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Trademark Appeal Case

プログラムの商品性と商標使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−30313(T2001−30313/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4081649号商標(以下「本件商標」という。)は、「MARC」の欧文字を横書してなり、第9類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)、その他の電子応用機械器具及びその部品」を指定商品とし、1995年5月25日アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成7年7月19日に登録出願、同9年11月14日に設定登録されたものである。

本件審判の請求の登録は、平成13年4月11日にされたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のとおり主張した。

本件商標は、その全指定商品について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者が審判請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用していたことを証明しなければならないのに、「商標の使用に係る商品名」を「構造解析用コンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」と抽象的に述べているだけで、本件商標の使用に係る商品名を具体的に挙げるところがなく、また、乙第1号証ないし同第6号証は本件商標が仮にコンピュータ用プログラムの提供、コンピュータのソフトウエアの設計及び開発、セミナーの企画・運営又は開催等の役務の範疇の役務について使用されていることを示すものであるとしても、本件商標の指定商品のいずれかについて使用されていたことを証明しているものではない。

したがって、被請求人は、本件商標が審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用されていたことを証明していないといわざるをえない。

よって、請求の趣旨のとおりの審決を求める。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように主張し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。

本件商標は、構造解析用コンピュータプログラムを記憶させた磁気テープ・磁気ディスク・CD−ROMその他の記録媒体について、平成10年6月以降、通常使用権者によって我が国で使用されている。

4 当審の判断

被請求人は、「構造解析用コンピュータプログラムを記憶させた磁気テープ・磁気ディスク・CD−ROMその他の記録媒体」について本件商標の使用をしている旨主張するが、乙第1号証ないし乙第6号証のみによっては、前記商品に本件商標の使用をしている事実を認めるに足らない。

ところで、商標法上「商品」の定義はない。これは、社会状況の変化によって商品概念も変化しうることを前提として、定義規定を置かず、解釈に委ねたものと解される。そして、商標法上の商品概念としては、経済的価値が肯定され、取引の対象として有体物が挙げられる。しかし、技術の進展や経済社会の多様化に伴い、新たな経済価値が創出されるから、その有する経済価値に着目して取引対象となるものが有体物に限定されなければならない合理的理由はなく、その経済的価値が社会的に承認され、独立して取引の対象とされる場合には、有体物でなくとも商標法上の商品となり得ると解すべきである。

「電子計算機用プログラム」については、これまで磁気テープ、磁気ディスク又はCD−ROM等の有体物として取引されてきたところであるが、近時、コンピュータ技術の進展や経済社会の多様化に伴いインターネット等のネットワーク上で流通するようになってきていること、2002年1月1日に発効したニース国際分類第8版において商品の区分である第9類に「電子計算機用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるものを含む。)」が例示されたこと、平成13年経済産業省令第202号をもって改正された商標法施行規則別表第9類中に「電子計算機用プログラム」が例示されたことなどに照らせば、平成13年政令第265号による改正前の商標法施行令別表の下においては、記録媒体に格納したもののみならず記録媒体に格納されないものであっても、第9類に属する「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)」の商品概念に包含される商品というのが相当である。

これを本件についてみるに、乙第1号証及び乙第2号証によれば、日本マーク株式会社は、1998年9月社団法人精密工学会発行の「精密工学会会員名簿」及び1998年10月社団法人自動車技術会発行の「自動車技術会会員名簿」に「非線形構造解析汎用プログラム」「MARCK7」「MARCは有限要素法による構造解析汎用プログラムで、以下の各種解析が可能です。」「Windows NT版、MARC/Mentat、リリース中」などと記述した広告を掲載したことが認められる。

また、乙第3号証ないし乙第6号証によれば、同社は、MARCシステムのユーザーからの使用に関する質問に対して回答をしていること、バグに対してはリストの配布、バグの修正、報告などの対応をしていること、MARCプログラムのユーザーなどを対象に初級講習会、弾塑性解析入門、ユーザーズミーティング、スペシャルトピックセミナーなどの定期講習会を開催していること、MARCユーザーズマニュアル(K7.1 A編ないしD編製本)、MARC K7 E編 Demonstration Plobem(例題集CD−ROM)及びリリース関連ドキュメント(リリースノート、インストールガイド)などの和文マニュアルを発行していることが認められる。

以上の認定事実によれば、本件商標は、我が国において、本件審判の請求の登録前3年以内である平成10年9月ないし同年10月に、通常使用権者である日本マーク株式会社により、指定商品中「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)」に包含される「非線形構造解析汎用プログラム」の広告に付して使用されたというのが相当である。そして、この広告は、前記「非線形構造解析汎用プログラム」が現実に取引されていると認められるから、不使用取消を免れるための名目的なものでないことが明らかである。また、前記「非線形構造解析汎用プログラム」は、購買者が同プログラムを保存できない形態で提供されていたことを窺わせる証拠がなく、かえって同プログラムに関連するインストールガイドの販売をしていることなどよりすれば、購買者が同プログラムを記録又は保存可能な形態で取引されていると推認されるから、商標法上の商品というべきである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

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