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Trademark Appeal Case

著名商標の要部抽出と混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2002−90208(T2002−90208/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4534219号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4534219号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成13年1月29日に登録出願され、第3類「香料類」を指定商品として、平成14年1月11日に設定登録されたものである。

2.登録異議申立ての理由の要点

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「GUCCI RUSH」の文字を横書きしてなり、平成10年11月30日に登録出願され、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、平成11年11月19日に設定登録された登録第4336296号商標(以下「引用商標」という。)を引用し、要旨以下の理由により、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し商標登録を受けることができないものである旨述べ、証拠方法として甲第1ないし第37号証を提出している。

(1)引用商標は、申立人又はそのライセンシーが香水に使用する著名な商標であり、申立人は、引用商標を「GUCCI RUSH」、「GUCCI rush」又は「GUCCI rush2」として使用しているが、簡易迅速を尊ぶ商取引においては、「rush」、「RUSH」又は「ラッシュ」と省略され取引に供されている。

(2)申立人は、GUCCIO GUCCI氏によって1906年にイタリアのフィレンツェにおいて創立されたファッション・メーカーであり、当初、かばん、皮革製品等で高い評価を得た。申立人の属するファッション・ビジネスの世界では多角経営が行われており、ひとたびブランドが有名になると、その周知なブランドの顧客吸引力を利用して、香水、装身具、衣類等にビジネスを拡張していく傾向がある。申立人も、その例にもれず、香水に「GUCCI」を使用し、かつ、香りの系統別に「GUCCI ACCENT」「GUCCI ENVY」「GUCCI NOBILE」のように、「GUCCI」とライン名を結合させた商標を付して香水を販売している。

(3)「GUCCI RUSH」は、申立人の最新の香りのラインであり、1999年9月1日に我が国で最初に発売されて以来、我が国の需要者を魅了している。「GUCCI RUSH」は、全国の有名百貨店等で販売され、発売後数年足らずにも拘わらず、「世界の一流品大図鑑」には2000年度より毎年掲載され、各種香水に係る書籍、主要雑誌にも広告あるいは記事という形で度々紹介されている。

「GUCCI RUSH」に関する紹介又は記述がされた図鑑、書籍として「世界の一流品大図鑑」の2000年度版、2001年度版及び2002年度版、「香水図鑑2002年度版」、「世界の香水コレクション2001」、「男の香水manual」、「メンズアイテム完全購入Book」の抜粋を提出する(甲第4ないし第10号証)。雑誌中の広告及び紹介記事としてFIGARO(2000年3月5日号、同年4月5日号、同年9月5日号)、FRAU(2000年3月28日号)、ELLE(2000年4月号、同年7月号)、MIS(2000年4月号)、SPUR(2000年4月号、同年5月号)、ヴァンサンカン25ans(2000年4月号、同年5月号)、VOGUE(2000年5月号)、マリ・クレールJAPON(2000年5月号)、FAMIEE(2000年4月号)、street Jack(2000年12月号)、pen(2002年7月1日号)を挙げる(甲第11ないし第26号証)。

また、非公式なデータではあるが、インターネットで香水を販売するサイトのランキングにおいて、「GUCCI RUSH」は常に上位にランキングされている(甲第30ないし第36号証)。

(4)上述のように、「GUCCI RUSH」は、その魅力的な香りと斬新なパッケージにより、発売直後より人気を博し、本件商標出願時には、申立人又はそのライセンシーが提供する香水の名称として極めて著名となっていた。「GUCCI RUSH」は、需要者、取引者にはGUCCI社のRUSHというラインの香水として認識されており、「RUSH」又は「ラッシュ」として取引されていることが多い。

しかるに、「RUSH」という本件商標が、その指定商品「香料類」に使用された場合、取引者、需要者は、当該商品を申立人又はそのライセンシーが提供する商品であると誤認し、商品の出所の混同を生ずるおそれがある。

3.当審の判断

申立人は、引用商標が香水に使用する商標として極めて著名になっており、単に「RUSH」、「ラッシュ」と省略して取引に資されているとして、証拠を提出しているので、提出に係る各甲号証について検討する。

確かに、甲第4ないし第10号証によれば、世界のブランド品又は香水を紹介する図鑑、書籍等には、申立人の香水について紹介されていることが認められる。しかしながら、これら図鑑、書籍等に掲載されたものをみると、「GUCCIrush」の文字を付した包装容器と共に、「GUCCI」「グッチ(イタリア)」の文字が見出し部分に記載され、説明文中に「ラッシュ」、「ラッシュ フォーメン」、「ラッシュ2」の文字が記載されているものや、上記包装容器と共に「RUSH」「ラッシュ」又は「RUSH2」「ラッシュ2」等が表示されたものでも、説明文中に「グッチ(ブルーベル・ジャパン)」と記載されているもの、紹介記事において「ラッシュフォーメン(グッチ)」、「Gucci RUSH」」と記載されているもの、「グッチ」「GUCCI」の表題の下に上記包装容器と共に「ラッシュ」と記載されているもの等、要するに、「RUSH」又は「ラッシュ」の文字単独で記載されているものは殆どない。唯一、「ラッシュ」、「ラッシュフォーメン」又は「ラッシュメン」の文字が単独で用いられているのは甲第10号証(「メンズアイテム完全購入Book」)中の「芸能人愛用香水500」の記述に見られるのみである。

甲第11ないし第26号証によれば、各種雑誌において申立人の香水について広告又は紹介されていることが認められる。しかしながら、これらの広告は、「GUCCIrush」の文字を付した包装容器と共に「rush」「the new fragrance for women from gucci」の文字が付されており、「rush」の文字が単独で用いられているとはいい難いものである。また、該雑誌中の紹介記事においても、「rush」又は「ラッシュ」の文字が単独で用いられているものはない。

甲第27及び第28号証は、申立人の香水についての広告と認められるが、これらの広告においても、上記と同様、「rush」又は「ラッシュ」の文字は単独で用いられているものではない。

甲第29ないし第37号証は、インターネット上のウェブサイト検索結果をプリントアウトしたものと認められるが、甲第30、第32及び第36号証として提示されたサイトにおいて「ラッシュ2」の文字が単独で用いられている外は、いずれも「Gucci」又は「グッチ」の文字が併記されているものである。

以上の証拠からすると、「GUCCIrush」又は「グッチラッシュ」の商標は、香水に使用する商標として需要者間に相当程度知られているといえるとしても、「rush」又は「ラッシュ」の商標自体が単独で需要者間に広く認識されているということはできない。

その他、「rush」又は「ラッシュ」の商標が需要者間に広く認識されていると認めるに足る証拠はない。

そうすると、引用商標は、その構成に照らし、「グッチラッシュ」の一連の称呼のみを生ずるというべきであり、「RUSH」の文字のみに着目して単に「ラッシュ」の称呼及び観念を生ずることはないというのが相当である。

他方、本件商標は、その構成に照らし、「ラッシュ」の称呼及び「急ぐ、突進(する)、混雑時、ラッシュ」等の観念を生ずるものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれからみても非類似の商標であって、他に誤認混同を生ずるおそれがあるとすべき理由もない別異の商標といわなければならない。

以上を総合勘案すると、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想、想起するようなことはなく、該商品が申立人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれもないというべきである。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものではない。

よって、同法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。

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