Trademark Appeal Case
著名商標への文字付加
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2000−90798(T2000−90798/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4379914号商標(以下「本件商標」という。)は、「EFILA」と「エフィラ」の各文字を上下二段に横書きしてなり、平成11年6月23日登録出願、第25類「被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、仮装用衣服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」を指定商品として、同12年4月28日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)登録異議申立人、鐘紡株式会社(以下「鐘紡」という。)の申立ての理由
本件商標は、別掲(1)ないし(4)のとおりの構成よりなる登録第1587837号商標(以下「引用商標1」という。)、登録第1756792号商標(以下「引用商標2」という。)、登録第2498593号商標(以下「引用商標3」という。)及び登録第1597967号商標(以下「引用商標4」という。)と類似の商標である。また、指定商品も互いに類似するものである。
さらに、引用商標1ないし引用商標4は、イタリア国のフィラ スポーツ ソチエタ ペル アチオーネ(以下「フィラ社」という。)の「スポーツシューズ、スポーツウエア」を表示するものとして、取引者及び需要者に広く認識されているものであるから、本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品がフィラ社、若しくはこれと何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当する。
(2)登録異議申立人、フィラ社の申立ての理由
フィラ社は、引用商標1ないし引用商標4のほか、26件の登録商標を引用し、「FILA」、「フィラ」の文字よりなる商標は、フィラ社及びその使用権者が「スポーツシューズ、スポーツウエア、化粧品、宝石、時計眼鏡、かばん」等について使用し、世界的に著名である。
したがって、本件商標は、著名商標「FILA」が使用される商品と類似の関係にある指定商品中の「被服、履物、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」に使用した場合、該商品は、フィラ社の商品との間に何らかの関係があることを想起せしめるものである。
また、本件商標が上記以外の指定商品に使用された場合は、それらの商品はフィラ社の著名商標にかかわる商品「被服」及び「靴類」と密接な関係があるので、フェラ社又はそのランセンシーの製造販売にかかわるものであろうとその出所について誤認、混同を生ずるおそれがある。
さらに、「FILA(フィラ)」は、フィラ社の著名な略称であり、本件商標はフィラ社の著名な略称を含むものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第8号に該当する。
(鐘紡、フィラ社をまとめていうときは、以下「申立人ら」という。)
3 取消理由
鐘紡の提出に係る甲第7号証ないし甲第17号証によれば、鐘紡は、「スポーツウエア、スポーツシューズ」等の商品に商標「FILA」を使用していることが認められる。また、フェラ社の提出に係る甲第31号証(枝番を含む。)ないし甲第41号証によれば、「眼鏡、ベルト、スポーツウエア、スポーツシューズ、」等の商品に商標「FILA」を使用していることが認められる。
そして、申立人らの業務に係る商品について使用される商標は「フィラ」と称呼され、本件商標の登録出願の時前には需要者の間に広く認識され、著名になっていたものと認められる。
本件商標は、「EFILA」、「エフィラ」の文字よりなるものであるところ、これを構成する文字は、全体として特定の意味合いを有するものとして一般に知られ親しまれているとは認められないものである。そして、本件商標はその構成中に「スポーツウエア、スポーツシューズ」等について使用され「フィラ」と称呼される著名な商標「FILA」を有してなるものであるから、これに接する者は、本件商標をして著名な商標「FILA(フィラ)」に「E」及び「エ」を付加したものと認識し、把握する場合も決して少なくないと判断するのが相当である。
してみると、本件商標は、これをその指定商品に使用する場合、申立人らに係る商標を連想、想起し、該商品が申立人らと組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。旨認定、判断したものである。
4 商標権者の意見
本件商標は、商標「FILA」、「フィラ」やフィラ社の社名から採ったものではなく、本件指定商品の原料である「糸」の一種である「長繊維」の英語「FILAMENT(フィラメント)」の前半部の「FILA」、「フィラ」と、この糸の開発記号「E」を付加して、「EFILA」、「エフィラ」と名付けたもので、出願人が案出した造語商標である。
