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Trademark Appeal Case

不使用取消審判における使用商品

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30901号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1104074号商標(以下「本件商標」という。)は、「アフロン」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和47年4月5日に登録出願、第3類「染料、顔料、塗料(電気絶縁塗料を除く)印刷インキ(謄写版用のインキを除く)くつずみ、つや出し剤」を指定商品として、昭和50年1月16日に設定登録、その後、同60年4月26日及び平成6年12月21日の二度にわたり商標権存続期間の更新の登録がなされているものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「塗料、つや出し剤」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。

(1)本件商標は、被請求人によって過去3年以上に亘って、取消請求に係る商品について使用されておらず、しかも、本件商標について、専用使用権又は通常使用権の設定登録がなされていないことは甲第1号証である商標登録原簿によって明かである。

(2)被請求人の答弁に対する弁駁

(ア)本件取消請求に係る商品は、「塗料、つや出し剤」であるところ、商品「つや出し剤」の使用については、何らの答弁もないので、当該商品については不使用を自認されたものと考える。

(イ)「塗料」については、乙第1号証1ないし3はいずれも商品カタログであって、そのおもて表紙には「四ふっ化エチレンコポリマー、四ふっ化エチレン樹脂」の文字が大きく、かつ顕著に表示されている。一般に商品カタログ表紙は、内容の商品を説明する顔、タイトルともいえるものであって、これに接する需要者は、誰でも内容を凝縮したものとみるのが自然である。

したがって、乙各号証はいづれも化学品である「四ふっ化エチレンコポリマー、四ふっ化エチレン樹脂」の商品カタログとみざるをえない。

(a)乙第1号証1のカタログ12頁には説明どおり「粉体塗装」用としての用途が記載されている。「粉体塗装用」は、材料であって、それ自体が塗料とはいえない。

(b)乙第1号証2のカタログ37頁には、「粉体塗装」への具体的な使用方法が記載されているが、当該商品自体は塗料の材料であって、もし、塗料として使用した場合の取扱方法を表したにすぎない。

(c)乙第1号証3のカタログ18頁には、「フッ素樹脂塗料」の特徴が記載されているが、これも当該塗料用として、その原材料を使用した場合、最適である旨の説明に止まる。

(d)乙第1号証2カタログ3頁の表2については、表示どおり、材料がパウダーであり静電塗装用の塗料材料の説明にすぎない。

以上、乙各号証にかかる使用商品は、いづれも塗装材料として使用すべき化学品「四ふっ化エチレンコポリマー、四ふっ化エチレン樹脂」といわざるをえない。

(ウ)商標法では商標(マーク)と、商品が一体となって商標権を形成していることは申すまでもない。そして商品は、区分、分類を一応の基準として、商品の同一又は類似を取り決め、商標権の範囲を確定する技術的手段として権利の安定を計っている。特に不使用取消審判にかかる商品の使用は広く類似商品まで拡大しようとすることは商標法制定の趣旨から逸脱すると考えられる。

(エ)以上から答弁書に係る使用は、確かに使用商標が「アフロン」であり、かつ、過去3年以内の使用であっても、使用商品が「塗料」であるとは到底申し難く、よって、その指定商品について使用していないといわざるをえない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)本件商標の使用の説明

乙第1号証は、被請求人が、その指定商品中「塗料」についての本件商標の使用をしている事実を示すカタログである。乙第2号証は、乙第1号証に示した各カタログの作成時期を証明したものである。

(ア)乙第1号証1及び乙第2号証1について

乙第1号証1は、本件商標「アフロン」を記載したカタログであり、表紙の部分に本件商標「アフロン」を記載している。さらに、本文の各所にも本件商標「アフロン」を記載しており、12頁には「粉体塗装」用としての用途が記載されている。乙第2号証1は乙第1号証1のカタログを作成した企業の発行したカタログ作成証明書であり、このカタログが平成10年12月に作成されたことを証明している。

