結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35168(T2002−35168/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3316352号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、平成6年10月5日に登録出願、第25類「履物、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」を指定商品として、同9年5月30日に設定登録されたものである。
請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第25号証(枝番号を含む。)及び資料1ないし6を提出した。
資料1及び2に示す特許庁審決では、「ETNIES」の周知・著名性が認定され、15号に該当するとして無効とされ、資料4に示す高裁判決でも維持されている。本件商標も請求人の著名商標「ETNIES」をそのまま取り込んでおり、請求人が「ETNIES」を使用する最も重要な「靴類」に登録されたものであるから、上記の審決及び判決での判断は本件商標の場合にもそのまま当てはまるものである。
請求人は、スケートボード用シューズ、運動靴、アウトドアウェア、カバン類、その他の関連商品について本件商標が、平成6年10月5日に出願される以前から米国を中心に需要者の間に広く認識されている「ETNIES」の文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)を使用してきた。
甲第3号証に示すのは1993年当時の請求人のカタログの一つであり、本件商標出願前より、引用商標が使用されていたことを示すものである。
引用商標に係る商品は、主にスケートボード用シューズ、運動靴、ウェア(Tシャツ、パーカーなど)を中心とし人気が高まったものであって、スケートボード選手により使用されるような品質の高い製品であり、当初はスケートボード用靴、運動靴及びこれら関連商品に関し使用され、取引者、需要者に広く知られ、以後アウトドアウェア、バッグ類などに関しても知られるようになったものである。そして、「ETNIES」シューズは、Natas Kaupas、Eric Dressen、Jason Rogers、SaI Barbier、及び請求人であるPierre Andre Senizergues(ピエール・アンドレ・セニゼルゲ)らの有名スケート ボード・チャンピオンによって使用されていたものである。スケートボードは米国のカリフオルニアがメッカであり、請求人の販売会社であるETNIES AMERICAが営業を行なっている。
「ETNIES」は、1989年にスケートボード・チャンピョンのNatas Kaupasのシューズをデザインしたものである。Natas Kaupasは当時、世界で最も優れたスケートボード選手であったが、「ETNIES」のNatasモデルはスケートボード界で初めて特定の選手のためにデザインされたものとして注目を集めた。
請求人は全世界的に引用商標を出願、登録し、使用している(甲第4号証の1及び同号証の2)。
日本では請求人自らは販売しておらず、被請求人及び他の販売店を通して行なっていたが、被請求人、(株)コマリョーが「ETNIES」を無断出願したことに対する憂慮の念は甲第5号証に示す書簡に述べている通りである(甲第5号証)。
ETNIES製品は、米国のみならず、わが国においても、本件商標が出願された平成6年10月5日以前に、甲第6号記及び甲第8号証に示す複数の販売店を通じて販売されていた。商標「ETNIES」が当該製品の取引者、需要者の間で既に周知となっていた事実は、甲第6号証の1ないし8のスケードボード販売業者の各証明書、甲第8号証の1ないし6のモリムラ・プラザー社(米国)、アドバンス・マーケティング社(東京)、プロライン社(埼玉県所沢市)、千里貿易社(大阪)、ハスコ社(大阪)、スポーツマン・インターナショナル・オブ・ジャパン社(東京)の取引書類(写し)で知ることができる。
ETNIES製品が「Transworld SKATEBOADING」というスケートボードの専門雑誌(米国カリフォルニア州のtransworld media社発行1991.4月から11月号の各号など)に広告が掲載されている(甲第9号証)。また、上記の「Transworld SKATEBOADING」というスケートボードの専門雑誌は、1989年から1992年の間、日本でも毎年7300冊以上販売された(甲第10号証)。7300冊という部数は、当該雑誌がスケートボードという限定されたスポーツの専門誌であることを考えると、決して少ない部数ではない。日本でも頒布されている国際的スケートボード専門誌「Thrasher」であり、ここにも引用商標に係る製品の広告が掲載されている。1991年11月号の表紙には、スケートボード・チャンピョンの Eric Dressenが「ETNIES」シューズを履いている写真が掲載されている。これらの専門雑誌は、被請求人のように運動用具に関する業務を行っている会社は、必ず目を通す雑誌である。上記証拠により、「ETNIES」商標が米国での使用及び我が国での1990年以来の使用により、本件商標の出願(1994.10.5)時には既に、わが国のスケートボード関連商品の取引者、需要者の間に広く認識されていた商標であることが明らかである。
