結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2002−30664(T2002−30664/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4166369号商標(以下「本件商標」という。)は、「はせ甚」の文字を横書きしてなり、平成8年10月14日に登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同10年7月10日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の指定役務「飲食物の提供」についての登録を取り消す、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第4号証を提出している。
(1)取消理由
本件商標は、その指定役務について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、継続して3年以上日本国内において本件商標を使用していないものであるから、商標法第50条第1項の規定によりその登録が取り消されるべきである。
請求人は、商標「はせ甚」を登録出願し、本件商標の存在を知ったものであり、本件審判を請求することについて利害関係を有するものである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)請求人提出の甲第3号証(営業譲渡等に関する覚書)は、売主A:久保田食品科学社、売主B:はせ甚社、売主C:久保田勝俊氏、売主D:久保田江美子氏、売主E:久保田康大郎氏と、買主:勿来・大玉社との間において、平成6年12月8日付けで取り交わされた覚書であり、該覚書は、「はせ甚」なる商号で営業をなしている営業上の財産一切及び準備中の財産一切、また、売主C,D,Eの所有する不動産を譲渡するという内容である。
したがって、被請求人においては、上記の営業譲渡に伴い本件商標を使用する権利についても譲渡したものと認識すべきであり、本件商標について使用する権利を有しないものと思料する。
(イ)被請求人の主張のうち、本件商標について、ケイアンドアイインターナショナル株式会社(以下「ケイアンドアイ社」という。)が平成16年7月31日迄は、本件商標について使用許諾されていることは認めるものである。しかしながら、通常使用権者とされるケイアンドアイ社が本件商標を使用しているか否かの点については、認められないものである。
なぜならば、ケイアンドアイ社が本店舗の運営に関して株式会社ミキシング(以下「ミキシング社」という。)との間で取り交わした顧問契約期間は平成13年12月1日から同14年1月末日迄である。また、平成14年7月27日付けの「合意書」によれば、同13年11月28日付け「覚書」と「顧問契約書」の両契約書について本合意に移行することが記載されている。
しかるに、上記の「顧問契約書」の契約期間は、平成14年1月末日迄であるから、同14年7月27日付けの本合意の実質的な中身は上記の「覚書」であることとなる。したがって、ケイアンドアイ社はミキシング社との間で取り交わした本店舗の運営に関する顧問契約は、終了しているものである。
よって、平成14年2月1日から本合意に移行する同14年7月26日までの期間は、本店舗の運営に関する顧問契約は取り交わしていないものであるから、この期間において、ケイアンドアイ社は本件商標を使用していないこと明らかである。
また、乙第4号証に示される合意書は、通常使用権者とされるケイアンドアイ社とミキシング社及び有限会社エムジーサービス(以下「エムジーサービス社」という。)との合意日が、本件審判請求登録(平成14年6月28日)後の平成14年7月27日であり、乙第5号証に示される撮影年月日から見ても、本合意した同14年7月27日以降に使用しているものであるから、本件審判請求登録日以前に使用していたか否か疑念を抱かざるを得ない。
(ウ)被請求人は、使用商標1ないし3「はせ甚」は、本件商標(「HASEJIN」)と構成を異にしているが、「ハセジン」の称呼が生ずる点で共通し、観念も共通しているから、社会通念上同一の商標である、と主張する。
しかしながら、商標法第50条第1項にいう登録商標とは、第1に書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、第2に平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、第3に外観において同視される図形からなる商標、第4にその他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を指すものである。
しかるに、通常使用権者とされるケイアンドアイ社が使用している商標の態様は、「はせ甚」であり、本件商標は欧文字の「HASEJIN」である。
したがって、当該使用態様は、本件商標に対して書体のみに変更を加えた同一の文字ではないし、また、欧文字(ローマ文字)を平仮名文字あるいは片仮名文字という表示に変更した文字でもないし、更に図形商標でもないし、更にまた縦書きを横書きにしたような文字でもないものであるから、社会通念上同一の商標であるとの主張は、正当なものとは認められないものである。
