Trademark Appeal Case
著名商標の称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2002−90489(T2002−90489/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4561099号商標(以下「本件商標」という。)は、「IPAQET」の欧文字と「アイパケット」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成13年2月7日登録出願、第7類「金属加工機械器具,プラスチック加工機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,集積回路製造装置,半導体製造装置,ゴム製品製造機械器具,ガラス器製造機械,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。」、第9類「電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品」、第35類「広告,商品の販売に関する情報の提供,商品の販売店に関する情報の提供,市場調査」、第37類「印刷用又は製本用の機械器具の修理又は保守,ガラス器製造機械の修理又は保守,金属加工機械器具の修理又は保守,ゴム製品製造機械器具の修理又は保守,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の修理又は保守,電気通信機械器具の修理又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守,廃棄物圧縮装置の修理又は保守,廃棄物破砕装置の修理又は保守,集積回路製造装置の修理又は保守,半導体製造装置の修理又は保守,プラスチック加工機械器具の修理又は保守」及び第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」を指定商品及び指定役務として、同14年4月19日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第4460003号商標(以下「引用商標」という。)は、「iPAQ」の欧文字と「アイパック」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成12年4月12日に登録出願、第9類「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同13年3月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
引用商標「iPAQ」は、インターネットデバイス及びPDAについて、申立人の著名な商標であるから、取引者、需要者に強い印象を与えるものである。
そして、本件商標構成中の「IPAQ」の文字部分は、引用商標「iPAQ」の文字と同一であるから、本件商標は、「IPAQ」の文字部分から「アイパック」の称呼を生ずる。
また、引用商標は、「iPAQ」欧文字よりなるものであるから「アイパック」の称呼を生ずる。
したがって、本件商標と引用商標とは、共に「アイパック」の称呼を共通にするものである。
また、本件商標中、第9類の指定商品の属する「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」と引用商標の指定商品とは、互いに類似するものである。
(3)商標法第4条第1項第10号及び第15号について
ア)申立人の商標「iPAQ」の著名性について
「iPAQ」は、申立人の著名な略称であり、インターネットデバイス及びPDAの商標として著名である(甲第3号証乃至甲第11号証)。
昨今、インターネットを活用しビジネスの生産性を一層向上させるためのデバイスとしてのニーズが高まっている。そこで、2000年9月、申立人の子会社コンパックコンピュータ株式会社は、「iPAQ Internet Device」の販売を開始した(甲第3号証の第7頁及び第8頁)。次いで、2001年3月、「iPAQ Internet Device」のコンセプトを受け継ぎつつ機能を一新したインターネット端末「iPAQデスクトップパーソナルコンピュータ」の販売を開始した(甲第3号証の第9頁乃至第11頁)。また、多数のウェブサイトに詳細が紹介されている(甲第7号証の第3頁乃至第8頁、第46頁乃至第82頁)。
我が国の雑誌でも多数「iPAQ Internet Device」に関する記事も掲載されている(甲第11号証)。米国においては、2000年4月に、「iPAQ Pocket PC」PDAの発売が開始された(甲第3号証の第14頁乃至第16頁)。この商品は非常に好評で、2001年1月のダボス会議では「iPAQ Pocket PC」PDAが活用された(甲第3号証の第17頁及び第18頁)。2001年6月には、「iPAQ Pocket PC」PDAは累計100万台を突破した。
上記PDAに関しては、我が国においては、2001年4月11日に「iPAQ Pocket PC」PDAとして発表された(甲第3号証の第21頁乃至第23頁)。「iPAQ Pocket PC」PDAは、2001〜2002のグッドデザイン賞を受賞した(甲第3号証の第1頁、甲第9号証)。
また、「インフオシーク」検索エンジンで「iPAQ」を調査すると、結果として1675件が検索される(甲第4号証)。他社のウェッブサイトでも、「iPAQ」が記載されている(甲第5号証)。さらに、「iPAQ Pocket PC」PDA用のオプションやシステムも各社から用意されている(甲第6号証)。さらにまた、「iPAQ Pocket PC」PDAに関する書籍も発行され、ウェブサイトでも紹介されている(甲第7号証の第1頁及び第2頁、第9頁乃至第45頁)。
