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Trademark Appeal Case

複合商標の社会通念上同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30152(T2002−30152/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2047682号商標(以下、「本件商標」という。)は、「なごみ」の平仮名文字と「和」の漢字とを上下二段に横書きしてなり、昭和60年10月1日に登録出願、第29類「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷」を指定商品として、同63年5月26日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

本件商標の指定商品中、「清涼飲料,果実飲料,これらに類似する商品」について登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。

2 請求の理由

本件商標は、その指定商品中、「清涼飲料,果実飲料,これらに類似する商品」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれかによって使用された事実は存在しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により「清涼飲料,果実飲料,これらに類似する商品」についての登録が取消されるべきである。

3 答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、平成14年6月20日付審判答弁書において、本件商標は、商標法第50条第2項の規定により取り消されるべきではない旨を主張し、本件商標の使用を示す証拠であるとして乙第1号証ないし乙第16号証(枝番号を含む。)を提出した。

(2)しかしながら、以下に述べる理由により、被請求人は本件商標登録にかかる商標をその指定商品中「清涼飲料,果実飲料,これらに類似する商品」について使用していることを証明したとは言えない。

(イ)被請求人が平仮名「なごみ」を使用する行為が「登録商標の使用」にあたるのか否かついて

本件商標は平仮名「なごみ」と漢字「和」を二段に書してなるものであるが、被請求人の使用している商標は平仮名「なごみ」である。商標法第50条は下記のとおり規定する。「継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標,平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」

被請求人の提出する証明には平仮名「なごみ」に関する使用の事実を示す証拠のみである。これは登録商標「なごみ/和」と同一ではないことは明らかである。

そこで、被請求人の使用している平仮名「なごみ」が、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」にあたるのか否かが問題となる。

まず、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」にあたらないことは明白である。

次に、「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」にあたらないことは明白である。

さらに「外観において同視される図形からなる商標」にあたらないことは明白である。

最後に「その他当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」にあたるか否かについては、平仮名「なごみ」の使用は本件商標「なごみ/和」と「社会通念上同一と認められる商標」の使用にはあたらないと思料する。漢字「和」は「和解、和平、和歌山、和する、和を尊ぶ」のように「わ」と発音することが圧倒的に多いこと、及び、「和」は単体で「日本」を表すものとして「和風(わふう)、和文(わぶん)、和紙(わし)、和牛(わぎゅう)」のように使用されていることから、本件商標の構成中の文字「和」からは社会通念上「わ」の称呼のみが発生することは明らかである。たとえ平仮名「なごみ」がその上部に配されていても、漢字「和」は上記に述べたように通常「ワ」と称呼し、「和『み』」と送り仮名を振られた場合にのみ「なごみ」の称呼が生じることから、平仮名「なごみ」は振り仮名と認めることはできず、「なごみ」の称呼は生じず、「ワ」の称呼のみを生じる。さらに、このことを補強する事実として、本件商標「なごみ/和」が請求人所有の商標登録出願「和/NARIWA」(商願2001−31993号)に引用されていることが挙げられる。このことからも、特許庁において本件商標からは「ワ」の称呼が生じると判断しているものと思われる。よって、平仮名「なごみ」の使用は本件商標「なごみ/和」と社会通念上同一と認められる商標」の使用にはあたらない。

結局、本件商標「なごみ/和」との関係について、非請求人の平仮名「なごみ」の使用は、商標法第50条に規定されている「登録商標の使用」にはあたらないと思料する。

(ロ)「本件不使用取消審判の請求にかかる商品」についての使用の事実を示すものであるか否かについて

被請求人が登録の取消を免れるためには「不使用取消審判の請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていること」を示す必要がある。請求人は「清涼飲料,果実飲料,これらに類似する商品」について本件商標登録の取消を請求しているが、被請求人が平仮名「なごみ」を使用していると主張する商品「緑茶、笹緑茶、冷緑茶、玉露、麦茶、米豆麦茶、いろり茶」が「請求に係る指定商品又は指定役務のいずれか」にあたるか否かが問題となる。

