Trademark Appeal Case
語頭子音の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2002−68001(T2002−68001/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件国際登録第756840号商標(以下「本件商標」という。)は、「BULLETZ」の文字を横書きしてなり、2000(平成12)年11月17日付でイタリア国においてした出願に基づきパリ条約第4条の規定による優先権を主張して、2001(平成13)年4月9日を国際登録の日とし、第30類「Chewinggum,candies,lollipops,pastries,confectionery products.」を指定商品として、平成14年1月18日に設定登録されたものである。
2 引用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用した登録第1028688号商標(以下「引用1商標」という。)は、「PRETZ」及び「プリッツ」の文字を二段に横書きしてなり、昭和41年10月6日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同48年8月27日に設定登録、その後、同58年8月29日及び平成5年10月28日の二度に亘り商標権存続期間の更新登録がされたものである。
同じく、登録第2431347号商標(以下「引用2商標」という。)は、「プリッツ」の文字を横書きしてなり、平成1年8月21日に登録出願、願書に記載したとおりの区分及び商品を指定して、同4年6月30日に設定登録、その後、同14年4月2日に商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品について、第30類「菓子、パン」とする書換の登録が同14年4月24日にされたものである。
同じく、登録第2431348号商標(以下「引用3商標」という。)は、「PRETZ」の文字を横書きしてなり、平成1年8月21日に登録出願、願書に記載したとおりの区分及び商品を指定して、同4年6月30日に設定登録、その後、同14年4月2日に商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品について、第30類「菓子、パン」とする書換の登録が同14年4月24日にされたものである(以下、引用1商標ないし引用3商標をまとめていう場合には、「引用商標」という。)。
3 登録異議申立の理由の要点
(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当について
本件商標は、英文字で書してなり、これを自然に発音した場合「ブレッツ」若しくは「ブリッツ」と発音されることは、商標登録公報の「検索用文字商標」欄に「ブレッツ、ブリッツ」と記載されていることから明らかである。
これに対して、引用1商標及び引用3商標の構成中の「PRETZ」の文字は、これを自然に発音した場合、「プレッツ」又は「プリッツ」の称呼を生ずる。
しかも、本件商標と引用商標は、いずれも特定の意味合いを有しない造語であり、その相違するところは、いずれも3音プラス促音の構成のうち、語頭の「b」と「p」音のみである。
そして、これらの差異は、単に子音1音の違いと言うにとどまらず、口の形を共通にする有声音と無声音との関係にあり、極めて類似性が高いものである。
さらに、本件商標及び引用商標の場合、自然に発音すれば第一アクセントは二音目にくるものと思われ、かくのごとき構成においては、語頭といえど、発音は弱く曖昧になり、「ブ」と「プ」の音の聴き分けは困難になるため、両者はきわめて聴き誤りやすいものと考えられる。
また、本件商標と引用商標は、指定商品において類似している。
以上のとおり、本件商標と引用商標は、称呼及び指定商品において類似するため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当について
申立人は、昭和39年に「プリッツ」という商標に係る商品を発売した。それまで「プレッツェル」というとドイツを発祥とし、ビールのつまみに用いられる塩味の固いパンを意味していたが、これを子供にも食べられるようにするために、スティック状の甘いクラッカーに仕上げ、「プレッツェル」を語源として「プリッツ」という名称を付して販売した(甲第17号証)。当該商品は、発売40周年を迎えようとするロングセラーのヒット商品に育っている。
申立人は、常に新しい味を追加しながら「プリッツ(PRETZ)」の名称を付した「スティック状のビスケット菓子」の販売を続け、平成4年には161億円を記録する超大ヒット商品になっている(甲第19号証)。現在でも80億円を売り上げ、ライフサイクルの短い菓子業界において、40年近く売れ続けているロングセラーである。常にその時々の売れっ子のタレントを起用した大量の広告も行い(甲第20号証)、現在販売されているアイテムは、地方限定のお土産物用の8種類を含めると17種類にものぼっている(甲第21号証及び甲第22号証)。海外でも日本人観光客の多い地域で4種類を販売している。
「プリッツ」については、「このブランド名を知らない人はいないであろう」との記述もあり(甲第23号証)、ビスケット類の販売ランキングにおいても各種アイテムが上位に多数入っている(甲第26号証)のをはじめ、各種雑誌、新聞等において広くとり上げられており(甲第23号証、甲第27号証)、「プリッツ」の地域限定アイテムは、その地域でしか手に入らない商品として人気が高く、お土産物として、雑誌等においても多数取り扱われている(甲第28号証、甲第31号証)。