よって、当該使用態様は、称呼において類似する本件商標の類似商標の使用であるから、商標法第50条にいう登録商標の使用をしていないこと明白である。
(エ)被請求人は、創業以来、「はせ甚」の商標により牛肉及び牛肉製品の製造販売並びに飲食物の提供を行なっており、老舗として業界では広く知られるに至っている、と主張する。しかし、平成6年12月8日付けにて他社に営業譲渡されているものである(甲第3号証、甲第4号証)。
(オ)以上に検討したように、被請求人が提出した各乙号証によれば、通常使用権者とされる本件商標の使用行為は、本件審判請求登録後の使用事実であると共に、本件商標に類似する商標の使用であること明白である。
したがって、通常使用権者とされるケイアンドアイ社が被請求人から本件商標について使用許諾を与えられた権限を有するものであるとしても、本件商標について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品についての登録商標の使用をしていないものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第12号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)本件商標に係る通常使用権者は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定役務中の「牛肉料理等の提供」について本件商標と同一の商標及び社会通念上同一の商標を使用している。以下、その使用事実について詳述する。
(ア)被請求人は、文久2年(1862年)に、日本橋で創業以来、「はせ甚」の商標により牛肉及び牛肉製品の製造販売並びに牛肉料理の提供を行っており、「はせ甚」の商標は老舗としての被請求人が製造販売する牛肉製品等に係る商標として業界では広く知られるに至っている。
被請求人は、平成13年8月1日に、ケイアンドアイ社との間で「マネジメントプロデュースに関する覚書」を取り交わしている(乙第1号証)。その内容は、被請求人はケイアンドアイ社に対し、マネージメントプロデュース及び必要に応じ人員の派遣を行い、また、ケイアンドアイ社は被請求人の指導により生肉の味噌漬けと佃煮に関しての製造及び販売を行い、その際被請求人はケイアンドアイ社に対し、商標権者の所有する商標及び商品名の使用を許諾するというものである(乙第1号証)。
そして、上記覚書は総合的なマネジメントプロデュースに関するものであって、「味噌漬けと佃煮に関しての製造及び販売」には、味噌漬け等自体の製造及び販売のほか、その味噌漬け等を店舗内で調理した牛肉料理の提供をも含むものであると解釈されている。したがって、ケイアンドアイ社は本件商標に係る商標権について通常使用権を有する者である。
ケイアンドアイ社は、平成13年11月28日に、スパゲティレストラン「マザーズ木津川台店」(所在地:京都府相楽郡木津町木津川台6−1−1)及び同「原山台店」(所在地:大阪府堺市原山台5−9−5 クロスモール内)を運営しているミキシング社及びエムジーサービス社との間で、ミキシング社及びエムジーサービス社の契約者としての地位を平成13年12月1日付でケイアンドアイ社に承継する旨の覚書を締結するとともに、同日付で、ミキシング社との間で、上記店舗の運営に関する一切についてケイアンドアイ社に委任する旨の顧問契約を締結している(乙第2号証及び乙第3号証)。
したがって、上記店舗は平成13年12月1日以降、ケイアンドアイ社が実質的に運営管理している。
なお、両契約は平成14年7月27日付で本合意に移行している(乙第4号証)。
(イ)ケイアンドアイ社は、上記店舗内で牛肉を京都の最上白味噌に漬け込んで「牛肉味噌債」を製造し、調理のうえ「味噌漬ステーキ」として150g、1800円で提供している(乙第5号証及び乙第6号証)。
なお、「牛肉味増涜」は好評であるため、持帰用に杉折に詰めて販売している(乙第6号証)。
a) 乙第5号証はスパゲティレストラン「マザーズ木津川台店」の外観を撮影した写真である。
b)乙第7号証は座席ごとにテーブルの上に敷いて用いる紙製テーブルマットであるが、「はせ甚」の文字を横書してなる商標(使用商標1)が表されている。この紙製テーブルマットは10000部を印刷会社に発注し、2002年3月13日に納品され、その後、継続して使用しているものである(乙第8号証)。紙製テーブルマットへの使用商標1の表示及びその紙製テーブルマットの使用は、本件審判請求登録前3年以内において「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為」及び「これを用いて役務を提供する行為」に該当する。
c)乙第9号証はステーキフェアの折込ちらしであるが、これにも「はせ甚」の文字を横書してなる商標(使用商標2)が表されている。この折込ちらしは2002年2月4日に20500部、同年3月6日に25000部がそれぞれ納品され、その直後に配布されている(乙第10号証及び乙第11号証)。
