Trademark Appeal Case
著名商標と結合商標の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第12162号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別紙に表示するとおり「ARMAND LONGCHAMP」及び「アルマンロンシャン」の文字を二段に横書きしてなる構成よりなり、第18類「原革,原皮,なめし皮,毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、平成8年11月11日に商標登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、その構成中にフランス国所在の『S.A.J.Cassegrain−Longchamp』が商品『ハンドバッグ,ボストンバッグ』等に使用して著名な商標『LONGCHAMP』の文字を有してなるものであるから、これを出願人がその指定商品に使用するときは、恰も該商品が前記会社又はその関連会社の生産・販売又は取扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)「LONGCHAMP」及び「ロンシャン」の商標の著名性について
サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」233ページ「ロンシャン」の項、サンケイマーケティング昭和61年10月30日発行「’86〜’87ザ・ブランド(海外ブランド・ライブラリー)」55ページ「LONGCHAMP」「ロンシャン(フランス)」の項、株式会社講談社平成3年5月23日発行「世界の一流品大図鑑’91」243ページ及び291ページ「LONGCHAMP」/「ロンシャン(フランス)」の項、株式会社講談社1998年5月30日発行「世界の一流品大図鑑’98」85ページ「Longchamp」「ロンシャン(フランス)」の項、株式会社研究社1991年第3刷「英和商品名辞典」258ページ「Longchamp」「ロンシャン」の項によれば、以下の事実が認められる。
すなわち、「LONGCHAMP」及び「ロンシャン」(以下これらをまとめて「引用商標」という。)の文字は、フランスの代表的皮革メーカー「カセグラン社」の有カブランドであり、パリにある著名なロンシャン競馬場にちなんだものである。ジョッキーをデザイン化したものをブランド・マークとしている。カセグラン社は、1948年にジャン・カセグランにより設立され、現在は「ロシシャン」といえば「バッグ、ベルト」などの皮革製品のブランドとしてよく知られ、また喫煙具のメーカーとしても有名である。
第2次世界大戦中、フランスに進駐したアメリカやイギリスなどの連合軍の将兵向けのタバコパイプを作り出したのが、そもそものはじまりで、南フランスからブライヤーを集め、これに牛皮を巻いて作ったパイプは「ロンシャンパイプ」として一躍名声を博した。
その後、皮革製品に進出し、徐々にこの分野でも評価を高めてきた。フランスが誇る小指の爪ほどのサイズのクロコダイル・ボックスカーフ、ラムスキン、シープスキンなどの皮革に合った製品を発表してきている。なかでも、ワニのデスクマットはよく知られた製品で、故ドゴール仏大統領が当時の全閣僚のために発注したエピソードや、故ケネディ米大統領のホワイトハウス入りの際にジャックリーヌ夫人がオリーブ色のワニのデスクマットを贈った話は有名である。
以上を要約するに、前記の各証拠によれば、引用商標「LONGCHAMP」及び「ロンシャン」は、馬にまたがるジョッキーをデザイン化した図形と共に、「バッグ、ベルト」などの商品について使用をする、フランス「カセグラン社」の商標として、本願商標の出願時及び現在においても、取引者、需要者の間において周知著名になっていたものと認めることができる。
(2)出所の混同について
前記のとおり、引用商標は「バッグ、ベルト」等の商品に使用されて周知、著名な商標に至っているものであるから、取引の実情の下においてはその事実を踏まえて、本願商標を観察する必要がある。また、一人のデザナーがデザインするなどによるトータルファッションが確立され、同一の商標の下に商品を製造し、販売して需要者の嗜好に応じている実情をも考慮すれば、いわゆるブランド商品ないしはファッション関連商品と呼ばれる種類の商品については、そこに使用される商標が同一であれば同一の出所を表示するものと認識される実情をも考慮して、本願商標を観察する必要がある。
本願商標は、「ARMAND LONGCHAMP」及び「アルマンロンシャン」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、その構成は全体がやや冗長であること、上段のアルファベットの綴りにおいて、「ARMAND」と「LONGCHAMP」との間にやや隙間があることから「ARMAND」と「LONGCHAMP」または「アルマン」と「ロンシャン」とに分離して観察されるものと認められるものである。そうすると、「ARMAND LONGCHAMP」及び「アルマンロンシャン」は、構成する文字が全体となってある意味を形成しているものと認められるものでもないから、前記認定のとおり「LONGCHAMP」及び「ロンシャン」の商標が周知、著名であることよりすれば、これを見る取引者、需要者は、前記実情からその構成中の「LONGCHAMP」又は「ロンシャン」の文字に注目して、前記周知になっている商標を連想、想起し、商品の出所の混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
また、引用商標の使用商品「バッグ、ベルト」等と本願商標の指定商品中少なくとも「かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ、傘、ステッキ」とは、先に述べたいわゆるブランド商品ないしはファッション関連商品と呼ばれるものの範囲にあるものと認められるものである。
したがって、本願商標は、これをその指定商品中少なくとも「かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ、傘、ステッキ」について使用したときは、取引者、需要者は、引用商標を想起ないしは連想し、前記「カセグラン社」又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあると判断するのが相当である。
(3)以上のとおり、同様の趣旨により本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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