結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−30711(T2000−30711/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2379771号商標(以下「本件商標」という。)は、「MAMA PAIPAI」の欧文字と「ママ パイパイ」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成1年10月26日に登録出願され、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、平成4年2月28日に商標権の設定登録がされたものである。その後、平成14年2月26日に商標権の存続期間更新登録されている。
なお、本件審判請求の予告登録は、平成12年7月12日にされている。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「せっけん類(薬剤に属するものを除く)」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると主張し、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
1. 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「せっけん類(薬剤に属するものを除く)」について継続して3年以上日本国内において使用した事実がないから、その登録は取り消されるべきものである。
2. 弁駁の理由
(1) 商標権者は、答弁の理由において、「2000年(平成12年)3月15日に本件商標である『ママパイパイ』を付した3個入りのハンドソープと化粧品のローションゼリーを山口薬局(千葉県流山市江戸川台西2の144)に委託販売している。」と主張しているが、該主張は承服することができないものである。
(ア) 商標権者は、山口薬局に納品したとするハンドソープの小箱を展開させた状態の写し(乙第3号証)をもって、本件商標を使用したと主張しているが、本件商標は「MAMA PAIPAI」と「ママ パイパイ」を横一連に書してなる態様からなり、全6音という比較的短い称呼であるから、「MAMA/ママ」と「パイパイ/PAIPAI」とを分離分断する特別な事情がないため、唯一「ママパイパイ」の称呼を自然に生じるものである。
これに対し、乙第3号証のハンドソープの小箱に示される商標の表示態様は、欧文字を装飾した「mama」と「paipai」を上段と下段に分けた表示態様からなるため、かかる表示態様からは、「ママ」という称呼と、「パイパイ」という2つの称呼が発生するとみるのが自然である。
してみれば、上述のように本件商標から生じる唯一の称呼「ママパイパイ」と、小箱(乙第3号証)に示される商標から生じる称呼「ママ」或いは「パイパイ」とは、必ずしも同一の称呼が発生しないため、社会通念上同一の商標でないことは明らかである。
さらに、本件商標は、上述のように、上段「MAMA PAIPAI」の直ぐ下段に、片仮名文字「ママ パイパイ」を書してなるものである。これに対し、小箱(乙第3号証)に示される商標においては、片仮名文字「ママ パイパイ」の文字がどこにも発見することができない。してみれば、本件商標と小箱(乙第3号証)に示される商標は、外観上も大きく異なり、社会通念上同一の商標であるとはいえないと思われる。
したがって、商標権者が本件商標を使用したと主張する証拠は、本件商標と外観・称呼が相違するため、社会通念上同一の商標でもなく、本件審判請求に係る商品についての登録商標の使用をしていることを証明していない。
(イ) 乙第3号証の小箱に示される商標が、商標法第50条第1項かっこ書きに規定する「社会通念上同一と認められる商標」に該当したとしても、商標権者が山口薬局に委託販売したとする主張が、果たして「事実」といえるのか、疑問を持たざるを得ないし、さらに、仮に、商標権者が山口薬局に委託販売したとする主張が事実だとしても、かかる販売は、単に不使用による取消を免れる目的で名目的に商標を使用したものといわざるを得ず、本件商標の使用と認めることはできない。
i) 商標権者が委託販売したというハンドソープの委託販売は、薬事法に違反するものである。
商標権者は、委託販売したとするハンドソープのパッケージとして乙第3号証を証拠として提出しているが、薬事法59条においては、「化粧品・医薬部外品/製造申請ガイドブック/第三版(監修/厚生省薬務局審査課)」(甲第3号証)に示されるように、「医薬部外品として承認された製品には ”医薬部外品”と記載する必要」がある。すなわち、乙第3号証の「薬用ハンドソープ」の容器には、「医薬部外品」の記載をしなければならないのにもかかわらず、この「医薬部外品」という記載が、乙第3号証の小箱のどこにもみつけることができない。したがって、商標権者が「医薬部外品」と記載せずに、「薬用ハンドソープ」である乙第2号証ないし乙第3号証のハンドソープを委託販売することは、薬事法に違反するものであるから不可能であり、このハンドソープを委託販売するということは、通常あり得ない行為である。
