結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−30711(T2001−30711/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1848050号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和57年2月26日登録出願、第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品として、同61年3月26日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
1.請求の理由
本件商標の商標権者は、継続して3年以上日本国内において、その指定商品について本件商標を使用していない。また、専用使用権者及び通常使用権者のいずれもが、継続して3年以上日本国内において、その指定商品について本件商標を使用していない。
したがって、本件登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消され
るべきものである。
2.答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、本件商標を指定商品中の「化粧品」について現在使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。
しかしながら、「化粧品」の製造に関し遵守すべき薬事法との関係においては、当該証拠は本件商標の名目的な使用を示すものにすぎず、かかる証拠によっては本件商標の登録は商標法第50条の規定により取消を免れない。この点につき、以下詳細に理由を述べる。
(2)「化粧品」製造と薬事法との関係について
請求人による調査によれば、被請求人は、既に何年も前に「化粧品」の製造に関しては廃業しており、これを引き継いだ下請け会社である東京都台東区鳥越1−2−4所在の「有限会社月の友」も既に「化粧品」の製造に関しては廃業したとの回答を、当該会社の前社長より得ている。
東京都に所在する者が「化粧品」の製造許可の申請をするには、東京都衛生局薬務部にて申請を行わなければならないが、請求人が衛生局薬務部において調査したところによれば、被請求人及び「有限会社月の友」は、以前は確かに共に「化粧品」の製造許可を得ていたものの、既に「化粧品」の製造許可は失効しているとの事実を確認しており、両社とも本件商標を付した化粧品を製造し得る立場にない。
製造許可が失効していれば、薬事法上「化粧品」を製造することができないにもかかわらず、被請求人は答弁書において「被請求人が製造販売した」と記載しており、事実に反する。
また、上述のように薬事法上「化粧品」の製造にあたっては、製造許可とは別に具体的な商品名の使用に関して「許可品目」又は「製品届書」による届出が必要である。仮に、事業を引き継いだ「有限会社月の友」が「月美人」に係る化粧品を製造したのであれば、かかる届出がなされていなければならない。そうでなければ「有限会社月の友」によっても本件商標を付した化粧品を製造することができない。この点に関し、「有限会社月の友」の元社長より、4〜5年前に被請求人より事業を引き継いで以来、「月美人」の名称は使用していないとの回答を得ている。
(3)そこで、乙第1号証ないし乙第5号証について以下詳細に検討する。
ア.乙第1号証について
本証拠は、被請求人である「月美人化粧料株式会社」の登記簿謄本であるが、当該会社が商業登記されていることについては立証されるものの、東京都衛生局薬務部の記録から当該会社についての「化粧品」の製造許可に関しては既に失効しているとの事実からすれば、被請求人は、本件商標を付した「化粧品」(香水、以下「使用商品」という。)に関し、適法に製造することはできなかったはずである。
実際、請求人の調査によれば、被請求人の所在地である東京都台東区柳橋2−3−4には現在住宅が1棟あるのみで、近隣の話によれば住宅に隣接する時間貸し駐車場(タイムズ24)のところにかつて工場が存在していたとのことで、現在では事業を営んでいる様子はまったく窺えない。
イ.乙第2号証について
被請求人は、本証拠について、被請求人が製造販売している使用商品・・・を示す写真であると述べているが、上述のように被請求人の「化粧品」に関する製造許可は、既に失効しており、誰が適法に製造した商品であるかは不明である。
また、本証拠は、カラーコピーで、商品の細部が不鮮明である(特に「月美人」を表示する部分そのもの及びその印刷状態)。使用証拠として写真がよく用いられることは理解できるものの、本件については薬事法上の観点より商品の実物を提出して然るべきである。
すなわち、薬事法上「化粧品」の製造については厚生労働省の製造認可が必要であり、しかも薬事法は化粧品の容器又は包装に製造業者の名称及び住所を直接記載することを義務づけており、商品の実物があれば、そこに製造業者、製品名等の記載を見ることができ、その者が適法に当該商品を製造し得る者であるかが一目瞭然だからである。
ウ.乙第3号証ないし乙第5号証について
上述のように薬事法上「化粧品」について本件商標を使用商品に適法に使用するには、製造許可とは別に製品名の表示に関して事前の届出が必要なところ、答弁書においてはこの点が一切明らかにされていない。被請求人の製造許可に関しては既に失効しており、適法に使用商品を製造できない立場にあるにもかかわらず、こうした事実を隠して本人が製造販売したと主張している。本人が製造したのであれば、薬事法上その一定期間管理が求められている製造記録を提出して証明すべきである。
したがって、乙第3号証ないし乙第5号証の取引書類に記載される「月美人」の表示は、適法な製品名であるかどうか、また、それ自体商品名であるかどうか疑わしいところである。
