sokuhyo

Trademark Appeal Case

著述の役務該当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成8年審判第17249号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「小泉清子」の文字を横書きしてなり、第41類「著述」を指定役務として、平成4年9月3日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由

原審は、本願の指定役務が不明確であるとして出願人に説明を求めた結果、「本願の指定役務『著述』は、平成6年4月15日付け提出の物件提出書を徴するに、一般的に行われる『書籍の著述』であると認められるところ、『著述』は自己のために行う知的生産活動にすぎないものであって、それ自体が商取引の対象となるものではないから、商標法上の役務ということができず、当該区分に属する役務を指定したものとは認められない。したがって、本願は商標法第6条第1項の要件を具備しない。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張

本願商標の指定役務「著述」は、岩波書店発行「広辞苑」によれば、「書物を書きあらわすこと、また、その書きあらわした物」と定義されている。つまり、「小泉清子」が書籍であるところの例えば「きものの国のレディーたちへ」「素敵なステキな着物」等の書籍を書きあらわすこと自体が著述であると理解すべきであり、したがってその著作物の作家名を保護すべきは当然のことと理解するものである。

著述された書籍が取引の対象となっていることは周知な事実であり、かつ、著述された書籍とその著述者とは極めて密接な関係を有するものである。つまり、書籍と著述とは不離一体の関係にあり、書籍が商取引の対象となり得る以上著述も商取引の対象となり得ることは当然の帰結である。

例えば、ある書籍を著述した場合に、その対価が商取引の対象となり得ることは勿論、著述のみを譲渡あるいは担保とすることは法律上許容あるいはあり得ることである。

4 当審の判断

本願の指定役務として表示された「著述」は、原審において提出された物件提出書によれば、「きものの国のレディーたちへ」、「素敵なステキな着物の本」、「素敵なきものステキな着つけ」と題する3点の書籍の著者として「小泉清子」の表示がされていること、これらの書籍は一般に市販される単行本と認められることからして、一般的な書籍の著者としての著述といえる。

そこで、本願の指定役務が上記のようなものであることを前提として、これが商標法にいう役務といえるかどうかについて検討する。

ところで、商標法は、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、....商標登録を受けることができる。」と規定する(同法第3条第1項)とともに、商標及びその使用については定義規定(同法第2条参照)を置いているが、商品及び役務が何であるかについては特に定義しておらず、これは専ら社会通念に委ねられているものといえる。しかして、社会通念に照らし、商標法にいう「商品」は「商取引の対象となる有体動産であって、それ自体流通過程にのせられ転々流通するもの」と解されるのに対し、「役務」は「他人のために提供する労務又は便益であって、独立して取引の対象となるもの」と解するのが相当である。

これを本件についてみるに、確かに「著述」は「書物を書きあらわすこと、また、その書きあらわした物」を意味するものであるか、本願指定役務の「著述」は、著作者「小泉清子」が専ら自己の思想、知見等を示すために提供する労務であって、著作者の目的は著述のみに止まらず書籍として刊行することにあるというべきであり、その書籍は商取引の対象となる商品といえるものである。そして、その書籍に示された「小泉清子」は、自己の思想、知見等を書きあらわした著作者として位置付けられるものとみるべきである。そうすると、この「著述」自体が他人のために独立して行われているとはいい難く、それ自体が独立して取引の対象となっているものとは認められない。

以上を総合すると、本願の指定役務は、商標法にいう役務ということはできない。

なお、請求人は、書籍とその著作者とは極めて密接な関係を有し、書籍と著述は不離一体の関係にあり、書籍か商取引の対象となる以上、著述も商取引の対象となり得ることは当然の帰結である旨主張している。

確かに、書籍とその著作者とが極めて密接な関係にあることは事実であり、著述が商取引の対象となり得る場合があることも否定するものではない。しかしながら、商標法上でいう役務としての著述は、上記のとおり、他人のために提供される労務であって、独立して取引の対象となっているものというべきであるから、商取引の対象となるということのみをもって商標法上の役務ということはできないので、請求人のこの主張は採用することができない。

結局、本願が商標法第6条第1項の要件を具備しないとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。