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Trademark Appeal Case

商標不使用取消と商品区分

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−31164(T2001−31164/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2286289号商標の指定商品中「化学品(溶剤、その他の化学剤を除く)」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2286289号商標(以下「本件商標」という。)は、「ECOSYL」の欧文字を書してなり、昭和63年4月6日に登録出願、第1類「農業用薬剤、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年11月30日に設定登録されたものであるが、指定商品中の「溶剤、その他の化学剤」についての登録は、平成13年6月26日付け審決により取り消され、同13年11月6日にその審決が確定し、同13年12月5日に抹消の登録がなされているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。

1.請求の理由

本件商標は、その指定商品中「化学品(溶剤、その他の化学剤を除く)」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

請求人は、商願平10−72201号の出願人であるが、当該出願は本件商標を引用商標として拒絶理由を受け、現在審判に係属中である。

2.答弁に対する弁駁

(1)乙第1号証について

ア.乙第1号証によれば、本件商標が使用されたサイレージ調製剤は、原権利者の英国ゼネカ社により開発されたサイレージ用微生物添加剤であることが記載されている。その内容は、有効成分「ラクトバチルス プランタラム MTD/1」(以下「MTD/1」という。)との菌株からなる乳酸菌に類する菌であることがわかる。また、乙第1号証下欄の枠内の説明文によれば、「『エコサイル』は、広い温度域、pH域、水分域でも活動可能な乳酸菌MTD/1株の働きにより、従来ではサイレージ調製が困難とされていた悪条件のもとでも効果を発揮する。」及び「『エコサイル』は、乳量の向上による経済効果が認められ、欧州や米国では高い信頼と評価をうけている。」とあるので、商品名「エコサイル」は、乳酸菌の1種を利用し、サイレージ(乙第2号証によれば、乳牛の大切な飼料を貯蔵したもの)に貯蔵された乳牛の飼料に添加して用い、その飼料を食した乳牛の乳量の向上などの生理的変化をもたらす微生物添加剤であることがわかる。

イ.以下、本件商標の権利者以外の他社のサイレージ調製剤関連の資料により、サイレージ調製剤の用途について考察する。

(a)牧草専用サイレージ調製用乳酸菌(甲第1号証)

甲第1号証は、米国パイオニア社の関連会社である日本法人パイオニア・ハイーブレッド・ジャパン社のインターネット・ホームページより入手した資料である。

甲第1号証によれば、「乾物、タンパク質、センイの消化率の向上」、「酪酸発酵を防止し、牧草サイレージのタンパク質の劣化を防止」、「牧草サイレージの乾物回収率を向上」の3点を、その乳酸菌の効果にあげ、最終的には「家畜生産物(産乳・増体)につながるサイレージの発酵品質と栄養品質を改善する」目的のものであることが記されている。

(b)サイレージ調製剤シュアーサイル(甲第2号証)

甲第2号証は、日本バイオコン株式会社のインターネット・ホームページより入手した資料である。甲第2号証に記載のサイレージ調製剤は、「バクテリアの生育に必要な栄養素、牧草の繊維質を分解する酵素を含み、不良発酵を引き起こすクロストリジウム菌を攻撃するクロストリジアファージを配合」する調製剤である。その効果は、「速やかな発酵」、「サイレージ品質の安定」、「ストリジウム菌を撃退」の3つであることが記されている。

(c)サイレージ調製用L型乳酸菌(甲第3号証)

甲第3号証は、雪印種苗株式会社インターネット・ホームページより入手した資料である。甲第3号証に記載の乳酸菌は、併記されている「アクレモ」の商品説明によれば、「牧草の繊維から糖を作り出す繊維分解酵素と糖から効率よくL−乳酸を生成する乳酸菌の組み合わせ」であり、「乳酸含量が多く、乳酸発酵を促進」し、「酪酸含量が減少するので、牛への増好性が大幅に改善」する効果を有するものであることが記されている。

ウ.上記(a)、(b)、(c)の各甲号証に記載の乳酸菌は、全て被請求人の乙第1号証に記載の「サイレージ調製剤」なる商品と同種の目的・効果を有するものである。これらの目的・効果を検討したところ、サイレージ調製用の菌(乳酸菌)よりなる調製剤とは、全て乳牛用飼料としての牧草において発酵をうながし、あるいは他の菌を抑制し、もって乳牛の体内にとりこまれ、乳量の増加など、乳牛の生体に影響を及ぼすものであることは明らかである。