なお、「粉体塗装」に関しては、乙第5号証『塗装技術ハンドブック』307頁に記載されているように、「溶媒の助けを借りないで、純乾式に粉体塗料を被塗物に付着させる方法」として定義されており、「塗料」を使用した塗装方法の一方法であることが、明記されている。すなわち、「粉体塗装用」ということは、当該商品が「粉体塗料」であることを示す。

(イ)乙第1号証2及び乙第2号証2について

乙第1号証2は、本件商標「アフロン」を記載した技術資料カタログであり、表紙の部分に本件商標「アフロン」を記載している。さらに本文の各所にも本件商標「アフロン」を記載しており、37頁には「粉体塗装」への具体的な使用方法についての説明がなされている。乙第2号証2は乙第1号証2のカタログを作成した企業の発行したカタログ作成証明書であり、このカタログが平成9年11月に作成されたことを証明している。

(ウ)乙第1号証3及び乙第2号証3について

乙第1号証3は、本件商標「アフロン」を記載したカタログであり、表紙の部分に本件商標「アフロン」を記載している。さらに文の各所にも本件商標「アフロン」を記載しており、また18頁に「フッ素樹脂塗料」としての特徴等が示されている。乙第2号証3は、乙第1号証3のカタログを作成した企業の発行したカタログ作成証明書であり、このカタログが平成11年3月に作成されたことを証明している。

(エ)乙第3号証について

乙第3号証は、被請求人が本件商標「アフロン」を記載したカタログを顧客に配布し、顧客がカタログの受領を証明したものである。乙第1号証1のカタログを平成10年12月に受領し、乙第1号証2のカタログを平成9年11月に受領したことを証明している。

(オ)乙第4号証について

乙第4号証は、本件商標が、出荷される商品の梱包ラベルに記載されていることを示す写真のカラーコピーである。図1は本件商標の記載されたラベルが、梱包ケースに貼りつけられている状態を示しており、図2はラベルの拡大写真である。図2では、本件商標とともにGRADE「Z−8820X」が表示されているが、これは乙第1号証2の商品カタログ(2)の3頁表−2に「静電粉体塗装」等のグレードとして明示されたものである。また、図3及び図4は商品が実際に梱包ケース内に収納されている状態を示している。

以上、乙第1号証、乙第2号証、乙第3号証、乙第4号証及び乙第5号証から、本件商標「アフロン」が日本国内において、被請求人によって、第3類の指定商品中「塗料」について、本件審判請求の登録前3年以内に使用されていることが明確に示されており、商標法第50条第2項の取消し理由は存在しない。

(2)請求人よる弁駁に対する答弁の要旨

(ア)乙第1号証1ないし3の商品カタログについて

商標の使用は、要するに「商品又は役務に関する広告、定価表又は取引書類(カタログは典型的な取引書類である)に標章を付して展示し、又は頒布する行為」(商標法第2条第3項第7号)に該当すれば足りるのであって、乙第1号証1ないし3の商品カタログは指定商品「塗料」について商標法第2条第3項第7号に該当する行為である。

(イ)乙第1号証1ないし2について

液体状塗料は樹脂分を溶剤に溶かした液状物で市販されている。一方、粉体塗料は粉体状で市販されていて、塗装時のスプレーガンに相当するのが静電塗装機であり、静電力を利用して被塗物に塗膜が形成される。すなわち粉体塗料とは粉体そのものである。乙1号証ないし2に「粉体塗装用」と記載したものは、アフロンなる商標を付している商品群のうちの特定のものを「粉体塗装用」すなわち「粉体塗料」として市販しているものであり、そのことを示すのがこの乙号証なのである。

(ウ)乙第1号証3について

請求人は「...用」との記載は原材料についての商標の使用である旨、主張しているが、乙第1号証3の18頁には、「非粘着性、耐食性、摩擦摩耗特性に優れたフッ素樹脂塗料です。」と記載されていて、このディスパージョンそのものが「塗料」であることが明記されている。同頁および次の19頁の表には、具体的に、下塗り、中塗り、上塗りにおける各色調の商品が記載されており、明確に「塗料」であることがわかる。このディスパージョンは上で詳述した粉体塗料ではなく、典型的な液状体塗料である。