これに対し、本件商標は、登録公報の称呼(参考情報)に「ブリッツ」と示されていることからも推測できるように、本件商標を「ブリッツ」と称呼する人は少なからずいるものと思われる。仮に、単純に称呼を比較した場合、語頭の「ブ」と「プ」が無視できない差異と解釈され、「商標上は非類似」との判断が出されたとしても、この程度の差異であれば、一方の商標が著名であった場合、他方の商標は、そちらに「誘引される」という現象が起こり得ると考えられる。すなわち「ブリッツ」の名称で本件指定商品を流通させたとき、需要者は、著名な「プリッツ」であるかのように認識を誤り、その品質について誤認する。かくの如き事態は、「商標の自他商品識別標章としての働き」が全うされていないともいうべきであり、商標法の趣旨に反するものと考えられる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するから、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当について
本件商標は、「BULLETZ」の文字を書してなるところ、これは、例えば、「弾丸」等の意味を有する英語の複数形「bullets」[研究社新英和大辞典第5版285頁]とほぼ同一の綴り字よりなることと、該「bullets」が「ブレッツ」又は「ブリッツ」と称呼されることよりすれば、末尾の「z」と「s」の違いがあるとしても、英語読み風に「ブレッツ」又は「ブリッツ」と称呼されるとみるのが相当である。
これに対して、引用1商標は、「PRETZ」及び「プリッツ」の文字を二段に横書きしてなるところ、一般に欧文字と仮名文字を併記した構成の商標において、その仮名文字部分が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識できるときは、仮名文字部分より生ずる称呼がその商標より生ずる自然の称呼とみるのが相当である。
そうすると、引用1商標は、その構成に照らし、「プリッツ」の称呼を生ずるものというべきである。
次に、引用2商標は、「プリッツ」の片仮名文字を書してなるから、「プリッツ」の称呼を生ずること明らかである。
さらに、引用3商標は、「PRETZ」の欧文字を書してなるところ、英語「pretzel」が「プレッツェル」と称呼されることに倣い、英語読み風に「プレッツ」と称呼されるとみるのが相当である。
そこで本件商標より生ずる「ブレッツ」又は「ブリッツ」の称呼と引用商標より生ずる「プレッツ」又は「プリッツ」の称呼を比較するに、両者は、いずれも3音という短い音構成からなり、称呼識別上重要な要素を占める語頭において「ブ」と「プ」の音の差異を有するものである。しかも、この両音は、いずれも語頭にあって、最も強く発音されることから、これらの差異が両称呼の全体に及ぼす影響は大きく、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときには、全体の音調、音感を著しく異にし、彼此相紛れるおそれはないものといわなければならない。
また、本件商標と引用商標は、いずれも特定の語義を有しない一種の造語というべきであるから、観念上比較すべくもないものである。
さらに、本件商標と引用商標とは、それぞれの構成文字において明らかな差異を有するから、両商標は外観上判然と区別し得るものである。
してみれば、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたとはいえないものである。
なお、申立人が掲げる審査例は、本件とは商標の構成態様が異なり、事案を異にするものであるから、本件と同列に論ずることはできない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当について
申立人の提出した甲第17号証、甲第20号証ないし甲第31号証(枝番を含む。)を総合するに、「プリッツ」は、申立人が商品「ビスケット」に使用し、本件商標の登録出願時には、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認め得るとしても、前記のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり、これに接する取引者、需要者も両者を別異の商標として容易に理解し、認識するといえるものであって、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、申立人の引用商標を連想又は想起させるようなことはなく、該商品が申立人又は同人と組織的又は経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について誤認・混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたとはいえないものである。
(3)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号の規定に違反して登録されたものということはできないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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