特許庁商標課編「商品区分解説」(甲第2号証)には「清涼飲料」には「(1)炭酸を含むもの、(2)シロップ(「はち蜜」を除く。)及び(3)鉱泉水(ミネラルウオーター)が含まれる」と解説され、「果実飲料」には「天然果汁又はこれを加工した濃縮果汁等のように天然果汁を原料とする飲料がこの概念に含まれる」と解説されている。

かかる事実から、被請求人の使用にかかる「緑茶、笹緑茶、冷緑茶、玉露、麦茶、米豆麦茶、いろり茶」は「清涼飲料,果実飲料,これらに類似する商品」に含まれないことは明らかである。

以上より、被請求人は本件商標登録にかかる商標をその指定商品中「清涼飲料,果実飲料,これらに類似する商品」について使用していることを証明したとは言えない。

(3)さらに以下において、被請求人の主張を検証する。

(イ)被請求人答弁書6(4)について

被請求人は、乙第2号証ないし乙第6号証、乙第8号証及び乙第16号証を提出して、平仮名「なごみ」が「緑茶、笹緑茶、麦茶、冷緑茶、玉露、米豆麦茶、いろり茶」について使用されている旨主張している。

しかしながら、上記(2)に述べたように、平仮名「なごみ」は本件商標の使用にはあたらないばかりでなく、「緑茶、笹緑茶、麦茶、冷緑茶、玉露、米豆麦茶、いろり茶」についての使用は本件不使用取消審判の請求にかかる商品「清涼飲料,果実飲料,これらに類似する商品」についての使用ではない。

よって、被請求人の主張には理由がないと思料する。

(ロ)被請求人答弁書6(5)について

被請求人は、本件商標は平仮名「なごみ」が付されていることから漢字「和」から「ナゴミ」の称呼が生じる旨述べているが、被請求人提出の乙第9号証からわかるように、「和む」についても「む」の送り仮名が必要であることからも、本件商標の構成中の漢字「和」は「ナゴミ」と称呼することは不可能であり、「ワ」の称呼のみが生じると思料する。

また、被請求人は「不使用商標の存在によって商標採択の機会を不当に奪うのを防ぐ」という不使用取消審判の制度目的について言及し、不使用取消審判制度の濫用を憂慮している。

しかしながら、上述したとおり、請求人は商標「和/NARIWA」について商標登録出願をしており(商願2001−31993号)、かかる出願対して被請求人所有の本件商標「なごみ/和」が引用されたため、自己の出願商標の登録を追及せんがために本件不使用取消審判を請求しているのであって、請求人による本件不使用取消審判の請求は権利の濫用でないことは明らかである。

また、被請求人は一貫して平仮名「なごみ」の使用が登録商標「なごみ/和」の使用にあたると主張しているが、かかる拡大解釈は正に請求人の「商標採択の機会を不当に奪う」ことに他ならない行為であり、妥当ではないと思料する。

よって、被請求人が平仮名「なごみ」を使用する行為は、「登録商標の使用」にあたるものではないと思料する。

(ハ)被請求人答弁書6(6)について

被請求人は、「緑茶(清涼飲料水)」等の記載が飲料業界で横行しており、「茶」と「清涼飲料」の区別が必ずしもはっきりしない状況が存在しているため、被請求人の商品は「茶」と「清涼飲料」の両方に属する旨述べているが、理由がないものと思料する。

まず、「緑茶(清涼飲料水)」等の記載が飲料業界において横行しており、このことをもって商品「茶」と商品「清涼飲料」の区別があいまいになっていると主張する。しかしながら、一般的に「清涼飲料」は炭酸、糖分等が含まれている。一方、昨今の健康ブームの中においては「茶」はノンカロリーで様々な薬効があると需要者に認識されている。