また、仮に、かかる違法な商品を販売したとしても、継続・反復して販売することは不可能であり、そのような販売は、単に不使用による取消を免れる目的で名目的に商標を使用したものといわざるを得ず、本件商標の使用と認めることはできない。したがって、商標権者が山口薬局に委託販売したとする主張に係る使用により、商標法の制度趣旨であるところの商標の保護対象たる業務の信用が商標に化体したものとは、到底考えることができず、むしろ、単に不使用による取消を免れる目的で名目的に商標を使用する行為であるといわざるを得ず、本件商標の使用と認めることはできないとするのが相当である。この点、甲第4号証として提出する「東京高判平4(行ケ)144号・東京高判平5(行ケ)168号の判決」においても、「単に不使用取消しの審判を免れる目的で名目的に商標を使用するかのような外観を呈する行為があっただけでは、商品に関する広告に標章を付して展示又は頒布する行為には該当せず、登録商標の不使用による登録の取消しを免れない。」としている。
ii) 商標権者は、「サンプル商品として納入し、さらに、これらを商標権者が発売元として上記山口薬局に委託販売したものである。」として、無償で仕入れたサンプル商品を、山口薬局に ”有償“ で、販売したとしている。また、このことを裏付けるものとして、納品書(乙第2号証)及び物品受領書(乙第2号証の2)を提出しているが、この納品書等にも入金予定を9月末として、”有償“で、委託販売したことを示している。無償で仕入れたサンプル品を、有償で委託販売するという取引形態は、通常の商取引ではあり得ない行為であり、かかる証拠は不自然極まりないものである。したがって、乙第2号証の納品書及び乙第2号証の2の物品受領書と、乙第2号証の3の納品書とは、矛盾するものであり、具体的資料の裏付けを欠き、商標権者の主張には承服しかね、その使用さえも疑問を持たざるを得ないところである。
iii) サンプル商品は、販売の動向を調査したり、顧客の確保などを目的として配るものであるため、通常、多数の小売店等に、同時期に譲渡される性格のものであり、通常の取引社会においては、千葉県流山市在の山口薬局、以外にも多数配布しているはずであると思われる。しかしながら、サンプル商品を現実に納品したとする商標権者の主張は、山口薬局に納品したとする主張のみであり、その他の小売店等に納品された証拠が何ら示されていない。したがって、このことからも、本件商標を事実使用したのか疑問を持たざるを得ず、もし、これらのサンプル商品が流通されたことが事実であれば、むしろ、単に不使用による取消を免れる目的で名目的に商標を使用した行為として、本件商標の使用であると認めることができない。
iv) また、上述のような2000年3月15日に仕入れたサンプル商品(乙第2号証の3)を、”仕入れた日と同日”に、山口薬局に納品したとする証拠(乙第2号証)に関しても、”仕入れた日と同日”に山口薬局に納品する緊急性があったのか否か不明であるが、通常の取引行為と比べて不自然であり、この証拠のみを提出したことにも、疑問を持たざるを得ない。なお、請求人の平成12年11月4日の午前11時頃の調査によれば、山口薬局の店内の視認できる範囲では、ラベル(乙第4号証)が貼着された「MAMA/PAIPAI/薬用ハンドソープ」なる商品は存在しない様子であったことも特記する。
v) その他、例えば、何故、山口薬局に納品した事実として、本件審判請求日より後日である ”入金予定9月末“ とする納品書(乙第2号証)のみを証拠として提出されたのか。何故 ”委託販売“という特別の販売形態をとり、これのみを証拠として提出されたのか、理解できない。
そして、展開状態の3個入りハンドソープの小箱の写し(乙第3号証)により本件審判請求の日以前に使用したことは証明できるものではなく、これをもって、山口薬局に納品した事実を推測することなどできない。
加えて、本件審判請求に係る商品「薬用せっけん類」については、「化粧品・医薬部外品/製造申請ガイドブック/第三版(監修/厚生省薬務局審査課)」(甲第3号証)の第36頁に示されるように、「医薬部外品の製造承認申請書は1品目毎に作成」しなければならない。そこで、該製造承認申請書によって、山口薬局へのサンプル商品の納品の事実が根拠付けられるものではないが、もし「MAMA/PAIPAI/薬用ハンドソープ」なる販売名で薬用せっけんを製造する意思があったのであれば、かかる販売名で届け出た製造承認申請書を提出すべきである。
また、「薬用せっけん」(医薬部外品)については、「医薬品/GMP解説/1999年版(厚生省医薬安全局監視指導課監修)」(甲第5号証)の第191頁に示される医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理規則第17条の通り、同第6条第1項を準用しており、そして、同第6条第1項第2号は、「医薬品の製造に関する記録をロットごと(ロットを構成しない医薬品については製造番号ごと。以下同じ。)に作成すること。」と規定している。そこで、該製造管理書によって、山口薬局へのサンプル商品の納品の事実が根拠付けられるものではないが、もし「MAMA/PAIPAI/薬用ハンドソープ」なる販売名のせっけんを製造したのであれば、商標権者は、かかる販売名の製造管理書についても提出すべきである。
