結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−30606(T2000−30606/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3262386号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲のとおり、黒く塗り潰した長方形内に「Cellstar」の欧文字を白抜きで表示してなり、平成6年5月18日に登録出願、第9類「無線通信機械器具」を指定商品として、同9年2月24日に設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。
被請求人は、本件商標を個人で所有しているが指定商品を製造・販売している可能性は薄く、専用使用権者又は通常使用権者の何れも登録がないので、それらの者において使用された事実も確認し得ない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものである。
(1)乙第2号証及び同第3号証の使用許諾証明書には、それぞれ関西セルスター工業株式会社(以下、「関西セルスター社」という。)に対して通常使用権を許諾した許諾日が明らかでなく、また、通常使用権許諾が実際に行われたのであれば、対価の支払いと、受取りがあるべきところ、対価の額、支払方法、対価支払いを裏付ける帳簿、領収書等の提出もないから、被請求人は、関西セルスター社との間に通常使用権許諾契約がなされたことを具体的に裏付ける証拠は提出していない。
さらに、商標使用のための通常使用権許諾は、本来ならば本社たる「セルスター工業株式会社」(以下、「セルスター社」という。)について、なされるのが当然であるところ、本社に対しては許諾せず、その関西地区代理店に対してのみ通常使用権許諾することは、極めて不自然なことである。
そして、本社たるセルスター社は、本件商標の出願日より16年も早い時期に設立され、雑誌広告(甲第4号証)の表示のとおり全国5ヶ所に販売代理会社を設立し、三重県に2ヶ所の支店を持つ大規模な会社であって、商標出願日より2年前に発行したカタログ(乙第4号証の1)には本件商標と同一商標を既に使用している。これらの事情から判ることは、本社たるセルスター社は、本件商標に対して、先使用による通常使用権を有しており、本件商標に対して、わざわざ通常使用権許諾を受ける必要はないのである。むしろ、本件商標の元商標権者は何故に当時周知であったセルスター社の商標を個人名義で商標出願したのか理解できない。
本件商標の通常使用権者とされている関西セルスター社とその本社たるセルスター社との関係は、甲第4号証の雑誌広告からもわかるとおり、本社対販売代理店の関係にあるから、本社が本件商標に対して先使用による通常使用権を有する場合、販売代理店が同一商標の本件商標について、通常使用権許諾を受ける必要は全くない。
したがって、被請求人の主張及び提出された証拠は不完全、不自然な点があまりにも多いため、関西セルスター社が本件商標の通常使用権者であるとは到底認めることはできない。
(2)商標は商人が取り扱う商品を他の商人の商品と識別し、商標を媒介として、商人と消費者を結びつける働きを本質とするものである。
ところが、前述したとおり、関西セルスター社は、本社たるセルスター社の関西地区代理店であり、本社の製造に係る商品を卸販売しているだけである。したがって、提出された証拠のカタログ、製品に表示されている「Cellstar」の文字は、本社の営業を化体した商標であって、その販売代理店である関西セルスター社自体の営業は表していない。
提出された証拠からは、本社の商品について、本社の商標を使用していることは認められるが、関西セルスター社の商標を使用して、関西セルスター社の商品を販売したことにはならない。たまたま本社の商標態様と本件商標の態様とが同一なため、紛らわしいが、商標によって化体されている営業主体の違いは識別されるべきである。したがって、関西セルスター社の販売にかかる本社商品の商標は、本件商標の使用とは認められないのである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標権については、平成9年2月24日から当該商標権の移転登録日前日の平成12年5月24日までの間、原商標権者から関西セルスター社に対し、また、当該商標権の移転登録日である平成12年5月25日から現在に至るまでの間、商標権者から関西セルスター社に対し、指定商品「無線通信機械器具」について通常使用権が許諾されている(乙第2号証及び同第3号証)。
通常使用権者たる関西セルスター社が、本件商標をその指定商品について使用した事実及び時期を以下に説明し、かつ、これを立証する。
(1)トランシーバーについての使用
関西セルスター社は、セルスター社の製造に係る無線通信機械器具などを卸販売する関西地区代理店であり、同社の製造に係るトランシーバーを販売した。そして、当該トランシーバーは、50MHz帯のFM波を使用して無線により通信を行う携帯用の無線通信機械器具であって、その正面右下には本件商標と社会通念上同一の「Cellstar」の文字よりなる商標が付されている(乙第4号証の1)。
一方、1999年(平成11年)11月10日付け売上伝票(乙第4号証の2)には、関西セルスター社が光信産業株式会社大阪営業所に、当該トランシーバー4個を14000円にて販売した旨の記載とともに、同営業所の印が押されている。