(エ)被請求人は、「ふっ素樹脂ハンドブック」の一部を新たに乙第6号証として提出する。

本件商標「アフロン」を付した粉体塗料はこのハンドブックにも記載されるような著名商品であるが、同号証から、この商品が粉体塗料であることがわかる。具体的には、「アフロンCOPZ−8820/Z−8850はETFEのみの粉で、塗装膜厚によって使い分けられる。」(同号証485頁)とあり、更に表「7.20粉体塗装用原料」(乙第6号証485頁)にこの型番の商品仕様が記載されているが、本件商標「アフロン」を使用した上記型番の商品は、他に何らの混合物もなく、「アフロン」の粉体そのものを静電塗装に使用するもので、まさに塗料そのものである。

4 当審の判断

(1)被請求人は、商品「塗料」について、本件商標を使用しているとして証拠を提出しているので、その提出に係る乙各号証について検討する。

(ア)被請求人提出の乙第1号証3の商品カタログ(AFlon PTFE 四ふっ化エチレン樹脂 アフロン PTEF)の18頁には、「アフロン PTFEコーティング用 ディスパージョンの特長と用途」という見出しの下に、「非粘着性、耐食性、摩擦摩耗性にすぐれたフッ素樹脂塗料です。光輝性を帯びた美しい外観を呈しているので厨房器用途に最適であり、ご要望に応じお好みの色調をお作り致します」との記載が認められる。そして、同頁から19頁にかけて示されている表中には、品種の欄に、下塗り、中塗り、上塗り、カラー用上塗りの各文言があり、その液色調、主要物性、用途及び特徴が記載されている。

これらの事実からすると、上記商品カタログに掲載された商品は、本件取消請求に係る商品に含まれる「塗料」の範疇に属する商品というべきである。

(イ)上記カタログの裏表紙に記載の「・・・JP/2000/’99−3」及び乙第2号証3の「カタログ作成証明書」によれば、当該カタログが、本件審判請求の予告登録前3年以内に当たる平成11年3月に作成されたことが認められる。

(ウ)上記カタログには、「アフロン」の文字と「PTFE」の文字の間に登録商標であることを示すために慣用されている丸の中に「R」の欧文字を小さく表示したマークが付されているところ、「PTFE」の文字は、四フッ化エチレン樹脂のことを指している。そして、「PTFE」の文字は、「ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)」の略語で、地球上で最も摩擦の小さい固体物質としてコーティング剤にも使用されているものであって、商品を表示したものと認められるから、「アフロン」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たす要部というべきであり、独立した商標として認識されるものである。

(エ)上記カタログは、表紙の記載によれば、旭硝子フロロポリマーズ株式会社のカタログと認められるが、その裏表紙には、国内代理店ACC旭硝子株式会社(Aの文字がレタリング化されている)、製造/販売(編集責任・発行)旭硝子フロロポリマーズ株式会社とあり、そのカタログの21頁には、当該旭硝子フロロポリマーズ株式会社が、旭硝子のPTFE製造会社として設立され、その後、1999年(平成11年)1月に旭硝子株式会社の100%子会社となった旨の記載がある。

(2)以上によれば、被請求人の100%子会社である旭硝子フロロポリマーズ株式会社が、本件商標「アフロン」と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る指定商品中の「塗料」について、本件審判請求の登録日(平成11年8月4日)前3年以内に日本国内において使用していたということができる。

(3)請求人は、乙各号証はいづれも化学品である「四ふっ化エチレンコポリマー、四ふっ化エチレン樹脂」の商品カタログとみざるを得ない旨主張しているが、乙第1号証3のカタログ表紙に記載の「四ふっ化エチレン樹脂」は、上述のとおりであり、また、このようなカタログが作成された場合、頒布されるものであることは、商取引の実際に照らして、是認できるところである。そして、その商標を付したカタログ(広告)を頒布することは、商標の使用(商標法第2条第3項第8号)にあたるといえるのであり、本件商標は、上記のごとくフッ素樹脂塗料に使用していると認められるから、請求人の主張は採用の限りでない。

(4)以上のとおりであるから、本件商標は、その指定商品中取消請求に係る商品「つやだし剤、塗料」について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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