そして、これらの製造承認申請書、及び製造管理書が提出されない場合は、商標権者が主張している事実は根拠のないものであると思われる。また、仮に、製造承認申請書等を提出していない商品を販売したとしても、商標権者には、継続・反復して販売する意思がないものと思われ、そのような販売は、単に不使用による取消を免れる目的で名目的に商標を使用したものといわざるを得ず、本件商標の使用と認めることはできない。
(ウ) 以上のように、商標権者が本件商標を使用したとの主張に基づく証拠では、本件商標の社会通念上同一の商標の使用であるとはいえず、さらに、果たして、本件商標を実際に使用したのか否か疑問を持たざるを得ず、仮に、本件商標を使用したとしても、答弁書に示される使用は名目的な使用であると考える。
(2) 商標権者は、答弁書の理由において、「2000年(平成12年)3月に本件商標を付した、哺乳ビン,乳首,哺乳ビンと野菜洗い兼用洗剤,哺乳ビンと食器洗い兼用の洗剤,哺乳ビン用洗浄ブラシ,哺乳ビン用消毒バサミ,手動および自動の搾乳器の販売促進用パンフレットを作成頒布して、これら商品の宣伝広告を行っている。」と主張しているが、商標権者が本件商標を使用したとする主張は、承服することができない。
(ア) 商標権者は、答弁書において、販売促進用パンフレットを作成頒布した証拠として、乙第4号証のパンフレット、乙第4号証の2の納品書、乙第4号証の3のラベル、及び乙第4号証の4のラベルを提出している。
しかしながら、このパンフレット(乙第4号証)のカラー面、及びラベル(乙第4号証の3、乙第4号証の4)に示される商標の表示態様は、ローマ字を装飾した「mama」と「paipai」を上段と下段に分けた表示態様からなるため、かかる表示態様からは、「ママ」という称呼と、「パイパイ」という2つの称呼が発生するのが自然である。したがって、上述(1)で述べたように、唯一「ママパイパイ」の称呼を生じる本件商標と、このパンフレット(乙第4号証)のカラー面、及びラベル(乙第4号証の3、乙第4号証の4)に示される商標から生じる称呼「ママ」或いは「パイパイ」を比較するに、必ずしも同一の称呼が発生しないため、社会通念上同一の商標でないことは明らかである。
さらに、本件商標は、上述のように、上段「MAMA PAIPAI」の直ぐ下段に、片仮名文字「ママ パイパイ」を書してなるものである。これに対し、このパンフレット(乙第4号証)のカラー面、及びラベル(乙第4号証の3、乙第4号証の4)に示される商標においては、片仮名文字「ママ パイパイ」の文字がどこにも発見することができない。してみれば、両商標は、外観上も大きく異なり、社会通念上同一の商標であるとはいえない。したがって、商標権者が答弁書において本件商標を使用したと主張する証拠は、本件商標と外観・称呼が相違するため、社会通念上同一の商標でもなく、本件審判請求に係る商品についての登録商標の使用をしていることを証明しているとはいえず、本件商標の登録の取消しを免れない。
(イ) 仮に、商標権者が本件商標を使用したとする乙第4号証のパンフレット、乙第4号証の3のラベル、及び乙第4号証の4のラベルに示される商標が、商標法第50条第1項かっこ書きに規定する「社会通念上同一と認められる商標」に該当したとしても、商標権者が「販売促進用パンフレットを作成頒布した。」とする主張は、全く根拠を欠いている。
i) 商標権者が販売促進用パンフレットを作成頒布したことの証拠として提出しているのは、パンフレット(乙第4号証)及びそのパンフレットを作成した株式会社アクシスが商標権者に納品したとする納品書(乙第4号証の2)のみであり、乙第4号証のパンフレットを「頒布した事実」については、全く証明されていない。したがって、商標権者が、「販売促進用パンフレットを作成頒布して、これら商品の宣伝広告を行っている。」と主張している行為については、全く根拠がない。
ii) そればかりか、パンフレット(乙第4号証)を作成したことさえも、疑問を持たざるを得ず、ましてやパンフレット(乙第4号証)を頒布したことを推認することなど、到底できない。まず、商標権者は、「パンフレットのカラー面の左下部には、本件商標を印刷したラベルを、哺乳ビン野菜洗い兼用の洗剤と同食器洗い兼用の洗剤を収容したビンに貼付したカラー写真が掲載されているが、このようにビンに本件商標のラベルを貼付する行為は、...商標法第2条第3項第1号に規定する『商品の包装に標章を付する行為』に該当する。」と主張しているが、パンフレット(乙第4号証)のカラー面の左下部に印刷されている「洗剤を収容したビン」は、明らかに ”実物の洗剤“ を撮影したものではなく、パンフレットのイラストとして印刷されたものにすぎない。すなわち、製造した洗剤のビンにラベル(乙第4号証の3、乙第4号証の4)を貼付したとする商標権者の主張は到底受け入れることはできず、パンフレット(乙第4号証)を作成したことさえも、疑問を持たざるを得ない。
