結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−31451(T2000−31451/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1929947号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和59年10月12日に登録出願、別掲に表示したとおりの構成よりなり、昭和62年1月28日に設定登録、第11類「電気機械器具、その他本類に属する商品、但し、電気通信機械器具を除く」を指定商品とするものである。
請求人は、本件商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。
特許庁電子図書館で被請求人が使用する商品と同一の指定商品について検索したところ、商品「微生物・細菌・細胞を培養・保存するための定温器・恒温槽」は、理化学機械器具である。また、同じく特許庁電子図書館の「商品役務名リスト」の第9類中「恒温器」および「生化学用恒温器」は、理化学機械器具である。
よって、被請求人が使用する商品が理化学機械器具に属することは明らかである。
現、第9類に属する商品中、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としている商品の例を挙げると次のようなものがある。(特許庁商標課編,発明協会発行「商品及び役務区分解説」)。
(1)サイクロトロン:「理化学機械器具」ではなく「電子応用機械器具及びその部品」に含まれ「理化学機械器具」の概念からは除かれる。
(2)超音波応用測深器,ガイガー計数器:「測定機械器具」ではなく「電子応用機械器具及びその部品」に含まれ「測定機械器具」の概念からは除かれる。
(3)電子顕微鏡:「光学機械器具」ではなく「電子応用機械器具及びその部品」に含まれ「光学機械器具」の概念からは除かれる。
被請求人は、本件商標を「循環式電子冷却装置」(「循環式電子冷却装置」は「循環式電子冷熱装置」の誤記と認められるから、以下「循環式電子冷熱装置」と記載する。)に付して使用しているというが、上記のようなことから、「循環式電子冷熱装置」が「電子応用機械器具」の範疇のものではない。最近の機械器具の中には、機械器具の機能の本質的な要素としてではなく電子の作用を応用したものが多数あるが、それらの商品が「電子応用機械器具」の概念に入るものではないのと同様、被請求人の使用する商品も「電子応用機械器具」の範疇のものと言うことは出来ない。「循環式電子冷熱置」は、「冷却装置」であって、第11類「冷凍機械器具」の概念に入る商品である。
すなわち、特許庁において、「・・電子冷却機,その他の冷凍機械器具,・・」(第11類)。「微生物・細菌・・培養・保存するための定温器・恒温槽,その他の理化学機械器具」(第9類)。「・・定温器,その他の理化学機械器具,・・」(第9類)の商標登録が存在する。
被請求人のいう「循環式電子冷熱装置」の機能は、上記登録例でいえば「電子冷却機」または「定温器・恒温槽」である。したがって、「循環式電子冷熱装置」は「冷凍機械器具」または「理化学機械器具」に属する商品である。
逆に、被請求人のいう「循環式電子冷熱装置」が「電子応用機械器具及びその部品」に属するとする登録例は存在しない。
一方、商品・サービス国際分類表アルファベット順一覧表によれば、「温度自動調節機械器具」及び「恒温器」は、第9類に属する。
被請求人のいう「循環式電子冷熱装置」の機能は、温度自動調節装置または恒温器であるから、その商品は、国際分類第9類に属し「自動調節機械器具」または「理化学機械器具」の範疇に属する。
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)被請求人は、本件商標を、「電子応用機械器具」である「循環式電子冷熱装置(空冷式、水冷式、耐食性タイプ各種)」について、昭和59年から「ADVANTEC」の商標を付して販売、宣伝を開始し、関連会社である、アドバンテック東洋株式会社(以下「アドバンテック東洋」という。)が主たる販売元になって、販売を継続している。
(2)被請求人の関連会社アドバンテック東洋との関係を乙第1号証 (登記簿謄本)及び乙第2号証(登記簿謄本)にて証明する。即ち、被請求人は、自ら本件商標を使用しているのみならず、アドバンテック東洋へ本件商標について通常使用権を許諾している関係にある(乙第3号証)。
(3)上記販売の事実を、両社が共同で使用する「商品カタログ1999〜2000版」(乙第3号証)にて証明する。
当該カタログの498頁記載の「循環式電子冷熱装置(空冷式)」(型式TA−100)、同500頁記載の「循環式電子冷熱装置(水冷式)」(型式TE−200)、同501頁記載の「循環式電子冷熱装置(耐食性タイプ)」(型式TE−306D)の正面盤上部には「ADVANTEC」の商標が付されている(乙第3号証の1)。
(4)さらに、当該商品の実際の取引の事実を、乙第4号証及び乙第5号証にて証明する。
乙第4号証は、2000年11月28日に、アドバンテック東洋が、高山理化精機株式会社に、「循環式電子冷熱装置(空冷式)」(型式TA−100)を納入した、その物品受領書の写しである。
乙第5号証は、2000年11月9日に、アドバンテック東洋が、中山商事株式会社筑波営業所に、「循環式電子冷熱装置(水冷式)」(型式TE−200)を納入した、その物品受領書の写しである。
(5)上記、乙各号証により、本件商標が、被請求人において「電子応用機械器具」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用している事実は明白である。