(株)コマリョーは、1993年に請求人に接触以来、日本におけるETNIES製品の販売を行っている。請求人は株式会社レバンテからの連絡により、被請求人が「ETNIES」商標の出願をしたことを知り、(株)コマリョーに書簡を送っている(甲第12号証)。従って、被請求人は、本件商標出願時にはもちろん商標「ETNIES」に係る請求人の商品を知っており、該商標の正当権利者が請求人であるとの認識の上で、「ETNIES」に関する商品の問い合わせをしたり、資料を請求などをし、そのあげく請求人所有の「ETNIES」や該文字を含む本件図形商標を無断出願したのである。
以上の通り、請求人の引用商標は本件商標出願前に、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた商標であり、スケートボード靴、運動靴、サンダルなどに使用されていたものである。従って、これと同一の本件商標が被請求人によって上記商品及びこれらと関連のある商品分野で使用された場合には、請求人の商標との間で商品の出所の混同を生じる恐れがあることは明白である。
現に高裁判決においても、米国VANS社が被請求の「ETNIES」を使用した商品を請求人の商品であると誤認し、警告書を送付してきたこと(甲第13号証の1及び2参照)などは、現実の混同の事実を裏付けるものであると認定している。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する商標である。
被請求人が、本件商標を「不正の目的」で出願したのは、甲第21号証、甲第22号証に示す請求人の著名商標「E」をデザイン化した図形についても横取り登録している事実にも表れている。この「E」をデザイン化した図形についても出願前から請求人が使用する周知・著名商標であることを知って出願したものである(甲第23号の1ないし甲第24号証)。
このような状況の中で、被請求人は本件商標を出願し、複数の「ETNIES」商標などを出願し、さらに請求人の所有する「E」をザイン化した図形商標まで横取り登録したのである。
被請求人は、引用商標「ETNIES」が独創性ある請求人の著名商標であることを充分に知って、これを図形に組み入れるなどして本件商標を出願したのであって、その「不正の目的」は明らかである。
被請求人が不正な意図で本件商標を登録し、ただ乗り行為を行なっていることは次の事実に如実に表れている。すなわち、被請求人の使用態様は請求人の「ETNIES」及び「E」をデザイン化した図形商標の使用態様をその細部に至るまでそっくり真似ている。ここに提出する甲第16号証の1ないし甲第20号証は、被請求人が東京高裁(資料4の判決)において自ら提出した証拠のコピーである。ここでの被請求人の使用態様を見れば、始めから被告商標を真似てのものであり、およそ独自に採択し、独自に使用しているなどと言えるものではないことが明らかである。
被請求人の本件商標の出願・登録行為は完全に請求人の著名商標を横取りし、これにただ乗りするためのものであり、その何処にも独自に採択したとか、独自に使用してきたとの証拠が見当たらない。
よって、被請求人のこのような行為は、請求人の著名な商標との間に誤認混同を生じさせるばかりか、公序良俗に反し、不正目的にも該当するものである。
外国人が所有する周知商標について、わが国の先願主義を悪用して横取り登録をすることは、国際信義に反し、公の秩序に反するものである。被請求人には当初から請求人の使用する商標を先取り登録し不当利益を得ようとの明白な意図があったものと疑われても止むを得ないものである。
本件は外国人の周知・著名商標を横取り登録した典型的事案であり、商標法第4条第1項第7号にも該当する。
被請求人が、請求人の周知・著名な商標にただ乗りしている事実は、上述したように請求人の「ETNIES」及び「E」をザイン化した図形商標などについての使用態様を完全に模倣して使用し、かつ宣伝行為を行なっていることなどに如実に表れている。
以上述べ提出した証拠から明らかなように、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第19号及び同第7号の各規定に違反して登録されたものであるから無効とされるべきものである。
(1)本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、別掲のとおり、縦長の長方形の輪郭中に、米国の国旗と思しき模様を内部に有する、やや図案化されたアルファベットの一文字「E」を大きく描き、その下に、ややデザイン化してなる「ETNIES」の欧文字を配してなるものであるところ、文字部分と図形部分とは、視覚上分離して認識し得るものである。
さらに、図形部分と文字部分とを常に一体として把握しなければならないとする格別の事情も、見いだすことができない。
そうとすれば、本件商標は、構成中の「ETNIES」の文字の部分が、他の構成部分より独立して自他商品識別機能を果たし得るとするのが相当である。
したがって、本件商標は「ETNIES」の文字部分より、その構成文字に相応して「エトニーズ」の称呼を生じさせるものである。
他方、引用商標は「ETNIES」の欧文字を書してなるものであるところ、これよりは、その構成文字に相応して「エトニーズ」の称呼を生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用商標は、その構成前記のとおりであるから、外観については、差異を有するものであり、両者とも特定の意味を有さない造語と認められることから、観念については、比較することができないものであるとしても、「エトニーズ」の称呼を共通にする類似の商標である。
また、本件商標の指定商品中「運動用特殊衣服、運動用特殊靴」と引用商標が使用されている「スケードボード用靴」とは、生産者、販売店、需要者などを共通にする、同一又は類似する商品と認められるものである。
(2)引用商標の著名性について
