結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35371(T2002−35371/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4057470商標(以下「本件商標」という。)は、「カルテロット」の片仮名文字と「CARTEROT」の欧文字を上下二段に書してなり、平成7年12月20日登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同9年9月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1997350号商標(以下「引用商標」という。)は、「カルスロット」の片仮名文字と「CALSLOT」の欧文字を上下二段に書してなり、昭和60年9月11日登録出願、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品として、同62年11月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第39号証を提出した。
1.商標法第4条第1項第11号について
(1)商標の類似について
本件商標が「カルテロット」、引用商標が「カルスロット」と称呼されることはそれぞれの構成に照らして明らかである。
本件商標の称呼「カルテロット」と引用商標の称呼「カルスロット」とを比較検討するに、両者はともに促音を含め6音で構成され、僅かに第3音目の「テ」と「ス」の音に差異を有するほかは、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音を含めその他の構成音及び配列を同一にするものである。しかも、当該差異は通常聴者に強い印象を与え難い中間音に位置するものであるから、かかる両商標をそれぞれ時と所を異にして一連に称呼したときは、語感、語調が近似したものとなり、判然と聴別し難く、相紛らわしく相混同の生ずるおそれがあるから、このような称呼を有する両商標は類似の商標というべきである。
(2)取引の実情
商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された両商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者にあたえる印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、しかもその取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断されるべきであり、このような取引の事情には、引用商標の周知・著名性も含まれるところ(平成4年(行ケ)第82号判決;甲第3号証)、両商標を比較検討するうえにおいては、上記のような音声上の類似性に加え、以下のような事情も考慮されるべきものである。
請求人は、引用商標を平成2年9月よりその製造・販売に係る商品「血圧降下剤」の販売名として、今日まで引続き使用している(甲第4号証及び甲第5号証)。そして、その間、引用商標を使用した商品について、積極的に営業・販売活動を推進すると共に、盛んに宣伝広告を行ってきた結果(甲第6号証ないし甲第28号証)、請求人の主力製品の一つとして、平成2年度から同8年度の販売実績は、順に、約12億円、約65億円、約120億円、約155億円、約170億円、約170億円、約168億円であり、「血圧降下剤」における市場占有率(及び順位)は、順に、1.1%(15位)、5.4%(6位)、8.6%(4位)、9.9%(2位)、9.9%(2位)、9.1%(2位)、8.4%(2位)である(甲第29号証ないし甲第35号証)。
その結果、引用商標は、請求人の製造・販売に係る「血圧降下剤」を表示するものとして、本件商標の出願当時である平成7(1995年)年、あるいは本件商標の登録査定時には、需要者、取引者、とりわけ医師、薬剤師の間において、広く認識されるものとなっていた。
このことは、引用商標が、AIPPI発行の「日本有名商標集」に掲載されていることからも、証左されるところである(甲第36号証)。
しかして、かかる本件商標が、その指定商品「薬剤」について使用されたときは、上述のとおり医薬品業界において周知・著名なものとなっている引用商標との間で相混同を生ずるおそれがあるものといわざるをえない。
先に述べたとおり、両商標は、音声的にも互いに判然と聴別できる程の差異を有しているものとは言い難いものであり、さらには、上記のような取引の実情を勘案して、両商標を離隔的に観察した場合は、両者は称呼において互いに類似する商標とされるべきものである。
(3)商品の類似について
本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が相抵触することは明らかである。
2.商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないとしても、次のとおり、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるため、同第15号に該当する。
引用商標は、上記のとおり、少なくとも本件商標の出願時には、請求人の「血圧降下剤」を表示するものとして医薬品取引市場において周知、著名なものとなっているものであるところ、かかる引用商標と微差を有するにすぎない本件商標が、その指定商品「薬剤」、特に「血圧降下剤」について使用されたときは、これらに接する取引者、需要者をして、その商品が、請求人の業務に係る商品であるかのように誤認し、その出所につき混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
請求人の上記主張が正当なものであることは、先例によっても裏付けられる(甲第37号証ないし甲第39号証)。
3.むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、また、仮にこれに該当しないものであるとしても、同第15号に該当するものとして、同法第46条第1項第1号により登録を無効とすべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
