結論テキスト
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2001−35333(T2001−35333/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4435623号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、平成12年3月7日に登録出願、第16類「電気掃除機用紙製集塵袋,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,紙類,紙製包装用容器,衛生手ふき,型紙,紙製テーブルクロス,紙製テーブルナプキン,紙製タオル,紙製手ふき,紙製のぼり,紙製旗,紙製ハンカチ,紙製ブラインド,紙製幼児用おしめ,裁縫用チャコ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,遊戯用カード,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印刷用インテル,印字用インクリボン,活字,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,装飾塗工用ブラシ,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,封ろう,マーキング用孔開型板,郵便料金計器,輪転謄写機,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、平成12年11月24日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2700756号商標(以下「引用商標A」という。)は、別掲2に示すとおりの構成よりなり、平成4年年3月31日に登録出願、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、平成6年12月22日に設定登録されたものである。同じく登録第2700757号商標(以下「引用商標B」という。)は、別掲3に示すとおりの構成よりなり、平成4年3月31日に登録出願、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、平成6年12月22日に設定登録されたものである。同じく登録第1712234商標(以下「引用商標C」という。)は、別掲4に示すとおりの構成よりなり、昭和56年11月24日に登録出願、第26類「雑誌」を指定商品として、昭和59年9月26日に設定登録、その後、平成7年2月27日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。同じく登録第2240819商標(以下「引用商標D」という。)は、別掲5に示すとおりの構成よりなり、昭和62年11月13日に登録出願、第26類「雑誌、新聞」を指定商品として、平成2年6月28日に設定登録、その後、平成12年2月8日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。(以下、これらの引用商標を一括していう場合は「引用各商標」と総称する。)
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第82号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)引用各商標は、本件商標との関係で、先願・先登録である。
(2)本件商標の指定商品及び引用各商標の指定商品は、それぞれ前記のとおりである。したがって、本件商標の指定商品のうち、引用各商標の各指定商品中「印刷物,書画,写真,写真立て」については、本件商標と同一若しくは類似する商品である。
(3)標章の類似性
ア 引用商標Aは、請求人の被承継人である「コンデ・ナスト・パブリケーションズ・インコーポレーテッド」(以下「コンデ・ナスト社」という。)がアメリカにおいて、1957年(昭和32年)に創刊した男性用ファッション雑誌あるいは男性用ライフスタイル雑誌のタイトルとして使用している商標である。この「男性用ライフスタイル雑誌」は当初より「GENTLEMEN’S QUARTERLY」の文字とともに、その頭文字の2字をとってタイトルを「GQ」としたものである。
