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Trademark Appeal Case

不使用取消における使用認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30515号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第909948号商標の指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」については、その登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第909948号商標(以下「本件商標」という。)は、「NPM」の文字を横書きしてなり、昭和44年2月21日に登録出願され、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同46年7月15日に設定登録され、その後、同56年9月30日、平成3年11月28日及び同13年4月17日の3回にわたり、商標権存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、商標登録の取消審判により、その指定商品中の「回転電気機械、配電用または制御用機械器具」についての登録を取り消すべき旨の審決がなされ、その確定審決の登録が同11年6月16日になされているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証の1及び2を提出した。

1.請求の理由

本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが継続して3年以上日本国内において使用した事実がないから、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきである。

2.答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標をその指定商品中「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」について、本件審判請求前3年以内に継続使用している旨主張し、証拠として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出している。

しかしながら、これらの証拠によっては本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」について使用された事実は未だ認められない。

(1)乙第1号証ないし乙第4号証について

乙第1号証ないし乙第3号証は、平成10年審判第30261号審判事件において提出された証拠であり、乙第4号証は同審判の審決書の写しである。平成10年審判第30261号は「回転電気機械、配電用又は制御用機械器具」についての取消を求めて請求されたものであり、同審決(乙第4号証)においてこれらの証拠からは、『「ネペック」<NPM>は、圧電セラミック材料の名称・商標として使用されているとみるのが適切であり、(振動子としての)製品の商標としての使用ということはできない』『振動子としての製品の商標とみることはできない』と認定されており、乙第1号証ないし乙第3号証からは、「圧電セラミック材料」以外についての本件商標の使用は認められていない。

しかして、「圧電セラミック材料」は「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」には属さない商品であるから、請求人も、乙第1号証ないし乙第3号証から「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」についての本件商標の使用を認めることはできない。

以下、乙第1号証ないし乙第3号証につき、採用できない理由を述べる。

乙第1号証は本件審判請求の登録前3年以内のものではないので、採用することができない。

乙第2号証の1及び2からは「NPM」が「圧電セラミックス材料」「圧電材料」を表示するもの、これらの商標としての使用は認められるが、「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」に属さない商品であるから、採用することはできない。

被請求人は、前記審決の判断は違法なものと主張し、「商標権者が種々の振動子を製造していることを見過ごしたもの」と反論し、「乙第2号証の1の左上欄に振動子そのものが掲載されている」こと、「乙第2号証の29頁(高周波用振動子)、乙第2号証の6(円筒形振動子)」をその理由として挙げている。

しかしながら、取消審判においては、指定商品中の商品(振動子など)を製造しているか否かは全く問題でなく、当該商品について本件商標が使用されているか否かが争点となるのであって、前記審決も『(本件商標の使用は)振動子としての製品の商標としての使用ということはできない』と判断されたものであるから、被請求人の反論は明らかに失当である。

また、「乙第2号証の1の左上欄に振動子そのものが掲載されている」としても、前記審決書第8頁第7行目以降にある通り、同頁中に「標準材質特性」、「表1にネペック<NPM>の標準材質特性を示します。」等と記載されていることから、これが振動子としての製品の商標とみることはできない。

さらに、「乙第2号証の29頁(高周波用振動子)、乙第2号証の6(円筒形振動子)」からは本件商標についての記載・表示は見出せないものであるから、本件商標が「高周波用振動子」や「円筒形振動子」について使用された事実は見出すことができない。

乙第2号証の3ないし6からは、いずれも本件商標についての記載・表示は見出せない。

乙第3号証の1ないし3はいかなる商品についての使用であるか不明であるから採用することはできない。

以上のとおり、乙第1号証ないし乙第3号証からは「NPM」が「圧電セラミック材料」に使用されていることは認められるものの、「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」について使用された事実は認められないから、これら乙第1号証ないし第3号証を採用することはできない。