乙第3号証の2、乙第4号証の2及び乙第5号証の3に関しては、被請求人と取引者との間で何等かの取引が行われ、その代金が取引銀行を介して被請求人宛に送金が行われたことを示す一定の証拠足り得ても、本件商標が被請求人により適法に使用されていたことを示す直接的な証拠にはならない。
(4)物証の追加提出要求及び口頭審理の申立
以上のように、乙各号証によっては、被請求人が本件商標を使用商品について適法の使用していたことを立証していない。
したがって、請求人は、被請求人に対し、以下ア.ないしウ.の点について明確にし得る物証の提出を求めるとともに、関係者等の証言が必要な場面も想定され書面審理ではなく口頭審理にて審理するのが適当と思料する。
ア.被請求人に関する「化粧品」の製造許可の有無。許可を受けていたのであればその許可番号及び有効期間等に関し製造許可証等による証明。
イ.被請求人が使用商品を製造していないのであれば、実際の製造者に係る名称及び住所並びにその者に関する「化粧品」の製造許可の有無。許可を受けていたのであればその許可番号及び有効期間等に関し製造許可証等による証明。
ウ.乙第2号証ないし乙第5号証により使用していると述べている商品の実物(製品には製造許可を受けた適法な製造者の名称・住所並びに製品名が直接記載されているはずである)。
(5)むすび
上述のように、乙第1号証ないし乙第5号証によっては、本件商標が使用商品に正当に使用されていたかどうかは立証されておらず、その使用は名目的なものにすぎないと解され、本件商標については、商標法第50条の規定によりその登録の取消が免れない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む)を提出した。
1.使用の事実
本件商標は、指定商品中の「化粧品」について現在使用されているものである。
(1)被請求人は、化粧品の製造販売をしている会社である(乙第1号証)。
なお、被請求人が製造販売している使用商品は、現在、主として有限会社修禅寺彫り(静岡県田方郡大仁町田京195−2伊豆洋らんパーク・ガーデンプラザショップ内;以下「(有)修禅寺彫り」という。)及び株式会社渡壁(大阪市中央区瓦屋町1−8−20;以下「(株)渡壁」という。)の2社に卸売りしているものである。
上記(有)修禅寺彫りは、本件商標を表示した使用商品を観光地における観光商品として販売している会社である。被請求人と(有)修禅寺彫りとの取引において、本件商標を使用していることは乙第2号証ないし乙第4号証によって明らかである。
また、(株)渡壁は、高速道路の休息所等において営業している販売店であって、その取扱いに係るみやげ商品のキーホルダーに、被請求人が製造販売している使用商品を入れた小型の化粧容器を取付けて付加価値を付けたものを製造販売している会社である。被請求人と(株)渡壁との取引において本件商標を使用していることは乙第5号証によって明らかである。
(2)乙第2号証について
被請求人が製造販売している使用商品を入れた容器を包装した包装箱に本件商標を表示している写真である。
(3)乙第3号証について
被請求人が製造販売している使用商品の販売先である(有)修禅寺彫りとの「取引書類」であり、乙第3号証その1は、平成13年2月1日付「納品書」、乙第3号証その2は、乙第3号証その1の「納品書」に記載された請求金額「325500」が被請求人の取引銀行であるさくら銀行浅草橋店に平成13年2月13日に入金されたことを示した「当座勘定照合表」である。
(4)乙第4号証について
被請求人が製造販売している使用商品の販売先である(有)修禅寺彫りとの「取引書類」であり、乙第4号証その1は、平成13年2月14日付「納品書」、乙第4号証その2は、乙第4号証その1「納品書」に記載された請求金額「257250」が被請求人の取引銀行であるさくら銀行(「三井住友銀行」の誤記と認める。)浅草橋店に平成13年3月28日に入金されたことを示した「当座勘定照合表」である。
(5)乙第5号証について
被請求人が製造販売している使用商品の販売先である(株)渡壁との「取引書類」であり、乙第5号証その1は、平成13年2月23日付「納品書」、乙第5号証その2は、乙第5号証その1「納品書」に記載された金額に消費税額を加算した平成13年3月20日付「請求書」、乙第5号証その3は、乙第5号証その2「請求書」に記載された請求金額「201600」が被請求人の取引銀行である大和銀行上野支店に平成13年3月21日に入金されたことを示した「当座勘定照合表」である。
(6)むすび
以上のように、乙第1号証ないし乙第5号証によって明らかのように、本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用されているものであるから、商標法第50条第1項の規定に該当するものではない。
1.乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、被請求人の平成13年8月2日付けで証明された「現在事項全部証明書」(登記簿謄本)であるところ、これには、「商号 月美人化粧料株式会社」、「本店 東京都台東区柳橋二丁目3番4号」、「目的 1.医薬部外品および化粧品類の製造販売ならびに輸出入」との記載が他の記載事項と共に記載されている。
(2)乙第2号証は、使用商品を入れた状態の窓あきの包装箱(3箱)のカラー写真と認められるところ、各包装箱の上部には「香水」を意味する「PERFUME」の欧文字が表示されており、また、同下部には本件商標と社会通念上同一と認められる「月美人」の商標が表示されている。
(3)乙第3号証その1は、被請求人が(有)修禅寺彫りに宛てた平成13年2月1日付け「納品書」であるところ、納品書No.006423の品名欄には、「月美人香水(スズラン)」、「月美人香水(カトレア)」、「月美人香水(ハマナス)」の文字が記載されており、金額合計欄には「250000」の数字が記載されている。また、納品書No.006424の品名欄には、「月美人香水パンジー」、「月美人香水ユリ」、「月美人香水アップル」の文字が記載されており、金額合計欄には「325500」の数字が記載されている。
