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Trademark Appeal Case

取消審判の権利濫用性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30463(T2002−30463/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1710934号商標の指定商品中、「産業機械器具,動力機械器具(電動機を除く。),風水力機械器具,事務用機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く。),その他の機械器具で他の類に属しないもの(消火器,消火せん,消防用ホース(其他のホースを含む。),し尿処理そう,汚水浄化そうを除く。),これらの部品および付属品(他の類に属するものを除く。),機械要素(バルブ,管継ぎ手,パッキングおよびガスケットを除く。)」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1710934号商標(以下「本件商標」という。)は、商標の構成を横書きした「アンデス」の片仮名文字とし、昭和55年9月1日に登録出願され、指定商品を第9類「動力機械器具、その他本類に属する商品」として、昭和59年8月28日に商標権の設定登録がされ、平成7年1月30日に商標権の存続期間更新登録がされているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。

(1)請求の理由

(ア)請求人は、甲第1号証に示すような標準文字で書された文字「アンデス」からなる商標を、第7類に属する商品を指定商品として、平成12年10月3日に出願(商願2000-108155)したところ、事前調査において本件商標の存在を確認した。本件商標と商願2000-108155商標とは類似関係にあるから、請求人は本件審判について利害関係を有する。

(イ)請求人は、本件商標について取消審判の請求(取消2001-30240)をしたが、該取消審判は、被請求人において「消火せん、管継ぎ手、汚水浄化そう」についての使用の事実が証明し得たものとして、該審判の請求は不成立との審決がされ確定した。よって、本件商標の指定商品中、上記使用商品(消火せん、管継ぎ手、汚水浄化そう)を除いた指定商品について登録の取消を求めるものである。

また、商標登録原簿(甲第3号証)によれば、本件商標の商標権につき専用使用権及び通常使用権の登録もされていない。

(ウ)よって、本件商標は商標法第50条第1項の規定により上記商品についての登録の取消しを免れないものである。

(2)答弁に対する弁駁

請求人は、商願2000-108155商標の出願人であり、本件審判について利害関係があり、請求の利益があるのは明らかである。また、請求人は標準文字で「アンデス」を第11類にも出願している(商願2000-108156:甲第5号証)。

よって、本件審判請求は権利の乱用でないのは明らかである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。

(1)請求人は、本件商標に対して、平成13年2月26日付けで取消審判を請求(取消2001-30240)し、平成14年4月9日付で審決がされたことは、請求人が提出した甲第4号証に示すとおりである。

(2)然るに、上記審決を送達された請求人は、使用商標として認められた使用商品を除いた本件商標の指定商品について、本件取消審判の請求をしている。このように、審決のされた登録商標に対して、使用商標と認められた指定商品を除き取消審判を請求することは、被請求人に害を与えることを目的として請求したものと認められ、権利の乱用と考えるものである。

即ち、このような取消審判に対しては、再び使用している証明を提出して審決で使用を認められても、その目的は請求人が商標を使用するため必要とする指定商品を取消すのでなく、被請求人が使用証明を提出できなくなるまで、取消審判を再請求することが予想されるものであり、被請求人の対応は極めて大変なこととなるものである。

(3)請求人は、第7類に属する指定した指定商品を使用する目的で出願したのであるから、本件商標の指定商品中の類似する指定商品についてのみ取消審判を請求すれば足りるのである。

昭和34年法による第9類の各指定商品は、特許庁商標課編の「書換ガイドライン」によれば、6,7,8.9,11,12,15,16,17,19,20,21,26,28の各類に指定された指定商品にそれぞれ書換えられることになっているのである。

したがって、請求人は昭和34年法による第9類の指定商品中の新法の第7類に書換えることのできる指定商品についてのみ取消審判を請求すれば、その目的を達成するのに、上記のとおり他の類に書換え可能な指定商品を含め使用を認められた指定商品を除き取消審判の請求をしたことは、被請求人に害を与えようとして請求したものとしか考えられないものである。

(4)なお、本件商標は、昭和34年法に基いて出願され登録されているもので、平成16年8月28日まで権利を有するもので、被請求人は期限が来たとき実際に使用する商品について、法の定めるところに従って、更新登録を申請し、同時に新制度の商標権の指定商品に書換え登録の申請をする予定である、ことを申し添える。