かかる状況下、「清涼飲料」と「茶」とは明確に区別されていると思料する。被請求人の主張を採用すれば、同じように缶にパッケージされている「コーヒー」が「清涼飲料」と類似するとの結果になり、このような主張は需要者によって「茶、コーヒー」が「清涼飲料」とは明確に区別されている事実に鑑みても妥当ではない。

被請求人は、乙第16号証の希釈して販売される方法が本来「清涼飲料水」で頻繁に行われている方法であることから、被請求人の「茶」が同様の手法により販売されている事実をもって、「茶」が「清涼飲料」との区別が曖昧になっている旨主張するが、パッケージングの方法により商品の帰属が決定されるという主張は全く理由がないと思料する。このように濃縮した原液を取引先において希釈して使用するのは業務効率を優先させているだけであり、「チューハイ、飲食業における出汁、病院におけるオキシドール、清掃業におけるクリーナー」等も同様の手法で販売されていることからも、被請求人の主張には理由がないことが明らかである。

また、被請求人は「茶」を広く捉えれば「清涼飲料」の定義に含みうると主張しているが、商品・役務審査基準をないがしろにする主張であり、被請求人の主張が正しければ、「清涼飲料」の下位概念に「茶」が例示されていなければならないはずであり、全く理由がないと思料する。

被請求人は「お茶を原材料とする清涼飲料」等の商品の指定が過去に認められている事実を指摘して、被請求人の商品が「茶」に属する商品だからといって、「茶」としての意味しかないとすることはできず、同時に「清涼飲料」にも属するべきである旨主張している。しかしながら、被請求人の主張は、「とうがらしを原材料に用いた清涼飲料」の記載の事実をもって「とうがらし」が「野菜」と同時に「清涼飲料」にも属すると主張するかのごとき論理に立脚しており、理由がないことは明らかである。これらの商品の指定方法から、ますますもって「清涼飲料」と「茶」は別異の商品であることが明らかになったものと思料する。

さらに、被請求人は「ずぼん,スカート」等は「ねまき類」だけでなく、「洋服」に含まれるとされた事例、及び、「クリーム状の洗顔料」が「石鹸」だけでなく、「化粧品」に該当するとされた事例を挙げて、被請求人の使用にかかる「茶」が「清涼飲料」にも該当すると主張するが、これは論理のすり替えであって、本件にはあてはまらない。つまり、上記の例は問題となった「ずぼん,スカート」が「ねまき類」としてだけではなく、「洋服」としても使用できるようにそのデザイン、材質等が採択されているという特殊事情によるものであり、「石鹸」と「化粧品」の双方の成分を含有してなる商品であるという特殊事情によるものである。よって、本件とは事案を異にし、「茶」が「清涼飲料」に属するという被請求人の主張には理由がないと思料する。

さらに、被請求人は「清涼飲料,果実飲料」に類似する商品と「茶」が類似する旨主張するが、商品・役務審査基準に照らしてもこのような主張には理由がないことは明らかである。

よって、被請求人が自認しているとおり、「緑茶、冷緑茶、玉露、米豆麦茶、いろり茶、笹緑茶、麦茶」は全て「茶」であり、かかる商品についての被請求人の商標の使用は本件不使用取消審判の請求に係る商品「清涼飲料,果実飲料,これらの類似品」についての商標の使用ではないと思料する。

(ニ)被請求人答弁書6(7)について

被請求人は、本件不使用取消審判について、「このような商標登録を取り消すことは業務上の信用の化体しない商標の整理を図るという不使用取消審判制度の趣旨に反するだけでなく、業務上の信用の保護という法目的にも反するものである」旨主張している。

しかしながら、上述したとおり、被請求人は本件不使用取消審判の請求にかかる商品「清涼飲料,果実飲料,これらに類似する商品」について本件商標登録に係る商標「なごみ/和」を使用しているものではない。

