Trademark Appeal Case
周知図形商標の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第12637号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成からなり、第25類「洋服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成9年1月21日に登録出願されたものである。
第2 原審の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップがラルフ・ローレンのデザインによる紳士スーツ、ポロシャツ、ネクタイ等に使用して本願出願前より広く需要者に認識されていた商標であるポロ競技をしている人馬の図形を描いてなる図形商標よりなるものであるから、出願人がこれをその指定商品に使用するときは、需要者は上記会社又は上記会社と何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。
第3 請求人の主張の要点
請求人は、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものでないとして、その理由及び当審における証拠調べ通知に対する意見を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第14号証を提出している。
1 本願商標は、ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップの商標とはその構成を異にすると共に、ポロ競技をしている人馬の図形が数多く登録されていることから、需要者はポロ競技をしている図形を見ても、直ちに上記会社の商標と認識するものではない。
したがって、本願商標から出所の混同を生ずるようなことはないものである。
2 東京高裁平成12年行ケ第40号及び同第41号の判決によれば、「Polo」の文字や図形がラルフ・ローレン以外の者によって既に使用され、今後も使用されることから、総ての「Polo」の図形が直ちにラルフ・ローレンのデザインと認識されるかは疑問であり、また、ラルフ・ローレンのデザインが直ちに取引者・需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認めるには疑問がある。
第4 当審の判断
1 当審において職権により調査したところによれば、以下の事実が認められる。
(1)株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきたこと、1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞したこと、1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標(別掲(2)参照。以下、「引用商標」という。)が結合して又は単独で用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれていること、が認められる。
(2)株式会社洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
(3)ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、昭和53年2月16日付け日本経済新聞(夕刊)の広告、前出「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月20日発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月20日発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年5月25日発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月20日発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年5月25日発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、前出「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
(4) 平成3年研究社第3刷発行「英和商品名辞典」には、「POLO ポロ」の見出し語の下に「⇒Polo by Ralph Lauren」との記載があり、「Polo by Ralph Lauren ポロバイラルフローレン」の見出し語の下に「米国のデザイナーRalph Lauren(1937?)がデザインした紳士物衣料品。通例Poloと略して呼ばれる。・・・1976年に紳士服でCoty賞を受賞、翌年には婦人服で受賞。・・・1974年の映画The Great Gatsby(「華麗なるギャッツビー」)の衣装を担当して、人気が急上昇した」と記載されている。平成11年1月10日小学館発行の「ランダムハウス英和大辞典」には、「polo」の見出し語の下に「3《商標》ポロ:米国のRalph Lauren デザインによるバッグなどの革製品。4ポロ⇒POLO BY Ralph Lauren」」の記載があり、「Polo by Ralph Lauren」の見出し語の下に「《商標》ポロバイラルフローレン:米国の Ralph Laurenデザインのメンズウエア」と記載されている。
(5)引用商標を模倣したブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付朝日新聞夕刊、同4年9月23日付読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付読売新聞(大阪版)朝刊、同11年6月8日付朝日新聞夕刊に報道されている。
(6)引用商標の周知性について認定した判決として、東京高裁平成2年(行ケ)183号(平成3.7.11言渡)、東京地裁平成8年(わ)1519号(平成9.3.24言渡)があるほか、東京高裁平成11年(行ケ)250号、同251号、同252号、同267号、同290号(以上平成11.12.16言渡)、同268号、同289号(以上平成11.12.21言渡)、同288号(平成12.1.25言渡)、同298号、同299号(以上平成12.2.1言渡)、同333号、同334号(以上平成12.3.29言渡)、平成12年(行ケ)140号(平成12.10.25言渡)、同112号(平成12.11.14言渡)、同162号(平成13.2.8言渡)、平成13年(行ケ)90号(平成13.7.10言渡)、同119号(平成13.11.29言渡)等がある。
2 上記1の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標中の図形商標は、それ自体独立して、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する標章として遅くとも本願商標の登録出願時には既に我が国において取引者・需要者間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
なお、請求人は、登録第2468427号商標が原査定でいう商標と思われるとしているが、この商標の図形部分は、引用商標中の図形商標とは子細にみれば若干構成が異なる点があるものの、その構成の基本において異ならず同一視できるものであって、この商標も含めてラルフ・ローレンに係る商標として取引者・需要者間に広く認識されているものというべきである。
3 かかる事情の下において本願商標をみると、本願商標は、別掲(1)のとおり、2人の人物がそれぞれ馬に乗ってT字状の棒、すなわち、ポロ競技でいうマレットを振り上げた状態をシルエット風に描いたものあって、ポロ競技のプレーヤー(競技者)の特徴を端的に表したものと認識されるものである。
そして、本願商標が2人のポロ競技のプレーヤーを描いたものであるのに対し、引用商標中の図形商標が1人のポロ競技のプレーヤーを描いたものである点において異なるとしても、両者は、駆ける馬に乗ったプレーヤーがポロ競技のマレットを振りかざし上から振り下ろさんとする様子をシルエット風に表した点において、構成の軌を一にし、いずれも躍動的な印象を与えるものとして顕著な類似性があるものである。
また、本願商標の指定商品は、引用商標が使用されている商品を含むものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、周知著名となっている引用商標を連想、想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
4 請求人は、本願商標と引用商標とはその構成を異にすると共に、ポロ競技をしている人馬の図形が数多く登録されていることから、需要者はポロ競技をしている図形を見ても、直ちに引用商標と認識するものではない旨主張し、登録例及び判決例を挙げている。
しかしながら、請求人が掲げる登録例は、本願商標とは商標の構成が相違するものであって、事案を異にするものであるし、また、判決例は、当該商標の登録出願時点における引用商標の著名性の認定を前提に判断したものであるから、これらの登録例及び判決例が本件の判断に影響を及ぼすものではない。そして、本願商標は引用商標中の図形商標と相紛らわしい印象を与えるものであり、上記3のとおりに判断するのが相当であるから、請求人のこの主張は採用することができない。
5 以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべきかぎりでない。
よって、結論のとおり審決する。
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