Trademark Appeal Case
成分名と商品名の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第19966号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ヨード卵」の文字を標準文字として、第29類、第30類及び第33類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成10年8月26日に登録出願され、その後同11年9月22日付け及び同14年4月12日付け手続補正書により、指定商品を第29類「ヨウ素を多量に含む卵,ヨウ素を多量に含む卵からなる温泉玉子,ヨウ素を多量に含む卵からなるスモークエッグ,ヨウ素を多量に含む卵を加味してなる卵黄油,ヨウ素を多量に含む卵を加味してなるスープのもと,ヨウ素を多量に含む卵を加味してなる玉子豆腐」、第30類「ヨウ素を多量に含む卵を加味してなるマヨネーズソース,ヨウ素を多量に含む卵を加味してなるレトルトパウチ入りのおかゆ,ヨウ素を多量に含む卵を加味してなる玉子ボーロ」及び第33類「ヨウ素を多量に含む卵を加味してなる玉子酒」と補正されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、『普通卵よりヨードを多量に含有する卵』の如き意を表すものと看取される『ヨード卵』の文字を書してなるから、これを指定商品中、該文字に照応する商品、例えば『ヨードを多量に含有する卵,ヨードを多量に含有する卵を加味してなる商品』について使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記したとおり、「ヨード卵」の文字を書してなるところ、株式会社岩波書店発行「広辞苑 第5版」の「ヨード」の項に、「沃素(ようそ)に同じ。」との記載があり、「沃素」の項には「 ハロゲン族元素の一。・・・海藻類・海産動物中に有機化合物として存在。工業的には天然ガスの鹹水(かんすい)中の沃化物から製する。金属光沢を持つ紫黒色の鱗片状結晶。昇華しやすく、蒸気は紫色。四塩化炭素・二硫化炭素などには紫色、アルコール・エーテルには褐色に溶ける。水にはほとんど溶けないが、沃化カリウム水溶液には溶ける。医薬品・染料などの製造に用いる。ヨード。ヨジウム。」の記載があり、「卵」の項には、「鳥・魚・虫などの雌が産む殻や膜に包まれた胚や栄養分。特に食用にする鶏のたまご。」と記載されていることが認められる。
ところで、「卵」は、かっては病気見舞いの品として使われたものであり、病人の体力回復に最適な滋養食品の代表選手であったこと、また、日本人の食生活が低たんぱく・高塩食であったことから、タンパク質の供給源として貴重な食品として日本人の食生活には必要不可欠なものであったことは、周知の事実である。
また、近時、日本人の食生活は、日常の生活の多様化等の生活環境の変化や食生活を取り巻く社会的状況において、朝食の欠如、ファーストフード等の加工食品やインスタント食品の依存によって引き起こされる肥満、糖尿病、高血圧症等の生活習慣病の増加が深刻化する一方で、摂取される食物繊維、カルシウム、ビタミン等の栄養成分のバランス不足が健康を維持することへの障害となっていることは、一般の需要者の間にもよく知られているところである。
このような食生活を取り巻く社会的状況において、食物繊維、カルシウム、ビタミン等の栄養成分を添加したことを付加価値とする商品がバランス飲料やバランス食品等の名称で市場に出回っていることは周知の事実である。
このような商品は本願の指定商品である卵の加工食品の分野においても例外ではなく、卵の栄養成分であるタンパク質を添加し、調理時間の短縮、料理の内容に合わせそれぞれの旨味を一体化したことを付加価値とする加工食品の開発が行われて、市販されている実情にある。
上記事実と食品分野の取引の実情よりすると、「ヨード卵」の文字よりなる本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「ヨードと卵を合わせたもの」あるいは「ヨード入りの卵」なる意味合いを表したものと容易に理解し、自他商品を識別する標識たる商標とは認識し得ないものとみるのが相当である。してみると、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、単にその商品の品質を表示するにすぎないものであるといわざるを得ない。
なお、請求人は、実際の市場において、使用による自他商品識別力を獲得している旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし同第24号証を提出しているが、提出された資料のみでは、ヨード入りの卵を販売している事実を窺うことはできるが、その記事内容はヨード入りの卵の効能、効果等についてのもの、ヨード入りの卵を使用した料理の使用例であり、商標としての使用はテレビタイムの広告からしても「ヨード卵光」であることが窺うことができ、「ヨード卵」の文字が請求人の事業に係る商品を表す商標として認識されているものと認めることはできない。
そうとすれば、前記の証拠のみをもってしては、本願商標が永年にわたり使用された結果、商標法第3条第2項の要件を満たすに至ったものと認定するには十分なものとはいい難く、その主張は採用することができない。
以上のとおり、本願商標は、その指定商品の補正により商標法第4条第1項第16号に該当するものではないが、同法第3条第1項第3号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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