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Trademark Appeal Case

「MICROSPHERE」の記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2000−20163(T2000−20163/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成10年2月27日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、平成11年7月14日付けの手続補正書及び平成13年3月30日提出の手続補正書により補正された結果、第5類「微生物の成長を抑制する防臭剤または殺生物剤の製造に使用される持効性の自己殺菌性酸化剤,その他の殺菌剤(身体用のものを除く。)」になったものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は「本願商標は、薬剤を運ぶ容器となる高分子材料製の微小球(体)を意味する欧文字の『MICROSPHERE』(第9文字目の『E』にはアクサングラーブが付されている。)の文字を普通に用いられる方法で書してなるから、これを本願指定商品中上記微小球(体)を容器とした商品に使用したときは単に商品の品質、形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、別掲に示すとおり、「MICROSPHERE」(第9文字目の「E」にはアクサングラーブが付されている。)の文字を普通に用いられる方法で書してなるものである。

ところで、「MICROSPHERE」(マイクロスフィア、マイクロスフェアー)は、「微小粒(球)体のこと」(「ランダムハウス英和大辞典」小学館)であり、また、請求人の提出に係る甲第12号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)に、以下のとおりの記載があり、これによれば、医薬、生体工学の分野においては、「薬剤の含有などに用いられる微小粒(球)体のこと」として理解されるものということができる。

(1)甲第12号証は、「JIS工業用語大辞典第4版(日本規格協会発行)」であり、「マイクロスフェアー(microsphere)」の項に「薬剤の含有、血管そく(塞)栓、細胞の包含などに用いられる微粒子。マイクロカプセルともいう。」との記載がある。

(2)甲第14号証は、「生体工学用語辞典(日本規格協会発行)」であり、「マイクロスフェアー」の項に「薬剤の含有、血管そく(塞)栓、細胞の包含などに用いられる微粒子。マイクロカプセルともいう。」との記載がある。

(3)甲第15号証は、「高分子新素材便覧(高分子学会編 丸善株式会社発行)」であり、「臨床検査診断材料 マイクロスフェアー」の項に「臨床検査診断材料として用いられるマイクロスフェアー 臨床検査材料として用いられる代表的な高分子マイクロスフェアーには、ヒツジやニワトリなどの動物の赤血球、ラテックス粒子、ゼラチン粒子、プラスチック微粒子などがある。・・・これらのほかに、診断材料として用いられるマイクロスフェアーには、炭素、ベントナイト、カリオンなどの無機成分からなる微粒子、あるいは近年医薬用に研究開発も盛んなリボソーム粒子などがあるが、高分子素材ではないので割愛する。マイクロスフェアーの一般的な粒径は、0.1〜10マイクロメートルであるが、用途により適切な大きさのものが選択される。マイクロスフェアーの診断材料としての用途は、主として免疫学的凝集阻止反応試薬のための担体であるが、これ以外にも最近、エンザイムイムノアッセイによる診断試薬用担体としてらテックスが用いられている。」との記載がある。

そして、「MICROSPHERE」(マイクロスフィア、マイクロスフェアー)の語は、例えば、各種新聞記事中に以下のように用いられている。

(1)1988年12月3日 日刊工業新聞 1頁「京大の徐放性抗がん剤、臨床応用で延命効果確認。胸腔の標的を直撃」と題する記事に「この徐放性抗がん剤は、ポリ乳酸を使ってアドリアマイシンをマイクロスフィア(微小球体)化したもので、重度患者の胸腔内に散らばったがん細胞の再発を抑え、アドリアマイシンが本来持つ高い抗がん活性をひき出した点で極めて注目される。今後、同センターでは副作用は強いが、高い抗がん活性が期待されるシスプラチンのマイクロスフィアも臨床応用し、最適な徐放時間や濃度を探りながら効果的な治療を行うことにしている。」との記載がある。

(2)1990年2月20日 日刊工業新聞 31頁「九農試と九工試、4月から本格交流。農工の“お上”手を結ぶ」と題する記事に「『農産物を原材料に新しい農畜産物をつくるバイオリアクターの製造も可能』(九工試企画官)としており、さらに、研究中の医薬、農薬や肥料などの有効成分の徐放・保持機能・高吸着性を持つマイクロスフィア(球状微粒子)の製造技術開発など、今後の農業技術の高度化に役立つとみられる研究は数多い。」との記載がある。

