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Trademark Appeal Case

ゾッキの品質表示性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成7年審判第15673号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別紙に示すとおり、「ゾッキ」の片仮名文字及び「ZOKKI」の欧文字を二段に横書きしてなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成5年2月16日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、『この商標登録出願に係る商標は、「ゾッキ」及び「ZOKKI」の文字を二段に書してなるものであるところ、その指定商品を取扱う分野において、これらは「混ぜもののない、全部同じものでまとまっていること」及び「100%使用」を意味する語として普通に使用されているものであるから、前記意味に照応する商品、例えば、パンティストッキング等について使用するときは、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。』との理由により、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、別紙に示すとおり、「ゾッキ」、「ZOKKI」の各文字よりなり、第25類に属する被服その他の商品を指定商品とするものである。

しかして、本願商標を構成する上段の「ゾッキ」の文字部分は、一般に、『▲1▼ひとまとめ、ひとくくり、ひっくるめて▲2▼すべて同じものでまとまっていること、それだけであること』(株式会社三省堂1988年発行「大辞林」,「ぞっき」の項より)、又は、『もとは「単一素材のもの」の意。スパンデックス入りのサポート糸のみで編んだゾッキタイプのパンティーストッキングが注目され、広まった言葉。横縞が出ず、フィット感がある。』(朝日新聞社1996年発行「知恵蔵」,「ゾッキ」の項より)、或いは、『ゾッキとは総生(そうき)、つまり混ぜものがないという意味、ポリウレタン系弾性糸にナイロン糸を巻きつけたカバリング糸だけを使ったパンティーストッキング。肌触りが良く、しわやたるみが出にくいという特徴がある。最近ではゾッキという言葉がサポートタイプのパンティーストッキングの代名詞にまでなっている。』(株式会社集英社1996年発行「imidas(イミダス)」,「ゾッキタイプパンスト」の項より)等の意味合いで理解される語と認められる。

そして、構成下段の「ZOKKI」の文字部分は、特定の意味合いを表現し得る外国文字(語)とは認められないから、かかる構成にあっては、該文字部分は、前述「ゾッキ」又は「ぞっき」の邦語の表音をローマ字風に表記したものと理解されるに止まり、それ以上に何らの意味合いをも想起させ得ないものとみるのが相当である。

そこで、「ゾッキ」(又は「ぞっき」)の語について、衣料品、特に、下着関連の商品分野における取引事情をみてみると、以下の各点を認めることができる。

(1)1995年6月9日付「繊研新聞」(衣料品関連の業界紙)によれば、「レッグファッション」とする記事見出しの下、“パンティーストッキングの秋冬企画”として、当該業界の概括的状況ないしは当該メーカーの生産状況を「引き続きゾッキ中心」、「パンティーストッキングの・・・今秋冬企画の基本は・・・ゾッキ(サポート糸100%使い)タイプが中心、ゾッキ化の比率が数量ベースで3割に達する可能性もある・・・」、「ゾッキタイプに各社とも企画を集中させているのは間違いないこと」、「今秋冬企画の柱はゾッキタイプの拡充」、「タイツのゾッキ化を推進、今シーズンからタイツはすべてゾッキとする」、「昨年一年間でパンスト・タイツのゾッキ化比率は全生産数量の20%強とみられている」等々と解説し、また、同記事別掲の“有力メーカーの95・96年秋冬パンスト・タイツ企画”とする各社別ブランド(企画)名、商品の特徴等の生産状況表によれば、掲載全14社中、約半数のメーカーの製品について、ゾッキタイプを特徴とする旨の記述が認められる。

同じく、1996年6月14日付「繊研新聞」によれば、「レッグファッション」とする記事見出しの下、“96年秋冬パンスト・タイツ企画”とする記事解説別掲の“96年秋冬パンティーストッキング企画”なる各社別生産状況表によれば、全9社中、7社の製品について、「ゾッキ」を特徴とする旨の記述が認められる。

(2)1991年6月1日付日経流通新聞によれば、「パンティーストッキング−足にやさしい新機能商品が続々」とする記事見出しの下、「パンティーストッキングは高付加価値化が一段と進み、主力のサポートタイプはここ5年で市場の50%近くに拡大し・・・、こうしたなかで、ゾッキ(サポート糸100%使用)タイプや吸湿性など新しい機能を売り物にした新商品が人気を集めている」、「サポートタイプは、しわやたるみが少ない、肌にフィットしてシルエットが美しい、耐久性も高い・・・」、「サポートタイプに使うサポート糸には、伸縮性のあるポリウレタン弾性糸を芯にしてナイロン糸を二重に巻き付けた・・・ものがある」、「始めて100%サポート糸を使って、従来のサポートタイプの欠点を大きく改善したのが福助(株)のゾッキサポートだ」とする各解説が認められる。