iii) 株式会社創芸が、商標権者に提出したとする企画書(乙第7号証)に示される広告案に掲載された洗剤と、平成12年3月3日に納品されたパンフレット(乙第4号証)に示される洗剤とでは、明らかに、そのフォームが異っている。なお、企画書(乙第7号証)に示される広告案の「洗剤の写真」は、添付の「ベビー用品ガイド2000年版/赤ちゃんのお気に入り(株式会社産経新聞メディックス発行)」(甲第6号証)に示される「コンビ哺乳ビン野菜洗い」を引用したものと思われる。ところが、 株式会社創芸は、”平成12年4月20日”に、企画書(乙第7号証)を提出しているのである。すなわち、商標権者は、上述のように、”2000年3月”に、パンフレット(乙第4号証)を頒布したと主張するにもかかわらず、株式会社創芸は、2000年4月20日に、他社の製品を使って、商標権者に企画書を提出したというのである。
このように、既に顧客の商品又はそのパンフレットが存在するのに、他社の製品を使って、広告代理店が企画書を作成提出することなど、営業上極めて考えることのできない行為である。しかも、洗剤一つのみをたまたま手違いにより、他社の製品と取り違えてしまったならばまだしも、企画書(乙第7号証)の広告案に示されるその他の商品についても、同上ベビー用品ガイド(甲第6号証)、及び「赤ちゃんのお気に入り/ベビー用品ガイド’99(株式会社産経新聞メディックス発行)」(甲第7号証)に示されるように、他社の製品を用いている。
iv)以上のとおり、乙第4号証のパンフレットを「頒布した事実」について、全く証明されておらず、そればかりか、パンフレット(乙第4号証)を作成したことさえも、疑問を持たざるを得ない。ましてやパンフレット(乙第4号証)を頒布したことを推認することなど、到底できるものではない。したがって、商標権者が販売促進用のパンフレットを作成頒布したとする主張は、全く根拠を欠くものである。
(3) 商標権者は、「このパンフレットのカラー面の左下部には、本件商標を印刷したラベルを、哺乳ビンと野菜洗い兼用洗剤と同食器洗い兼用の洗剤を収容したビンに貼付したカラー写真が掲載されているが、このようにビンに本件商標のラベルを貼付する行為は、そのビンが商品の包装に相当するから商標法第2条第3項第1号で規定する『商品の包装に標章を付する行為』に該当する。」と主張しているが、商標権者が本件商標を使用したとする該主張は、承服することができない。
(ア) 商標権者は、ラベル(乙第4号証の3、乙第4号証の4)を商品の包装に付したとする行為を証明したいがために、「これらラベルはその裏面にのり剤を塗布したシール状のラベルよりなり、その複数枚を1枚の剥離紙上に剥離自在に貼付した状態を示している。」と主張しているが、乙第4号証の3及び乙第4号証の4のラベルを見ると、8枚の各ラベル全てに、いわゆる ”セロハンテープ“ で、該ラベルを仮止めした跡が見られる。また、カラーコピーした為か否か不明であるが、各ラベルは整然と並んでもいない。したがって、「ラベルはその裏面にのり剤を塗布したシール状のラベルよりなり、その複数枚を1枚の剥離紙上に剥離自在に貼付した状態を示している。」との主張は、全く根拠を欠くものであり、虚偽といわざるを得ないと思われる。そして、「これらラベルを上記各洗剤のビン等の容器にそれぞれ貼着した状態の写真が上記乙第4号証のパンフレットに掲載されているということは、これらラベルが乙第4号証のパンフレットの作成日である2000年3月よりも前に既に作成され、かつ、上記各洗剤の容器にそれぞれ貼着されていることを示すものである。」との主張も、全く根拠がない。
(イ) パンフレット(乙第4号証)の裏面を見ると、洗剤の販売開始予定を、2000年秋にしていること自体から考えると、商標権者自身、平成12年3月以前に、洗剤の製造を開始していなかったことを証明しているものと思われる。すなわち、「哺乳ビン野菜洗い兼用の洗剤と同食器洗い兼用の洗剤を収容したビンに貼付したカラー写真が掲載されている」とする主張から考えると、少なくともパンフレット(乙第4号証)が納品された平成12年3月3日以前に、洗剤を製造していたことになる。しかし、平成12年3月3日以前に製造を開始した商品について、7ヶ月以上にも渡って、該商品を在庫として保管することは、通常の商習慣では考えられない行為である。したがって、もしも、商標権者が、平成12年3月以前に、洗剤の製造を開始していたと主張するならば、前記(1)で述べたように、製造承認申請書及び製造管理書を提出すべきである。
(ウ) 以上のように、商標権者の「本件商標のラベルを貼付する行為は、そのビンが商品の包装に相当するから商標法第2条第3項第1号で規定する商品の包装に標章を付する行為に該当する。」との主張は、全く根拠を欠くものである。
(4) 商標権者は、「商標権者は本件審判請求日(平成12年6月19日)よりも前から顧客へのプレゼンテーションを通して本件商標の宣伝広告を実施している。」と主張し、プレゼンテーションを行った顧客として、「西松屋チェーン」、「赤ちゃん本舗」、「株式会社イトーヨーカ堂」、「ピップトウキョウ株式会社」及び「株式会社富士銀行雷門支店」を挙げ、該プレゼンテーションをもって、商標法第2条第3項第7号の「商品に関する広告に標章を付して展示し、又は頒布する行為」に該当すると主張しているものと思われるが、商標権者が本件商標を使用したとする主張は、承服することができない。
