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Trademark Appeal Case

不使用取消と商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30987号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2131461号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2131461号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和60年11月6日登録出願、「ユース」の片仮名文字を横書きした構成よりなり、第11類「電子応用機械器具(但し、電子管、半導体素子、電子回路を除く)」を指定商品として、平成元年4月28日に設定登録され、その後、同11年2月23日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。

1 本件商標は、その指定商品のいずれについても継続して3年以上使用されている形跡がなく、また、商標登録原簿によれば、専用使用権や通常使用権が設定されている事実もない。よって、本件商標は、商標法第50条の規定により取消を免れないものである。

2 本件商標は、「ユース」の片仮名文字を横書きした構成よりなるものであるのに対し、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし同第3号証に示された表示は、青塗り矩形中に表された図形である。

被請求人は、ローマ字「USE」を書してなるものであるとしているが、該表示が欧文字「USE」を表したものであるとしても、社会通念上同一と認められるものではない。

片仮名文字「ユース」に対応する英単語には、「USE」のみならず「YOUTH」もまた、あることは容易に認識、理解されるところであって、片仮名文字には欧文字「USE」の観念と別異の観念が含まれ、欧文字「USE」からは「ユース」の他、「ユーズ」、「ユーエスイー」の複数の異なる呼称が生じ、同一の称呼を生じるものではない。

したがって、本件商標と使用商標とは表裏一体の関係にあるものではなく、社会通念上、同一と認められるものでない。

片仮名文字「ユース」と欧文字「USE」の生ずる複数の観念及び称呼が夫々の点で厳密に一対一の対応関係になければ、商標法第50条に規定する社会通念上同一と認められる商標に該当しない。

3 乙第1号証ないし同第3号証における使用商標の表示は、その裏面の「開発・販売」なる表示の下に、「UNIVERSAL SYSTEMS ENGINEERING」の欧文字と一体に表され、その右方には、被請求人の商号「ユニバーサルシステムズエンジニアリング株式会社」が書されている。

該表示は、商品の出所についてその責任の所在を示すために、自己の名称を表示するものであって、自他商品を識別するために使用されているものではない。むしろ、乙第1号証ないし同第3号証における商標とは、「みまさか人事2(「2」は、ローマ数字で表されている。以下同じ。)」「みまさか会計2」「みまさか販売2」である。かかる場所における表示が登録商標の使用に該当するとするならば、商標法第26条の規定の存在意義が無に帰してしまうことは明らかである。

4 請求人に送達された乙第1号証ないし同第3号証は、複写であって、原本ではなく、「1998年7月1日」の書体は、他の書体と異なっているから、その作成年月日の信憑性が疑わしい。乙第1号証ないし同第3号証は、すべて「カスタマイズサービス」の対象となっており、実質的には、第42類に属する役務であって、実際に販売された証拠がない。乙第4号証は、本件審判事件とは何等関連性がない。乙第5号証は、証明日の記載がなく、かつ、被請求人の総務部部長によってなされているものであるから、客観的な信憑性がない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第9号証を提出している。

1 商標の使用について

本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内から今日まで、商標権者によって継続的に商品「電子応用機械器具」について使用されており、その商標登録を取り消すことのできないものである。

(1)乙第1号証ないし同第3号証

乙第1号証ないし同第3号証は、本件商標が指定商品「電子応用機械器具」の中の「電子計算機(中央演算処理装置およびその周辺機器(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、磁気ディスク、磁気テープを含む。)」の販売促進用パンフレットを示すものであり、本件審判の請求日より3月以前であって、かつ、本件審判の請求の登録の日前3年以内に、本件商標権者によって使用されていたものである。

乙第1号証ないし同第3号証のそれぞれ裏面側の下方には、本件商標と実質的に同一の商標及び作成された年月日が記載されている。更に、裏面中央部の「稼働環境」の枠内には、「OS・・・クライアント:Windows95、98又はWindowsNT4.0」と記載があり、これより、乙第1号証ないし同第3号証が、Windows98をOSとする電子計算機用のプログラムに関するものであることが判る。

(2)乙第4号証

乙第4号証は雑誌「アスキー月刊PCI998年9月号」の一部を示すものであり、その99頁と104頁の間には、「Windows98の日本における発売日が平成10(1998)年7月25日である。」ことが記載されている。

(3)乙第5号証

乙第5号証は、被請求人が、乙第1号証ないし同第3号証がアプリケーションソフトの販売用に使用していたパンフレットであることを証明する被請求人の作成に係る証明書である。

(4)上記乙第1号証ないし同第5号証から明らかなように、本件商標が少なくとも平成10年7月25日以前から今日まで、被請求人によって、指定商品「電子計算機(中央演算処理装置およびその周辺機器(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、磁気ディスク、磁気テープを含む。)」について使用されている。

