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Trademark Appeal Case

欧文字商標の称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2002−35333(T2002−35333/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4543546号の指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,帽子,運動用特殊衣服,靴下,寝巻類,水泳着,水泳帽,スカーフ,ネクタイ,マフラー,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」についての登録を無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4543546号商標(以下「本件商標」という。)は、「HALEY」の欧文字を横書きしてなり、平成13年3月22日登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,帽子,運動用特殊衣服,靴下,寝巻類,水泳着,水泳帽,スカーフ,ネクタイ,マフラー,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」を指定商品として、同14年2月15日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用する商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標及び商標登録出願に係る商標は、以下1.ないし4.のとおりである。

1.登録第2680410号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ハレー」の片仮名文字と「Halley」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成4年3月25日登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同6年6月29日に設定登録されたものである。

2.登録第994498号商標(以下「引用商標2」という。)は、「HALLEY」の欧文字と「ハーレー」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、昭和45年12月22日登録出願、第24類「運動具、釣り具、その他本類に属する商品」を指定商品として、同48年1月20日に設定登録され、その後、昭和58年4月15日及び平成5年1月28日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。

3.登録第4090467号商標(以下「引用商標3」という。)は、「HALLEY」の欧文字と「ハレー」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、平成8年4月11日登録出願、第25類「履物」を指定商品として、同9年12月12日に設定登録されたものである。

4.平成10年商標登録願第57182号に係る商標(以下「引用商標4」という。)は、「HURLEY」の欧文字(標準文字)を書してなり、平成10年7月7日登録出願、第18類「バックパック・ダッフルバッグ・その他のかばん類,財布その他の袋物」及び第25類「ティーシャツ・ショートパンツ・スウェットパンツ・スウェットシャツ・水泳着・ジャケット・その他の被服」を指定商品として、平成15年4月18日に登録第4662717号商標として設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証を提出した。

1.商標法第4条第1項第11号違反について

(1)本件商標と引用商標1との比較

ア.本件商標は造語であるが、欧文字の造語からなる商標で日本語読みできないものは、取引の経験則上、日本人の知っている英語読みに合わせて称呼されるものである。しかるに、「HALEY」中「HA」は、「hand」、「have」、「happy」等の単語の「ha」に合わせて「ハ」と称呼されるものと認められる。一方、「HALEY」中「LEY」は、「メドレー」を意味する「medley」においては「レー」と称呼されるから、これに合わせて「レー」と称呼される。以上の点で、本件商標は「ハレー」と称呼されるものといえる。

また、「HALEY」に極めて近似するものとして、日本でも著名なオートバイの商標「Harley−Davidson」があり、これらは「ハーレーダビットソン」と称呼されている(甲第6号証)。しかるに、本件商標は「Harley−Davidson」の「Harley」とは中間の「r」の有無で相違するにすぎず、英語においては、中間に位置する「r」は後に続くものが母音でない場合には往々にして長音化することから、「Harley」が「ハーレー」と称呼される以上、その綴り中に長音化する「r」がない本件商標は「ハレー」と称呼されるものとなる。

さらに、後述するように、引用商標1が「ハレー」と称呼される以上、これと比べて「L」の文字が1つ少ない「HALEY」が「ハレー」以外の称呼をもって取り扱われる余地はないといわざるを得ない。

以上述べたことから、本件商標は、取引上「ハレー」と称呼されると認められる。

一方、引用商標1は、その片仮名文字部分が欧文字部分の称呼を表したものと理解される。さらに、「Halley」はわが国でもよく知れたハレー彗星(Halley)のハレーと同じ綴りである(甲第7号証)。したがって、引用商標1は「ハレー」と称呼されるものと認められる。

本件商標及び引用商標1は、共に「ハレー」と称呼される以上、両商標は明らかに類似する。

イ.日本では「Haley」なるものが時として「ハーレー」と称呼されることがある(甲第8、9号証)。しかるに、仮に本件商標が「ハーレー」と称呼された場合にも、「ハーレー」と「ハレー」とはわずかに第1音において弱音である長音の有無に差異を有するにすぎず、経験則からその長音の有無は全体称呼に殆ど影響を与えないことは明らかである。そのため、両称呼を一連に称呼した場合には全体の聴感が近似し、彼此相紛らわしいものとなる。

そして、過去の審決例においても、長音を含めて3音ないし4音からなる商標、または、これら商標よりも少ない音からなる長音を含めて2音ないし3音からなる商標同士で長音の有無に差異を有するだけのものを相互に類似するものとしている(甲第14ないし23号証)。