このような目的・効果を有する商品は、第1類の指定商品「化学品」に属するものではない。

上記甲第3号証の商品に付した商標(「スノーラクト−IL」)が、商標登録第2342611号として商標登録を受けているが、特許庁ホームページより入手したデータ(甲第4号証)によれば、その指定商品「サイレージ用L型乳酸菌」の類似群は「33A01、33A02、33B01、33C0l、33D01、33D02、33D03、33D04、33X99」と記されていることからも明らかなとおり、サイレージ用乳酸菌は、第31類の飼料用たんぱく、配合飼料、混合飼料として指定される商品である。

このことは、乙第1号証でも明らかにしている。即ち、乙第1号証第2頁7、8行目の記載によれば、「エコサイルは、ラクトバチルス プランタラム MTD/1を飼料作物1g当り100万単位供給します。これは、他社製品の10倍量に相当し、微生物に最大の効果を発揮させる・・」とあり、また、下欄枠内の特長の記載によれば「乳量・増体が向上する」とあるので、商品「エコサイル」も、飼料作物に付着の菌を培養し、もって飼料作物の性質の向上を図り、その飼料を食した乳牛の生体に影響を与えるための商品であることは明らかである。このような商品は、第1類「化学品」に属するものではなく、第31類の「飼料」に属するものである。

したがって、乙第1号証は、本件商標を第1類「化学品」について現在日本国内において使用中であるとの証明として成り立たない。

(2)乙第3号証について

乙第3号証には、「エコサイル」のサイレージ添加剤としての効果が記されているが、「サイレージの本当の栄養価(摂取量と消化率)を改善し、乳生産が約7%向上」との記載から、「エコサイル」商標を用いた調製剤が第1類「化学品」に属する商品の用途を有するものとは上記(1)と同じ理由で、到底考えられない。

したがって、上記(1)で詳述したのと同じ理由により、乙第3号証は、本件商標の第1類「化学品」についての日本国内における使用の証明として成り立たない。

(3)乙第4号証について

乙第4号証においてもその効果記載には、「エコサイル処理はサイレージから約7%乳生産を改善し、家畜生産(乳質、乳成分、増体、繁殖、ボディコンディション、健康)を向上させます。」と記載されており、上記(1)と同じ理由により、このような効果を有する商品が第1類「化学品」として使用される用途の商品ではなく、第31類の「飼料」に属するを相当とする商品であることは明白である。

したがって、乙第4号証も、本件商標の第1類「化学品」についての日本国内における使用の証明として成り立たない。

(4)結論

被請求人は、平成13年11月30日付にて本件商標の書換登録申請書を提出し、その指定商品を「農業・園芸及び林業に使用するバクテリア調製剤及び培養微生物(医療用及び獣医料用のものを除く。),その他の化学品(化学剤を除く。),植物成長調製剤類」と書換えるべく申請している。

上記指定商品中、バクテリア調製剤の商品・役務名リストを、特許庁ホームページより入手したところ(甲第5号証)、リスト中項番1〜9については、類似群01A01(もしくは01B01)と分類され、化学品に属する指定商品と考えられるが、項番10及び11は類似群01B01のみに分類され、このリストからバクテリア調製剤が全て化学品に属するのではなく、商品の用途に応じて分類が異なることは明らかである。また、同リストの項番1〜9の商品をみても、「油脂処理用」、「油脂分分解用」もしくは「酸化用」とあり、明らかに化学物質を改質するためのバクテリア調製剤が、01A01に分類されている。このことは、その他の用途に用いられるバクテリア調製剤全てが第1類「化学品」に属するわけではなく、用途に応じて他の指定商品に属することを示す。

さらに、上記書換予定の指定商品中、「培養微生物」についての特許庁ホームページより入手の商品、役務名リスト(甲第6号証)をみると、その類似群は全て33D05か01B01と33D05との併記であり、したがって、第1類「化学品」としては指定されていない。上記書換予定の培養微生物も酪農産業に用いる培養菌として指定されるを相当とする。

したがって、本件商標の書換登録申請書の書換予定商品の記載からも、商標「エコサイル」は化学品ではなく、酪農産業に用いる培養菌(33D05)もしくは混合飼料(33B01)に属すべきものであることを示している。

以上述べたとおり、各乙号証は、本件商標の第1類「化学品」についての日本国内における使用を証明するものではなく、上記書換予定の指定商品である酪農産培養菌もしくは混合飼料の使用を証明しているにすぎない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。