いずれも本件審判請求登録前3年以内において「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当する。
なお、乙第10号証の請求書においては折込ちらしの大きさが「B4」となっているが、これは「B5」2枚分をまとめて印刷したためである。したがって、実際には20500部の2倍の41000部が2月4日の直後に配布されている。
d)乙第6号証のメニューの「味噌債ステーキ」の項には「日本橋・はせ甚」の商標(使用商標3)が表されている。
e)乙第7号証の紙製テーブルマット及び乙第9号証の折込ちらしにおいては、「Produced by」に続いて「はせ甚」が表示されているが、この「はせ甚」は本件商標と同一の構成からなるものであって、単にプロデューサーを表示するものではなく、自他役務の識別標識として商標的使用態様にて表示されているものである。したがって、使用商標1及び使用商標2は本件商標と同一の商標である。
他方、使用商標3においては、「日本橋」の文字は創業地を表すものであるので、「はせ甚」の文字部分が自他役務の識別標識としての機能を発揮している。したがって、使用商標3は本件商標と社会通念上同一の商標である。
また、「牛肉料理等の提供」は指定役務に含まれるものである。
(2)以上のとおり、被請求人の通常使用権者であるケイアンドアイ社が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本指定役務中の「牛肉料理等の提供」について本件商標と同一の商標及び社会通念上同一の商標を使用していることは明らかである。
したがって、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、本件商標の使用に関して以下の事実が認められる。
被請求人は、ケイアンドアイ社との間でマネジメントプロデュースに関する覚書を取り交わしており(乙第1号証)、ケイアンドアイ社は、スパゲティレストラン「マザーズ木津川台店」ほかを運営しているミキシング社及びエムジーサービス社との間で覚書を締結し、さらにミキシング社とは上記店舗の運営について顧問契約を締結している(乙第2及び3号証)。そして、上記覚書及び顧問契約は本合意に達している(乙第4号証)。
上記レストランのメニューには、「味噌漬ステーキ 150g ¥1800」の表示と共に「Steaks with "miso" 日本橋・はせ甚 老舗の味、味噌漬のステーキです」と表示されている(乙第6号証)。
上記レストランの紙製テーブルマットには、「PASTA&STEAK RESTAURANT MOTHER'S 」の表示と共に「Produced by はせ甚」の文字(「Produced by」の文字が小さいのに対し、「はせ甚」の文字は大きく書されている。)が表示されている(乙第7号証)。
上記レストランの折込ちらしには、「マザーズ木津川台店」の表示と共に「Produced by はせ甚」の文字(「Produced by」の文字が小さいのに対し、「はせ甚」の文字は大きく書されている。)が表示されている(乙第9号証)。
そして、上記紙製テーブルマット及び折込ちらしに表示された「はせ甚」の文字は、その表示態様からして、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、本件商標と社会通念上同一のものといい得るものである。
上記紙製テーブルマットは2002(平成14)年3月13日に、上記折込ちらしは2002(平成14)年3月6日に、それぞれ株式会社京都こぴいからケイアンドアイ社に宛てて納品されたものと推認される(乙第8及び第11号証)。
(2)以上の事実及び被請求人の答弁の全趣旨によれば、ケイアンドアイ社は、本件商標に係る通常使用権者というべき者であって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る役務に含まれるというべき役務「牛肉料理等の提供」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたと認められる。
(3)請求人は、本件商標が欧文字の「HASEJIN」であるとし、被請求人が使用していると主張する商標は本件商標の類似商標である旨主張しているが、本件商標は、上記1のとおり、「はせ甚」の文字を横書きした構成からなるものであるから、請求人のこの主張は前提において誤りである。
(4)請求人は、「営業譲渡等に関する覚書」(甲第3号証)によれば、被請求人が本件商標を使用する権利も譲渡したものと認識すべきであるから、被請求人は本件商標を使用する権利を有しない旨主張している。
しかしながら、甲第3号証の「営業譲渡等に関する覚書」をみても、被請求人が本件商標を他人に譲渡した事実は窺えず、また、商標権は営業を伴わずに移転することができることからすれば、営業の譲渡と共に商標権も移転されたものとみなければならない合理的理由は見出せないから、請求人の主張は採用することができない。
(5)以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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