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Trademark Appeal Case

不使用取消と内部取引

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−30782(T2001−30782/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1863581号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1863581号商標(以下「本件商標」という。)は、「BOSSINI」の欧文字と「ボッシニ」の片仮名文字を上下二段に書してなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和59年6月25日登録出願、同61年5月30日に設定登録され、その後、平成8年11月28日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。

1.請求の理由

被請求人は、本件商標をその指定商品のいずれについても継続して3年以上日本国内において使用していない。また、本件商標について専用使用権者は存在せず(甲第1号証)、また、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項により、その登録は取り消されるべきである。

2.答弁に対する弁駁

(1)乙第1号証は、その記載中に「応募と選考」なる項目があることからみると、株式会社バツ(以下「(株)バツ」という。)の求人用パンフレットの一部分のようであるが、出典、印刷年月日、作成名義等いずれも不明であり、証拠としての価値を有しないものである。

なお、乙第1号証には、「グループ構成会社 (株)オールファッションアート研究所、(株)バツ」等の記載があるが、これをもって、(株)バツが本件商標に関する専用使用権者又は通常使用権者であるという証明にはならない。

また、乙第1号証には、(株)バツの主要ブランドが掲載されているが、その中に本件商標の記載はなく、その意味でも乙第1号証は、本件商標の使用証拠とはなり得ない。

(2)被請求人は、乙第2号証(タグ)に関し、タグに示された品番と乙第3号証に係る伝票に記載された品番が同一であるから、本件商標を付した商品が取引されていた旨主張する。

しかしながら、乙第2号証は、本件商標が表示されているが、印刷年月日、作成名義等いずれも不明であり、このようなタグは、現在の印刷技術をもってすれば極めて容易に製作できるものであり、少なくともこれ自体は、本件商標が上記3年の期間内に使用されていたことの証明にはなり得ない。

(3)乙第3号証は、「納品伝票(控)」であるが、該伝票には、「ブランド名/BOSSINI」と印字され、乙第2号証に表示された品番「018609−441」及び日付「11年8月27日」が記載されているから、一見すると本件商標の使用を示すもののようにも見えるが、乙第3号証は、次のとおり、極めて不審な点が多い。

ア.当該伝票は、被請求人の系列グループ構成会社たる(株)バツ、すなわち、被請求人が本件商標を本件審判請求の登録前3年間に使用したと主張する者が作成名義であり、客観性がない。すなわち、(株)バツは、被請求人の意を受けて、このような伝票をいつでも簡単に作成できる立場にある者である。

イ.納品先の店名は、「姫路フォーラスバツ」との記載があるが、姫路フォーラスは、兵庫県姫路市東駅前町100所在のショッピングビルの名称であって、姫路フォーラスバツは、姫路フォーラスビル内の「バツ」を意味することが明らかである。つまり、仮に当該伝票が真正に作成されたものであるとしても、伝票記載の商品が納品されたのは、(株)バツ自身の店舗にほかならず、同社内での商品の移動にすぎないものであって、同商品は未だ流通におかれていないものであるから、本件商標は未だ使用されたものとはいえない。

けだし、商標法第50条における使用は、それによって当該商標に商標権者の信用が化体し得るものをいい、商標を付した商品が商標権者ないし使用権者の内部にとどまっている限りは、その商標は使用されたものとはいえない。

ウ.当該伝票は、品番、数量、金額、ブランド名等に関しては、明らかに電算処理がなされていることを示すタイプ印字がなされているのに対し、色、サイズ及び品名の部分は手書きで書き込まれており、いわゆる電算処理伝票としては極めて不自然である。また、「ブランド名」欄には、「BOSSINI」の文字が特殊な字体で印字されているが、電算機で処理される単なる取引書類である本件伝票に、ブランド名をことさらにこのような特殊な字体で印字することは通常あり得ず、この点でも、該伝票は不自然である。

被請求人は、上記に関し、伝票に記載されている文字に、印刷されている部分と、手書きの部分があることは、煩雑な取引の場においては、このようなことが通常行われているから、伝票としての役割を果たしている旨主張する。

一般論としては、伝票中に電算処理される部分と手書きの部分が存在することは有り得ようが、少なくとも、品番が電算処理されているにもかかわらず、品名が手書きである点は極めて不自然である。すなわち、少なくとも品番とは品名とは常に対応しているはずであり、品番が特定されれれば同時に品名も特定されるはずであるから、品番が電算処理される一方、それに対応する品名はわざわざ手書きで記載しなければならなようなプログラム設計は通常あり得ないものと考えられる。