1.本件商標は、商標権者の通常使用権者によって、本件審判の請求に係る指定商品中「培養微生物」及び「バクテリア調製剤」について、1993年より現在まで継続して使用しているものである。

2.使用に係る商品

(1)本件商標の使用に係る商品「培養微生物」は、具体的には「MTD/1」という乳酸菌株である(乙第1号証)。「MTD/1」は、本件商標権の前権利者のゼネカ リミテッドが開発(特許取得)した特殊なスクリーニング法によって選び抜かれた菌株で、通常の乳酸菌と異なり至適pH域が非常に広く、PH6.5からPH4の範囲で非常によく生育する。また、生育可能温度域も8°C〜45°Cと非常に広い菌である。このため、「MTD/1」は、飼料作物を効果的に乳酸菌発酵させるのに適している「培養微生物」である。

(2)「バクテリア調製剤」は、乳酸菌株「MTD/1」を主にサイレージ(飼料を貯蔵し、乳酸菌発酵させたもの;乙第2号証)を効果的に、また簡易に調製できるように水溶性パウダー及び細粒剤等の形態に加工したものである。

3.(1)本件商標を付した「バクテリア調製剤」は、1993年から、ゼネカ リミテッドの関連会社のゼネカ株式会社が我が国に輸入・販売していた(乙第1号証)。

乙第1号証は、ゼネカ株式会社が1994年に作成した「培養微生物」及び「バクテリア調製剤」の技術資料の抜粋(写し)であるが、表紙及び裏表紙に本件商標が使用されている。

(2)本件審判の請求に係る指定商品中「バクテリア調製剤」は、現在では、商標権者の通常使用権者である三菱商事株式会社が輸入し、明治飼糧株式会社及びディーエーエス菱商株式会社(改称前:菱商農材株式会社)が販売している。明治飼糧株式会社及び菱商農材株式会社による本件商標の使用を、本件審判の請求前3年以内の期間に該当する1999年発行の雑誌掲載の広告によって立証する(乙第3号証及び乙第4号証)。

乙第3号証及び乙第4号証には、本件商標の指定商品に係る商品「バクテリア調製剤」は、「サイレージ調製剤」「サイレージ添加剤」「サイレージ用微生物添加剤」と表示されている。

4.以上述べたように、本件商標は、商標権者の通常使用権者によって、本件審判の請求に係る指定商品中「培養微生物」及び「バクテリア調製剤」について日本国内において現在使用中の商標である。

第4 当審の判断

1.本件について、本件商標の使用者が通常使用権者であること、使用に係る商標が本件商標と社会通念上同一の範囲のものであること、通常使用権者による使用の時期が本件審判の請求の登録前3年以内であり、日本国内での使用であることについては、当事者間に争いがない。

そこで、被請求人が使用に係る商品であると主張する「培養微生物」及び「バクテリア調製剤」が請求に係る「化学品(溶剤、その他の化学剤を除く)」に含まれる商品であるか否かについて検討する。

2.乙各号証によれば、以下の事実が認められる。

(1)乙第1号証(ゼネカ株式会社作成の「サイレージ調整剤 エコサイル技術資料」)の2頁には、「『エコサイル』とは?」として、「エコサイルは、英国ゼネカ社バイオプロダクツ事業部により開発された新しいタイプのサイレージ用微生物添加剤です。」、「有効成分は、特殊なスクリーニング法で選び抜いた菌株、ラクトバチルス プランタラム MTD/1です。」、「ラクトバチルス プランタラム MTD/1は、通常の乳酸菌と異り、至適pH域が非常に広く、pH6.5(牧草のpH値)からpH4(良質サイレージのpH値)の範囲で非常によく生育します。MTD/1は、育成可能温度域が8°C〜45°Cと非常に広い菌です。」などの記述があり、また、「サイレージ調整剤『エコサイル』」として、「英国ゼネカ社独自の乳酸菌MTD/1株を主成分とする」、「『エコサイル』は、広い温度域、pH域、水分域でも活動可能な乳酸菌MTD/1株の働きにより、従来ではサイレージ調整が困難とされていた悪条件のもとでも効果を発揮する。」などの記述が認められる。さらに、「特長」として、「添加量が飼料作物1グラム当たり100万単位と多いうえ増殖速度が非常に速いため、高水分グラスサイレージでも素早く効果をあげる。」、「腐食性、毒性はない」、「飼料作物の細胞壁を破壊しないので、栄養分はサイレージに保持され、排汁の量は酸処理に比べ減少する。」、「乳量・増体が向上する。」などの記述がある。