この「GQ誌」は、昭和32年より44年間の永年に亘り継続的に発行され、現在に至っている。
したがって、「GQ」の2文字は、単に「G」と「Q」の2文字からなる識別性を欠く標章ではなく、「GENTLEMEN’S QUARTERLY」の文字(甲第7号証の1ないし21参照)とともに、その頭文字の略称として「GQ」が採択され、タイトルに使用され、取引者,需要者に認識されているものである。
この点については、昭和60年(1985年)11月20日発行の「気になるアメリカ雑誌」(甲第8号証)によっても明らかである。
イ 我が国における「GQ」標章の使用開始時期
アメリカ「GQ誌」は、我が国へは1961年(昭和36年)から「日本洋書販売配給株式会社」(以下「洋販」という。)を通して輸入され、販売され、現在に至っている(甲第9号証の1ないし20)。注目すべきは、日本においても、1969年頃から洋販では、既に「G.Q.」と頭文字を略して使用していた事実である。したがって、取引者,需要者(読者)も「G.Q.」あるいは「GQ」として認識していたという事実の存在である。
ウ 一方、本件商標は、片仮名の「スーパー」の文字とローマ字の「GQ」の文字が横一列に記載され、かつ、「G」の上に小さい平仮名で「ごみ」と表示された構成である。「G」の文字には「ごみ」の観念など全くないから、「ごみ」は一方的なあて字であると考えられる。
したがって、商標の構成としては、二段書きであり、上段の「ごみ」と下段の「スーパーGQ」とから構成されていると考えるべきであり、そのうち、片仮名の「スーパー」が通常の「超」、「極上の」等を意味する形容詞として存在するものと捉えられる。
このため、「スーパー」の部分には指定商品中、特に「電気掃除機用紙製集塵袋」の性能、性質、機能を表した識別力がない部分に該当し、本件商標の要部は、残されたローマ字の「GQ」の部分にあるものと解するのが自然であろう。
エ 上記の前提に立って本件商標と引用各商標が標章として類似するか否かを考慮すると、
(ア)両者は、「GQ」の部分を要部とするから、明らかに外観が同一又は類似である。全体観察したとしても、前記したように「スーパー」の部分は識別力を欠く部分である以上、両者は外観の点で類似する商標として捉えるべきである。
(イ)両者は、「GQ」の部分を共通とするため、「ジィキュー」又は「ジイキュウ」と同−称呼となる。したがって、全体として「スーパージィキュー」又は「スーパージイキュウ」の称呼が生じても、要部の「ジィキュー」又は「ジイキュウ」の点で共通することになり、両者は称呼の点で類似する商標とみるのが自然である。
(ウ)観念上は、両者間での類似関係は特に生じないものである。
以上を総合すると、引用各商標と本件商標とは、外観及び称呼が同一であり、したがって、両者は類似する商標というべきである。
上記のように、引用各商標との関係で、本件商標は、後願、指定商品が同一又は類似の存在、標章の類似の点から判断して、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
(1)引用商標Aの世界的な著名性について
ア 請求人の発行に係る「GQ誌」は、アメリカで男性用ファッション雑誌、あるいは男性用ライフスタイル雑誌として1957年(昭和32年)に創刊されて以来、44年もの長年月に亘り継続的に発行され、現在はアメリカ以外の世界各国においても発行されている世界的な著名性を有する男性用の雑誌のタイトルである。
イ 引用商標Bを付した雑誌、すなわち「GQ誌」の世界的著名性を客観的に立証する証拠として、請求人は、まずアメリカ合衆国(北米)をはじめ、日本、ヨーロッパ・北欧、韓国を含むアジア諸国、中近東、南米諸国、アフリカ諸国、オーストラリア等、実に100ヶ国を超える諸外国に登録され、あるいは出願されている(甲第10号証の1ないし同第101号証)。これだけ膨大量の登録や出願がされているという事実こそが「GQ誌」が、いかに世界的広範囲で主として男性諸氏によって愛読されているかを示す確実な証拠である。