(2)ハンディーレシーバーについての使用
関西セルスター社は、セルスター社の製造に係るハンディーレシーバーを販売した。そして、当該ハンディーレシーバーは、アマチュア無線ほか種々の帯域の電波を傍受する携帯用の無線通信機械器具であって、その正面右下には本件商標と社会通念上同一の「Cellstar」の文字よりなる商標が付されている(乙第5号証の1)。
一方、1997年(平成9年)12月17日付け納品書(控)(乙第5号証の2)には、関西セルスター社がカネコ商会を介して福農産業(株)トレーディングセンターに「RH−800 レシーバー」5個を44000円にて納入した旨の記載がある。なお、前記納品書(控)の「RH−800 レシーバー」は、乙第5号証の1のハンディーレシーバーを示す。
また、西濃運輸茨木支店発行の平成9年12月17日受付の発荷主様控(乙第5号証の3)には、関西セルスター社が福農産業(株)トレーディングセンターに「RH−800」を発送した旨の記載がある。
(3)ビデオトランスミッターについての使用
関西セルスター社は、セルスター社の製造にかかるビデオトランスミッターを販売した。そして、当該ビデオトランスミッターは、CCDカメラやビデオカメラなどの映像と音声を無線でテレビに送信する無線通信機械器具であって、その正面中央右には本件商標と社会通念上同一の「Cellstar」の文字よりなる商標が付されている(乙第6号証の1ないし3)。
一方、1998年(平成10年)11月17日付け納品書(控)(乙第6号証の4)には、関西セルスター社がモンテカルロ可部店に「X−78T1」1個を5200円にて納入した旨の記載がある。また、フットワークエクスプレス(株)発行の平成10年11月17日付の元払送り状(乙第6号証の5)には、関西セルスター社がモンテカルロ可部店に「X−78T1」を発送した旨の記載がある。
(4)まとめ
以上のとおり、関西セルスター社が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件指定商品「トランシーバー、ハンディーレシーバー、ビデオトランスミッター」に本件商標と社会通念上同一である商標「Cellstar」を付したものを譲渡した事実がある。
したがって、 本件商標権の通常使用権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品に使用しているものであるから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。
被請求人が提出した乙第2号証ないし同第6号証(枝番を含む。)によれば、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を指定商品中の「トランシーバー、ハンディーレシーバー」について使用していたことを認めることができる。
請求人は、「被請求人の主張及び提出された証拠は不完全、不自然な点があまりにも多いため、関西セルスター社が本件商標の通常使用権者であるとは到底認めることはできない。」及び「提出された証拠のカタログ、製品に表示されている『Cellstar』の文字は、本社たるセルスター社の営業を化体した商標であるから、関西セルスター社が本件商標を使用しているものと認めることはできない。」旨主張する。
しかしながら、被請求人が提出した「使用許諾証明書」(乙第2号証及び同第3号証)は、「本件商標権については、平成9年2月24日から現在に至るまでの間、原商標権者及び商標権者から関西セルスター社に対し通常使用権の許諾がなされている。」旨を内容とする証明書に両者が記名、押印したものであって、これら証明書に何ら不完全、不自然な点は見当たらない。 してみれば、関西セルスター社は、本件商標の通常使用権者であるといわなければならない。
また、乙第4号証の1及び同第5号証の1におけるパンフレット中の商品「トランシーバー」「ハンディーレシーバー」には、本件商標と社会通念上同一と認められる「Cellstar」の文字よりなる商標が付されていて、乙第4号証の2及び同第5号証の2及び3の取引書類によって、その商品が、本件審判請求の登録前3年以内である平成11年11月10日及び平成9年12月17日に関西セルスター社から他人に販売された事実が認められる。そうとすれば、たとえ前記商品が本社たるセルスター社の製造に係るものであるとしても、関西セルスター社が「Cellstar」の文字よりなる商標を商品「トランシーバー」「ハンディーレシーバー」について使用していたものというべきである。
加えて、仮に、本社たるセルスター社が本件商標の使用をしたとした場合においても、被請求人の主張及び乙各号証を総合すれば、本件商標権については口頭や黙示的等による何らかの形での通常使用権が本社にも許諾されていたものと推認し得るから、本件商標は、前記商品について通常使用権者たるセルスター社によって使用されていたということもできる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
なお、請求人より申請のあった証人尋問については、提出の各書面、書証により前記のとおり認定、判断し得るところであるから、これを行わない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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