(2)乙第5号証について

乙第5号証は乙第2号証と同種のカタログであり、乙第2号証第28頁に該当する頁がかけている他、内容は全く同一視できるものである。

したがって、乙第2号証に対する理由と同様の理由により、採用することはできない。

即ち、乙第5号証第3頁「INTRODUCTION」中で、「圧電セラミックス材料として、ジルコン酸チタン酸鉛を主成分とした、ネペック<NPM>、とチタン酸バリウムを主成分としたチタバリ<VPT>を製品化しております。特にNPMにおいては、(1)機械的品質係数、電気機械結合係数が任意に選択できる。(2)温度や湿度の変化および時間経過に対し、安定している。(3)緻密な磁器であるため機械加工性にすぐれており、任意の形状や寸法の振動子を製作できる。(4)耐電圧性が良いため、任意の分極方向の振動子を得ることができる。(5)広範囲に圧電特性を揃えているため、応用範囲が広い。等の特長を持っております。」と、また、乙第5号証の1中に「表1にネペック<NPM>の標準材質特性を示します。」と記載されているものであり、これらの記載からは「ネペック」<NPM>は、圧電セラミック材料の名称・商標として使用されているとみるのが適切であり、(振動子としての)製品の商標としての使用ということはできない。

(3)乙第6号証について

乙第6号証は空中マイクロホン用振動子の製品写真であるが、そもそも撮影年月日、撮影者などが不明であるから、本件審判請求の登録前3年以内のものであるかどうか、客観的に判断することはできない。

さらには、これらの写真から判断するに、同商品が写真にあるような状態で実際に取引きされているのか、以下の点において甚だ疑問である。

(a)発泡スチロールの容器にシール状の札が添付されており、同札に「品名 NPM」と記載されているものの、容器番号の欄には番号ではなく「超音波洗浄機用」「空中マイクロホン用」といった用途が手書きで記載されている点。(b)異種の振動子が同一容器に収納されている点。(c)各振動子は形状が異なるにも関わらず、容器の収納部の形状は同一である点。即ち、同写真中の仕様の欄にあるように、超音波洗浄機用振動子は直径が40mmであるのに対し、高周波用振動子は直径が10mmしかない。にもかかわらず、容器の収納部の形状は同一である点(洗浄機用振動子及び高周波用振動子の形状は乙第5号証中の第19頁、第28頁に図示されている。)。(d)収納容器の右側に糊付けされたものと思われる「概要」と記載された紙片は多少ゆがんでいるように看取され、このことから甲第5号証中の第19頁、第30頁、第28頁中の記載のコピーを切り貼りしたものと思われる。

したがって、写真にあるような状態で実際に取引にあたることは、同商品の精密性等を勘案すれば通常は考えられないものである。

また、被請求人は『タグには商標「NPM」が使用されている』旨主張しているが、製品自体に商標は表示されておらず、またそのタグにも製品名は印刷されていないので、空中マイクロホン用振動子とシール状のタグとの関連性は乏しいものといわざるを得ない。

以上のとおりであるから、乙第6号証も採用することはできない

したがって、本件商標が本件審判請求登録前3年以内に使用された事実は未だ認められない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。

1.本件商標は、平成10年3月18日付けで株式会社日本計測システムから本件商標の登録に係る指定商品中「回転電気機械、配電用又は制御用機械器具」についての登録取消審判請求がなされ、平成11年2月12日付けで、「商標法第50条の規定により、登録第909948号商標の指定商品中『回転電気機械、配電用又は制御用機械器具』についてその登録は、取り消す。」との審決(平成10年審判第30261号)(乙第4号証)がなされた。

しかし、審決の認定は、商標権者が使用している製品の理解を誤ったものであり、前記審決の判断は違法なものである。商標権者が使用している商品は、少なくとも圧電セラミック材料を用いて製品を製造するものではあるが、証拠として提出された商品は、振動子の形態を備えているものである。

提出した乙第1号証ないし乙第3号証は、前記取消審判事件において提出した証拠である(ただし、乙第3号証は提出せず、提出した乙第4号証を乙第3号証とした。)。

2.乙第1号証の、平成3年4月12日付けの提出に係る商標権存続期間更新登録願に添付された登録商標の使用説明書には、通常使用権者である株式会社トーキンが本件商標を使用している事実を示すカタログが添付されている。