ウ.以上述べたように、本件商標がどのように称呼されようとも、引用商標1に類似する。

(2)本件商標と引用商標2及び引用商標3との比較

引用商標2は、その片仮名文字部分が欧文字部分の称呼を表したものと理解されるので、「ハーレー」と称呼されると認められる。したがって、引用商標2は本件商標が「ハーレー」と称呼された場合には、明らかに類似する。仮に引用商標2が「ハレー」と称呼されるとしても、引用商標1と同じ理由で本件商標に類似するものといえる。

引用商標3は、その構成から引用商標1と同じ称呼をもって取り扱われるので、引用商標1と同じく本件商標に類似する。現に、引用商標2及び引用商標3は、引用商標4に引用された(甲第12号証)。

(3)本件商標と引用商標4との比較

引用商標4は、その拒絶査定にあるように、「ハーレー」と称呼される。ちなみに、引用商標4は、欧米人の氏を表したものからなるが、「Anthorny & Hay Hurley」を「アンソニー&フェイ・ハーレー」と、「Elizabeth Hurley」を「エリザベス ハーレ−」のように、「Hurley」は「ハーレー」と称呼されている(甲第24、25号証)。さらに、引用商標4は、後記2.のように、わが国ではサーフ用衣服のブランドのみならずスポーツカジュアル衣料のブランドとして著名なものであり、実際の取引においては「ハーレー」と称呼されて(甲第26号証)、需要者の間に浸透している。

以上述べたように、本件商標は、引用商標4とも「ハーレー」の称呼を共通にする類似の商標となる。

(4)まとめ

以上詳述したように、本件商標は、引用各商標とも類似するので、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項に違反して登録されたものである。

2.商標法第4条第1項第15号違反について

引用商標4は、オーストラリアのサーフブランドのビラボーンの創設者であるHurley氏が独立して新設したブランドであって、カッコ良さの故に発売当初から人気の商品となった。わが国でも「Hurley」は「最近カリファルニアで人気が出ているサーフブランド」(2000年9月作成のホームページ)、「オーストラリアのサーフブランドのビラボーンの創設者であるHurley氏が独立してブランドを新設したので、かっこいいアイテムが多く、プロサーファーがここに移籍を始めた人が多いのでブレイクしているブランドです!」、「超人気サーフブランド『BILLABONG』をアメリカに広めたハーレー氏により2年前に設立され、一瞬にして大ブレイクした『HURLEY』。」、「人気メーカーHURLEYのものです。」、「本日はHURLEYのレディスTシャツ&キャミの新着商品のご紹介です。HURLEYはBILLABONGの創始者ハーレー氏が創ったブランドです。最近のメンズではどこでも見かけられるメジャーなブランドになりました。」、「目下の人気ブランドHurley International」のように、有名なサーフ用衣服のブランドを含んだスポーツカジュアルの衣料のブランドとして紹介されている。さらに、引用商標4は、日本のサーファー関係の雑誌を中心に取り上げられている。これらの紹介の文章から引用商標4は、わが国の需要者の間では既に著名なものとなっていたものといえる。

したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用された場合には、その商品があたかも引用商標4の当初の出願人の業務に係るものであるとその出所を混同することは必定であるから、商標法第4条第1項第15号にも違反して登録されたものである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、前記第3の請求人の主張に対し、何ら答弁するところがない。

第5 当審の判断

1.商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項について

(1)本件商標について

本件商標は、前記のとおり、「HALEY」の文字よりなるものであるところ、該欧文字は、人名として、「ヘイリー」と読まれる場合があるとしても、わが国において一般に知られた名前であるとはいい難いから、これをローマ字読み風に「ハレイ」若しくは「ハレー」と称呼して商品の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。

してみると、本件商標より生ずる自然の称呼は、「ハレイ」若しくは「ハレー」といわなければならない。

また、本件商標は、特定の観念を想起させない造語を表したと理解されるものである。

(2)引用商標1及び引用商標3について

引用商標1及び引用商標3は、前記のとおり、前者は「ハレー」の片仮名文字と「Halley」の欧文字を上下二段に書してなるものであり、また、後者は「HALLEY」の欧文字と「ハレー」の片仮名文字を上下二段に書してなるものであるところ、それぞれの構成中の片仮名文字部分が欧文字部分の読みを特定したものと理解されるから、両商標は、これより「ハレー」の称呼を生ずるものである。

また、引用商標1及び引用商標3を構成する各文字からは、英国の天文学者の名前及びその名にちなむ「ハレー彗星」を想起する場合も少なくないものとみられ、したがって、引用商標1及び引用商標3は、英国の天文学者の名前ないし「ハレー彗星」の観念を生ずるものというのが相当である。