エ.伝票の日付は「11年8月27日」と印字されている。これに関連し、被請求人は、「平成11年8月27日から現在に至るまで継続して、本件商標を使用」と主張しており、参考資料として被請求人が提出した「登録商標の使用説明」なる文書においても「平成11年頃より現在使用中」と記載されている。したがって、これらによれば、本件伝票の日付「11年8月27日」 をもって本件商標の使用が開始されたということのようであるが、これも極めて奇妙であり、乙第3号証及びそれに基づく主張も信憑性を欠くといわざるを得ない。

また、参考資料に記載されている「平成11年頃より現在使用中」というように本件商標の使用が継続しているのであれば、取引伝票が乙第3号証の一通のみであるのはあまりにも不自然である。すなわち、伝票等の取引書類を処分する場合は、一般的に古いものから処分されるから、実際に本件商標を使用していたのであれば、同号証以外に、審判請求の予告登録前3年以内のものであって乙第3号証よりも新しい日付の伝票が多数存在しているはずであるが、そのような証拠は存在しない。

現実に本件商標が業として使用されてきたとするならば、相当数量の売上げがなければブランドとして2年以上も存続することは不可能なはずであり、それに見合う取引書類が存在するはずである。しかし、被請求人が提出した書類は乙第3号証だけである。この事実からも、本件商標について、商標法第50条の法の趣旨に見合う実質的な使用(信用を形成しうる使用)がなされているものとはいえない。

オ.以上のとおり、乙第3号証は、それ自体客観的にみて真正に作成されたものとの信用がおける資料とは到底いえず、さらに、仮に本件伝票が真正に作成されたものであるとしても、これによっては、本件商標の使用は証明されないことが明らかである。

(4)乙第4号証は、乙第2号証のタグのコピーとみられるもの及び「ズボン」の写真2枚のコピーからなる。タグについては、上述のとおり、それ自体では商標の使用の証拠になり得ないものである。

写真は、本件商標を表示したネームリボンが縫いつけられ、上記タグが糸で付けられている「ズボン」に係るものであるが、撮影者、撮影場所、撮影年月日等一切不明であり、これも、本件商標が上記期間内において現実に使用されたとの証拠には到底なり得ないものである。

さらに、被請求人は、乙第4号証について、「本件商標を使用して被請求人のショーウインドーに展示されていたときの状態の写真の写し」と述べているが、上記写真に示されるような品番、色、素材等の記載のあるタグを付して商品がショーウインドーに展示されるときは、譲渡(販売)のための展示であると考えられ、その場合には、当該商品の値札を一緒に付するのが通常である。しかしながら、本号証の写真に示されるズボンには、本件商標が印刷されたタグのみが付され、値札は付されていない。

この点に関し、被請求人は、タグに価格が表示されていないのは、商品の価格が地域・販売店によって差があるからであると主張するが、少なくとも、被請求人は、「被請求人のショーウインドーに展示されていたときの状態の写真」であると主張しており、そうだとすれば、その商品にはそのショーウインドーが在る特定の地域・販売店に応じた商品価格があるはずであって、そのショーウインドーに展示されるときにはそこで販売する場合の価格が表示されるのが常態と考えられ、撮影の際、それをあえて取り除くのも不自然である。

このように、本号証に示すような状態での展示は、商品を販売する店舗における展示としては非常に不自然な態様であり、「被請求人のショーウインドーに展示されていたときの状態の写真」との被請求人の主張にも信憑性がない。

なお、被請求人は、乙第4号証の写真は、「被請求人の代表者が、提出日の3日前に社内で撮影したもの」と主張するが、前述のとおり、被請求人は、「被請求人のショーウインドーに展示されていたときの状態の写真」であると述べており、その主張は明らかに矛盾している。

(5)乙第5号証は、「登録商標使用許諾書」と題する書面であり、被請求人目身が、(株)バツに対し、本件取消審判請求前3年以上、本件商標の使用を承認していたと述べるに止まるものである。つまり、本書面は、被請求人が自らに都合のよい内容を自ら記述したにすぎないものであって、何ら客観性がなく、証拠としての価値を全く有しないものである。

(6)乙第6号証は、「会社案内書」とのことであるが、乙第1号証と同様、出典、印刷年月日、作成名義等いずれも不明であって、全く証明力を欠くものである。さらに、本書面には、「グループ売上高 250億円(63年7月期)」「初任給 63年4月実績」と記載され、また、連絡先として記載されている電話番号「(03)499−5353」は局番が3桁であって、東京の局番が4桁になったのは平成3年からであるから、本書面は昭和64年ないし平成元年に作成されたものと推定される。

