結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2002−30106(T2002−30106/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第848178号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和42年11月20日に登録出願され、商標の構成を横書きした「イリス」の片仮名文字により表示した態様からなり、指定商品を第9類「産業機械器具、動力機械器具、風水力機械器具、事務用機械器具、その他の機械器具で他の類に属しないもの、これらの部品及び附属品、機械要素」として、昭和45年3月7日に商標権の設定登録がされたものである。その後、当該商標権は、その存続期間更新登録が3回に亙りされて存続期間中のものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標は、その指定商品中「印刷または製本機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第6号証を提出した。
1.本件商標は、被請求人との関係で通常使用権者である東京都品川区在の「イリス商会株式会社」(以下「使用権者」という。)が「印刷または製本機械器具」に使用しているものである。
2.使用権者は、1960(昭和35)年に現在の株式会社が設立され、本件商標は、その商号の要部として使用されており(乙第1号証)、また、登録商標「イリス」を「イリス商会株式会社」として使用することは登録商標の使用の範囲内であることは多言を要しないところである。
3.使用権者は産業機械を主に輸入販売しているが、その中には印刷・製本機械器具も含まれ、欧州メーカーの国内総代理店として業界において知られており、以下の(ア)ないし(エ)をもってその使用を立証する。
(1) 日本印刷新聞 平成10年4月22日付掲載広告(乙第2号証) ドイツ・エルテックス社製のオフ輪用静電加湿装置(LG50)及びグラ輪用静電印刷装置(GNN70)
(2) 株式会社日本印刷新聞社 2000年10月5日発行「日本のオフ輪2001」(調査年報)第100頁(写)(乙第3号証)
使用権者はドイツKBA社のオフセット輪転印刷機を輸入販売している。
(3) 日本印刷新聞 平成10年6月27日及び平成12年2月26日付特集記事(乙第4号証、乙第5号証)
(4) 大日本印刷株式会社からの2001年2月28日付発注書(乙第6号証)
注文機種はドイツ・フンケラー社のビジネスフォーム(BF)印刷機
4.以上により、本件商標は被請求人の通常使用権者により本件審判請求の登録前3年以内に日本国においてその請求に係る商品について使用されている。
1.本件審判の請求は、本件商標の指定商品中、「印刷または製本機械器具」について、商標法第50条による商標登録の取消審判の請求であるところ、この取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、本件審判請求の登録前3年以内、すなわち、本件審判の請求にあっては、平成11(1999)年2月27日から平成14(2002)年2月27日までの期間に日本国内において、その請求に係る指定商品(印刷または製本機械器具)のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
そこで、被請求人が、使用権者により本件取消審判の請求に係る商品「印刷または製本機械器具」(以下「取消対象商品」という。)について、本件商標を使用している事実を証明するものとして提出した乙第1号証ないし乙第6号証によりその事実を証明し得たものであるか否かについて判断する。
(1) 乙第1号証は、商標権者(被請求人)との関係で通常使用権者であるとする、東京都品川区在の「イリス商会株式会社」の「会社経歴書」であって、その記載中、「4.グループ会社」の項において、商標権者と認め得る「a.ドイツ(Hamburg):C.ILLIES & CO. Handelsgesellschaft mbH.」の表示があり、当該イリス商会株式会社が通常使用権者の許諾を受ける立場あることは窺える。しかしながら、「7.取扱商品」の項において、「印刷・製本機械」「印刷機械」の表示は認められるところ、これからは、会社の経歴、取扱商品等を証明するに止まり、実際の商取引において本件商標を取消対象商品に使用した事実を証明し得るものといえない。
そして、被請求人は、本件商標は使用権者の商号の要部として使用されており、また、登録商標「イリス」を「イリス商会株式会社」として使用することは登録商標の使用の範囲内である旨主張する。しかしながら、使用権者の商号「イリス商会株式会社」は、「イリス」の片仮名に業種といえる「商会」及び法人組織を示す「株式会社」の各文字を一体として、商号と認識されるものであって、商号にあっての「商会」及び「株式会社」の各文字は重要な部分であると解され、この部分を省いて、これを単に「イリス」の文字部分のみを分離・抽出して観察しなければならない理由もなく、かつ、文字構成を異にすれば自ずと商標本来の役割・機能も異なるものであるから、単に「イリス」の文字よりなる本件商標と、全体をもって固有の商号と認識される「イリス商会株式会社」とは、外観、観念及び称呼の何れも異なるものであって、社会通念上同一と認められる商標であるとはいえない。