PDAのシェア一としては、世界では2001年4月〜6月期では16.1%(甲第10号証、米国市場調査会社データクエストによる)、我が国においては15.3%となっている(甲第10号証、BCNランキングによる、BCNランキングとは東名阪の大手パソコン販売店12社(エイデン、大塚商会=αランド、グッドウィル、コンプ100満ボルト、コンプマート、CSKエレクトロニクス=T・ZONE、上新電機、ソフマップ、九十九電機、ニノミヤ、ビックピーカン、ワンダーコーポレーション=50音順)556店舗(2002年1月1日現在)のPOSデータを日次で収集し、会員向に配信するパソコン関連製品のPOSデータベースサービスである)。余りに多数売れたため、商品の発送まで時間がかかる旨の広告も出した(甲第11号証の第22頁)。
以上述べたように、申立人の商標「iPAQ」はアメリカだけでなく、我が国においても、本件商標の出願時である平成13年2月7日以前より広く知られていたことは明らかである。
イ)混同の可能性について
商標「iPAQ」が、申立人の著名な商標であることは前述の通りである。上記の如く、本件商標と引用商標とは類似し、また、申立人の著名な商標「iPAQ」を含んでいるものである。さらに、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは類似するものである。しかも、出願人は、PAQファミリー商標(「ーPAQ」とPAQを含む商標)を多数所有している(甲第8号証)。 したがって、「PAQ」を含む本件商標がその指定商品・役務について使用された場合には、当該商品・役務はあたかも申立人若しくは申立人と関連する企業によって提供されたものであるかの如く、或いはPAQファミリー商標であるかの如く、その出所の誤認混同が生ずることは明らかである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用商標とは類似するものである。また、商標権者は、「iPAQ」の世界的著名性を利用して不正の利益を得る目的をもって本件商標を使用するものといえる。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
(5)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、「iPAQ」の著名性に依拠し、これを模倣して出願したもので、国際信義を損なう商標である。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。
(6)したがって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中の第7類「金属加工機械器具,プラスチック加工機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,集積回路製造装置,半導体製造装置,ゴム製品製造機械器具,ガラス器製造機械,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。」、第9類「電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品」、第37類「印刷用又は製本用の機械器具の修理又は保守,ガラス器製造機械の修理又は保守,金属加工機械器具の修理又は保守,ゴム製品製造機械器具の修理又は保守,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の修理又は保守,電気通信機械器具の修理又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守,廃棄物圧縮装置の修理又は保守,廃棄物破砕装置の修理又は保守,集積回路製造装置の修理又は保守,半導体製造装置の修理又は保守,プラスチック加工機械器具の修理又は保守」及び第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」について取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、申立人の「iPAQ」の文字よりなる引用商標が著名であるとして、甲第3号証ないし甲第11号証
を提出している。
そこで、提出されている各証拠を検証する。
(ア)「コンパックのウェブサイト」(甲第3号証)によれば、申立人の子会社であるコンパックコンピュータ株式会社が、我が国において「iPAQ Internet Device」の販売を開始したのは、2000年9月であり、本件商標登録出願日(2001年2月7日)以前のことであるが、該商品の機能を一新したインターネット端末「iPAQデエィスクトップパーソナルコンピュータ」の販売を開始したのは、2001年3月であり、また、「iPAQ Pocket PC」PDAの販売を開始したのは、2001年4月11日であるから、本件商標登録出願日以後のことである。
(イ)「インフォシークの検索結果」(甲第4号証)は、すべて、本件商標登録出願日以後に更新されたものである。
(ウ)「東芝のウエブサイト」(甲第5号証)、「iPAQファミリー商標リスト」(甲第8号証)は、コンパック製品の一つに「iPAQ」があり、また、申立人が「ーPAQ」文字の含む商標を所有してというだけで、「iPAQ」の著名性を立証するものではない。
(エ)「第三者のウエブサイト」(甲第6号証)には、本件商標登録出願以後のものが含まれ、また「iPAQ商品に関するニュース」(甲第7号証)は、申立人と「株式会社シマンテック」の間で提携が行われたこと及び米国で「iPAQコンピュータ」の発表が行われたことに関する記事であり、商品の著名性を立証するものではない。
(オ)「iPAQ Pocket PCのグッドデザイン賞を受賞サイト」(甲第3号証、甲第9号証)は、デザインが優れていたことに対する賞であり、著名性とは直接関係がない。
(カ)「モバイルマーケットの市場占有率」(甲第10号証)は、本件商標登録出願日以後のものである。
(キ)「iPAQ Internet Device」及び「iPAQ Pocket PC」PDAの広告記事(甲第11号証)は、広告の一覧表にすぎず、どのような内容の広告がなされたかのか不明である。