そして、被請求人は、乙第6号証によって、(株)バツと丸井今井に取引関係があったことを証する旨述べているが、本件において本件商標の使用を証明すべき期間は、審判請求の予告登録前3年以内であるところ、乙第6号証の作成は、平成元年ころであって、審判請求の予告登録前3年の約10年も前のものであるから、およそ本件には無関係の文書というほかない。

(7)乙第7号証は、「工業所有権質疑応答集」の登録商標の使用の認定資料に関する解説であり、本件商標の使用事実には関係のない資料である。

(8)乙第8号証は、(株)バツの履歴全部事項証明書であり.これも、本件商標の使用事実には関係のない資料である。なお、この証明書の日付は平成9年3月10日であって、審判請求の予告登録前3年以内のものではない。その意味でも乙第8号証は、本件には意味のない資料である。

(9)以上のとおり、乙各号証によっては、被請求人が本件商標を使用したと主張する(株)バツが、本件商標に係る専用使用権者又は通常使用権者であること及び本件商標がその指定商品について上記3年間の期間内に使用されたことのいずれも証明されない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証及び参考資料(登録商標の使用説明)を提出した。

1.本件商標は、平成11年8月27日から現在に至るまで継続して、被請求人と契約したグループ構成会社である(株)バツにより、商品「婦人用ズボン」などの被服について使用されている。

2.弁駁に対する答弁及び審尋に対する回答

(1)被請求人は、(株)バツに対して、本件商標の商標権について通常使用権を許諾している(乙第1号証、乙第5号証及び乙第6号証)。

乙第1号証及び乙第6号証は、被請求人と通常使用権者である(株)バツとが長年にわたって、グループ会社であることのみを示すために添付したものであり、(株)バツは、現在も被請求人のグループ会社であることは変わらない。この種のパンフレッドは、その後は発行していない。なお、(株)バツの履歴全部事項証明書を提出する(乙第8号証及び乙第10号証)。

(2)乙第2号証(タグ)は、(株)バツが、ビジュアル・アート・センター株式会社(以下「ビジュアル・アート・センター」という。)より1999年5月11日と同年6月18日にかけて納品されたことを証する書面(乙第9号証)からすれば、被請求人が不使用の事実を免れるために、審判の請求後に製作したことではないことは明らかである。

乙第3号証(「乙第2号証」の誤記と認める。)は、乙第4号証に示した商品「ズボン」に付されている、商標「BOSSINI」を表示したタグの写真であって、「タグ」の表面には「BOSSINI」と、その裏面には「株式会社バツ」と商品の整理番号とが表示されている。

(3)上記整理番号の表示と、乙第3号証の伝票に記載されている番号が一致していることからしても、商標「BOSSINI」を付した商品が、取引され、販売されていたことを証明しているものと思料する(乙第7号証)。

したがって、乙第3号証(伝票)に記載されている文字が、印刷されている部分と手書きの部分があったとしても、煩雑な取引の場においては、通常行われているものであり、商標「BOSSINI」を直接付した商品が取引があった事実を明らかにするために、その納品伝票を添付したものである。

ちなみに、伝票そのものは、金銭の出し入れや、物品の接受などを、単に記録、確認し、連絡するための紙片であって、手書きの部分があったり、既に印刷された部分もあっても、伝票としての役割を果たしているものと思料する(乙第6号証)。

請求人は、タグに価格が表示されていないと主張するが、商品の価格については地域・販売店によって、差が有ることからして、添付していない。

また、乙第3号証以外の取引書類は、現在は廃棄処分済みで存在しないが、取引伝票は、数多く提出すれば商標の使用事実が認められるものではなく、一通の取引伝票であっても、その伝票に登録商標が客観的に使用されている事実が明白のときは、商標法第50条の趣旨からみても認められるものと思料する。

(4)乙第4号証(写真)は、ショーウインドーに展示されていたときの商品であるが、使用に係わる登録商標が周りの商品の陰になって見えないために、その下の床に広げて登録商標が付されているネームプレートやタグなどが判明するように広げて写したものである。該写真は、平成13年9月22日にオールファッション研究所内で、松本和雄、光永篤彦が撮影したものである(乙第11号証)。

(5)以上のとおり、本件商標は、日本国内において、継続して3年以内に指定商品中の「ズボン」等について、通常使用権者が使用していたことは明らかであるから、取消される理由は存在しない。

