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Trademark Appeal Case

幾何学図形の外観類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35601号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4171470号商標(以下、「本件商標」という。)は、商標の構成を別掲(1)に示したとおりの構成とし、指定商品を第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がまロロ金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」として、平成8年10月9日に登録出願、平成10年7月31日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由とする商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するとして、引用する登録商標は次のとおりである。

(1)登録第1560711号商標(以下、「引用A商標」という。)は、商標の構成を別掲(2)に示したとおりの構成とし、指定商品を第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝石およびその模造品、造花、化粧用具」として、昭和54年9月25日に登録出願、昭和58年1月28日に設定登録され、その後、平成5年6月29日に商標権の存続期間更新登録がされたものであ。

(2)登録第1635912号商標(以下、「引用B商標」という。)は、商標の構成を別掲(2)に示したとおりの構成とし、指定商品を第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品及び付属品」として、昭和54年9月25日に登録出願、昭和58年11月25日に設定登録され、平成6年1月28日に商標権の存続期間更新登録がされたものである。

(3)登録第2072497号商標(以下、「引用C商標」という。)は、その構成を別掲(2)に示したとおりの構成とし、指定商品を第17類「被服、布製身回品、寝具類」として、昭和54年9月25日に登録出願、昭和63年8月29日に設定登録され、その後、平成10年3月31日に商標権の存続期間更新登録がされたものである。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第57号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲(1)に示すとおり、右方(横)に僅かな間隙のある横長楕円形様の図形内に「V」字形の図形を内接させた幾何的図形を大きく表したものである。

一方、引用A商標は、別掲(2)に示すとおり、上方中央に僅かな間隙のある横長楕円形様の図形内に「V」字形の図形を内接させた幾何的図形からなり、引用B商標は、引用A商標と同一の構成に係る幾何的図形からなるものである。

しかして、請求人は、引用A商標及び引用B商標以外にも、引用A商標と同一の構成に係る幾何的図形からなる登録商標を多数所有し、使用しているものも多いところである(甲第4号証ないし甲第19号証)。

また、引用A商標、引用B商標は装身具、バッグ類、靴類に使用された結果、極めて著名なものとなっていることが明らかである(甲第20号証ないし甲第56号証)。

そこで、先ず本件商標と引用A商標を比較するに、本件商標を構成する幾何的図形と引用A商標は、これを仔細にみれば、それぞれを構成する線の太さに若干の差異があり、また両者の横長楕円形様の図形の間隙部分が右方(横)と上方である差異があるとしても、両者の横長楕円形様の図形の形状が同様のものであるばかりでなく、横長楕円形様の図形内中央に内接させた「V」字形の図形は同様の図形に看取され、かつ幾何的図形中最も看者の注意をひく部分であって、元来、両者はその構成の軌を一にするものであるから、両者はこれを時と処を異にして観察するときは、その外観が極めて相紛らわしいものである。

したがって、本件商標を構成する幾何的図形と引用A商標は外観上類似するものであるから、本件商標と引用A商標は互いに類似する商標であるといわざるをえない。

してみると、本件商標は引用A商標と同一の構成に係る幾何的図形からなる引用B商標と類似する商標であることも明らかであり、本件商標の指定商品が引用A商標および引用B商標の指定商品に抵触するものであることは明らかである。

因みに、甲第20号証ないし同第22号証として示す登録異議の決定は幾何的図形からなる商標と引用A商標が外観上類似すると判断された事例のものであって、本件商標の登録は、この登録異議の決定の理由のみをもってしても商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものというべきである。

結局、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、無効とされるべきものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

請求人は上記の引用A商標及び引用B商標の指定商品以外の商品についても、多数の登録商標を使用しているところであって、これらのうち、例えば、引用C商標(登録第2072497号商標)は、引用A商標と同一の構成に係る幾何的図形からなるものであり、第17類「被服等」を指定商品とするものであるが、引用A商標ないし引用C商標が婦人服,紳士服,ネクタイ等の被服,バンド,バッグ類,靴,ライター等に使用され、しかも、これらの登録商標も本件商標の登録出願の日前より全世界に著名なものとなっていることは明らかである(甲第20号証ないし甲第56号証)。