(ア) 「西松屋チェーン」「赤ちゃん本舗」「株式会社イトーヨーカ堂」「ピップトウキョウ株式会社」向けに使用した「酒井法子をイメージキャラクターとしたポスター」(乙第5号証の3)を見るに、このポスターには、商品「せっけん類」に属すると思われる商品が全く掲載されていない。したがって、このポスター(乙第5号証の3)は、本件審判請求とは全く無関係の証拠である。
なお、商標権者は、その主張によると、乙第4号証の2の納品書で示されるように、洗剤が表されたパンフレット(乙第4号証)を平成12年3月3日に入手していたはずであるが、同年5月30日から同年6月12日にかけて行った上記プレゼンテーションに使用したとの主張は一切見受けられず、そして、「西松屋チェーン」等も、このパンフレットを受領したことに対しては、何ら承認をしていない。そうすると、商標権者が、「西松屋チェーン」等にプレゼンテーションをしたと主張する証拠として採用できるのは、唯一「打ち合わせ議事録」のみである。そして、その「打ち合わせ議事録」を信じる限りにおいては、口頭でのみ「ママ パイパイ」というブランド名でプレゼンテーションを行ったと見るしか他はなく、商標法上の使用に該当しないことは明らかである。また、商標法第2条第3項第7号は、「商品に関する広告等に標章を付して...」と商標の使用を規定するところ、口頭のみのプレゼンテーションは、これに該当しないことも明らかである。したがって、「西松屋チェーン」等へのプレゼンテーションを通して本件商標の宣伝広告を実施しているとの主張には、全く根拠がない。
(イ) 商標権者は、「株式会社富士銀行雷門支店」にプレゼンテーションをする際に使用した販促物として、乙第6号証の5に示される資料を証拠として提出している。しかし、商標権者がプレゼンテーションしたとする株式会社富士銀行雷門支店は金融業を営むものであるところ、かかる銀行に、商品「せっけん類」に属する商品をプレゼンテーションするということはあり得ないことであり、商標権者は商品との関係でプレゼンテーションという宣伝広告したのではなく、会社自体の宣伝をすることを目的としてプレゼンテーションをしたのであって、かかる主張は、本件商標の使用とは無関係の事柄である。
(ウ) 以上のように、商標権者は種々の答弁をしているが、一つ一つの主張及び証拠は、本件審判請求に係る商品についての商標の使用とは無関係であり、全く根拠を欠くものである。
(5) 商標権者は、本件商標を上記審判請求に係る商品について大々的に使用するための具体的な使用計画と準備を行っており、これは商標法第50条第3項で規定する「正当な理由」に該当すると主張しているが、商標権者が、主張しようとしていることは、審判請求前3月から審判請求の登録の日の間に、本件商標の使用の「計画」をしていたとする事実のみであって、登録商標の使用が駆け込み使用か否かを判断するための規定とは、全く関係のないことである。そればかりか、商標権者は、商標法第50条第3項にいう、いわゆる駆け込み使用さえもしていないことを、自ら認めているといわざるを得ない。
(6) 以上のように、答弁書に添付された証拠に示される商標は、本件商標の社会通念上同一の商標の使用であるとはいえず、さらに、仮に本件商標の社会通念上同一の商標の使用であるとしても、提出された各証拠間には、矛盾する点が多く見受けられたり、明確にその主張の根拠を欠いたりするなど、商品「せっけん類」について本件商標を使用したことを立証するものは、何一つとしてないといわざるを得ないから、商標権者は、審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件審判請求に係る商品のいずれかについての本件商標を使用していることを証明し得ないものであり、登録商標の取消しを免れるものではない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む。)を提出した。
1.答弁の理由
(1) 本件商標は、審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者により、本件審判請求に係る商品について使用されているので、本件審判請求は成り立たない。また、本件商標を使用したことについては商標法第50条第3項で規定する「正当な理由」があるので、かかる「駆け込み使用」期間における本件商標の使用についてもその使用として認められるべきものである。
(2) 商標権者は、乙第2号証の納品書(控)に示すように、2000年(平成12年)3月15日に、本件商標である「ママパイパイ」を付した3個入りのせつけん類であるハンドソープと化粧品のローションゼリーを山口薬局に委託販売している。また、この納品書(控)と一対をなす乙第2号証の2の物品受領書により、上記ハンドソープとローションゼリーが同日(3月15日)に山口薬局により受領されたことがその受領印により証明されている。すなわち、乙第2号証の3の納品書に示すように本件商標を付した3個入りのハンドソープは株式会社アクシス(東京都品川区西五反田1一17−6)がその製造元の株式会社ユゼ(秋田県鹿角市八幡平字駒林241)から仕入れると共に、商標権者の許諾を受けて、このハンドソープを3個ずつ収容し、かつ本件商標を印刷した小箱を作成すると共に、この小箱に収容したハンドソープを商標権者にサンプル商品として納入し、さらに、これらを商標権者が発売元として山口薬局に委託販売したものである。