よって、本件商標「なごみ/和」は業務上の信用が化体している商標とは言えず、このような商標登録を取消すことは、不使用取消審判制度の趣旨及び法目的に反するものではないと思料する。

(4)以上のとおり、被請求人は本件商標を本件不使用取消審判の請求にかかる商品について使用していることにつき証明をしたとは言えないので、商標法第50条第2項の規定の適用を受け取消しを免れ得るものではない。

第3 答弁

1 答弁の趣旨

結論同旨の審決を求める。

2 答弁の理由

被請求人は、乙第1号証ないし乙第16号証(枝番号を含む。)を提出し、その理由を以下のように述べた。

以下に述べる通り、本件商標は、被請求人たる本件商標権者(乙第1号証、第1号証の2)の許諾を受けて通常使用権者となっている日本コカ・コーラ株式会社(東京都渋谷区渋谷4−6−3)により、当該審判請求登録日(平成14年3月6日)前3年以内に、請求にかかる指定商品中、「清涼飲料」または「これらに類似する商品」について使用されているものである。

すなわち、乙第2号証は、平成12年2月の時点において企業が提供している商品を紹介した産経新聞メディックス発行の「飲料商品ガイド2000年度版」と題する年鑑であるが、通常使用権者の商品として縦書きで平仮名「なごみ」と書かれた「緑茶」、「笹緑茶」がこれに掲載されている。乙第3号証は、平成13年3月の時点における同様の年鑑であり、通常使用権者の商品として縦書きで平仮名「なごみ」と書かれた「麦茶」が掲載されており、発売年月日は「2001年4月16日」(すなわち、平成13年4月16日)と記載されている。

また、乙第4号証は、1998年(平成10年)6月時点において販売されている通常使用権者の商品の一覧であるが、縦書きで平仮名「なごみ」と書かれた「緑茶」、「冷緑茶」、「玉露」、「麦茶」が記載されている。

同様に、乙第5号証は、1999年(平成11年)8月時点において販売されている通常使用権者の商品の一覧であるが、縦書きで平仮名「なごみ」と書かれた「緑茶」、「冷緑茶」、「玉露」、「米豆麦茶」、「いろり茶」がこれに記載されている。

乙第6号証は、2000年(平成12年)10月時点において販売されている通常使用権者の商品の一覧であるが、縦書きで平仮名「なごみ」と書かれた「笹緑茶」、「緑茶」、「玉露」、「麦茶」、「いろり茶」がこれに記載されている。

上記の乙第2号証ないし第6号証には、日本コカ・コーラ株式会社と記載されているが、上記の通り、日本コカ・コーラ株式会社は、被請求人たる本件商標権者出資に係る子会社であって、これより商標の使用許諾を受けて、被請求人の商品を日本において販売する通常使用権者である。

以上より、縦書き・平仮名の「なごみ」を付した「緑茶」は少なくとも平成10年6月から平成12年10月まで、同様の「冷緑茶」は少なくとも平成10年6月から11年8月まで、同様の「玉露」は少なくとも平成10年6月から平成12年10月まで、同様の「米豆麦茶」は少なくとも平成11年8月において、同様の「いろり茶」は少なくとも平成11年8月から平成12年10月まで、同様の「笹緑茶」は少なくとも平成12年2月から平成12年10月まで、本件商標の通常使用権者たる日本コ力・コーラ株式会社によって販売されていることが認められる。「麦茶」については、乙第4号証に記載されている缶及びペットボトルのデザインのものは平成10年6月において、乙第6号証に記載されている缶及びペットボトルのデザインのものは平成12年10月において、乙第3号証に記載されている缶及びペットボトルのデザインのものは平成13年4月16日から販売されている。

したがって、縦書き・平仮名の「なごみ」を付した「麦茶」は缶及びペットボトルのデザインの変更を経つつ、少なくとも平成10年6月から平成13年4月16日以降までは、本件商標の通常使用権者たる日本コカ・コーラ株式会社によって販売されていることが認められる。