(2)乙第2号証(「ニッポンの酪農百科」のインターネット上のホームページ)には、「サイレージ」についての説明があり、「サイレージは、乳牛の飼料を貯蔵したもので、品質のよいサイレージを作るためには水分や密封の状態など様々な要因が関係するが、長期化安全に貯蔵するためには乳酸菌が必要であり、乳酸菌を加えることにより牧草が発酵し、炭酸ガスや窒素ガスが発生し安全に保存され、栄養分のロスも最小限に抑えられる」旨の記述がある。

(3)乙第3号証及び乙第4号証(「DAIRYMAN」デーリィマン社、平成11年5月1日及び同11年7月1日発行)には、「サイレージ調整剤 エコサイル」の宣伝広告か掲載されているところ、「エコサイルはサイシレージの本当の栄養価(摂取量と消化率)を改善し、乳生産が約7%向上します。」、「帯広畜産大学はエコサイルがサイレージの消化率(乾物消化率)を改善することを24頭の泌乳牛を使用した家畜試験で実証しました。」、「エコサイル処理はサイレージから約7%乳生産を改善し、家畜生産(乳質、乳成分、増体、繁殖、ボディコンディション、健康)を向上させます。」、「エコサイルはFDA(米国食品医薬品局)が認定している唯一のサイレージ用微生物添加剤です」、「エコサイルはカビや熱の抑制効果を目的とする添加剤ではありません。劣悪な条件や刈り遅れ等の原料を改善するものではありません。」などの記載がある。また、「エコサイル」を使用している酪農家からのレポートとして、「発酵(サイレージ化の)が早い!・・・食い込みの低下もなく、また下痢等の発生もなかった。」、「エコサイル処理のサイレージで、喜んで食べ、・・・粗飼料をいかに食い込ますかが大事だ。」、「・・無添加のものと比べて、約20%多く食い込んだ。無添加のベールは、立て積みの時は接地面、俵積みだと真ん中から下部の部分に排汁がたまったが、処理したベールは、水分が均一で凍結が改善され給餌が楽になった。コーンサイレージは詰込み時から排汁が少ないし、水分が保持されたものができる。これらの点で両方とも養分ロスのないサイレージになった・・また、サイレージ化の発酵がとにかく早い。・・・牛にとって粗飼料が食い込むことは、一番の薬だ・・」などの記載がある。

3.「培養微生物」について

前記2.で認定した事実からすると、被請求人が使用に係る商品であると主張する「培養微生物」は、被請求人主張のとおり、「ラクトバチルス プランタラム MTD/1」という乳酸菌株であることは認め得るとしても、該「ラクトバチルス プランタラム MTD/1」は、「サイレージ調整剤」(バクテリア調整剤)の主成分、すなわち「サイレージ調整剤」の原材料の一つであることは明らかであり、該「ラクトバチルス プランタラム MTD/1」が単独で取り引きされているという証拠は見当たらない。

したがって、被請求人の主張する「培養微生物」は、使用に係る商品ということはできない。

4.「バクテリア調製剤」について

次に、被請求人が「バクテリア調整剤」と主張する「サイレージ調整剤」について検討する。

(1)「サイレージ」について

サイレージは、その特性として、「青刈作物、牧草など、水分含量の多い飼料を発酵させて貯蔵した飼料のことであり、貯蔵に用いられる容器をサイロという。・・・サイレージは青刈飼料作物、牧草などの粗飼料中の糖を主として乳酸に変え、pHを下げて腐敗を防ぎ、その粗飼料を良質な飼料として保存できるようにしたものである。・・材料を詰込んだ1〜2日間はサイロを密閉しても、植物体はその間隙の酸素を利用して、呼吸を続ける。その呼吸などによって、サイロの中は嫌気的状態になる。材料が嫌気的、低水分、豊富な糖含量という条件のときには乳酸菌の活動が盛んになり、多量の乳酸が生成され、材料内の変化が少なくなり、良質なサイレージができあがる。しかし嫌気的、豊富な糖含量でも高水分、高pHの条件のときには酪酸菌が活動し、乳酸、酢酸、糖を酪酸に変え、品質の劣悪なサイレージになる。・・サイレージの材料が悪いときには各種の添加物、すなわち糖分含量の少ない材料には糖蜜など、高水分の材料には濃厚飼料、ビートパルプ、稲わら、麦桿などを添加することもある。また材料の呼吸を止め、のぞましくない微生物の生育を抑え、品質を保持するため酸を添加する方法もある。」(「畜産ハンドブック」402,403頁参照、株式会社講談社、1989年7月20日第2版発行)