本件審判請求の理由、請求人提出の各号証及び請求人提出の各参考資料を総合してみるに、以下の事実が認められる。
(ア)本件商標の出願の時より前に米国で発刊された米国のスケートボード専門雑誌、「TRANSWORLD SKATE boarding(1991年4月号ないし11月号)」(甲第9号証)及び「THRASHER(1990年2月号ないし1991年12月号)」(甲第11号証)には、「スケートボード用靴」と認められる商品に関する広告が一面に掲載されている。
そして、上記雑誌は、日本において、7000部以上が販売された(甲第10号証)。
(イ)本件商標の出願の時より前に、モリムラ・ブラザー社(東京)、アドバンス・マーケティング社(東京)、プロライン社(埼玉県所沢市)、千里貿易社(大阪)、ハスコ社(大阪)、スポーツマン・インターナショナル・オブ・ジャパン社(東京)など、複数の輸入業者によって、米国のエストニース社(請求人の販売会社)製の「靴」が、本件商標の出願時までに、我が国に輸入され、販売されたことが認められる(甲第8号証(枝番号を含む。))。
(ウ)米国のVANS社は、平成9年(1997年)9月17日付けの書簡により、請求人に対して、同社が日本で販売している商品である「靴」の靴底のデザインはVANS社の保護デザインと同一のものを含み商標権などを侵害するとの理由で該商品の販売停止を申し入てきた。これに対して、請求人は、該商品は、Sole Technology社が販売に関わらない被請求人の商品であった旨回答している(甲第13号証(枝番号を含む。))。
しかして、(ア)の事実より、本件商標出願前に、米国において、請求人の関連するエストニーズ社の取扱いに係る商品「スケードボード用の靴」が、米国の市場に提供されていたことを推認し得るものである。
また、同社の広告を掲載した日本において、7000部以上が販売されているところ、7000部という部数は、当該雑誌がスケードボードという限定されたスポーツの専門誌であることを考えると、決して少ない部数であるとはいえないことから、引用商標は、我が国の取引者、需要者にも知られていたとするのが相当である。
さらに、(イ)によって、同社と、我が国の業者(複数)の間で、本件商標出願前に、現に取引が行われていたこと及び(ハ)によって、本件商標の出願の時より以前の平成9年の秋に、米国のVANS社は、引用商標が附され、日本で販売されている被請求人の「靴」を、あたかも請求人の関係会社であるSole Technology社の取扱いに係る「靴」であるかのごとく、商品の出所について混同をした事実があったことが認められることなどを総合勘案すると、引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願時の平成6年には、「スケードボード用靴」を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものということができる。
(3)したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品「スケードボード用靴」を表示するものとして、需要者間に広く認識されている引用商標に類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品(「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」)に使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当するものといわなければならない。
引用商標は、本件商標の登録出願時には、「スケードボード用靴」を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたこと及び本件商標と引用商標が称呼を共通にする類似の商標であることは、3の認定のとおりである。
ところで、「スケートボード用靴」は、競技用の特殊なもののほか、単にスケートボードのような過敏な動きにも適することをアピールするために、
「スケートボード用靴」と称され、通常の運動靴として市中で使用して良い靴(以下、「スケートボードに適した運動靴」という。)も多く販売されている事実がある。
かかる「スケートボードに適した運動靴」は、「スケートボード用靴」と称され販売されているものの、通常の運動靴と認められる靴であって、本件指定商品中の「履物」に該当するものである。
しかして、「スケートボード用靴」と「スケートボードに適した運動靴」とは、類似する商品とはいえないまでも、「スケートボード」という用途において極めて密接な関連性を有しており、また、若者層を中心に、取引者及び需要者層も相当程度重なり合うものと推認される。
そうとすると、取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準とすれば、本件商標をその指定商品「履物」に使用してときには、あたかも請求人あるいはその関係者の取扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所についての誤認、混同を生じさせるおそれがある商標である。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといわなければならない。
したがって、本件商標は、請求人の主張するその余の無効理由について論及するまでもなく、商標法第4条第1項第10号及び15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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