以上の如く、申立人が提出した証拠だけでは、申立人の商標が、本件商標登録出願の時に、我が国の需要者間に申立人の業務に係るものとして広く知られていたものとは認め難い。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「IPAQET」の欧文字と「アイパケット」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなるものであるところ、「IPAQET」及び「アイパケット」は、それぞれ、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、一連に書されているものであり、また、「IPAQET」の欧文字より生ずると認められる「アイパケット」の称呼も格別冗長とはいえず、よどみなく一連に称呼し得るものである。
ところで、一般に欧文字と片仮名文字を併記した構成の商標において、その片仮名文字部分が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものとして無理なく認識し得るときは、片仮名文字部分より生ずる称呼が、その商標より生ずる自然の称呼とみるのが相当である。
そして、我が国において広く一般に使用されている英語において、語頭の「I」は、「アイ」と称呼されることが多く、「PA」は、「パ」、「Q」は「ク」及び「ET」は、「エット」と称呼されることよりすれば、本件商標構成中、下段の「アイパケット」の片仮名文字は、上段の「IPAQET」の欧文字の称呼を特定したものと無理なく認識し得るというべきである。
そして、本件商標は、殊更、構成中の「IPAQ」の文字部分のみを分離して称呼しなければならないとする特段の事由が存するものとも認め得ないものである。
そうとすれば、本件商標は、下段に表されている振り仮名にしたがって「アイパケット」の一連の称呼のみを生じさせる商標とみるのが相当である。
他方、本件商標は、「iPAQ」の欧文字と「アイパック」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなるものであるところ、「iPAQ」及び「アイパック」は、それぞれ、同じ大きさ、同じ間隔で、一連に書されているものであり、また、「iPAQ」の欧文字より生ずると認められる「アイパック」の称呼も格別冗長とはいえず、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、我が国において広く一般に使用されている英語において、語頭の「i」は、「アイ」と称呼されることが多く、「PA」は、「パ」及び「Q」は「ク」と称呼されることよりすれば、本件商標構成中、下段の「アイパック」の片仮名文字は、上段の「iPAQ」の欧文字の称呼を特定したものと無理なく認識し得るというべきである。
そうとすれば、引用商標は、下段に表されている振り仮名にしたがって「アイパック」の一連の称呼のみを生じさせる商標とみるのが相当である。
そして、本件商標より生ずる「アイパケット」の称呼と引用商標より生ずる「アイパック」の称呼とは、前半部において「アイ」の2音を共通にするものであるが、後半部において「パケット」と「パック」と著しく相違し、この差異が、比較的短い音構成よりなる両称呼全体に及ぼす影響は大きく、両称呼をそれぞれを一連に称呼した場合には、全体の語調、語感が相違し、称呼上十分聴別し得るものである。
また、本件商標と引用商標とは、外観上、判然とした差異を有し、いずれも造語よりなるものと認められるものであるから、観念上比較すべくもないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点おいても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
引用商標は、本件商標登録出願の時に申立人の業務に係るものとして、我が国の需要者間に広く知られていたものでないことは、上記(1)で述べたとおりであり、本件商標と引用商標が非類似の商標であることは、(2)で述べたとおりである。
したがって、本件商標は、他人の業務にかかる商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品について使用するものであるとはいえない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、本件商標登録出願の時に申立人の業務に係るものとして、我が国の需要者間に広く知られていたものでないことは、上記(1)で述べたとおりである。
したがって、本件商標は、これを商標権者がその指定商品及び指定役務に使用しても、その商品及び役務が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の商品及び役務であるかのごとく、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれのある商標であるとはいえない。
(5)商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用商標が非類似の商標であることは、(2)で述べたとおりであり、また、請求人が提出した証拠によっては、「かつ不正の目的(不正の利益を得る目的その他の不正の目的)をもって使用するもの」とは、認められないものである。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的を持って使用するものとはいえない。
(6)商標法第4条第1項第7号について
本件商標と引用商標が非類似の商標であることは、(2)で述べたとおりであり、また、請求人が提出した証拠によっては、「本件商標は、『iPAK』の著名性に依拠し、これを模倣して出願したものである」とは、認められないものである。
したがって、本件商標は、国際信義に反し、公共の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるということはできない。
(7)結び
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品及び指定役務について、商標法第4条第1項第7号、第10号、第11号、第15号及び第19号の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものする。
よって、結論のとおり決定する。
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