり、さらに、語頭部に「adi」を有する点で、引用商標「adidas」のみならず「adi」ファミリー商標(甲第6号証ないし甲第18号証)とも一致するものである。また、本件商標が使用される指定商品は、請求人が取り扱う商品と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標が指定商品に使用されたときには、需要者は請求人が所有する「adi」ファミリー商標のひとつであると誤認し、著名ブランド「adidas」が製造販売する「子供用」商品又は「キッド製」商品(すなわち、「adidas kid」)であると誤認する結果、請求人の業務に係る商品と出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)商標法第4条第1項第19号に該当する理由
本件商標は、請求人のハウスマークであって、請求人による創造標章である著名な引用商標「adidas」の独特な書体と同一の書体を採用し、かつ、引用商標及びファミリー商標(甲第2号証ないし甲第18号証)の共通の語頭部「adi」を有することによって、請求人の所有する「adi」ファミリー商標と同一の構成を採用するものである。
このような本件商標の構成の軌跡には、世界的な名声を獲得している引用商標の強大な出所表示機能を稀釈化するのみならず、その顧客吸引力にただ乗りせんとする悪意が認められる。また、被請求人は偽アディダス商品の輸入事件で摘発逮捕された経歴を有する者であり(甲第59号証ないし甲第62号証)、本件商標の指定商品は、請求人の取り扱いに係る商品と明らかに競合する。かかる事情に鑑みれば、被請求人による本件商標の登録は、本件商標の使用により不正な利益を得て、請求人に経済的・精神的損害を加えんとする不正目的で採択使用されたものといわざるを得ない。
第4.被請求人の主張
被請求人は、何ら答弁していない。
第5.当審の判断
甲第19号証ないし甲第30号証及び甲第32号証ないし甲第36号証(枝番全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略した。)によれば、請求人は、1920年に創業、本国のドイツ国をはじめ、米国、日本など世界の主要国に販売拠点を有する世界的に有名なスポーツ用品メーカーと認められる。そして、請求人の創造商標と認め得る別掲(2)及び同(3)に示した独特の書体を使用した「adidas」の文字からなる商標を請求人の業務に係る商品「運動具、スポーツシューズ、スポーツウエア、被服」等に長年に亘り使用してきたこと、また、引用商標は請求人の本国であるドイツ国において最初の商標登録がされて以来、我が国の他、世界各国で商標登録・出願がされており世界的に広く知られた商標と認めることができる。
さらに、我が国においても、引用商標「adidas」の使用とその製品の販売・宣伝広告活動は、当時引用商標の使用権者であった株式会社デサントによって遅くとも1971年頃から開始され、1999年からは請求人の子会社であるアディダスジャパン株式会社によって今日まで継続して使用され製品の販売・宣伝広告活動が行われてきたことを認めることができる。
加えて、請求人は、独特の書体(レタリング)の「adi」をはじめ「ADI」「Adi」「アディ」等の3文字を語頭に有する商標(以下「adiファミリー商標」という。)を我が国において所有(甲第6号証ないし同第18号証)し、これら「adiファミリー商標」をスポーツシューズ、運動具等に実際に使用していたことを認めることができる(甲第25号証、甲第26号証、甲第28号証)。
上記甲号証中の事実からすると、引用商標は、請求人の業務に係る「運動具、スポーツシューズ、スポーツウエア」の商標として、本件商標の登録出願時(平成8年3月5日)においてはもちろん、その登録査定時(平成9年7月3日)においても、我が国における運動用具関係の取引者、需要者の間において広く知られていたものと認めることができ、その著名性は、登録査定時においても継続していたものである。
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、その書体は独特の創作的な書体と認められる別掲(2)の引用商標「adidas」の書体と全く同一のものであり、しかも、全体として特定の語義を有する語とは認められないばかりでなく、後半の「kid」の文字部分は、本件商標の指定商品との関係からすると該商品が「子供用、子供向け」又は「キッド(小山羊の革)製」(甲第37号証)といった商品の用途、原材料等を表す品質を表示する語として理解されるものであり、また、独特の書体からなる語頭の「adi」の文字部分は、上記のとおり、請求人の使用に係る著名商標「adidas」及び「adiファミリー商標」とその語頭の綴り及び書体(レタリング)を同一にするものであることから、容易に「adi」の文字と「kid」の文字とを結合させたものとして理解、認識されるものである。
本件商標は、その構成文字が独特の書体(レタリング)であるうえに、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「adi」の文字を含むものであるから、商標権者(被請求人)が本件商標を、請求人が取り扱う商品と同じ商品が多数含まれている、その指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その独特の書体(レタリング)及び「adi」の文字部分に注意を惹かれ、請求人の使用に係る著名な引用商標である「adidas」を想起し、該商品が請求人あるいは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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