ウ 本件商標の登録出願日前に、引用各商標は、少なくともアメリカにおいて著名性を獲得して、現在に至っている諸事実
(発行部数)
アメリカにおける「GQ誌」発行部数は月80万部以上となっており、アメリカにおける雑誌発行部数では最大規模となっており、現在も維持されている(甲第11号証)。
上記甲第11号証の公式発表リストに基づき、米国における「GQ誌」の月別売上部数は、少なくとも1985年(昭和60年)より、約63万部以上売れている事実が証明された。したがって、この事実から考えても、少なくとも米国において、「GQ」マークは、商品「男性用ファッション及びライフスタイル雑誌」に使用されている登録著名商標となっていることは間違いない。
(GQ誌の内容)
アメリカ版「GQ誌」の内容は、甲第7号証の1ないし21にも明らかな通り、「男性用ファッションのみならず男性用ライフスタイル雑誌」を示す男性の日常生活のすべてに関する記事が興味深く掲載されている。
したがって、このようなアメリカ版「GQ誌」は、44年もの長い歴史を通して、少なくともアメリカにおいては、遅くとも1970年頃から極めて有名な男性用ファッション雑誌及び男性用ライフスタイル雑誌のタイトルであるという事実,すなわち、著名性を獲得して現在に至っていることは明らかである。
ちなみに、日本においては、平成13年(2001年)3月23日及びその翌日の新聞に、「ニューヨーク・メッツの野球選手『新庄剛志』・・・全米でモデルデビュー・・・世界的にも有名なファッション誌『GQ』4月号にモデルとして登場・・・『GQ』1960年代に創刊された米を代表する男性ファッション誌」(甲第12号証の1)、「きのうの話題は<モデル新庄 米男性ファッション誌『GQ』に登場だった(日刊スポーツ)>。世界的に有名な雑誌4月号が特集を組む」(甲第12号証の2)、「新庄世界の顔に・・・米国の男性誌『GQ』4月号ではモデルとしてもデビュー」(甲第12号証の3)と記載している。ここに、2001年4月号のアメリカ版「GQ誌」を甲第13号証として提出する。
このように「GQ誌」は、アメリカにおいて、本件商標出願のはるか以前より著名性を獲得していることはもちろんのこと、その著名性を維持しつつ現在に至っている雑誌であるということである。
(アメリカ以外のGQ誌を発行している諸外国)
この「GQ誌」は、現在、ドイツ版(月約13万部)、スペイン版(月約3万3千部)、イタリア版、オーストラリア版、台湾版(月約1万5千部)(甲第14号証の1ないし同7)、英国版(月約14万部)、ポルトガル版、南アフリカ版(月約2万5千部)等が発行されている。
このような高い評価の反映として、「GQ誌」は、雑誌界最高の栄誉である「ナショナル・マガジン・アウォード」の2部門で同時に受賞しているほか(1995年)、世界的な超一流のファッションブランド、高級食品メーカー、自動車メーカー等多数が同誌に広告を掲載しており、同誌は獲得広告頁数においても全米一位を占めている。
エ 引用商標Aの世界的著名性を立証する書籍,映画等の具体的記事
本件商標登録出願以前から、米国男性雑誌「GQ」は、米国において著名性を獲得して現在に至っているものである事実が、「事典類」(甲第15号証ないし同第24号証)、「雑誌類」(甲第25号証ないし同第30号証)及び「新聞等」(甲第32号証ないし同第38号証)によって明確に立証されたものと確信する。
オ 我が国における「引用商標B」、すなわち,男性用ファッション及びライフスタイル雑誌に使用する「GQ」の周知著名性について
(ア) 我が国おいては、「GQ誌」日本版が1993年(平5)3月に創刊、発表されて現在に至っている事実を以下に立証する。
まず、世界的な著名性を有するアメリカ版「GQ誌」と日本語版「GQ誌」との関係で言及するならば、「GQ誌」の世界的著名性を直接見聞きする者が日本国内に多数存在することも、我が国における「GQ誌」の周知著名性獲得につき、大きく影響しているのである。すなわち、日本人の中で海外生活をしたことのある者、外資系企業に勤務する国際人、更には、日本在住のアメリカ、ヨーロッパその他「GQ誌」が発刊されている国の出身者の多くは、「GQ誌」の世界的な著名性を直接見聞きして、知っていることとなる。