つまり、被請求人使用の「循環式電子冷熱装置」における、機械器具の機能の本質的な要素は、サーモモジュールである。当該サーモモジュールは、電子の作用を応用していることは明らかである。
したがって、電子の作用を応用したサーモモジュールをその機械器具の機能の本質的な要素として目的物の冷却・加熱を行う被請求人使用の「循環式電子冷熱装置」が「電子応用機械器具及びその部品」に該当することは明らかである。
請求人は、サイクロトロンや超音波応用測深器等を例示し、被請求人使用の「循環式電子冷熱装置」が「電子応用機械器具」の範疇でない、と述べているが、当該主張は理由の具体性に欠け、何を理由に、どの様な判断基準で被請求人使用の「循環式電子冷熱装置」が「電子応用機械器具」の範疇でないと述べているのか不明であり、理解できるものではない。
しかし、もし請求人が、「電子応用機械器具」に属するか否かを、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているか否かで判断しているのであれば、被請求人使用の「循環式電子冷熱装置」は、電子の作用を応用したサーモモジュールを、その機械器具の機能の本質的な要素として用いているため、「電子応用機械器具及びその部品」に該当することは明白である。
抑も、機能とは、作用、働きを意味するものである。
したがって、被請求人使用の「循環式電子冷熱装置」の機能を特定するのであれば、当該装置の構成から生まれる作用や働きを考察すべきである。
請求人は、被請求人のいう「循環式電子冷熱装置」の機能は、「電子冷却機」または「定温器・恒温糟」である。したがって、「循環式電子冷熱装置」は「冷凍機械器具」または「理化学機械器具」に属する商品である、と述べている。
しかしながら、当該主張は、機械器具の機能の本質的な要素を無視した論理である。
つまり、請求人の論理を「電子顕微鏡」に例えて言うなら、「電子顕微鏡」の機能は「顕微鏡」であり、したがって、「光学機械器具」に属する、と言うこととなる。しかし、商品の分類分けを行う場合には、機械器具の機能の本質的な要素を参酌しなければならない。そこで「電子顕微鏡」について、その機械器具の本質的な要素は何かと言えば、それは、電子作用の応用である。したがって、「電子顕微鏡」は「光学機械器具」と区別され、「電子応用機械器具」に属している。
また、請求人は、被請求人のいう「循環式電子冷熱装置」が「電子応用機械器具及びその部品」に属するという登録例は存在しない、と述べているが、逆に被請求人使用の「循環式電子冷熱装置」が「電子応用機械器具及びその部品」以外の類に属するという登録例も存在しない。
更に、商品・サービス国際分類表アルファベット順一覧表に、「温度自動調節機械器具」及び「恒温器」は第9類に属する商品として、その記載があったとしても、「温度自動調節機械器具」及び「恒温器」は、被請求人使用の「循環式電子冷熱装置」が旧第11類「電子応用機械器具及びその部品」に属するか否かとは直接関係ない。
抑も、商品の分類は、社団法人発明協会発行の「商品・サービス国際分類表[第8版]アルファベット順一覧表日本語訳(類似群コード付)」の一般的注釈にも記載されているように、完成品は、その機能又は用途によって分類するのが原則である。
そこで、先ず、機能について言及すれば、機械器具の機能の本質的な要素は何かを問うべきであり、被請求人使用の「循環式電子冷熱装置」は、目的物の、冷却・加熱を行うものであり、当該、冷却・加熱をおこなうものとは、乙第3号証498頁記載の「循環式電子冷熱装置」仕様表の方式欄に記載されているようにサーモモジュールである。当該、サーモモジュールは、乙第3号証499頁記載の「サーモモジュールの原理」や電子作用の応用であることは明らかである。
したがって、機能面の分類からすれば、被請求人使用の「循環式電子冷熱装置」が、旧第11類「電子応用機械器具及びその部品」に該当することは明らかである。
次に、用途について言及すれば、被請求人使用の「循環式電子冷熱装置」等は、半導体関係製造装置の冷却や、新聞雑誌の現像液を一定に保つ装置として使用されているものである為、研究用及び実験用を主たる概念とする理化学機械器具に該当しないことは明白である。
しかして、「ADVANTEC」の文字の使用は、本件商標と社会通念上同一のものと認められるものである。
してみれば、本件商標は、「循環式電子冷熱装置(空冷式)」、「循環式電子冷熱装置(水冷式)」について、アドバンテック東洋により、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたものと認め得るものである。
さらに、商品大辞典(1996年4月15日 第13刷 東洋経済新報社)の、「電子冷却装置」の項には、「2つの異なった導体の接合部に電流を流し、接合部における吸熱を利用して冷却させる装置。・・・用途としては実験試料や電子部品の冷却・恒温保持など・・・冷却と加熱を即座に切り替える必要のある理化学装置や医療機器、などのほか生産工程にも広く利用される商品である。」と記載され、日本標準商品分類(平成2年6月 総務庁発行)によれば、「電子冷却装置」はその他の電子応用装置に分類されている。
してみれば、「循環式電子冷熱装置」は、電子の作用を応用したもので、その機械器具の機能の本質的な要素となっているものであり、特定の用途を有しない商品と認められるから、「電子応用機械器具」の範疇に属すると認めるのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る商品「電子応用機械器具及びその部品」について、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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