乙第8号証は、飲料の缶の収集家のホームページであるが、2001年(平成13年)4月25日に東京都台東区上野において、乙第3号証に掲載されている缶と同じデザインの「なごみ・麦茶」を購入したことを記載しており、上記の事実を裏付けるものである。

尚、上記個人消費者向け商品以外にも、業務用商品として、き釈して使用する茶風味の飲料が、横書き・平仮名の「なごみ」の文字を付して販売されている(乙第16号証)。既に上記消費者向け商品に係る使用の主張立証で十分であると考えるが、必要であれば、これについても、本件請求登録がなされた平成14年3月6日前3年以内に実際に販売された事実を立証する準備がある。

縦書き・平仮名の「なごみ」の使用が登録商標の使用に該当するかについて商標法第50条第2項によれば、同条第1項による取消を免れるためには、「登録商標」の使用が必要であるが、この「登録商標」の中には、同条第1項括弧書きで示すとおり、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」も含まれる。上記の通常使用権者による使用は、乙16号証を除き、すべて縦書き・平仮名の「なごみ」についてであり、本件商標は平仮名「なごみ」と漢字「和」の上下二段書きである。本件商標中平仮名書きの「なごみ」が併記されていることによって、本件商標からは「ナゴミ」という称呼が生じるため、両者は「ナゴミ」という称呼の点で同一であり、かつ、「なごやかになる。」「おだやかになる。」という意味を表す「和む(なごむ)」の連用形であり、観念も同一である(乙第9号証)。

また、不使用取消審判は、不使用商標の存在によって商標採択の機会を不当に奪うのを防ぐ制度目的よりすれば、同条第1項の括弧書きはあくまで登録商標と社会通念上同一と認められる商標の例示的列挙にすぎないと解される。したがって、上記の通常使用権者による使用を同条第1項・第2項の「登録商標の使用」と認めないならば、不使用取消審判制度を濫用せしめる結果となることは明らかであり、妥当ではない。

したがって、本件商標の通常使用権者たる日本コカ・コーラ株式会社の使用している縦書き・平仮名「なごみ」は、平仮名「なごみ」と漢字「和」を横に上下二段書きに構成した本件登録商標と社会通念上同一である。

商品「緑茶」、「冷緑茶」、「玉露」、「米豆麦茶」、「いろり茶」、「笹緑茶」、「麦茶」について、縦書き・平仮名の「なごみ」を使用することが、同条第2項の「その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用」となるかについて請求人の請求に係る指定商品は、「清涼飲料、果実飲料、これらに類似する商品」である。

一方、本件商標の通常使用権者たる日本コカ・コーラ株式会社が横書き・平仮名の「なごみ」を使用している商品は、「緑茶」、「冷緑茶」、「玉露」、「米豆麦茶」、「いろり茶」、「笹緑茶」、「麦茶」であり、これらが一般的に「茶」であることは疑いのないところである。