国際化が極度に進んでいる現在では、「引用商標A」の認識度は、著しく急速化しているのである。
(イ)上記のような世界情勢の中で、「GQ誌」の日本版が、平成5年(1993年)3月に創刊され、月間約7万部、年間94万部程度(甲第41号証及び同第42号証参照)の規模で発行され続け現在に至っている。
この創刊以降からの日本版「GQ誌」7件分を甲第31号証の1ないし7として提出する。
その内容は、アメリカ版「GQ誌」と本質的に異なることは全くない。
(ウ)「GQ誌」日本版が大々的に発刊・販売されている事実
「GQ誌」日本版は、発刊時には大々的キャンペーンが行われたほか、世界的に著名な「GQ誌」の日本上陸という取上げ方で多数の新聞報道等がなされたのに加え、センスが良い男性用雑誌として評判になったテレビコマーシャルも行われ、新聞に新聞広告を掲載した(甲第32号証ないし同第37号証、甲第43号証ないし同第67号証)。
上記のような、創刊号の大々的な宣伝、一般へのパンフレット配布等に多額の宣伝費が費やされた結果、創刊号は12万部発行されている。
その後も「GQ誌」日本版は、毎月平均7方部発行され、随時新聞記事で取り上げられるほか、広告宣伝に月間500ないし1000万円ほどが費やされ、更に毎月の発売ごとに新聞広告が行われている(甲第72号証)。
更に、「GQ誌」の宣伝,広告は、地下鉄の電車内に中吊り広告(甲第71号証)を行うほか、書店でのポスター掲示・チラシ配り等が行われている(甲第68号証及び甲第70号証)。
このような、企業努力を継続した結果、「GQ誌」日本版も、1994年版以降有名雑誌全カタログにも掲載されるなど、発刊直後から日本において有名雑誌となっている(甲第73号証の1ないし6、甲第74号証ないし同第76号証)。
したがって、引用商標Aは、我が国においても、本件商標の登録出願日以前より、「男性用ファッション及びライフスタイル雑誌」である「GQ誌」は、取引者、需要者、特に一般の男性の間では、周知著名な商標となっているのである。
同様に、引用商標B及び引用商標Cも、引用商標Dと類似する商標として認識され、同一権利主体の商標として周知となっている。
(エ)我が国における引用商標Aないし引用商標Dを含む「GQ」商標の登録の実体
我が国においては、「GQ」又はその類似する商標は、実に40件も登録されている。
これは、「GQ誌」が、男性用のファッション及びライフスタイル雑誌等を中心に日本で展開するためのみならず、各種の「GQ」マークを附した商品及び「GQ」マークを附した役務へと、その業務を展開する必要上、登録を得たものである(甲第77号証の1ないし40)。
カ 以上、詳細に説明したとおり、引用商標Aは、商品「男性用ファッション及びライフスタイル雑誌」のタイトルとして、米国においては極めて著名な登録商標であることは、間違いのない事実である。その他、英国,ドイツ等の諸外国においても使用されているから、本件商標の出願日のはるか昔より、世界的に著名な登録商標であるといっても過言ではないものと信じる。
また、我が国においても、平成5年より日本語版「GQ誌」が発売されて現在に至っている諸事実を通して、引用商標Aは、男性用ファッション及びライフスタイル雑誌として、本件商標の登録出願日よりも以前に、既に周知性,著名性を獲得して現在に至っているものである。
なお、2001年(平成13年)5月7日付で「WIPO」の裁定が出されたドメイン・ネーム紛争事件で、雑誌「GQ」登録商標の世界的な著名性は、「世界知的所有権機関(WIPO)」においても認定されている(甲第82号証)。
(2)本件商標と引用商標Aの類似性
ア 本件商標と引用商標Aとは外観,称呼において類似する。
前述したとおりの理由に基づき、本件商標と引用商標Aとは外観類似及び称呼類似であると解する。
よって、請求人以外の者が本件商標をその指定商品につき使用する時は、商標の要部における外観及び称呼を共通とし、かつ、指定商品との関係で、請求人の発行に係る男性用ファッション及びライフスタイル雑誌の「GQ誌」と何等かの関係があるかのように、取引者,需要者は、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