(3) 乙第3号証は、上記3個入りハンドソープの小箱を展開させた状態の写しであり、この小箱には本件商標の「MAMA PAIPAI」の書体のみを若干変更した商標と、その商品名である薬用ハンドソープと、製造元の株式会社ユゼと、発売元の商標権者であるコーシン株式会社等が明らかに記載されている。なお、ここで「薬用ハンドソープ」が第4類せつけん類に含まれる「薬用せっけん」に該当することは明らかである。
そして、この小箱に印刷されている商標は、本件商標の書体のみに変更を加えた商標であり、社会通念上同一と認められる商標であり、この包装である小箱に本件商標を印刷する行為自体は商標法第2条第3項第1号で規定する「商品の包装に標章を付する行為」に該当する。
(4) 商標権者は、乙第4号証に示すように、2000年3月に本件商標を付した哺乳ビン,乳首,哺乳ビンと野菜洗い兼用の洗剤,哺乳ビンと食器洗い兼用の洗剤,哺乳ビン用洗浄ブラシ,哺乳ビン用消毒バサミ,手動および自動の搾乳器の販売促進用のパンフレットを作成頒布して、これら商品の広告宣伝を行なっている。上記哺乳ビンと野菜洗い兼用の洗剤と、哺乳ビンと食器洗い兼用の洗剤は哺乳ビンと兼用で野菜又は食器を洗浄する洗剤であり、第4類のせつけん類に属する。
また、このパンフレットのカラー面の左下部には、本件商標を印刷したラベルを、哺乳ビンと野菜洗い兼用の洗剤と同食器洗い兼用の洗剤を収容したビンに貼付したカラー写真が掲載されているが、このようにビンに本件商標のラベルを貼付する行為は、そのビンが商品の包装に相当するから商標法第2条第3項第1号で規定する「商品の包装に標章を付する行為」に該当する。このパンフレットは乙第4号証の2の納品書に示すように株式会社アクシスにより1000部作成されて商標権者へ平成12年(2000年)3月3日に納品されている。乙第4号証の3は上記哺乳ビンと野菜洗い兼用の洗剤の複数枚のラベルのカラーコピーであり、これらラベルはその裏面にのり剤を塗布したシール状のラベルよりなり、その複数枚を1枚の剥離紙上に剥離自在に貼付した状態を示している。
乙第4号証の4は、上記哺乳ビンと食器洗い兼用の洗剤の複数枚のラベルのカラーコピーであり、これらラベルはその裏面にのり剤を塗布したシール状のラベルよりなり、上記各洗剤のビン等の容器の所定箇所にそれぞれ貼着されるものであり、貼着した状態の写真が上記乙第4号証のパンフレットに掲載されているということは、これらラベルが乙第4号証のパンフレットの作成日である2000年3月よりも前に既に作成され、かつ上記各洗剤の容器にそれぞれ貼着されていることを示している。
(5) そして、商標権者は本件審判請求日(平成12年6月19日)よりも前から顧客へのプレゼンテーションを通して本件商標の宣伝広告を実施している。
(ア) 乙第5号証(打合せ議事録)は、平成12年5月30日午後1時から西松屋チェーン(姫路市飾東町庄266一1)において、本件商標を付した乳首、哺乳ビン、搾乳機、哺乳ビン用洗剤、上記野菜洗剤、哺乳ビン消毒バサミ、哺乳ビンブラシについて、女優の酒井法子をイメージキャラクターとしたポスター等を使用して販売促進のためのプレゼンテーションを行なった事実を証明している。
乙第5号証の2(打合せ議事録)は、平成12年5月31日の午後1時から赤ちゃん本舗(大阪市中央区本町2−3−4)において、上記とほぼ同様のプレゼンテーションの実行事実が証明されている。
なお、乙第5号証の3は上記2ヶ所のプレゼンテーションで使用されたポスタ一の試作品のコピーであり、このポスター中のキャプシヨンの逆文字よりなる隠し文字は、まだキャプションが決定していないが、そのキャプションのレイアウトを決めるためにのみ記載されている。しかし、この乙第5号証の3には本件商標と、本件商標を付し、かつ乳首を取り付けている哺乳ビンが記載されている。
(イ) 乙第6号証は、株式会社イトーヨーカ堂に対しての商標権者のベビー用品オリジナルブランド「ママパイパイ」の商品説明について、平成12年6月9日に上記プレゼンテーションとほほ同様のプレゼンテーションを実施した事実が証明されている。
さらに、これとほほ同様のプレゼンテーションは乙第6号証の2に示すようにピップトウキョウ株式会社と、乙第6号証の3で示すようにピップフジモト株式会社に対しても実施され証明されている。
(ウ) 乙第6号証の4(確認書)は、株式会社富士銀行雷門支店に対しても実施され、その実施の事実とその内容について証明されている。
なお、乙第6号証の5は上記乙第6号証の4で示すプレゼンテーションの実施の際に、その出席者に配布された資料であり、本証には、本件商標と、この本件商標が付される商品である乳首、哺乳ビン(120ml,200ml,240ml)、洗浄ブラシ、ビンハサミ、搾乳器、哺乳ビン用洗剤等が記載されている。
(6) 乙第7号証(新ブランドの市場導入展開のご提案)は、平成12年(2000年)4月20日に株式会社創芸から商標権者に企画書として提出されたものであり、商標権者が今後本件商標を付した乳首や哺乳ビン等、哺乳ビン洗浄用洗剤を含むベビー用品を販売して行くために必要な広告戦略等の認知度を高める方法等が提案されている。
2. 弁駁に対する答弁