(3)1996年6月5日 日刊薬業 6頁「海外短信・米国のヘキスト・セラニーズ社 ヒューズ・テクノロジーズ社と覚え書を交わし、医薬品生産技術の独占権を取得」と題する記事に「米国のヘキスト・セラニーズ社はヒューズ・テクノロジーズ社と覚き書を交わし、医薬品生産技術の独占権を取得したと発表した。この技術はアセトアミノフェンとイブプロフェンのマイクロスフィアの製造に使われる。」との記載がある。

(4)1999年4月16日 日刊工業新聞 29頁「エスエス製薬と科研製薬、医療用解熱鎮痛消炎剤の持続性製剤で共同研究」と題する記事に「マイクロスフィア技術は、薬物、酵素、抗体などを分散させた微粒子『マイクロスフィア』を利用したもの。ポリグリコール酸やポリ乳酸、アルブミンなど外科手術用糸などで使用されている生体内分解性高分子でつくった微粒子に薬効成分を含有させ、持続作用をもたせる。一回の投与で数週間にわたって効果が持続するという。」との記載がある。

(5)2001年10月12日 日刊工業新聞 21頁「エスエス製薬、製剤技術の開発に注力。医療領域にも応用」と題する記事に「エスエス製薬が現在力を入れているのがマイクロスフィア。・・・マイクロスフィアは長期間薬効を放出する特性から抗がん剤や鎮痛剤に利用すれば、投与頻度を低減できる。」との記載がある。

(6)2000年10月20日 日本工業新聞 21頁「食総研 貫通型マイクロチャンネル 生産性大幅に向上」と題する記事に「食品総合研究所の中嶋光敏・反応分野工学研究室長と菊池佑二上席研究官らの研究グループは、食品や医薬品などに使われるマイクロスフィア(MS=微粒子)の生産性を大幅に向上させる、貫通型マイクロチャンネルシステムを開発、それによる油水MSの作成、回収実験に成功した。」との記載がある。

(7)2002年8月28日 化学工業日報 8頁「米ヤンセン、入院率を3分の1に抑制、非定型抗精神病薬」と題する記事に「ヤンセンの抗精神病薬リスパダールConstaは、ジョンソン・エンド・ジョンソン・リサーチ・アンド・デベロプメントが同アルカーメスの技術を導入して開発した注射剤。一定の速度で徐々に分解する微小な生体分解性ポリマー(マイクロスフィア)の中に有効成分のリスペリドンを含有させてあり、二週間毎に筋注する。」との記載がある。

以上の事実からすれば、「MICROSPHERE(マイクロスフィア、マイクロスフェアー)」の語は、「微小球体のことであり、薬剤に徐放・保持機能・高吸着性を持たせるために用いられるもの」として、薬剤を取り扱う業界のみならず、化学及び工業を取り扱う業界においても知られているものというのが相当である。

そして、本願商標は、「MICROSPHERE」の文字の第9文字「E」に、アクサングラーブが付されているところから、フランス語であると理解されるものであるが、英語の「MICROSPHERE」と同じ意味において認識され得るものである。

してみれば、本願商標は、「微小球体のことであり、薬剤に徐放・保持機能・高吸着性を持たせるために用いられるもの」の意味において理解されるものであるから、これをその指定商品中、「マイクロスフィア(微小球体)に含有させたものを成分とするものであり、微生物の成長を抑制する防臭剤又は殺生物剤の製造に使用される持効性の自己殺菌性酸化剤、マイクロスフィア(微小球体)に含有させたものを成分とする殺菌剤(身体用のものを除く)」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が「マイクロスフィア(微小球体)に含有させたものを成分とするもの」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと理解、認識するに止まり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものであり、かつ、本願商標を、上記以外の商品に使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。

なお、請求人は、商標の自他商品識別力について、わが国と同様に審査が行われるドイツ連邦共和国、同じく、自他商品識別力の存在を登録の要件としている香港、審査主義を採用するタイ及び中華人民共和国において、「MICROSPHERE」が登録されている例を挙げ、本願商標の登録も同様に認められるべきである旨主張する。

しかしながら、出願に係る商標が登録要件等を具備しているか否かについては、当該出願に係る国の法令及びその国の産業界の実情等に照らして判断がなされるべきものであるところ、諸外国の産業界の実情と、わが国のそれとが同一のものと解釈しなければならない事情が存するものとは認められないから、諸外国の登録例をもって、わが国における本願商標の登録性を述べる請求人の主張は妥当でなく、採用の限りでない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、これを登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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