イ 本件商標は、男性用ファッション、ライフスタイル雑誌として世界的著名性を獲得している「GQ」標章に対し、不正競争防止法の観点からみれば、表示の混同、ただ乗り(freeride)、信用の希釈化、信用の汚染等に該当するから、不正競争防止法で禁止されている行為に相当する行為である。あるいは100歩譲ったとしても、被請求人の本件商標登録は、商標法第4条第1項第15号に該当することは明らかである。
上記のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するか、あるいは同第15号にも該当し、その登録は無効とされるべきである
被請求人は、「本件の審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べている。
本件商標と引用各商標とは、商標も商品も非類似の商標であるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号には該当しない。本件商標は、構成一体として「スーパーゴミキュー」なるが故に登録されたものであり、その中の一部を取り出して云々する要素はない。構成中に含まれる「Q」の上部に平仮名文字「ごみ」が添付・付記されているが故に、構成中の「Q」が無理なく「ゴミ」と読みが特定される結果である。
他方、引用各商標は、英文字「Q」と「R」とで構成されるにすぎず、通常日本はいうに及ばず世界各国共通的に単にそれだけでは識別力を持たないとして登録を拒絶されるものが、一定の文字の装飾なりで登録に至っているものと推定が可能な登録商標である。仮にそうではないとすれば、少なくとも日本においては、商標法第3条第1項のいずれかにより拒絶されるという無効理由をかつてはもっていた、という事情にある筈である。その意味で、引用各商標の効力は、称呼としての「キューアール」ではなく、それなりの態様にこそあったというべきである。この一事をもって、本件商標と引用各商標との間に商標法第4条第1項第11号を論ずる根拠は全くない。
請求人の主張、証拠を一覧するに、審査基準の変更があって初めて第4条第1項第15号の主張でもしてみようかという程度の有名度にしかすぎないとみるのが妥当であろう。
元来男子専門ファッション雑誌は、需要者が、性別、年齢別かつ嗜好性において限られた狭い世界の存在であり、本件商標が指定する商品の中間的需要者にせよ最終的需要者にせよ、それらの大部分にとって無縁な存在である。この点でいわゆる女性向けファッション雑誌の位置づけとは基本的に事情が異なるものである。また、引用各商標の称呼自体、その成り立ちからも、アルファベット二文字程度のものは型式を示すものとして特別なことがなければ登録を認めないという基本的な運用が定着している現在において、俄かに独占力を主張するかのごときことは不当である、というほかない。
(1)、請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 「GQ」は、アメリカの男性用のファッション雑誌であり、1957年(昭和32年)に創刊された(以下同雑誌を「GQ誌」という。)。「GQ」は「GENTLEMEN’S QUARTERLY」の略であった(例えば甲第18号証参照)。
イ GQ誌は、少なくとも1985年(昭和60年)2月以降、同タイトルに引用商標Aと同一と認められる「GQ」の文字が使用されていた(甲第7号証の1ないし21)。
ウ GQ誌の発行部数は、1985年(昭和60年)に月約63万部、1990年(平成2年)月約64万部、1995年(平成7年)月約71万部、2000年(平成12年)月約90万部(いずれも12月)であった(甲第11号証)。
エ GQ誌は、我が国では昭和36年から輸入、販売されていた(甲第9号証の1ないし20)。
オ アメリカ版GQ誌について、以下の事典類に、
(ア) 昭和44年9月20日同文書院発行の「田中千代服飾事典」に、「ジェントルメンズ・クオータリー[GENTLEMEN’S QUARTERLY]年8回発行の男子服飾誌。GQのよび名で親しまれているアメリカの代表的な男子専門誌である。」と記載されている(甲第15号証)。
(イ) 昭和48年10月1日小学館発行の「小学館ランダムハウス英和大辞典」に、「男性向けファッション雑誌Gentlemen’s Quarterly」と記載されている(甲第16号証)。