2 社会通念上同一の商標であることについて

(1)商標法第50条には、「登録商標には、・・・・からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、・・・・からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」と規定されているのであるから、片仮名文字の表示とローマ字文字の表示を相互に変更した商標の間において各商標から生ずる主要な称呼及び主要な観念が夫々一対一の関係で対応していれば、両商標は社会通念上同一と認められるものである。

(2)被請求人が使用している欧文字「USE」からなる商標からは、「ユース」なる称呼が先ず第一に生じ、次に「ユーズ」なる称呼も流出する。しかし、「ユース」と「ユーズ」とは極めて近い称呼であり、称呼の類似という点では、両者は実質的に同一である。

欧文字「USE」から成る商標からは、「ユーエスイー」なる称呼も生ずるが、指定商品「電子応用器具(電子応用機械器具と判断した。以下同じ。)」の取引分野においては、商標「USE」は「ユース」又は「ユーズ」と称呼される方が絶対的に多い。

指定商品「電子応用機械器具」はその使用方法や操作方法との関連において需要者及び取引者とより緊密に結びついており、その結果、需要者及び取引者が使用商標を見たとき、前記指定商品の使用方法や操作方法との関連から「ユーエスイー」と呼称するよりは、「ユース」又は「ユーズ」と称呼する方がより自然である。

また、同様に、欧文字「USE」よりなる商標からは「使用」の観念が生じ、片仮名文字「ユース」よりなる商標からも「使用」なる観念が生ずる。したがって、欧文字「USE」よりなる商標と片仮名文字「ユース」よりなる商標とは同一の観念を生ずるものである。

片仮名文字「ユース」よりなる商標からは前記観念の他に、「若者」なる観念が生ずるのに対して、欧文字「USE」よりなる商標からは「若者」なる観念が生ぜず、この点で両者の観念が一部相違する。

しかし、前述のとおり商標法第50条の規定は、本件商標と使用商標の生ずる複数の観念の全てが厳密に同一である場合にのみ両商標が社会通念上同一であるとするものでないため、両商標から生ずる観念に一部差異が存在しても、この差異が本件審判において特に問題となることはない。

使用商標と本件商標とは、夫々「ユース」なる称呼を生ずるものであり、両者は称呼を同一にし、夫々「使用」なる観念を生ずるものであり、両者は観念を同一にするものである。

よって、使用商標は、商標法第50条に規定する本件商標と社会通念上同一のものである。

(3)商標の使用について

被請求人の乙第1号証ないし同第3号証における使用商標の使用は、商標法第2条第1項、第3項及び第4項に該当する適法な商標の使用である。

(4)指定商品の販売の実績について

乙第1号証ないし同第3号証には「全てカスタマイズが可能です。」と記載されていることから、第42類の役務と全く無関係のものであるとはいえないが、この記載からも明らかなように、「指定商品の販売」を促進させるための補助的なものである。

そして、乙第5号証の上方右欄には、平成11年12月10日と明記されており、被請求人の総務部長により証明されたものである。

(5)乙第6号証ないし同第9号証の補充について

(a)乙第6号証ないし同第9号証の「必要な環境」又は「稼動環境」の欄に記載されているように、被請求人は昭和60年度頃より今日まで、コンピュータのOSの進展、即ちMS−WindowsV3・1、Windows95、Windows98等の市場への提供に応じて、これに適応可能な本件登録商標に係る指定商品を開発し、バージョンアップされた指定商品の販売を継続的に行なって来た。

(b)電子計算機用のOSであるWindows95及びWindows98の日本国における発売日は乙第4号証を挙げるまでもなく電子計算機の分野の需要者・取引者には周知の事実である。

そして、このWindows95を稼動環境とする電子計算機のアプリケーションソフトの販売促進用パンフレット(乙第7号証及び同第8号証)並びにWindows95とWindows98とを稼動環境とする販売促進用パンフレット(同第1号証ないし同第3号証及び同第9号証)が、夫々被請求人によって作成され、使用されているから、指定商品の実際の販売が行なわれていないとする請求人の主張は明らかに誤りであり、商標「USE」を使用した乙第1号証ないし同第3号証並びに乙第7号証ないし同第9号証は、本件審判請求の登録日(平成11(1999)年7月28日)前3年以内に継続的に使用されていたことは明白である。

第4 当審の判断

被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標を「電子応用機械器具」について使用をしていると主張しているのでその点について検討する。

1 使用商標について

被請求人提出の乙各号証をみると、以下のことが認められる。

(1)商品パンフレットである乙第1号証(カラー複写による資料)によると、「美作基幹業務統合パッケージ2シリーズ」及び「みまさか人事2」の表題の下、人事情報に対応したネットワーク対応のシステムの構成、機能、入出力一覧、基本仕様等を説明し、その裏面末尾の「●開発・販売」の欄に「UNIVERSAL SYSTEMS ENGINEENRRING」の欧文字とその下段に青色の四角形内に「USE」の文字を白抜きした別掲と同様の構成からなる表示がされ、その右側に「ユニバーサルシステムズエンジニアリング株式会社」の表示、及びその面の右下に「1998年7月1日」の表示が記載されていることが認められる。