第4 当審の判断

1.乙第1号証ないし乙第6号証及び乙第8号証ないし乙第11号証によれば、以下の事実を認めることができる。

(1)乙第1号証及び乙第6号証は、「BA−TSU GROUP」と題する会社案内と認められるところ、いずれもその「グループ構成会社」の項目には、「(株)オールファッションアート研究所、(株)バツ」などの記載がある。また、これら書証の作成年月日は記載されていないが、「連絡先」の項目に記載された電話番号及び郵便番号は、前者が「〒150」、「TEL.(03)3499−5353」であり、後者は「〒150」、「TEL.(03)499−5353」である。そして、後者においては、「グループ売上高 250億円(63年7月期)」、「初任給 63年4月実施/大卒 17万」、「採用人数 35名(平成元年4月入社実績)」との記載もある。

(2)乙第2号証は、タグの表面と裏面を写した写真と認められるところ、タグの表面にはその中央に大きく「BOSSINI」の欧文字が表示されている。また、タグの裏面には、「製造 株式会社バツ (03)3499−5353」、「NO.018609−441」、「COL 63」、「SIZE M」、「綿 100%」の記載がある。

(3)乙第3号証は、「株式会社BA・TSU」と「姫路フォーラスバツ」との間における平成11年8月27日付けの納品伝票(控)と認められるところ、該納品伝票(控)の右端の「ブランド名」欄には「BOSSINI」の、また、「品番」欄には「018609−441」の、「色」欄には「63」の、「サイズ」欄には「M」の、「品名」欄には「ズボン」の、「数量」欄には「5」の記載がある(なお、上記「63」、「M」、「ズボン」は、手書きである。)。さらに、「株式会社BA・TSU」の記載の下には「PHONE:03−3499−5353 〒150」の記載がある。

(4)乙第4号証は、「BOSSINI」の欧文字が表示された織りネーム及び乙第2号証のタグと同種のものと認められるタグを付したズボンの写真2枚と乙第2号証のタグとは欧文字と態様を異にする「BOSSINI」が表示されたタグの表面の写真1枚であるところ、これらの写真は、平成13年9月22日に撮影されたもので、商標の使用者は(株)バツであり、商標の使用場所はオールファッションアート研究所、商標の使用時期は1999年8月27日から現在に至るまでである(乙第11号証)。

(5)乙第5号証は、平成14年8月20日付けの「登録商標使用許諾書」と題する一枚刷りであって、その内容は、被請求人の代表取締役である松本和雄が、被請求人は(株)バツに対し、本件商標をその指定商品について、本件取消審判請求前3年以上継続して日本国内で使用することを承認しているというものであり、承認の日付は「平成14年8月16日」である。

(6)乙第8号証及び乙第10号証は、(株)バツの履歴事項全部証明書であり、証明の日付は、前者は平成9年3月10日であり、後者は平成11年3月17日である。該証明書によれば、(株)バツの本店は、東京都渋谷区神宮前五丁目6番17号であり、代表取締役は松本和雄である。

(7)乙第9号証は、ビジュアル・アート・センターから(株)バツに宛てた1999年5月11日付け及び1999年6月18日付けの納品書であるところ、前者の「品名」及び「数量」欄には、それぞれ「BOSSINI タグ(中)」、「700」の記載が、また、後者の「品名」及び「数量」欄には、それぞれ「BOSSINI タグ(大)」、「500」の記載がある。

2.(1)前記1.(1)、(5)及び(6)で認定した事実によれば、被請求人と(株)バツとの関係を証明する乙第1号証及び乙第6号証は、いずれも発行年月日が不明であるところ、東京の電話番号の3桁の部分が4桁に変更されたのは、平成3年1月1日であり、また、郵便番号が3桁から7桁に変更されたのが同10年2月2日であるところからすると、乙第1号証は、平成3年1月1日以降、同10年2月2日以前に作成されたものと推認され、また、乙第6号証は、平成3年1月1日以前に作成されたものと推認される。

そうすると、乙第1号証及び乙第6号証は、いずれも本件審判の請求の登録日である平成13年8月15日前3年以内に作成されたものとはいえず、これらをもってしては、(株)バツが本件審判の請求の登録前3年以内の間において、被請求人と関連会社の関係にあったと確認することはできないが、平成11年3月17日の時点(乙第10号証)で、上記両会社の住所及び代表取締役が同じであり、平成14年8月20日付け登録商標使用許諾書(乙第5号証)を合わせて考慮すれば、(株)バツは、本件商標について被請求人より使用許諾を与えられていたと認め得るところである。

(2)前記1.(2)ないし(4)及び(7)で認定した事実並びに答弁の理由によれば、形式上、「BOSSINI」の表示があるタグ(乙第2号証)は、1999年5月11日と同年6月18日に、ビジュアル・アート・センターより(株)バツに納品され、該タグを付したズボンは、平成11年8月27日に、(株)バツより姫路フォーラスバツに納品され、本件商標は、その指定商品中のズボンについて、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたかのようにみられないことはない。