乙第1号証の1は、本件商標が使用されている事実を示している。

乙第1号証の2の第1−2表「材質別の特徴と主な用途」には、主な用途として、各種濾波器発振子、強力超音波発生用振動子、高圧発生素子、医療機器、遅延線、ピックアップ、マイクロホン、スピーカ、水中受波振動子などの音響機器、高周波用振動子などの使用例が例示されており、これらの商品は本件商標の指定商品である「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」に属するものである。

3.乙第2号証は、本件審判請求の日前である1997年6月20日付けの商品カタログ「圧電セラミックスPIEZOELECTRIC CERAMICS」である。

乙第2号証の1は、本件商標が使用されている事実を示すものである。

乙第2号証の2は、本件商標が使用される商品、すなわち主要製品の応用分野について示している。

前記審決書は、この乙第2号証の2に圧電材料(NPM)の記載に基づいて材料である、との誤った認定をしたものと思われる。しかし、この説明は、応用分野の説明であり、圧電セラミックスを用いて多用途の振動子が製造可能なことを示しているにすぎず、商標権者が種々の振動子を製造していることを見過ごしたものといえる。けだし、後述するように、乙第2号証の1の左上欄に掲載の写真を見れば明らかなように、振動子そのものが掲載されている。具体的には、乙第2号証の29頁(高周波用振動子)、乙第2号証の6(円筒型振動子)を見れば明らかである。

乙第2号証の3は、インクジェットプリンタ用振動子を示しており、この中で図2−5プリンタヘッドの略図を見れば明らかなとおり、ピエゾ駆動信号、ピエゾ、共同インク室が記載されており、本件商標の指定商品に含まれるものである。

乙第2号証の4は、ディレイライン用振動子を示しており、「カラーテレビ受像機やVTRに使用されている超音波遅延線は、圧電振動子により、電気信号を超音波信号に変換し、ガラスなどの媒体内で一定の伝播時間を経た後、再び圧電振動子により、電気信号に変換してから取り出す働きをするものです。」との説明がされている。

乙第2号証の5は、メカニカルフィルタ用振動子を示しており、「メカニカルフィルタは、電気エネルギーをいったん機械エネルギーに変換し、機械振動による周波数選定を行った後、再び電気エネルギーに変換するものです。」との説明がされている。

乙第2号証の6は、空中マイクロホン用振動子を示しており、「超音波空中マイクロホンは、超音波を空中に放射して、標的とする物体の検出や距離の測定に利用されるもので、現在、交通制御システムや障害物の検知、ロボット用センサなどに応用されています。」との説明がされている。

4.乙第3号証は、本件商標の使用事実を示す取引書類等の写しである。

乙第3号証の1は、平成10年1月12日発行の検査成績表である。

乙第3号証の2は、1997年11月13日付けの生産手配書である。

乙第3号証の3は、1996年11月1日発行の出荷手配書である。

5.乙第5号証及び乙第6号証は、本件審判請求に関して新たに提出する証拠である。

乙第5号証は、乙第2号証と同種のカタログであり、本件審判請求日である平成11年4月28日前に頒布されたものである(Apri1 5,1999と印刷されている。)。

乙第5号証の1は、「ネベツク”NPM”/NEPEC NPM Ceramics」の使用及び製品の写真が掲載されている。

乙第5号証の2は、乙第5号証の1に掲載の写真中の圧電振動子N−6材の詳細説明である。

乙第5号証の3は、乙第5号証の1に掲載の写真中の高周波用振動子の詳細説明である。

乙第5号証の4は、乙第5号証の1に掲載の写真中の空中マイクロホン用振動子の詳細説明である。

乙第6号証は、乙第5号証の1に掲載の空中マイクロホン用振動子の製品写真である。

乙第6号証の(イ)は、空中マイクロホン用振動子を上方から撮影したものであり、この写真から明らかなように、赤色と黒色の導体が配されており、該導体に電源を供給すれば空中マイクロホン用振動子として作用する。

