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Trademark Appeal Case

二段併記商標の使用同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30357(T2002−30357/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第2381846号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ドルチエ ビッタ」と「DOLCE VITA」の文字を二段に併記してなり、平成1年12月15日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同4年2月28日に設定登録、その後、指定商品については、同14年3月13日に第25類「被服」に書換登録され、現に有効に存続しているものである。

2.請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求める。」と申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第11号証(枝番を含む。)を提出している。

(1)本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。なお、請求人は、商願2001−052262の出願人であり、本件審判請求についての利害関係を有する。

(2)本件商標の下段のアルファベット「DOLCE VITA」からは、「ドルセビタ」、「ドルセビータ」、「ドルチェビタ」、「ドルチェビータ」が称呼される。同商標の上段のカタカナ「ドルチエビッタ」からは、「ドルチェビッタ」ではなく、「ドルチエビッタ」が称呼される。

他の分類で登録されている「DOLCE VITA」についても、様々な称呼が発生しており(甲第1ないし第9号証)、アルファベット「DOLCE VITA」から必ずしも「ドルチエビッ夕」が自然に称呼されるというものではない。

また、本件商標の上段のカタカナ「ドルチエビッタ」から、同商標の下段のアルファベット「DOLCE VITA」の語が想起されるものでもなく、「ドルチエビッ夕」の文字も、「DOLCEVITA」の文字も、我国においてありふれた語でもない。

したがって、本件商標においては、一方の文字より生じる称呼・観念・外観と、他方の文字より生じる称呼・観念・外観とが相違することから、一方の文字のみの使用は、社会通念上、当該商標の同一使用とは認められないことは、審決例からも認められるところである(甲第10号証の1及び2)。

仮に、同商標の上段のカタカナ「ドルチエビッタ」が、同商標の下段のアルファベット「DOLCE VITA」の読みを特定する役割を果たす文字であったとした場合、本件商標は欧文字と仮名文字は常に一体のものとしてその指定商品に使用されなければ、本件商標の使用であるとはいえないことも審決例から認められるところである(甲第11号証)。

(3)本件商標の使用について

(ア)乙第1号証−1

乙第1号証ー1は「世界のブランド大全集」2002年版であるが、その発行月日が明確でないから、本件審判請求登録時における使用の事実は証明されていない。

乙第1号証ー1には、婦人服を着たモデルの写真の右上に「DOLCE VITA」と表示され、またインデックスの「ト」の欄に「ドルチェ・ビッタ DOLCE VITA」と記載されている。しかし、写真上横の「DOLCE VITA」は、本件商標の一方の文字の使用であるから、前記したとおり本件商標の使用には当たらない。

また、インデックスに示された「ドルチェ・ビッタ DOLCE VITA」も、本件商標における二段商標の表示態様と異なるほか、「ドルチエビッタ」ではなく、「ドルチェ・ビッタ」と記載されており、本件商標の「ドルチエビッタ」とは称呼・観念・外観において異なっている。また、音読み「ドルチエビッタ」を「DOLCE VITA」と一体的に使用しているものとも認められない。

そもそも、乙第1号証ー1は、他人によるブランドの紹介記事であって、商標法第2条第3項第7号に規定する「広告」の事実を示すものではない。特に、「ドルチェ・ビッタ DOLCE VITA」は、書籍のインデックスにおける記載にすぎない。仮に、当該ブランドの紹介記事が「広告」であったとしても、本件二段併記の登録商標を付した商品が販売された事実は、提出された乙各号証には全くなく、単に名目的に商標を使用するかのような外観を呈する「広告」使用は、取消を免れない。

(イ)乙第1号証−2(下げ札)、乙第1号証−3(織ネーム、商品写真)

同各号証も、本件審判請求登録時における使用の事実を証明していない。また、同各号証が「DOLCE VITA」の使用の事実は証明していたとしても、本件二段併記の登録商標の使用の事実は証明していない。