(2) 次に、使用権者が、印刷・製本機械器具も含む産業機械を主に輸入販売し、欧州メーカーの国内総代理店としての使用を立証するとして提出した乙第2号証ないし乙第6号証についてみるに、本件商標を取消対象商品について使用された事実を立証すべき、その期間は、上記のとおり、平成11年(1999年)2月27日から平成14年(2002年)2月27日までの期間の使用に限られるところ、乙第2号証は、1998年(平成10年)4月22日付 日本印刷新聞への「オフ輪用静電加湿装置 LG50」及び「グラ輪用静電印刷装置 GNN70」に関する掲載広告、及び乙第4号証は、1998年(平成10年)6月27日付 日本印刷新聞の「KBA−ALBERT+HUNKELER技術セミナー」の開催に関する報道記事であって、いずれも上記期間外のものであるから、本件商標を取消対象商品に使用した事実を証明し得るものとして採用できない。
(ア) 乙第3号証は、上記期間内である2000年10月5日に株式会社日本印刷新聞社により発行された「日本のオフ輪2001」(調査年報)とする書籍類であって、その掲載「各社オフ輪機種一覧」の頁において、社名の欄に「イリス商会(株)」の表示とともに、その取り扱い機種名等が掲載されていることは認め得るものである。しかしながら、これが、広告による使用ないし実際の商取引に使用された取引書類といえないばかりでなく、たとい、社名の欄に掲載の「イリス商会(株)」の表示が商標の使用であるしても、上記(1)と同様に、該表示における「(株)」は法人組織を表す略記号であって、全体として固有の商号表示ないしは商号の略称からなる商標と認識させるから、本件商標とは、外観、観念及び称呼の何れも異なるものであって、社会通念上同一と認められる商標であるとはいえない。
(イ)乙第5号証は、平成12年2月26日付 日本印刷新聞の第19頁及び第18頁についての掲載記事であり、第19頁に掲載された記事は、「印刷・製本機械」に関する特集であって、これに紹介された製品の問い合わせ先として電話番号とともに「イリス商会」の記載があることは認められる。しかしながら、該記事における「イリス商会」の表示は、問い合わせ先であることの表示に止まり、これ以上に本件商標を取消対象商品に使用した事実を証明し得るものでなく、その表示とて「イリス」の片仮名に業種といえる「商会」とを組み合わせたものと理解させ、特定の法人等の略称と認識されるものであって、商号の略称にあっての「商会」の文字は重要な部分であると解され、この部分を省いて、常に「イリス」の文字部分のみを分離・抽出して観察しなければならない理由もなく、かつ、文字構成を異にすれば自ずと商標本来の役割・機能も異なるものであるから、単に「イリス」の文字よりなる本件商標と商号の略称と認識される「イリス商会」とは、外観、観念及び称呼の何れも異なるものであって、社会通念上同一と認められる商標であるとはいえない。
また、第18頁についての掲載記事は、「印刷ビジネス・技術開発の方向探る」を表題とし、その見出し「オフ輪の安定化に トラブル防ぐ静電加湿装置」の下、掲載記事の要旨として日本印刷新聞社が開いた「JPNセミナー」で、そのセミナーの協賛を使用権者が外国メーカーの日本総代理店として「イリス商会(株)」の表示をもって括弧書きされた住所とともに記載されていることを認め得るにすぎず、これ以上に本件商標を取消対象商品に使用した事実を証明し得るものでなく、上記と同様に、特定の法人の略称と認識されるものであって、単に「イリス」の文字よりなる本件商標と商号の略称と認識される「イリス商会(株)」とは、外観、観念及び称呼の何れも異なるものであって、社会通念上同一と認められる商標であるとはいえない。
(ウ) 乙第6号証は、某印刷株式会社から使用権者への2001年2月28日付発注書と認め得るところ、被請求人が述べるようにその注文機種がドイツ・フンケラー社のビジネスフォーム(BF)印刷機であるとしても、この発注書からは、発注先として「イリス商会株式会社」の表示は認め得るに止まり、これが登録商標の使用とはいいい難く、この他本件商標が使用されているとの点は不明というほかなく、本件商標を取消対象商品に使用した事実を証明し得るものといえない。
3.以上のとおり、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第6号証を総合的に勘案し判断しても、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を取消対象商品に使用されていたものとは、客観的に認めることはできず、それらの状況は不明というほかないから、提出に係る乙各号証のみをもって、本件商標がその指定商品について使用されていたものとすることはできない。その他、本件商標がその指定商品について使用されていることを示す証拠はない。
4.してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の何れによっても、本件審判請求に係る指定商品「印刷または製本機械器具」について使用されていたものとは認められず、かつ、使用をしていないことについて正当な理由があったものとは認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「印刷または製本機械器具」についての登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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