また、商品パンフレットである乙第2号証及び同第3号証についても、「美作基幹業務統合パッケージ2シリーズ」の表題があり、乙第2号証には「みまさか会計2」、同第3号証には「みまさか販売2」の表題が記載され、乙第1号証と同様にそれぞれのシステムについての説明及び裏面末尾の「●開発・販売」の欄及び面右下(年月日欄)に乙第1号証と同様の表示が記載されていることが認められる。

(2)「みまさかアプリケーションシリーズ」「人事管理システム」「みまさか人事」と題した商品(ソフトウェア)の厚紙製包装用カバーと認められる乙第6号証及び同第7号証(使用時期不詳)によると、いずれも「LAN対応の人事管理システム用のプログラム」についての主要機能、出力帳票、必要なハードウエア、ソフトウエア環境等について説明し、その表面、襠面及び背面に、別掲のものと同様の構成からなる「USE」の表示及びその右側に「UNIVERSAL SYSTEMS ENGINEERING CORPORATION」と「ユニバーサルシステムズエンジニアリング株式会社」の表示が記載されていることが認められる。

(3)また、多階層クライアント/サーバ型基幹業務開発ツール(コンピュータソフト)商品パンフレットである乙第8号証及び同第9号証(いずれも印刷日不明)においても、そのパンフレットの末尾に別掲のものと同様の構成からなる「USE」の表示及びその右側に「UNIVERSAL SYSTEMS ENGINEERING CORPORATION」と「ユニバーサルシステムズエンジニアリング株式会社」の表示がそれぞれ記載されていることが認められる。

(4)前出乙第1号証ないし同第3号証、同第9号証のパンフレットに記載されているコンピュータソフトウエア商品は、マイクロソフト株式会社のオペレーションソフトウェア(OS)「Windows 98」によって稼働する旨説明されており、そのOSは、平成10年9月1日発行の雑誌「アスキー月刊PC」の広告記事である乙第4号証によると、同年7月25日に発売されたことが認められる。

上記乙各号証及び被請求人の主張を総合すると、商標権者(被請求人)は、人事、会計、販売及び業務開発用のコンピュータプログラムについて「USE」の文字からなる別掲のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標」という。)を平成10年7月25日以降使用していたものと推認される。

2 本件商標と使用商標の同一について

ところで、商標法第50条第1項の規定によると、登録商標の使用にあっては、その使用の範囲を当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含むものとし、その同一の範囲には「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生じる商標」も含むものとして、単に物理的同一の範囲に止まらず、取引社会の通念に照らして同一の商標と認識されるものについても当該登録商標の使用と認めるものと解される。

これを本件についてみると、本件商標は、前項第1に述べたとおり「ユース」の片仮名文字よりなり、使用商標は「USE」の欧文字からなる別掲のとおりの構成よりなるところ、本件商標の「ユース」の文字は、その文字に相応して「ユース」と称呼されること明らかである。そして、該称呼「ユース」は「使用する、使用」を意味する語である「use」の読み、また、「若者」を意味する語である「youth」の読みとしても親しまれているものである。

他方、使用商標を構成する文字「USE」は、「ユース」、「ユーズ」又は「ユーエスイー」の称呼が生じうるものであり、「使用する、使用」を意味する語として親しまれているものである。

そうとすれば、本件商標よりは、「ユース」とのみ特定した称呼のみ生じるものの、その観念において「使用」また「若者」と看者によって異なった語として理解され得るものであり、これに対し、使用商標を構成する「USE」の文字は、観念において「使用」の意味で特定されているものの、その称呼は「ユース」、「ユーズ」又は「ユーエスイー」と看者により異なる称呼がされ得るものと認められる。

してみると、本件商標を構成する「ユース」の文字は、使用商標を構成する「USE」の文字とその表示態様が相違し、それらの文字から生じる称呼及び看取される観念を共通にしているものとはいい難く、これに接する取引者・需要者はそれぞれ異なったものと看取し同一の商標と認識し得ないものとみるのが相当である。

また、本件商標と使用商標とは、使用商標が四角形の青色地に「USE」の文字を表示している点についても相違するものである。

したがって、商標権者(被請求人)が使用している使用商標は、本件商標と社会通念上同一のものとは認めることはできない。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人は、商標権者が本件商標と社会通念上同一の商標を、審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その審判請求に係る「電子応用機械器具(コンピュータ用プログラム)」について使用をしていたことを証明することができなかったものといわざるを得ない。

また、被請求人は、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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