(ウ)乙第2号証−1ないし6(取引先売上受領証及び売掛帖コピー)

同各号証は、商品販売の事実は証明しているが、本件商標を付した商品が販売された事実については全く証明されていない。また、同各号証と乙第1号証−1ないし3との関係を示す事実も、いずれの乙各号証からも証明されていない。なお、乙第2号証−1ないし5には、別の商標「PIACENZA」が記載されている。

したがって、乙第2号証−1ないし6には、本件商標の使用の事実は証明されていない。

(エ)乙第3号証(取引先売上伝票及び売掛帳簿コピー)

乙第3号証として提出された売上伝票及び売掛帳簿コピーのいずれにも、アルファベット「DOLCE VITA」とカタカナ「ドルチエビッタ」で構成された二段併記の本件商標の使用事実は証明されていない。

本件商標は、前記したとおり、「ドルチエ ビッタ」と「DOLCE VITA」の文字とが一体不可分に結びついた二段併記の構成であり、その「使用」は一体的でなければならないことは、前記したとおりである。

(オ)乙第4号証(「世界のブランド大全集」2001年版)

被請求人は第2答弁書において、この乙第4号証の提出理由が「受領ブランドの販売促進の為の雑誌などへの掲載証明」と述べている。

したがって、同誌によって証明される事項は、「販売促進」を目的とした広告事実であり、販売ないし流通経路における実際の使用事実ではない。商標法第50条第1項にいう本件商標の適法な使用は、単なる名目的な広告使用では足りないことは通説判例も認めるところである。

一方、乙第4号証ハには確かに「ドルチェ・ビッタ DOLCE VITA......124」と記載されているが、同頁の左上には大きく「INDEX」と記載されている。請求人は、この目次の欄の記載をもって、本件商標の使用の事実を認めることはできない。

しかも、乙第4号証ニの掲載記事が上記目次に示された124頁に該当すると仮にした場合、この乙第4号証ニにはアルファベット「DOLCE VITA」が記載されているのみである。したがって、これら乙第4号証ニ及びハの記載とを総合すると、「ドルチェ・ビッタ DOLCE VITA」は、「目次」の記載にとどまり、実際に使用された事実はなかったことを逆に証明している。請求人は乙第4号証をかかる点を逆に証明している書証として採用する。

仮に、乙第4号証ニの掲載記事が上記目次に示された124頁に該当しないとした場合、上記目次に示された124頁に該当する記事は存在しないことになり、この事実においても、「ドルチェ・ビッタ DOLCE VITA」は「目次」の記載にとどまり、実際に使用される事実はなかったことを示している。この点においても、請求人は乙第4号証を逆に証明している書証として採用する。

そもそも、この乙第4号証ニの掲載記事自体には頁数が記載されておらず、乙第4号証の刊行物の中に含まれている記事であるかどうかも判然としない。

3.被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1ないし第4号証(枝番を含む。)を提出している。

(1)被請求人は、本件商標の指定商品について本件商標の登録後現在に至る迄継続して本件商標「DOLCE VITA」ブランド商品の販売をし、また、「世界のブランド大全集」に本件商標ブランド商品を掲載している。その他ファッションブランド年鑑にも掲載している。

(2)被請求人は、本件商標を付したブランドの商品販売を行っている。この販売に関する売上伝票、売掛帳簿及び本件商標を付したブランドの販売促進の為の雑誌などへの掲載証明を新たに提出する。

4.当審の判断

(1)被請求人は、本件商標をその指定商品について使用しているとして証拠を提出しているので、その提出に係る各乙号証について検討する。

(ア)2002年1月20日株式会社東京企画発行「世界のブランド大全集2002年版」(乙第1号証)及び2001年1月20日株式会社東京企画発行「世界のブランド大全集2001年版」(乙第4号証)によれば、該書籍の本文に「DOLCE VITA」の商標と共に婦人服が紹介されており、該書籍の「INDEX」部分の「ト」欄に「ドルチェ・ビッタ DOLCE VITA」の文字が表示されていることが認められる。