(ウ) 昭和54年3月5日文化出版局発行の「服飾辞典」に、「ジェントルメンズ・クオータリー[Gentlemen’s Quarterly]一般には<GQ>とよばれているアメリカの雑誌で,年間8回発行。文字どおり,メンズ・ファッションの専門誌で,アメリカのものとしては最もファッション性の高い雑誌であり,メンズ・コレクションなども特集している。」と記載されている(甲第17号証)。
(エ) 昭和58年1月10日小学館発行の「最新英語情報辞典」に、「米国の男性ファッション雑誌(年10回発行);1957年創刊;自由でトータルな感覚をもとにしたファッション感覚のバランスの良さがある」と記載されている(甲第18号証)。
(オ) 昭和59年5月研究社発行の「リーダーズ英和辞典」に、「『GQ』米国の男性ファッション総合誌」と記載されている(甲第19号証)。
(カ) 昭和59年12月10日研究社発行の「英語略語辞典」に、「GQGentlemen’s Quarterly米国の四季刊男性ファッション雑誌」と記載されている(甲第20号証)。
(キ) 平成2年研究社発行の「英和商品名辞典」に、「『GQ』男性ファッション総合誌.1957年創刊.年10回刊行(当初は4回)」と記載されている(甲第21号証)。
(ク) 平成6年研究社発行の「リーダーズプラス」に、「『GQ』米国の男性ファッション総合誌;1957年創刊で年10回刊行(当初は4回)」と記載されている(甲第22号証)。
(ケ) 平成13年1月1日集英社発行の「情報・知識imidas2001」に、「『GQ』(米・月刊)1957年創刊.男性ファッションを中心に、スポーツやグルメなどさまざまな話題を追うメンズ・マガジン」と記載されている(甲第24号証)。
カ アメリカ版GQ誌について、以下の雑誌類に、
(ア)昭和55年10月2日日本国際親善センター発行の「アメリカ雑誌ガイド」に、「『GQ−Gentlemen’s Quarterly』男性ファッション雑誌の最高峰であることは疑いを入れない」と紹介されている(甲第25号証)。
(イ)昭和55年11月28日冬樹社発行の「アメリカ雑誌全カタログ」に、「GQ Gentlemen’s Quarterly ニュース・キャスターのファッション・ソース」のタイトルで、GQ誌に関する記事が掲載されている(甲第26号証)。
(ウ)昭和58年12月1日マガジンハウス発行の「BRUTUS」に、「雑誌が時代を踊らせた日」のタイトルのもとに「コンデ・ナスト・サーカス団」としてファッション雑誌「VOGUE」の紹介に加えGQ誌が紹介されている(甲第27号証の1)。
(エ)昭和61年5月25日筑摩書房発行の「アメリカン・マガジンの世紀」に、GQ誌の内容について記載されている(甲第27号証の2)。
(オ)平成5年9月22日、日本経済新聞社発行の「アメリカの雑誌1888〜1993」に、「『GQ』、ライフスタイル誌の変身」のタイトルのもとに、GQ誌について掲載されている(甲第28号証)。
キ 2001年(平成13年)3月23日付新聞「日刊スポーツ」(甲第12号証の1)に、「世界的にも有名なファッション誌『GQ』」、「『GQ』1960年代に創刊された米を代表する男性ファッション誌」と記載された。また、その翌日(24日)の「朝日新聞」(甲第12号証の2)に、「きのうの話題は<モデル新庄 米男性ファッション誌『GQ』に登場だった(日刊スポーツ)>。世界的に有名な雑誌4月号が特集を組む」と記載された。
ク 請求人は、「GQ」の文字からなる商標を100か国以上の国で登録を受け、又は登録出願をした(甲第10号証の1ないし101)。
ケ ドイツ、スペイン、イタリア、オーストラリア、台湾の各国版GQ誌が発行されている(甲第14号証の1ないし7)。
コ 平成5年3月に、引用商標Aと同一と認められるタイトルの日本版GQ誌が創刊された(甲第31号の1)。
サ 日本版GQ誌創刊に関する記事が新聞に掲載された(甲第32号証ないし同第38号証)。
シ 日本版GQ誌について新聞、雑誌等に宣伝広告がされた(甲第45号証ないし同第72号証)。
