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Trademark Appeal Case

死者名の商標と公序良俗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成8年審判第13778号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別紙に表示したように、「HITCHCOCK」の欧文字を上段に、「ヒッチコック」の片仮名文字を下段に書してなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴合わせくぎ,靴くぎ,靴のひき手,靴びょう,靴保護金具,その他の靴類,げた,草履類,運動用特殊衣服,乗馬靴,その他の運動用特殊靴」を指定商品として、平成6年7月30日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、世界的に知られている米国の映画監督であった『Alfred Hitchcock』の著名な略称と認められる『HITCHCOCK』、『ヒッチコック』の文字を書してなるものであるから、死者、その遺族の名誉及び国際信義を考慮すれば、これを他人である出願人が商標として採択使用することは、社会の一般的道徳観念に反するものであり、公の秩序を害するおそれかあるものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨の理由で本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

原査定が引用した「Alfred Hitchcock」について当審において調査したところ、以下のことが認められる。

▲1▼「ヒッチコック Hitchcock」として、「Alfred Joseph 1899〜 アメリカの映画監督。イギリスに生まれ、1925監督としてデビュー。.........スリラー映画の代表的監督。」との記載(コンサイス人名辞典−外国編−1980年2月1日第5刷三省堂発行)。

▲2▼「ヒッチコック」として、「[アルフレッド]Hitchcock,Alfred 1899〜1980 映画監督。ロンドン郊外生まれ。1939年にハリウッドに渡り.........」との記載(演劇映画テレビ舞踊オペラ百科1983年2月10日発行株式会社平凡社)。

▲3▼「年末のお薦めテレビ番組/上 劇映画」との見出しのもと「.........NHK総合は、29日から3日間の夕方、『ザ・ヒッチコック劇場』を字幕で放送する。.........」との新聞記事(1993年12月21日付 毎日新聞)。

▲4▼「トーメンとエッチェボンド、ヒッチコック監督と作品素材に、CD−ROM化権を取得」との見出しのもと「トーメンと...エッチェボンドは、米ユニバーサル映画からヒッチコック監督と同監督の映画に関する国内でのCD−ROMの制作・販売権を獲得した。.........」との新聞記事(1998年1月19日付 日経産業新聞)。

▲5▼「ヒッチコック」として、【Alfred Hitchcock】「イギリス生まれの映画監督。アメリカで名声を獲得。スリラー映画を得意とし、.........(1899ー1980)」との記載(広辞苑第五版1998年11月11日発行)。

▲6▼「サスペンス映画の神様、アルフレッド・ヒッチコック 特別企画 ヒッチコック生誕100年」とのタイトルとともに、ユニバーサルスタジオ提供に係る同監督の映画が、衛星放送「WOWOW」で本年9月に放映されることが宣伝されていること(1999年9月1日付 CNNタイムス 株式会社イディア発行)。

以上のことからすれば、「Alfred Hitchcock」は、1899年にイギリスで生まれ、1980年に死亡した、米国の映画監督であって、同監督とその作品は、生前はもちろん、その死後においても米国のみならず、我が国においても広く知られ、かつ、単なる映画人としてではなく、国際的に著名な文化人として名声を博し、これか現在に至るも継続しているということができ、故人は、米国および同国民にとって名誉を象徴する人物といっても差し支えないものである。

さらに、故人の作品は、米国のユニバーサル映画社により現在も配給され、我が国においても広く鑑賞されているといえるものである。

しかして、本願商標は、前記した構成よりなるところ、「HITCHCOCK」及び「ヒッチコック」の文字は、他に、「HITCHCOCK」あるいは「ヒッチコック」と略称される著名な人物が存在するとの証左も認められないことから、これに接する者は、ここから直ちに前記の「Alfred Hitchcock」を想起し、これか、同人の著名な略称を表示したものと認識するというべきである。

ところで、商標法第4条第1項第7号は、出願に係る商標の構成自体が公序良俗に反する場合だけではなく、これを使用することが、社会の一般的道徳観念に反し、あるいは、我が国と諸外国との国際信義に反するものも含まれると解されるものである。

しかして、本願商標は、ここから、直ちに、上記の「Alfred Hitchcock」の著名な略称を表示したものと認識されること前記のとおりであって、本願商標は、現在も継続している「Alfred Hitchcock」の名声を利用するものであり、これを、故人と何等の関係もない請求人(出願人)が使用することは、故人の名誉、米国民の心情、我か国と米国との国際関係に照らせば、社会の一般的道徳観念に反し、また、米国との国際信義にも反するものであって、公の秩序を害するおそれがあるというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するであるから、この理由をもって本願を拒絶した原査定は妥当なものであって取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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