(イ)請求人は、本件商標中の「DOLCE VITA」の文字よりは、種々の称呼を生ずるものと認められるから、「ドルチエ ビッタ」の文字と一体的に使用されるべきであり、一方の文字のみの使用は、社会通念上、同一視し得る商標の使用とはいえないものである旨主張している。

しかしながら、上記「INDEX」欄に表示された「ドルチェ・ビッタ DOLCE VITA」の文字の前後には、「ジバンシィ GIVENCHY」、「ソニア リキエル SONIA RYKIEL」、「ティファニー TIFFANY」、「ニナリッチ NINA RICCI」等の世界的な著名商標が多数掲載されている事実よりすれば、上記書籍に掲載されている商標は、取引者・需要者の間に相当程度知られている商標のみが掲載の対象となっているものと推認されるものである。

そして、上記「INDEX」欄には「DOLCE VITA」の文字のみならず「ドルチェ・ビッタ」の文字が併記されていること、本件商標はその構成に照らし、「ドルチエ ビッタ」の文字が「DOLCE VITA」の文字部分の読みを特定したものと無理なく判断され得ることを併せ考慮すれば、本件商標中の「DOLCE VITA」の文字部分は、「ドルチェビッタ」ないしは「ドルチエビッタ」と称呼されるものとして相当程度知られているものというべきであるから、これよりは「ドルチェビッタ」又は「ドルチエビッタ」の称呼のみが生ずるとみるのが相当である。

してみれば、本件商標については、「DOLCE VITA」の文字のみの使用であっても、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているものとみて差し支えないというべきである。

(ウ)乙第3号証イないしハとして提示された売上伝票は、被請求人が取引先毎に2001年7月3日、同年8月20日、同年8月23日及び同年11月22日にそれぞれ発行したものであること、商品名の欄に「DOLCE VITAカシゴラチュニック」、「DOLCE VITAカシミヤコートへリボン」、「DOLCE VITAカシゴラヌートリア衿付 ボルドー」、「DOLCE VITAカシミヤコート ヌートリア衿付 グレー」、「DOLCE VITAカシミヤコートミンクトリミング イエロー」等の記載がされていることが認められる。

しかして、上記伝票は、いわゆる取引書類といえるものであり、その発行日は、いずれも本件審判請求の登録前3年以内の期間内であることが明らかであるほか、上記伝票の記載に照らし、「DOLCE VITA」の商標を使用した、被服の範疇に属する商品といえる「カシミヤコート」が取り引きされたことが認められる。また、上記伝票に記載された「DOLCE VITA」の文字は、上記(イ)で述べたと同様に、本件商標と社会通念上同一の商標といい得るものである。

(2)請求人は、上記書籍の「INDEX」に掲載された「ドルチェ・ビッタ DOLCE VITA」は、本件商標とは態様(二段表示と一段表示・大文字と小文字の差違)を異にするものであり、さらに、これらは他人によるブランドの紹介記事であって、「広告」には該当しない旨、これは書籍のインデックスに過ぎないものであるから、これらの使用は本件商標の使用には該当しない旨主張している。

しかしながら、本件商標中の「DOLCE VITA」の文字が単独で使用されても、本件商標の使用に当たることは上記(1)(イ)で述べたとおりであり、さらに、上記書籍に接する需要者は、この書籍への掲載が誰によってなされたかということにはさほど斟酌せず、かかる書籍に掲載されている商品をみて、当該商品を知り、購入しようとすることは当然にあり得ることであるから、かかる書籍に掲載されることは広い意味での広告と解するのが相当であり、かつ、インデックスに掲載されることも同様に解されるところである。

(3)以上を総合勘案すれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者によって、その指定商品に含まれる被服について使用されていたというべきである。

したがって、本件商標についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。

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