乙第6号証の(ロ)は、前記(イ)の空中マイクロホン用振動子を正面から撮影した写真である。

.乙第6号証の(ハ)及び(ニ)は、空中マイクロホン用振動子(写真では、超音波洗浄機用のタグの横に配されているが、撮影のため上方に移動したものである。なお、タグには商標「NPM」が使用されている。

6.以上のように、被請求人である商標権者は本件商標について、圧電セラミック材料のみならず、振動子の製品商標としても使用していることは明らかであるから、本件商標は、指定商品中「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)」に使用しており、本件審判請求人が請求する指定商品に使用するものであるから、本件商標登録は取り消されるべきではない。

したがって、被請求人は、本件商標を継続して3年以上前記商品に使用していることは明白である。

第4 当審の判断

1.被請求人の提出に係る乙各号証を徴するに、まず、乙第1号証は、被請求人が、平成3年4月12日付けの本件商標に係る商標権存続期間更新登録願に添付した、登録商標の使用説明書の商標に係る使用商品「電歪振動子」の使用の事実を示す書類として添付したカタログであって、その作成日が本件審判請求の予告登録日(平成11年5月26日)前3年以内のものでないから、採用することはできない。

2.乙第2号証は、本件商標の通常使用権者「株式会社トーキン」(以下「通常使用権者」という。)が使用している1997年6月20日付けの商品カタログ「圧電セラミックス PIEZOELECTRIC CERAMICS」であって、その『INTRODUCTION』中の記載よりすれば、本件商標「NPM」は、圧電セラミックス材料の商標として使用されているとみるのが相当である。

乙第2号証の1の記載からも、本件商標「NPM」は、圧電セラミックス材料の商標としての使用と認められる。

乙第2号証の2には、主要製品の応用分野が記載されており、圧電材料<NPM>の「動力的応用」として「ボルト締めランジュバン型振動子、洗浄機用振動子、インクジェットプリンタ用振動子」が挙げられ、「通信的応用」として「水中用モールド型振動子、ディレイライン用振動子、メカニカルフィルタ用振動子、高周波用振動子、空中マイクロホン用振動子、ソナー用振動子」が挙げられているものの、本件商標「NPM」は「圧電材料」の商標としての使用と認識されるものである。

乙第2号証の3ないし6には、本件商標が見出せない。

3.乙第3号証の1ないし3は、検査成績表、生産手配書および出荷手配書であって、それぞれの品名の欄には「NPM」の記載が認められるが、如何なる商品についての使用であるのか不明であるので、取消請求に係る商品について本件商標を使用した事実を立証したものと認めることはできない。

4.乙第5号証は、通常使用権者による1999年4月15日付けの商品カタログ「圧電セラミックス Piezoelectric ceramics」であるところ、28頁を除けば乙第2号証と同証であるから、本件商標を取消請求に係る商品について使用したものと認めることはできない。

5.乙第6号証は、乙第5号証の4に表示された「空中マイクロホン用振動子」の写真であるが、その撮影年月日、撮影者等が不明であるから、本件取消審判請求の登録前3年以内のものと認めることはできない。

そうすると、通常使用権者が本件商標を使用しているとする商品は「圧電セラミックス材料」であって、本件取消請求に係る指定商品「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)」に属しないものである。

なお、「圧電セラミックス材料」により製造された「ボルト締めランジュバン型振動子、洗浄機用振動子、インクジェットプリンタ用振動子、水中用モールド型振動子、ディレイライン用振動子、メカニカルフィルタ用振動子、高周波用振動子、空中マイクロホン用振動子、ソナー用振動子」が、本件取消請求に係る指定商品「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」に属する商品であるとしても、これら商品には本件商標が使用された事実が見出せないものである。

6.以上を総合すると、通常使用権者は、本件審判の請求に係る商品「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」について、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に使用したものということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「結論掲記の商品」についてその登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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