本件商標の称呼である「カルテロット」と引用商標の称呼である「カルスロット」を比較するに、相違する「テ」は、舌尖を上前歯の元に密着し破裂させる無声子音(t)と母音(e)との結合した破裂音であるのに対し、「ス」は、舌端を口蓋に寄せる無声摩擦子音(s)と母音(u)の結合した摩擦音と、その調音方法を著しく異にする。そのうえ、いずれも2音節風に称呼され、商標の称呼における識別上、最も重要な要素を占める前半部において、「カルテ」及び「カルス」と相違するものであるから、それぞれ一連に称呼するも、全体の語調、語感が相違し、互いに紛れるおそれはないものといえる。
また、両商標は、外観において区別し得る差異を有するものであり、観念においても、両商標とも特定の観念を生じさせない造語よりなるものと認められるものであるから、相紛れるおそれはない。
たとえ、引用商標が請求人の「血圧降下剤」を表示するものとして、医薬品取引市場において周知、著名なものであったとしても、本件商標と引用商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれにおいても区別しうる差異を有するものであるから、本件商標をその指定商品に使用したとしても、これらに接する取引者、需要者をして、その商品が、請求人の業務に係る商品であるかのように誤認し、その出所につき混同を生じさせるおそれがあるものとは認め難い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものでない。
被請求人の上記主張が正当なものであることは、先例によっても裏付けられる(乙第1号証及び乙第2号証)。
1.商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、「カルテロット」の片仮名文字を上段に書し、その下に、該「カルテロット」の片仮名文字に比べやや小さい文字をもって「CARTEROT」の欧文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「カルテロット」の称呼を生ずるものであって、全体として特定の観念を有しない造語よりなるものと認められる。
(2)引用商標について
引用商標は、「カルスロット」の片仮名文字を上段に書し、その下に、該「カルスロット」の片仮名文字に比べて太字をもって「CALSLOT」の欧文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「カルスロット」の称呼を生ずるものであって、全体として特定の観念を有しない造語よりなるものと認められる。
(3)本件商標と引用商標との対比
本件商標より生ずる「カルテロット」の称呼と引用商標より生ずる「カルスロット」の称呼は、第3音において「テ」と「ス」の差異を有するものであるところ、差異音中の「テ」の音は、舌の先を上歯茎につけて、軽くはじいて離すと同時に呼気を出す破裂音「t」と母音「e」とを結合した音であるのに対し、「ス」の音は、上下の歯を軽く閉じ、舌の先を下歯の裏に近づけ、そのすき間から呼気を通して作る摩擦音「s」と母音「u」とを結合した音であるから、両音は、調音の方法、位置において異なるものであり、そのため、音質、音感において明らかに相違したものとして聴取されるものである。
また、本件商標より生ずる「カルテロット」の称呼及び引用商標より生ずる「カルスロット」の称呼は、それぞれを全体として称呼する場合には、前者は「カルテ」と「ロット」との間に、後者は「カルス」と「ロット」との間に、一呼吸置かれるといえるところ、本件商標の称呼中、前半部分の「カルテ」の音からは、医療関係の分野においては、「診療記録カード」の意が想起され、「カルテ」の音に強く印象付けられるのに対し、引用商標の称呼は、前半部分の「カルス」の音はもとより、全体からも何らの意味合いを想起させないものである。
してみると、上記差異音である「テ」と「ス」の音は、全体の称呼中、中間部に位置するものであるとしても、これらが両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、その全体称呼の語調、語感が相違したものとなり、両称呼は、称呼上相紛れるおそれはないというのが相当である。
したがって、本件商標は、引用商標と称呼において類似するものではない。
また、本件商標と引用商標は、それぞれ前記した構成よりなるものであるから、外観上区別し得る差異を有するものである。
さらに、両商標は、前記したとおり、いずれも造語よりなるものであるから、観念においては比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、その称呼、外観及び観念のいずれの点においても非類似の商標といわなければならない。
2.商標法第4条第1項第15号について
甲各号証を総合すると、引用商標は、請求人の取扱いに係る商品「血圧降下剤」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、医薬品業界、医師、薬剤師等の間では知られていたものと推認することができ、その知名度は本件商標の登録査定時においても継続していたものといえる。
しかしながら、前記1.で認定したとおり、本件商標は、引用商標とは、称呼上明瞭に聴別し得るものであるのみならず、外観及び観念においても相紛れるおそれがない商標であるから、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、引用商標を想起することはないというべきである。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、請求人らと経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について誤認、混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
なお、請求人は、審決例、判決例を挙げ、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張するが、前記認定のとおり、本件商標は、引用商標とは、商標それ自体異なるものであって、これより引用商標が想起されるものではなく、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標ということはできないから、請求人の挙げた審決例、判決例が本件における前記判断を左右するものではない。
3.むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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