上記記載及び乙第2号証を総合すると、サイレージは、通常サイロにサイレージとなる材料を詰め込んだ後の1日から2日の間で、植物の行う呼吸などによって、サイロの中が嫌気的状態になり、材料が嫌気的、低水分、豊富な糖含量という条件のときには乳酸菌の活動が盛んになり、多量の乳酸が生成されるが、常に種々の好条件が満たされるとは限らず、材料となる植物の水分が多い場合やpHが高い場合などには、酪酸菌が活動し、乳酸、酢酸、糖を酪酸に変え、品質の劣悪なサイレージになるというものである。

(2)本件使用に係る商品「サイレージ調整剤」は、前記2.(1)の認定によれば、「広い温度域、pH域、水分域でも活動可能な乳酸菌MTD/1株の働きにより、従来ではサイレージ調整が困難とされていた悪条件のもとでも効果を発揮する。」、「添加量が飼料作物1グラム当たり100万単位と多いうえ増殖速度が非常に速いため、高水分グラスサイレージでも素早く効果をあげる。」ことを商品の特長とするものであり、要するに、含有する乳酸菌の働きにより、通常では品質の劣悪なサイレージになる材料される植物の水分が多い場合やpHが高い場合などでも良質のサイレージができ、しかも飼料作物の細胞壁を破壊しないから、栄養分がサイレージに保持されるものと認められ、それにより、乳牛の喰いが良くなり、乳牛の乳量は向上するというものである。

(3)ところで、商標法上の「化学品」の概念(平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表による)は、大別すると、工業原料又は実験用として使用される薬品である「無機工業薬品」と「有機工業薬品」、他のどの類にも属しない化学的製品である「のりおよび接着剤」、「界面活性剤」、「化学剤」とが含まれる。そして、「無機工業薬品」と「有機工業薬品」は、未だ用途が限定されないで取り引きされるものであり、したがって、同じ物質であっても用途が限定される取引段階にあるものは含まれないと解される。また、「化学剤」は、化学的製品を用途的にとらえたものであって、無機及び有機の工業薬品に属する商品と同じものであっても、それ自体が単独で一定の用途に用いられるものとして取り引きされる場合と、無機及び有機の工業薬品に属する数種の物質を混合して一定の用途に適するようにしたものとがある。したがって、第1類に属する「化学剤」は、一定の用途が限定されて取り引きされる商品が含まれると解される(特許庁商標課編「商品区分解説」昭和55年3月31日改訂版)。

(4)これを本件使用に係る商品「サイレージ調整剤」についてみるに、前記4.(2)で認定したとおり、使用に係る商品「サイレージ調整剤」は、乳牛等の飼料となる植物を、その主成分である「ラクトバチルス プランタラム MTD/1」なる乳酸菌により、素早く良質のサイレージに仕上げ、かつ、飼料作物の栄養分を保持することを、その使用目的とするものであり、したがって、その用途は、極めて限定されたものといわなければならない。また、その需要者も、主として酪農家を対象とするものといえる。

そうすると、本件使用に係る商品「サイレージ調整剤」は、未だ用途が限定されないで取り引きされる商品が含まれると解される「無機工業薬品」と「有機工業薬品」の範疇には属しないものといわなければならず、また、「のりおよび接着剤」、「界面活性剤」の範疇に属さない商品であることも明らかである。

付言すれば、「サイレージ調整剤」の使用目的、効能、需要者等を考慮した場合は、それ自体が単独で一定の用途に用いられるものとして取り引きされる商品といえるから、むしろ、化学剤的要素が強い商品といえるし、その原材料が乳酸菌であることに重きを置けば、第33類(平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表による)「その他の植物および動物で他の類に属しないもの」の概念に属する商品とも考えられるものである。いずれにせよ、本件使用に係る商品「サイレージ調整剤」は、請求に係る「化学品(溶剤、その他の化学剤を除く)」の範疇に属しない商品であることは前記したとおりである。

5.以上のとおりであるから、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品「化学品(溶剤、その他の化学剤を除く)」について、本件商標を使用していることを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。

したがって、本件商標は、その指定商品中の「化学品(溶剤、その他の化学剤を除く)」についての登録は、商標法第50条により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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