(1) 請求人は、本件商標と小箱(乙第3号証)に示される商標とは、外観上も大きく異なり、社会通念上同一の商標であるとはいえないと主張しているが、本件商標は、上下2段併記の称呼、観念が同一であるので、その上下2段併記の一方の商標、例えば「MAMA PAIPAI」のみも当該登録商標とは商標法第50条第1項かっこ書で規定する社会通念上同一と認められる商標に該当する。
(2) 同じく、乙第3号証の小箱の写しには「薬用ハンドソープ」と記載されており、該商品が「医薬部外品」に該当するにもかかわらず、その記載がない。したがって、...このハンドソープを委託販売することは通常あり得ない行為である旨主張しているが、仮に薬事法上必要な記載等の手続を懈怠して行政法規に違反したとしても、かかる手続の懈怠のみをもって本件商標の使用事実を否定すべき商標法上の規定も根拠もない。
(3) 同じく、被請求人が山口薬局に委託した委託販売は単なる名目的な商標の使用であって、商標の使用には該当しない旨主張しており、その名目的な商標の使用により登録商標を不使用により取り消したとする判決例を挙げているが、この判決例は商標権者による登録商標の使用行為が平成8年改正法第50条第3項で規定する、いわゆる「駆け込み使用」に該当する行為に対して審理されたものであり、「駆け込み使用」ではない本件商標の使用行為とは全く比較対象とはならないものである。
(4) 同じく、無償で仕入れたサンプル商品については、...無償で山口薬局に納品することが当然の行為であるといえる。と述べ、さらに、無償で仕入れたサンプル品を、有償で委託販売するという取引形態は、通常の商取引ではあり得ない行為であり、とまで述べている。しかしながら、サンプル商品、すなわち、委託販売品は販売動向の調査や顧客の確保のみを目的としたものではなく、種々の目的があり、例えば販売可能の価格帯を探る目的もその一例であり、その為に敢えて価格を付する場合もあり、極めて自然な取引行為である。また、「無償で仕入れたサンプル品を有償で販売するという取引形態は、通常の商取引ではあり得ない行為であり」という発想は単に道徳的に許せないという商取引に無縁な素人の発想である。
(5) 同じく、2000年3月15日に仕入れたサンプル商品(乙第2号証の3)を、”仕入れた日と同日”に千葉県流山市江戸川台西2の144に所在の山口薬局に納品する緊急性があったか否か不明であるが、通常の取引行為と比べて不自然であり、と述べているが、委託販売品の仕入れ先である株式会社アクシスの所在は乙第2号証の3の納品書に記載されているように東京都品川区西五反田1一17一6であり、東京都台東区駒形1丁目2番4号所在の被請求人の事務所には道路の渋滞状態により若干異なるものの通常自動車で約30分程度の行程であり、委託販売品は当日の午前中に被請求人に納入されている。そして、当日山口薬局担当の営業部員がたまたま当社の茨城工場(茨城県新治郡玉里村大字粟又四ヶ2395)に行く用件もあったので、当日午後1時頃この営業部員が被請求人の事務所を自動車で出発し、午後2時頃に山口薬局に到着し、ここで委託販売品を乙第2号証で示す納品書と共に頒布してから約1時間程度で茨城工場に到着したものであり、全く緊急性がなく、極めて自然に仕入れ日と同日に委託販売品を山口薬局に搬送したに過ぎない。
さらに、請求人の平成12年11月4日の午前11時頃の調査によれば、山口薬局の店内の視認できる範囲では、ラベル(乙第4号証)が貼着された「MAMA/PAlPAl/薬用ハンドソープ」なる商品は存在しない様子であったことも特記する。と述べているが、これは単なる感想に過ぎず、証拠により何ら証明されているものではない。
(6) 同じく、パンフレット(乙第4号証)を作成したことさえも疑問を持たざるを得ないと主張しているが、このパンフレットはそのモノクロ裏面の右下隅に「2000.3」と記載され、印刷日が2000年3月であることが示されている。また、このパンフレットの作成者が「株式会社アクシス」であることが乙第4号証の2の納品書で証明されている。したがって、この乙第4号証のパンフレットが証拠として成立し得る以上、請求人が弁駁書で主張しているようにこのパンフレットの「洗剤を収容したビン」が仮に実物の洗剤を撮影したものではなく、イラストであるとしても、このパンフレットにより本件商標がせっけん類に含まれる哺乳ビン・野菜洗い及び食器洗い用の洗剤について使用されているという事実は否定できない。そして、乙第4号証のパンフレットは、そのモノクロ裏面に示すように被請求人により「哺乳ビン・野菜洗い」と「哺乳ビン・食器洗い」等の商品について2000年秋に新シリーズ商品の発売を予定していることも証明している。
(7) 同じく、乙第5号証、同第5号証の2、同第6号証、同第6号証の2及び同第6号証の3に対する証拠の成立性についても種々の疑問を呈している。例えば、「西松屋チェーン」、「赤ちゃん本舗」に、プレゼンテーションする際に使用した販促物として答弁書で明らかにしているのは、「女優の酒井法子をイメージキャラクターとしたポスター(乙第5号証の3)」のみである。「酒井法子をイメージキャラクターとしたポスター等を使用して」とあるが、「等」が何であるかについて商標権者は何ら明かにしていない旨種々の疑問を呈しているが、請求人は被請求人が提出した証拠について専ら疑義がある旨を主張するのみで、これら乙各号証の成立性を否定するため確たる証拠が全く提出されていない点は上述した場合と同様である。