(4)乙第3号証その2は、さくら銀行浅草橋支店が被請求人に発行した「当座勘定照合表」であるところ、「13/2/13」の日付欄には、「フリコミ ユ)シュウゼンジボリ」の文字と「325500」(ご入金額)の数字が記載されている。
(5)乙第4号証その1は、被請求人が(有)修禅寺彫りに宛てた平成13年2月14日付け「納品書」であるところ、その品名欄には、「月美人香水オーデコロンラベンダー」、「月美人香水ストレチア」などの文字が記載されており、金額合計欄には「257250」の数字が記載されている。
(6)乙第4号証その2は、三井住友銀行浅草橋支店が被請求人に発行した「当座勘定照合表」であるところ、「13/2/28」の日付欄には、「フリコミ ユ)シュウゼンジボリ」の文字と「257250」(ご入金額)の数字が記載されている。
(7)乙第5号証その1は、被請求人が(株)渡壁に宛てた平成13年2月23日付け「納品書」であるところ、その品名欄には、「月美人コロン」の文字が記載されており、金額合計欄には「192000」の数字が記載されている。
(8)乙第5号証その2は、宛名を「(株)渡壁」とし、税込合計金額を「¥201、600」とする平成13年3月20日付けの「請求書(控)」である。
(9)乙第5号証その3は、株式会社大和銀行上野支店が被請求人に発行した平成13年3月6日から同13年3月30日までの「当座勘定照合表」であるところ、「03/21」の日付欄には、「K 22ニチPM トリタテ カ)ワタカベ」の文字と「201600」(ご入金額)の数字が記載されている。
2.前記1.で認定した事実を総合すると、被請求人は、本件審判の請求の登録日(平成13年8月1日)の前3年以内である平成13年2月の時点において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標(使用に係る商標が本件商標と社会通念上同一であることについては、当事者間に争いがない。)を使用した「香水(PERFUME)」を、(有)修禅寺彫り及び(株)渡壁に納品し、その代金については、(有)修禅寺彫りの分は、さくら銀行(当時)及び三井住友銀行の浅草橋支店を通じて支払いを受け、また、(株)渡壁の分は、株式会社大和銀行上野支店を通じて支払いを受けたことが認められ、したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の指定商品中の「香水」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたというべきである。
3.請求人の主張について
(1)請求人は、「被請求人は、何年も前に『化粧品』の製造を廃業しており、これを引き継いだ下請け会社である『有限会社月の友』も既に『化粧品』の製造を廃業し、本件商標は使用していないと該『有限会社月の友』の前社長より回答を得ている。」、「被請求人及び『有限会社月の友』は、以前は『化粧品』の製造許可を得ていたが、既に『化粧品』の製造許可は失効しているとの事実を確認しており、製造許可が失効していれば、薬事法上『化粧品』を製造することができないにもかかわらず、被請求人の『製造販売した』の主張は、事実に反する。」、「被請求人の所在地である東京都台東区柳橋2−3−4には現在住宅が1棟あるのみで、現在では事業を営んでいる様子はまったく窺えない。」などと主張する。
しかし、請求人は、上記のように主張するのみで、その主張を裏付ける証拠を何ら提出していないものであるから、これをそのまま採用することはできない。
(2)請求人は、「薬事法上、化粧品の製造をするためには製造許可、あるいは本件商標を使用商品に適法に使用するには、製品名の表示に関して事前の届出が必要なところ、答弁書においてはこの点が一切明らかにされていない。」などと主張し、「被請求人の製造許可は、既に失効しており、適法に使用商品を製造できない立場にあるにもかかわらず、こうした事実を隠して被請求人が製造販売したと主張している。」旨主張する。
しかし、請求人の上記主張は、裏付ける証拠が一切ない上記(1)の主張に基づくもの、すなわち、伝聞若しくは憶測に基づくものといわざるを得ない。かえって、本件においては、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)によって、被請求人が本件商標と社会通念上同一と認められる商標をその指定商品中の「香水」について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用していたと認めることができるのであり、乙号証中には、銀行を介した送金関係の書類等が含まれ、これらの証拠が虚偽であるとは考えられないところである。
(3)請求人は、平成13年11月12日付けで、「審理の方式の申立書」を提出し、本件審理について、口頭審理に変更すべく求めているが、本件については、前記2.で認定したとおり、乙号各証により本件商標の使用の事実を認めることができるのであるから、口頭審理によらず書面により審理した。
4.以上のとおり、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標をその指定商品中の「香水」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人(商標権者)により使用していたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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