(3)引用商標2について

引用商標2は、「HALLEY」の欧文字と「ハーレー」の片仮名文字を上下二段に書してなるものであるところ、その構成中の片仮名文字部分より「ハーレー」の称呼が生ずるほか、「HALLEY」の欧文字部分は、引用商標1及び引用商標3と同様、「ハレー」と読まれ、わが国の一般世人においては、英国の天文学者の名前及びその名にちなむ「ハレー彗星」を想起する場合も少なくないから、引用商標2は、欧文字部分より「ハレー」の称呼をも生ずるものである。

してみると、引用商標2は、その構成文字に相応して「ハーレー」若しくは「ハレー」の称呼を生ずるものであって、英国の天文学者の名前ないし「ハレー彗星」の観念を生ずるものというのが相当である。

(4)引用商標4は、前記のとおり、「HURLEY」の欧文字を書してなるものであるところ、甲第24号証ないし甲第26号証によれば、該文字は、わが国においては、「ハーレー」の片仮名表記をもって人名を表すものとして使用されている場合が多いといえるから、「ハーレー」の称呼を生ずるものであって、人名を想起させるものというのが相当である。

(5)本件商標と引用各商標との対比

本件商標より生ずる自然の称呼の一つである「ハレー」の称呼は、引用商標1、引用商標2及び引用商標3より生ずる「ハレー」の称呼と、称呼を共通にするばかりでなく、引用商標4より生ずる「ハーレー」の称呼とは、わずかに第2音において「ハ」の長音の有無の差異を有するにすぎないものであるから、称呼全体の語調、語感が近似した称呼上類似の商標といわなければならない。

そうすると、本件商標と引用各商標は、前記したそれぞれの構成よりみて外観上区別し得るものであり、かつ、本件商標は、造語よりなるものであるから、引用各商標とは観念上比較することができないものであるとしても、称呼において類似する商標であるといわざるを得ない。

(6)指定商品について

本件商標の指定商品は、前記したとおりであるところ、指定商品中の「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,帽子,運動用特殊衣服,靴下,寝巻類,水泳着,水泳帽,スカーフ,ネクタイ,マフラー,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」は、引用各商標の指定商品と、同一又は類似の商品と認められる。

(7)前記(1)ないし(6)のとおりであるから、本件商標は、引用各商標と称呼上類似する商標であって、その指定商品中の「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,帽子,運動用特殊衣服,靴下,寝巻類,水泳着,水泳帽,スカーフ,ネクタイ,マフラー,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」は、引用各商標の指定商品と同一又は類似の商品と認められる。

さらに、前記したとおり、本件商標は、引用各商標の後願に係る商標であることは明らかである。

したがって、本件商標は、その指定商品中の「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,帽子,運動用特殊衣服,靴下,寝巻類,水泳着,水泳帽,スカーフ,ネクタイ,マフラー,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」についての登録は、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項に違反して登録されたものといわなければならない。

2.商標法第4条第1項第15号について

請求人は、引用商標4は、当初の出願人(ハーレイ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー)のサーフ用衣服を含んだスポーツカジュアル衣料の商標として著名であるから、本件商標をその指定商品について使用した場合は、当初の出願人の業務に係る商品との間に出所について混同を生じさせるおそれがある旨主張し、甲第26号証を提出している。

そこで、甲第26号証について検討すると、甲第26号証は、インターネット上のホームページと認められるところ、該ホームページには、「Hurley」、「HURLEY」、「ハーレー氏」などの文字が認められるものの、「HURLEY」商標を使用したTシャツ等が、わが国においていつころより、どのくらいの数量が販売されたのかなどが全く不明であるから、これをもって、引用商標4が本件商標の登録出願前よりわが国において、ハーレイ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニーの取扱いに係る商品「スポーツカジュアル衣料」等を表示するものとして、その需要者の間に広く認識されていたものとは到底認めることはできない。

してみると、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできない。したがって、請求人の上記主張は理由がない。

3.むすび

以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,帽子,運動用特殊衣服,靴下,寝巻類,水泳着,水泳帽,スカーフ,ネクタイ,マフラー,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、同法46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきものである。

しかしながら、本件審判の請求に係る指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,帽子,運動用特殊衣服,靴下,寝巻類,水泳着,水泳帽,スカーフ,ネクタイ,マフラー,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」以外の指定商品については、引用各商標の指定商品とは、商品の用途、品質等を異にする非類似の商品と認められるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。また、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものでもないから、上記に関する請求は成り立たない。

よって、結論のとおり審決する。

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