また、請求人は、このポスター(乙第5号証の3)には、商品「せっけん類」に属すると思われる商品が全く掲載されていないと主張しているが、このプレゼンテーションはポスター(乙第5号証の3)を提出することのみにより行なわれたものではなく、このポスター等を使用して「哺乳ビン洗剤」等の商品説明と、これら哺乳ビン洗剤を少なくとも含む「ママパイパイ」の商品群をプレゼンテーション先の会社に取り扱ってもらうためのプレゼンテーションを行なっているのであって、乙第6号証ないし第6号証の4の各内容の欄において明記されている。
商標権者であるところの被請求人が、「MAMA PAIPAI」の欧文字と「ママ パイパイ」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなる本件商標を本件審判請求に係る商品である「せっけん類(薬剤に属するものを除く)」について所定の時期において使用していた事実を証明するものとして提出した乙第2号証ないし同第7号証によれば、次の事実が認められる。
1. 乙第2号証(納品書控えの写し)、乙第2号証の2(物品受領書の写し)及び乙第2号証の3(納品書の写し)は、「ママパイパイハンドソープ3個入り」とする商品について、平成12年3月15日付けで「山口薬局」と商標権者との間、及び「株式会社アクシス」と商標権者との間における取引書類といえるものであり、また、乙第3号証は、この3個入りハンドソープの包装小箱の展開状態の写しであると推認される。
以上の乙各号証によれば、少なくとも、本件審判請求の登録前3年以内に該当する平成12年3月15日に、本件商標の商標権者である被請求人によって、本件審判請求に係る商品に含まれるものと認められる「薬用ハンドソープ」について、片仮名文字よりなる「ママパイパイ」、また、その構成態様からして一体のものとして把握される特殊書体による欧文字を二段に書してなる「mAmA」「PAiPAi」の各商標の使用が認められるものであり、その使用に係る商標と本件商標は、構成文字である欧文字又は片仮名文字の綴りを同じくし、また、これに相応して生ずる称呼「ママパイパイ」を同じくするばかりでなく、「母親から乳を求める」如くの観念をも同じくするものであって、本件商標とその使用に係る商標は構成態様において異なる点があるとしても、商標本来の機能である自他商品識別標識としての実質的な差異はなく、社会通念上同一と認められる商標であるといわなければならない。
2. 乙第4号証は、商標権者にかかる各種ベビー製品の商品パンフレットと認められるところ、該パンフレットの裏面右隅には「2000.3」の数字が表示されている。しかして、この表示は、この種パンフレットの取引慣行によれば、本件審判請求の登録前3年以内に該当する平成12年3月に印刷されたものであるとみるのが自然であり、該パンフレット中に表された特殊書体による欧文字を二段に書した「mAmA」「PAiPAi」の文字は、その構成態様からして一体のものとして把握されるものである。同様に、該パンフレット中には、片仮名文字よりなる「ママパイパイ」商標が表されており、これらは上記1と同様に、本件商標と社会通念上同一の商標であるというのが相当であって、該パンフレットには本件審判請求に係る商品に含まれるものと認められる「哺乳ビンと野菜洗い兼用の洗剤、同食器洗い兼用の洗剤」を取り扱っていることが認められる。そして、該商品パンフレットの平成12年3月3日付納品書(乙第4号証の2)及び上記哺乳ビンと野菜洗い兼用の洗剤の複数枚のラベルのカラーコピー(乙第4号証の3、乙第4号証の4)からもその使用が認められ、これを否定し得る証拠方法がない以上、その使用を認めざるを得ない。
3. 乙第5号証ないし乙第7号証(枝番を含む。)によれば、商標権者は、本件審判請求日(平成12年6月19日)よりも前から顧客へのプレゼンテーションを実施し、哺乳ビン用洗剤を含む各種ベビー製品について、販売のためのキャンペーンを展開し、かつ、その広告のための準備を積極的に行っていた事実が認められるところであり、これら商品に「MAMA PAIPAI」の欧文字からなる商標、「mAmA」「PAiPAi」の特殊書体による欧文字を二段に書した商標、及び「ママパイパイ」の片仮名文字よりなる商標を使用する予定であることが認められ、本件商標の使用の蓋然性は高いとみるべきである。
4. 以上の事実を総合して判断するに、本件商標は、商標権者により、本件審判請求に係る商品に含まれる「薬用ハンドソープ」及び「哺乳ビンと野菜洗い兼用の洗剤、同食器洗い兼用の洗剤」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたものと認めざるを得ないから、結局、本件商標の登録は、本件審判請求に係る商品について、商標法第50条の規定によりこれを取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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