(2)以上の認定事実によれば、アメリカで1957年(昭和32年)に発行された男性ファッション雑誌のGQ誌は、我が国においては昭和36年より継続して輸入、販売されていて、我が国の事典、雑誌などに、「アメリカの代表的な男子専門誌である」、「男性ファッション雑誌の最高峰であることは疑いを入れない」などと記載され、また、日刊新聞紙に「世界的にも有名なファッション誌『GQ』」、「『GQ』・・世界的に有名な雑誌」と記載されていて、本件商標の登録出願当時、該GQ誌の発行部数は月約75万部(1999年12月)を越えてていたことが認められる。
1993年(平成5年)には日本版GQが販売されるとともに、日本版GQについて新聞、雑誌等の媒体を通じて宣伝広告がされ、また、ドイツ、スペイン、イタリアなど、米国や我が国以外の国においても各国版GQ誌が発行されている事実が認められる。
以上からすると、GQ誌のタイトルに使用されている引用商標Aは、本件商標の登録出願時には、我が国において、請求人の男性ファッション雑誌のタイトルを示す商標として、男性はもとより一般需要者、取引者の間においても広く認識され著名性を獲得していたものと認めることができる。
(3)本件商標は、前記のとおり、「スーパーGQ」の文字部分のみでも、自他商品の識別標識としての機能を果たすものであって、請求人の業務に係る引用商標AをタイトルとするGQ誌が取引者、需要者の間に広く認識され著名であることに照らせば、本件商標をその指定商品中雑誌を含む「印刷物」に使用した場合、取引者、需要者は構成中の「GQ」の文字に着目し、これより請求人のGQ誌を連想、想起し、該商品を「スーパーGQ」というタイトルのGQ誌の姉妹誌であろうと認識し、あるいは、GQ誌から派生したGQ誌に関連する印刷物であろうと認識する場合も少なからずあるといわなければならないから、本件商標は、請求人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
ただし、「印刷物」以外の商品については、請求人の業務に係る雑誌「GQ誌」とは、商品の属性、機能、流通経路等が異なるものであるから、商品の出所の混同を生ずるおそれはない。
本件商標は、指定商品中「印刷物」については商標法第4条第1項第15号に該当するものであるが、それ以外の指定商品について商標法第4条第1項第11号に該当するか否かを検討する。
本件商標の構成は、別掲1に示したとおり「スーパーGQ」の文字と該文字中の「G」の文字の上部に「ごみ」の仮名文字を付したものであって、「スーパーGQ」と「ごみ」の両文字間には、常に一体不可分の構成よりなるものと認識しなければならない格別の事由が見いだせないものであり、上記文字構成よりすると、「スーパーGQ」の文字部分のみでも自他商品の識別標識としての機能を果たすものといわなければならない。
そして、「スーパーGQ」の文字は、同じ書体、同じ大きさで一体的に表されていて、例えば「GQ」の文字部分が特に印象に残る構成よりなるものではなく、また、全体として一語を形成しているとみて何ら不自然なものではないから、「スーパー」の片仮名文字と「GQ」の欧文字とを組み合わせた全体をもって一体不可分の構成よりなると把握し認識されるものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、「スーパーGQ」の文字部分よりは「スーパージーキュー」の称呼のみを生じるものと認められる。
そして、本件商標は、他に「GQ」の文字部分より生ずる称呼をもって取引に資されるとみるべき格別の事由は見出せないものである。
そうとすれば、本件商標中の「GQ」の文字部分より「ジィキュー」又は「ジイキュウ」の称呼を生ずるとし、その上で本件商標は引用各商標と称呼において類似するとする請求人の主張は採用することができない。
それぞれの構成よりすると、本件商標は、引用各商標と、外観、観念においても類似する商標とは判断することができない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「印刷物」については、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきものである。
しかしながら、その余の指定商品については、同法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。