同じく、1993年9月28日付日本経済新聞によれば、「伸縮性に富むパンスト、ゾッキタイプ生産拡大に躍起」とする記事見出しの下、「厚木ナイロン工業、福助などパンストメーカー各社がそろってゾッキタイプと呼ばれるパンティーストッキングの生産・販売強化に乗り出している。・・・サポートタイプと呼ばれるパンストの中でも、従来のサポートパンストが、ポリウレタン系弾性糸にナイロン糸を巻き付けたカバリング糸とナイロン糸を組み合わせて編んでいたのに対し、ゾッキはカバリング糸だけを使っている。・・・」との解説が認められる。

(3)前記(1)及び(2)のほか、婦人用ストッキング、タイツに係る関連各社の生産状況ないしはその当該製品特徴を紹介する1990年代初頭以降の業界新聞、産業新聞その他一般新聞等において、いわゆるサポート糸だけを使ったサポートタイプの製品を「ゾッキ」又は「ゾッキタイプ」と呼び、その機能特性(着圧・補整機能)等を解説している紹介記事が屡々掲載されていることが認められる。

(4)社団法人日本繊維製品消費科学会,1995年9月発行「アパレルガイドブック(レディス)」中の「8.パンティーストッキング」の項によれば、「・・・90年代の特徴としては従来の交編タイプのサポートストッキングに代わり、サポート糸100%で編んだ、ゾッキと呼ばれるオールサポートストッキングがクローズアップされている。」とする商品の歴史が述べられ、また、同項細目において、「ゾッキタイプ」の編組織が図解入りで説明されていることが認められる。

以上の(1)乃至(4)の各点よりすれば、「ゾッキ」(ZOKKI)の文字は、衣料品、特に靴下、タイツ等の商品分野においては、着圧・補整機能を持つサポート糸だけを使ったいわゆるサポートタイプの商品、すなわち、ポリウレタン系弾性糸にナイロン糸を巻きつけたカバリング糸のみにより製したもの、又はその類型品について、その機能特性を端的に表したものと容易に認識し理解し得るものであり、かつ、これを取引上普通に使用しているものと判断するのが相当である。

請求人は、請求理由において、「ゾッキ」(ZOKKI)の語は国語事典、広辞苑等において掲載されていないか、もしくは原査定説示の意味合いの語として掲載されているものではないから、既に死語というべきものであり、また、該語は件外日清紡績株式会社がその製造に係る糸について独自に使用しているものであって、繊維業界において格別の意味を有する用語としては通用していない旨述べ、私的契約書を含む証拠資料(甲第11号証乃至甲第28号証)を提出しているが、前記認定の各事実に照らし、「ゾッキ」(ZOKKI)の語は、現今、特にストッキング、タイツ等の商品分野の取引者間においては、いわゆる前記機能特性を備えたサポートタイプの製品のいわば代名詞的な役割を果たしているものとみるのが相当であるから、この実情よりして、もはや、繊維業界において格別の意味を有しないものということはできないし、また、直ちに特定事業者に係る商標等と関連づけて想起することも困難な客観情勢にあるといわなければならない。

そして、一般に、現象面に左右され易い傾向にあるというべき需要者にあっては、請求人等の商標の採択事情の如何に関わりなく、実勢として前記の客観情勢を把握するであろうことは見易いところであって、「ゾッキ」(ZOKKI)の語より容易に前記機能特性を備えた製品の品質等表示と認識し理解するとみるのが取引の実情に照らし相当であり、したがって、これらの点について述べる請求人の主張は採用の限りでない。このほか、前記認定を覆すに足りる証左は見出せない。

そうすると、本願商標をその指定商品中の着圧・補整機能を備えたいわゆるオールサポートタイプの商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記各事情よりして、該商品の品質、原材料又は機能、効能を表したものと理解するに止まり、それをもって、商品の出所を識別するための標識とは認識し得ないものであり、また、これを前記タイプ以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。

してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ないから、同法条の規定に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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