Trademark Appeal Case
「回転」と役務内容の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第354号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「回転飲茶」の文字(標準文字)を横書きしてなり、第30類「コーヒー及びココア,茶,調理済中華惣菜,べんとう(ただしすしは除く),菓子及びパン」、第42類「飲食物の提供(ただし、すしの提供は除く。)」を指定商品及び指定役務として、平成9年4月2日に登録出願されたものであるが、指定商品及び指定役務並びに商品及び役務の区分については、平成10年10月14日付手続補正書をもって第30類「茶,調理済中華惣菜,中華料理を主とするべんとう」、第42類「中華料理を主とする飲食物の提供」と補正されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、『回転飲茶』と書してなるものであるが、これは、本願指定商品(役務)との関係においては、飲食物の提供の方法が回転機構設備により『回転させながら飲茶を提供する』の意を容易に認識させるものであるから、これを本願指定商品(役務)中、上記意に相応する商品(役務)に使用するときは、単に、商品(役務)役務の質(内容)を表示したにすぎないものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品(役務)以外の商品(役務)に使用するときは商品(役務)の品質(質)の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定して本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記したとおり「回転飲茶」の文字を書してなるものであるところ、その構成中、「回転」の文字部分は、「くるくるまわること。また、まわすこと。」(広辞苑第5版)を意味する語として、また、「飲茶」の文字部分は、「(広東語)点心を食べなから中国茶を飲むこと。」(同広辞苑)を意味する語として、それぞれ一般によく知られている語といえるから、本願商標は、「回転」と「飲茶」の2語を結合したものと容易に理解されるものである。
(2)ところで、飲食物の提供の一つであるすしの提供の分野にあっては、昭和30年代前半頃に、「回転ずし(寿司、鮨)」と称し、ベルトコベヤーを使用した動く台にすしを乗せ、客が好みのままとって食べられるようにした方式(以下、すしに限らず同様の方式を「回転台方式」という、)のすし店が開店したところ、その提供方法の奇抜さ、手軽さ、あるいは一般の寿司店に比較して値段の安さなどが相俟って、需要者に好評を博し、その後急成長をとげ、現在に至っているという実情にある。
そして、上記回転ずしの急成長が、飲食物を提供する他の業種に大きな影響を及ぼし、すし店以外の飲食店においても、回転ずしと同様な提供方法である回転台方式を採用した店舗が出現したことは、例えば、株式会社講談社発行「imidas1999」(689、1262の各頁)によって認め得るところであり、また、新聞記事においても、例えば、1995年3月25日付日経流通新聞(11頁)には、「金沢市の・・・に回転ずし方式を取り入れたケーキバイキングの店・・・が登場して若い女性に人気。」なる記事が掲載されたほか、1996年8月5日付東京読売新聞(朝刊)には、「ベルトコンベヤーに乗ってゆっくり回る肉や野菜、魚・・・回転ずしならぬ『回転なべ』の店」なる記事が、さらに、1998年2月25日付東京読売新聞(朝刊)には、「現在コンベヤー料理店は、全国で約4千店と推定される。“元祖”の回転ずし店は昭和30年代から徐々に増えてきた。この二、三年、ケーキ、焼き肉などが登場、」、1999年2月4日付西部読売新聞(夕刊)には、「回転てんぷらのフランチャイズ店」の記事が掲載されたところである。
(3)してみると、「回転」と「飲茶」の2語を結合したものと理解される本願商標を「中華料理を主とする飲食物の提供」について使用した場合は、上記した飲食物の提供の分野における実情からすれば、これに接する需要者は、「ベルトコンベヤーを使用し、動く台に乗せた点心を、客が好みのままとって食べられるようにした方式の飲食店」なる意味合いを表したと理解するにとどまり、自他役務の識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ない。
(4)請求人は、▲1▼商品「すし」と役務「すしの提供」等の商品及び役務の区分において、「回転」の語とその意味において酷似する「くるくる」と「寿司」の語とを結合した商標か登録されているから、本願商標も登録されるべきである旨主張し、さらに、▲2▼請求人は世界(日本)で初めて回転台方式による中華料理の提供をし、本願商標を広く宣伝したものであるから、本願商標は、商標法第3条第2項の規定により、登録されるべきである旨主張し、証拠を提出している。
しかしながら、請求人の上記主張は、以下の理由により採用することができない。
▲1▼「くるくる」の語は、「ものが軽快に連続して回転したり輪を描くように移動したりするさま。」(広辞苑第5版)などを意味する語であり、「回転」の語とは、その意味において多少ニュアンスが異なるばかりでなく、「回転〜」のように、飲食物の提供の分野において、役務の内容等を表示するものとして普通に使用されているという事実も見当たらない。してみると、商品「すし」と役務「すしの提供」等の商品及び役務の区分において、「くるくる」と「寿司」の語とを結合した商標が登録されている事実をもって、本願商標を登録しなければならないとする根拠にはなり得ない。
▲2▼甲第12号証ないし甲第18号証によれば、請求人は、回転台方式による飲茶等中華料理の提供を、中華料理の提供の分野では初めて採用したことが認められるが、請求人が平成9年12月に新宿に上記方式の店を開店する以前から、同方式のすしの提供は勿論のこと、鍋物、ケーキなどの提供が存在していたことは前記したとおりであるから、「回転飲茶」の文字に接する需要者は、「回転台方式による飲茶の提供」なる意味合いを直ちに把握、認識するというべきであり、また、請求人が提出した証拠中にも、例えば、「飲茶あり、焼き肉あり、鍋もあり・・回るメシ屋ア・ラ・カルト」(甲第12号証)、「回転寿司の寿司の代わりに飲茶が運ばれてくることであ。」(甲第14号証)、「技術革新で回転飲茶に回転鍋も登場!“回転”が生む食のニュービジネス」(甲第16号証)、「回転ずしと同形式による飲茶レストラン」(甲第17号証)などのように、回転ずし等と同じ回転台方式による中華料理の提供であることを表す語句が随所に強調され、これは、取りも直さず、役務の提供の内容を表示したものといわなければならなず、提出された証拠による宣伝の内容は、「回転台方式による中華料理の提供」をする「ジャスミン」なる店舗名が需要者に印象付けられる場合があるとしても、「回転飲茶」の語が提供される役務の内容表示を表す以上に、自他役務の識別機能を発揮するものとして、独立して需要者に印象付けられるものとは認めることができない。
(5)したがって、本願商標は、これを「中華料理を主とする飲食物の提供」について使用しても、単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認められるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することかできない。
よって、結論のとおり審決する。
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