しかして、本件商標と各引用商標が互いに類似する関係にあることは上述のとおりであるから、本件商標はこれを商標権者がその指定商品に使用した場合、その商品が恰も請求人の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ぜしめるおそれがあるものである。

したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、無効とされるべきである。

(3)弁駁の理由

(ア)本来、互の商標が類似するか否かの判断は、商品の取引の実情、すなわち、商標が小さく表示される場合があったり、例えば皮革製品に商標を型押しした表示がされる場合があったりして、商標が商品や商品の包装に付される態様には様々な形態のあることも勘案されるべきであることはいうまでもないところであり、また、図形からなる商標で一応の外輪を有するようなものには、円形や楕円形が矩形等とともに輪郭として用いられているものが極めて多く見受けられるところである。

したがって、本件商標を観察するに、本件商標を構成する要素のうち、被請求人が「G」の文字をあらわしたものであるという部分は、それが仮に「G」の文字に関係があるものとして採択されたものであるとしても、その部分は構成全体のバランスからみても、到底「G」の文字には見えないものであって、一見、横長の楕円形の様な幾何的図形に看取されるものといわざるをえないものである。

してみれば、本件商標においても、看者の注意を強く惹く部分は、横長楕円形様の図形内中央の「V」字形の図形であることはいうまでもない。

一方、引用A商標は右方に僅かな間隙のある横長楕円形様の図形内に「V」字形の図形を内接させた幾何図形であることは既述のとおりである。

してみると、本件商標と引用A商標は、ともに一見、横長楕円形様の図形内中央に、最も看者の注意を惹く、「V」字形の図形を配した幾何学的図形である点をも共通にするものであり、元来、両商標はその構成の軌を一にするものであるから、これを時と処を変えて見るときはその外観が極めて紛らわしいものである。つまり、本件商標と引用A商標は外観上類似する商標であるといわざるをえない。

(イ)請求人は、各引用商標の著名性を立証する書証として甲第2号証ないし甲第56号証を先に提出しているが、更に本書と同時に甲第57号証を提出する。

そして、各引用商標が著名なものとなっていることについて具体的な立証例を述べると、例えば、昭和63年7月25日にされた商願商60‐113894 号に対する登録異議の申立てについての決定(甲第21号証)、平成10年8月7日にされた商願平6‐86000号に対する登録異議の申立てについての決定(甲第57号証)において各引用商標が著名なものとなっていることは既成の事実であるといわざるをえない。

したがって、本件商標はこれを商標権者がその指定商品について使用するときは、その商品が恰も請求人の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じせしめるおそれがあるものである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

請求人は、引用A商標及び引用B商標を理由として本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反するとしている。

しかし、商標の構成において、本件商標と各引用商標とは非類似である。

請求人は、本件商標について「右方(横)に僅かな間隙のある横長楕円形様の図形内に『V』字形の図形を内接させた幾何的図形」と述べている。しかし、「V」に内接された線は単に楕円形と認識されるものではない。即ち、かかる線は、単に楕円形ではなく、本件商標の向かって右方に隙間があり、下から右上に伸びている線が途中で左方へ屈折している。従って、「G」の文字であると認識されると考えることは至極自然な解釈である。故に、一般需要者は、本件商標は「G」に「V」が積み重ねられたものであると認識するものであり、この点において請求人は本件商標の認定に誤りがある。

請求人は「V」字形が最も注意を惹く部分であると述べているが、「V」字そのものは図案化されない限り、識別力がない文字である。本件商標は「V」字と「G」が積み重なりあったモノグラムの構成を取っているために全体が特徴的なものとして登録を受けているのである。従って、この点からも請求人の本件商標の認定には誤りがある。

一方、引用A商標についてみてみると、「V」の文字が四角形を基礎として角が取れた線に内接され、「V」の谷間部分に空間を有している構成からなっている。この点は引用B商標についても同様である。

そこで、本件商標と各引用商標を比較してみると、本件商標は「G」と「V」をモノグラムに表示したものであるのに対し、各引用商標は「V」の文字を楕円形で覆った図形であり、外観上紛れる要素がなく非類似の商標であることは明らかである。

その他、観念及び称呼においても両者は特定の観念及び称呼が生じないため、比較する術もなく非類似のものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