しかし、飲料業界においては、平成12年頃から「茶系飲料」が流行し始め、従来市場に存在しなかった「ブレンド茶」が多く市場に、ノンカロリーでのどを潤す清涼飲料として「茶」を販売する傾向が現れ、「茶」と「清涼飲料水」の区別が必ずしもはっきりしない状態となっている。また、被請求人の商品についても、「緑茶」、「笹緑茶」、「いろり茶」、「米豆麦茶」、「麦茶(乙第6号証に記載されているもの)」のパッケージには、各々、「緑茶(清涼飲料水)」、「笹緑茶(清涼飲料水)」、「いろり茶(清涼飲料水)」、「米豆麦茶(清涼飲料水)」、「麦茶(清涼飲料水)」と(乙第7号証)、「麦茶(乙第3号証に記載されているもの)」のパッケージには、「麦茶(清涼飲料水)」と記載されており(乙第8号証)、このような商品として販売及び宣伝広告がなされている。さらに、他の飲料業界の企業の商品においても、同様の商品表示がなされていることは乙第15号証の示すところである。 さらに、乙第16号証の「なごみ・どん茶」は、き釈して販売される業務用飲料であり、このような飲み方というのは、本来「清涼飲料水」で頻繁に行われていた方法であり、これも両者の区別が曖昧化していることの一端である。広辞苑によれば、「清涼飲料」とは、「喉の渇きをいやし、清涼感をおぼえさせる非アルコール性飲料の総称。」という意味であり(乙第13号証)、広く捉えれば、この定義の中に「茶」も含みうるため、日本語の意味としても、そもそも両者の境界は曖昧で区別しづらいものである。実際、過去の出願例においても、「お茶を原材料とする清涼飲料」、「柿の葉茶を主成分とする清涼飲料」、「茶入りの清涼飲料」という商品が指定されている(乙第14号証)。したがって、本件商品が全て「茶」に属する商品だからといって、「茶」としての意味しかないとすることはできず、これらは、同時に、「清涼飲料」にも属するというべきである。

ちなみに、過去の判決において、「ナイトウエアカタログ」と題する広告文書に掲載された「ずぽん、スカート」等は、その用途の多様性からみて、「ねまき類」としての意味しかないわけではなく、指定商品の「洋服」にも含まれるとしたもの(乙第10号証)、登録商標の使用されている本件商品(クリーム状の洗顔料)は「石鹸」であるが同時に指定商品である「化粧品」に該当すると判示したもの(乙第11号証、乙第12号証)が存在する。本件商品についても同様に判断されるべきである。また、仮にそうでないとしても、本件使用に係る商品と「清涼飲料」は、生産部門、販売部門、用途、需要者等の点で一致しており、同一の商標を使用した場合に出所の混同を生ずるといえ、相互に類似する関係にある。そのため、本件使用に係る商品は、請求人の請求に係る「これらに類似する商品」の中に含まれ、いずれにせよ、本件商標の通常商標権者たる日本コカ・コーラ株式会社が、請求に係る指定商品等のいずれかについて登録商標の使用をしていることは明らかである。

以上より、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者が「清涼飲料」又は少なくとも「清涼飲料に類似する商品」に使用した結果、業務上の信用が化体しているものであり、本件審判の取消の対象とはなりえない商標である。このような商標登録を取消すことは業務上の信用の化体しない商標の整理を図るという不使用取消審判制度の趣旨に反するだけではなく、業務上の信用の保護という法目的にも反するものである。

第4 当審の判断

本件商標は、上記のとおり、「なごみ」の平仮名文字と「和」の漢字とを上下二段に横書きしてなり、本件取消に係る指定商品は、その指定商品中「清涼飲料,果実飲料,これらに類似する商品」であるところ、被請求人提出に係る答弁書に添付された乙各号証を徴するに、乙第2号証は、平成12年2月の時点において企業が提供している商品を紹介した産経新聞メディックス発行の「飲料商品ガイド2000年度版」と題する年鑑であるが、通常使用権者の商品として縦書きで平仮名「なごみ」と書かれた「緑茶」、「笹緑茶」がこれに掲載されている。乙第3号証は、平成13年3月の時点における同様の年鑑であり、通常使用権者の商品として縦書きで平仮名「なごみ」と書かれた「麦茶」が掲載されており、発売年月日は「2001年4月16日」(すなわち、平成13年4月16日)と記載されている。

また、乙第4号証は、1998年(平成10年)6月時点において販売されている通常使用権者の商品の一覧であるが、縦書きで平仮名「なごみ」と書かれた「緑茶」、「冷緑茶」、「玉露」、「麦茶」が記載されている。