(5)また、特許庁の商標公開公報によれば、平成12年10月3日に請求人が出願した商願2000-108155商標(甲第1号証)には、同年9月26日付で出願した商願2000-105565商標(乙第1号証)があり、その称呼は同じ「アンデス」であるのでこれと類似商標と認められ、本件商標の登録がなくても、商標法第8条第1項の規定により、商標登録を受けることができない商標といえるものである。

したがって、請求人には、取消審判を請求することにより、受ける利益はなく、請求人は本件審判について利害関係を有するとは認めることはできないものである。

(6)さらに、商標法第3条第1項に示されたとおり、「自己の業務に係る商品について使用をする商標について、商標登録を受けることができる。」ものであるので、先願があり、自己の業務に使用できない商標であるにも関わらず出願し、取消審判を請求していることは、被請求人の登録商標を取り消すのを目的として(被請求人に害を与えることを目的として)出願したもといわざるを得ないものである。

(7)よって、本件商標は、すでに取消2001-30240の審判事件において使用を認められているものであり、使用を認められた指定商品を除き取消審判を請求することは、被請求人に害を与えることを目的とし、自己の業務に係る商品に使用する目的とは認められず、権利の乱用と認められものである。

4 当審の判断

(1)商標制度は、商標の保護を通じて商標に化体している商標権者の業務上の信用の維持を図ることを主要な目的とするものであるところ、この信用は、商標の使用をする者により商品や役務に一定の商標が継続的に使用されることにより形成されるものである。しかし、不使用商標は、このような業務上の信用が形成されていないから、本来、商標制度をもって保護すべきものに該当しないものである。

商標法第50条による商標登録の取り消し審判(以下、「不使用取消審判」という。)制度は、そのような観点に沿って設けられているものであり、一定期間登録商標の使用をしない場合には保護すべき信用が発生しないか、あるいは発生した信用も消滅してその保護の対象がなくなると考え、他方、そのような不使用の登録商標に対して排他独占的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し、かつ、その登録商標の存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることとなるから、請求をまってこのような商標登録を取り消そうとするものである。

(2)ところで、被請求人は、本件審判請求について、被請求人に害を与えることを目的として請求したものと認められ、権利の乱用と考えるものであって、また、請求の利益のない審判である旨主張しているが、上記(1)で述べたとおり不使用取消審判の趣旨から同審判は何人も請求できるとしているのみならず、請求人は現に本件商標と抵触する可能性のある商標の登録出願を行っているのであるから、その自己の登録出願について障害となる本件商標の取消を求めることは正当な権利の行使というべきである。したがって、その請求は、権利の濫用と認められるものではないばかりでなく、商標制度の目的に反するものでもないから、請求の利益を有する正当な審判請求であるということができる。そうとすれば、被請求人の前記主張は採用できない。

(3)そして、不使用取消審判の請求があったときは、商標法第50条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、または使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取り消しを免れない。

しかるところ、本件審判の請求に対し、被請求人は、前記3の答弁をするのみで、請求に係る指定商品について、本件商標を使用していることを何ら答弁、立証するところがない。

してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る商品「産業機械器具,動力機械器具(電動機を除く。),風水力機械器具,事務用機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く。),その他の機械器具で他の類に属しないもの(消火器,消火せん,消防用ホース(其他のホースを含む。),し尿処理そう,汚水浄化そうを除く。),これらの部品および付属品(他の類に属するものを除く。),機械要素(バルブ,管継ぎ手,パッキングおよびガスケットを除く。)」について、使用されていたものとは認められず、かつ、使用をしていないことについて正当な理由があったものとは認められない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものとする。

なお、被請求人は、答弁において「本件商標は、実際に使用する商品について、更新登録を出願し、同時にその指定商品に書換え登録の申請をする予定である。」旨述べているが、同法第50条の規定による審判については、登録商標が取消請求に係る指定商品について所定の期間内に使用されているか否かの認定判断をもって必要かつ十分とすべきであって、かかる事情を考慮することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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