請求人は、引用A商標ないし引用C商標が著名であることの証明として甲第20号証ないし甲第56号証を提出している。

これらの証拠をみても、本件商標の出願時及び現在においても引用A商標ないし引用C商標が著名性を有しているという主張は、採用され得ないものと確信する。

仮に、何らかの形で引用C商標の周知性・著名性が認められるとしても、本件商標と各引用商標は上述した通り、非類似の商標で、商品も非類似のものを指定するものであるので、出所の混同は生じないものである。

(3)以上述べた通り、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではない。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用A商標ないし引用B商標は、それぞれ別掲に示すとおりの構成よりなるものであるところ、商標の構成を別掲(1)のとおりにする本件商標は、一見して2個の構成要素からなるものと看取させるものであって、外側部に配置した字形は、楕円状の右方に間隙を有し、その下部末端を内側に直線を引出して表した構成態様から、アルファベット「G」を表したものと、また、これに重ねる如く配置した字形は、アルファベット「V」を表したものとそれぞれ容易に理解し把握させるというのが自然である。

してみると、本件商標は、ほぼ同じ太さの線により、視覚上、軽重・主従にないアルファベット「G」と「V」とを組み合わせ、「G」の字形により外形が卵状にレタリングされたモノグラム図形として印象し記憶され取引に資されるといえるものである。

これに対し、商標の構成を別掲(2)のとおりにする引用A商標及び引用B商標は、アルファベット「V」のセリフ(線飾り)部分から左右に曲線を引き出し、下方はこれに繋げてバーテックス(下部先端)部分に接する直線をもって、該「V」の文字を囲むように、その外郭部が四隅に丸みを帯びた横矩形的図形とを結合させてなる図形として看取させるものである。

そこで、本件商標と引用A商標及び引用B商標とを比較すると、両者は全体の構成において、本件商標はその外形が卵形として、また、各引用商標は四隅に丸みを帯びた横矩形として扁平的な外形との相違に加え、本願商標はアルファベット「G」と「V」とによるモノグラム図形として看取されるのに対し、引用A商標及び引用B商標はアルファベット「V」と単なる細線による輪郭的図形との結合よりなるとものと看取させるものであるから、その構成要素及び態様において、異なる印象を受けるものであり、両商標は顕著な外観上の差異が認められる非類似の商標といわなければならない。そのほか称呼及び観念上においても両者を類似のものとすることはできない。

したがって、本件商標を商標法第4条第1項第11号に該当するものとすることはできない。

請求人は、弁駁の理由において、本件商標と引用A商標は、ともに一見、横長楕円形様の図形内中央に、最も看者の注意を惹く、「V」字形の図形を配した幾何学的図形である点をも共通にするものであり、外観上類似する商標である旨述べているが、本件商標と引用A商標及び引用B商標は、共にアルファベット「V」の文字をその構成要素の一つにするとしても、前記の認定のとおり、これ自体が独立して自他商品の識別標識として機能するものとは認め難いものであり、かつ、請求人の述べる主張及び証拠をもってしてこれを認めるべき事由は見出し得ない。その他、請求人の述べる主張をもって、前記認定を覆すことはできない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

本件商標と引用A商標ないし引用C商標は、前記認定のとおりであり、その構成及び印象において顕著な外観上の差異が認められる別異の商標というべきものである。

そうすると、たとい、請求人所有の引用A商標ないし引用C商標が婦人服,紳士服,ネクタイ等の被服,バンド,バッグ類,靴,ライター等に「VALENTINO GARAVANI」「valentino garavani」「valentino」及び「バレンティノ ガラヴァーニ」等の商標と併用し使用され(甲第23号証ないし甲第56号証)、これと独立してもファッション関連各商品を表彰するいわゆるデザイナーズブランドとして、本件商標の登録出願の日前より著名なものとなっていることを認め得るとしても、本件商標のかかる構成態様よりして、これに接する需要者の商取引における一般の注意力をして、直ちに世界的に著名な各引用商標を想起するものといえないから、本件商標をその指定商品に使用した場合、その商品が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれのないものというのが相当である。

(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも該当するものでなく、これら法条の規定に違反して登録されたものとはいえないから、その登録は、商標法第46条第1項の規定により、これを無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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