本件商標は、英文字、片仮名文字ともに、同じ書体、同じ大きさの一体不可分の簡潔で短い態様で構成されていることから、殊更「FILA」、「フィラ」の部分を取り出さなければならない特別の事情はない。
引用各商標や申立人(フィラ社)の名称が著名であったとしても、著名であればあるほど、消費者、当業者に認識されているのは、あくまでも「FILA」及び「フィラ」であり、本件商標のようにその先頭に「E」及び「エ」が付加された商標に接しても、消費者、当業者は、著名商標「FILA」や「フィラ」が付された商品と混同することはありえない。
さらに、著名商標「FILA」は、独特の図形化された態様であるから、本件商標と混同することはない。
5 当審の判断
(1)鐘紡の提出に係る書証中、本件商標の登録出願前に発行されたと認められる甲第7号証の2の1ないし同号証の2の10、甲第7号証の3、甲第8号証ないし甲第11号証、甲第13号証及び甲第14号証を総合すれば、引用商標4及び別掲(5)の商標は、「お問い合わせは鐘紡(株)フィラ事業開発室へ」、「Kanebo.LTD.FILA DIVISION」などの表示と共に、商品「スポーツウエア、スポーツシューズ」等の商品について宣伝広告されていたことが認められ、1996年11月9日付け日経流通新聞によれば、1996年10月調査の「スポーツシューズ好感度ランキング」に「フィラ」は、23ブランド中6位であり、「今後の成長が期待されるブランド上位4」中1位であったとの記事が掲載されたことが認められる。また、海外から、「FILA」商標を付した模倣品が日本に輸入されていることも窺うことができる。
(2)甲第31号証(枝番を含む。)及び甲第41号証(ただし、「1999−2000 AUTUM & WINTER COLLECTION」は除く。)を総合すれば、フェラ社は、本件商標の登録出願前より、イタリアをはじめ、フランス、イギリス、アメリカ、日本などで、自己の取扱いに係る商品についての宣伝広告をしていたこと、1971年(昭和46年)にはわが国の業者と商品取引をしていたこと、1989年(平成元年)10月に鐘紡と引用商標2及び引用商標4をはじめとするフィラ社所有の登録商標について、専用使用権設定契約を締結したことなどが認められ、上記鐘紡は、主として「スポーツウエア、スポーツシューズ」等の商品に引用商標4及び別掲(5)の商標を表示し、宣伝広告したことが認められる。
(3)前記(1)及び(2)の事情よりすると、引用商標4及び別掲(5)の商標は、「フィラ」と称呼され、申立人らの業務に係る商品について使用されている商標として、本件商標の登録出願時には、取引者、需要者の間に広く認識されていたものであり、また、これら商標より生ずる「フィラ」の称呼についても、申立人らの業務に係る商品について使用されている商標を想起させるものとして、本件商標の登録出願時には、取引者、需要者の間に広く認識されていたと認め得るところである。そして、その著名性は現在においても継続しているものということができる。
(4)本件商標は、「EFILA」、「エフィラ」の文字よりなるところ、これを構成する文字は、全体として特定の語義を有する成語とはいえないものである。そして、本件商標は、その構成中に申立人らが「スポーツウエア、スポーツシューズ」等の商品について使用し、本件商標の登録出願前よりわが国の取引者、需要者の間に広く認識されている「FILA」の文字を有してなるものである。
さらに、本件商標は、その指定商品を第25類「被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、仮装用衣服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」とするものであるところ、その指定商品中には、引用商標4及び別掲(5)の商標が使用されている「スポーツウエア、スポーツシューズ」と同一の商品と認められる「運動用特殊衣服、運動用特殊靴」が含まれているばかりでなく、これら「スポーツウエア、スポーツシューズ」は、近時、一種ファッション性を有する商品として位置付けられているところから、ファッション関連の商品である他の指定商品も、申立人らが使用する商品「スポーツウエア、スポーツシューズ」とファッション関連の商品という点において密接な関係にあるものと認められる。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用した場合は、これに接する取引者、需要者は、「FILA」、「フィラ」の文字部分に強く印象付けられるというのが相当である。
そうすると、本件商標は、商標権者が本件商標を採択した意図とは全く無関係に、本件商標をその指定商品に使用する場合、取引者、需要者は、申立人らの使用に係る商標を連想、想起し、該商品が申立人らと組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
(5)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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