しかし、被請求人が「本件商標は、平成11年8月27日から現在に至るまで継続して、(株)バツによりズボンなどの被服について使用されている。」旨主張するとおりであるとすれば、(株)バツが本件商標を付したズボン等の取引を行ったことを示す取引書類が乙第3号証(平成11年8月27日付け納品伝票(控))以外に存在しないということは極めて不自然であるといわざるを得ない。すなわち、少なくとも本件審判の請求の登録日である平成13年8月15日から被請求人が答弁書を提出した平成13年9月25日の「現在まで」までは、わずかに約40日の期間しかなく、仮に平成13年8月15日の直前に取引がなかったとしても、それ以前の3年間という期間があることからすれば、平成11年8月27日付け納品伝票以外の取引書類について、「廃棄処分済みで存在しない」旨の被請求人の主張は、例えば、企業会計などの面からみても、通常考え難いところである。

また、ビジュアル・アート・センターより(株)バツに、「BOSSINI」と表示されたタグが納品されたことを証明する1999年(平成11年)5月11日付け及び同1999年6月18日付けの納品書によれば、わずか40日弱の間に1200枚のタグが(株)バツに納入されたことになるが、(株)バツがその取扱いに係る被服等を取引をしたことを証明する取引書類が乙第3号証のみであるという点からも、極めて不自然であるといわざるを得ないし、さらに、乙第3号証以外の取引書類を廃棄したにもかかわらず、乙第3号証の日付以前の、タグがビジュアル・アート・センターより(株)バツに納品されたことを証明する1999年(平成11年)5月11日付け及び同1999年6月18日付けの納品書が保存されていたということになり、上記したように、本件商標の使用の事実をより直接的に証明し、かつ、企業会計等において重要と認められる取引書類が「廃棄処分済みで存在しない」という事実は、平成11年8月27日にあったとされる取引自体、その事実の存在を首肯することが困難であるといわざるを得ない。

なお、上記平成11年8月27日付け納品伝票(控)の「株式会社BA・TSU」の下に記載された郵便番号は、前記認定のとおり、「〒150」であり、郵便番号が3桁から7桁に変更されたのが平成10年2月2日であることからすると、該納品伝票は、郵便番号が変更された日から約1年6ヶ月も経過した時点のものを使用していたことになり、この点からしても、上記納品伝票(控)は、通常の商取引からみると極めて不自然といわなければならない。

乙第3号証に関し、被請求人は、取引伝票は、数多く提出すれば商標の使用事実が認められるものではなく、一通の取引伝票であっても、その伝票に登録商標が客観的に使用されている事実が明白のときは、商標法第50条の趣旨からみても認められる旨主張する。

しかしながら、前記したように、平成11年8月27日にズボンの取引があったという事実自体極めて疑わしいものといわざるを得ず、仮に平成11年8月27日にズボンの取引があったとしても、本件のように、使用に係る商品の取引が3年の間に、わずか1回のみというような場合には、反復し、継続してなされる通常の商品取引の形態とはみることができず、登録商標の使用とはいえないものである。すなわち、登録されている商標であっても、実際には使用されず、あるいは使用されていないに等しい商標は、商標使用者の業務上の信用が化体されていないから、財産的価値がないか極めて少なく、このような登録商標を商標法で保護する価値はないのみならず、このような登録商標を放置することは、商標の使用を欲する者の商標採択の範囲を狭める結果ともなり、国民一般の利益を損なうこととなるから、請求により、このような商標登録を商標登録を取り消そうとするのが、商標登録不使用取消制度の趣旨と解すべきである。

そして、本件の場合、前記したとおり、仮に平成11年8月27日にズボンの取引があったとしても、その取引は、本件審判の請求の登録前3年以内に、僅か1回限りのものといわざるを得ず、この商品の取引で登録商標の使用があったとすることは、上記した商標登録不使用取消制度の立法趣旨からみても、到底認めることはできない。したがって、被請求人の上記に関する主張は理由がない。

(3)以上のように、本件商標の使用を証明する証拠として提出された乙第2号証ないし乙第4号証、乙第9号証及び乙第11号証を総合しても、本件商標は、通常使用権者により本件審判の請求の登録前3年以内に日本において、その指定商品中の「ズボン」等に使用されていたと推認することは極めて困難であるといわざるを得ない。他に、被請求人は、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより、その指定商品のいずれかについて使用されたという事実を客観的に認めるに足りる証拠の提出をしていない。

3.むすび

以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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