同様に、乙第5号証は、1999年(平成11年)8月時点において販売されている通常使用権者の商品の一覧であるが、縦書きで平仮名「なごみ」と書かれた「緑茶」、「冷緑茶」、「玉露」、「米豆麦茶」、「いろり茶」がこれに記載されている。

乙第6号証は、2000年(平成12年)10月時点において販売されている通常使用権者の商品の一覧であるが、縦書きで平仮名「なごみ」と書かれた「笹緑茶」、「緑茶」、「玉露」、「麦茶」、「いろり茶」がこれに記載されている。

上記の乙第2号証ないし第6号証には、日本コカ・コーラ株式会社と記載されているが、上記のとおり、日本コカ・コーラ株式会社は、被請求人たる本件商標権者出資に係る子会社であって、これより商標の使用許諾を受けて、被請求人の商品を日本において販売する通常使用権者であると認められる。

以上より、縦書き・平仮名の「なごみ」を付した「緑茶」は、少なくとも平成10年6月から平成12年10月まで、同様の「冷緑茶」は、少なくとも平成10年6月から11年8月まで、同様の「玉露」は、少なくとも平成10年6月から平成12年10月まで、同様の「米豆麦茶」は、少なくとも平成11年8月において、同様の「いろり茶」は、少なくとも平成11年8月から平成12年10月まで、同様の「笹緑茶」は、少なくとも平成12年2月から平成12年10月まで、本件商標の通常使用権者たる日本コ力・コーラ株式会社によって販売されていることが認められる。「麦茶」については、乙第4号証に記載されている缶及びペットボトルのデザインのものは、平成10年6月において、乙第6号証に記載されている缶及びペットボトルのデザインのものは、平成12年10月において、乙第3号証に記載されている缶及びペットボトルのデザインのものは、平成13年4月16日から販売されている。

したがって、縦書き・平仮名の「なごみ」を付した「麦茶」は缶及びペットボトルのデザインの変更を経つつ、少なくとも平成10年6月から平成13年4月16日以降までは、本件商標の通常使用権者たる日本コカ・コーラ株式会社によって販売されていることが認められる。

ところで、本件商標の構成は、「なごみ」の平仮名文字と「和」の漢字よりなるものであるのに対し、使用に係る商標は、「なごみ」の平仮名文字よりなるものであるところ、漢字「和」は、「『口』(くち)と『禾』(加える)とを合わせて、人々が調子よく声を合わせること」「なごやか」「やわらぐ」にも使う(「角川最新漢和辞典」角川書店)とされ、また、「なごみ」は、「なごやかになる」「やわらぐ」を意味する「なご・む『和む』」(「広辞苑」岩波書店)の活用形(連用形)にすぎないから、「和」と「なごむ」は、「なごやか」「やわらぐ」の共通の観念を有し、本件商標は、その「なごやか」「やわらぐ」の観念において、一体的に構成されているものであるというを相当とする。

したがって、その平仮名部分と同一の本件使用商標「なごみ」は、本件商標と社会通念上同一の商標といい得るものである。

また、使用に係る商品「緑茶等」は、当該第29類「茶」に属するか否かは格別、その取引の実情に照らして、取消しに係る指定商品中の「清涼飲料」に属する商品といい得るものである。

この点について請求人は、「商品区分解説(特許庁商標課 編)(発明協会 発行)」(甲第2号証)を示して、「清涼飲料」に属する商品について述べるところがあるが、該解説は、「清涼感をおぼえさせる飲料水」という一般的な語義(広辞苑 岩波書店「清涼飲料水」の項。)を否定しているものでなく、このことは、「鉱泉水」を例示していることからも明らかである。

してみれば、被請求人提出に係る上記甲各号証に照らして、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者である「日本コカ・コーラ株式会社」によって、社会通念上同一の商標を取消しに係る指定商品中の「清涼飲料」について使用されたものであると認められる。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取消しに係る指定商品「清涼飲料,果実飲料,これらに類似する商品」について、取り消すべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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