Trademark Appeal Case
立体商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−19229(T2001−19229/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成11年10月22日(パリ条約による優先権主張 1999年4月23日 フランス国)に登録出願、その後、原審における同13年4月9日付け手続補正書をもって、第3類「洗濯用漂白剤,配水管清浄剤,つや出し剤,油脂除去剤(製造工程用のものを除く。),研磨剤(歯科用のもの及び化学品に属するものを除く。),香水,化粧水,身体用防臭剤,精油,化粧用油脂剤,化粧用乳液,メークアップ用化粧品,化粧落とし剤,肌の手入れ用・痩身用・浴用・日焼け用化粧品,美顔用パック,化粧用鉛筆,おしろい,マニキュア液,口紅,歯磨き,口内洗浄剤(医療用のものを除く。),ヘアローション,頭髪の手入れ用化粧品,シャンプー,毛髪用着色剤,染毛剤,脱毛剤,ひげそり用化粧品,ひげそり用せっけん,化粧用脱脂綿,化粧用綿棒,ティッシュに浸み込ませた化粧水,その他の化粧品,せっけん」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、デザイン化された特徴ある形状からなるものであるが、その指定商品との関係よりすれば、その商品の収納容器として採用し得る形状の一形態を表したものと容易に認識させる立体的形状よりなるものであり、これをその指定商品について使用しても、単に商品の収納容器(包装)の形状を普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲のとおり、円盤状の台の中央部をまたぐようにはめ込んだ半円弧状の釣手の頂上部に取り付けた金具に固着して当該円盤状の台と釣手との間に釣り下げた淡い黄色の半球状の容器からなる形状であり、半球状の容器以外は、黄金色の着色が施されているところ、頂上部に取り付けた金具部分が淡い黄色の半球状の容器キャップ部分を構成するものと容易に理解させるものであって、本願の指定商品との関係においては、例えば「香水,化粧水」等の液体状のものを収納する容器の一形態を表したと認められるものであるから、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の収納容器と認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
(2)請求人は、「本願商標は形状及び色彩は、十分に独創的であり、『商品等の形状を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標』ではないことは明らかである。」旨主張する。
しかしながら、立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるところ、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・自他役務(以下、「自他商品等」という。)を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品等を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
ところで、本願の指定商品中の化粧品、芳香剤、せっけん等の商品においては、商品や商品の包装の形状等の外観上の特徴が需要者の購買心理、選択意欲、消費行動等に重要な影響を与えるものといえるから、商品や商品の包装の形状において、特に、美感が強く追求されるのに対し、商品との機能、効果等の面から特定の形状にしなければならない必要性は比較的薄いといえる。
そうすると、上記化粧品、芳香剤、せっけん等の商品における商品や商品の包装の形状は、市場の流行や需要者の用途、嗜好等に合わせ、美感を強く意識した各種の特徴的な変更、装飾等が施される実情にあるものと認められ、その場合、立体的形状に施されたその種の変更、装飾等は、外観上同種の商品や商品の包装の形状と比較し特徴的なものと認められるとしても、それらは専ら需要者が商品を選択するに際して、外観上の美感、若しくは魅力的な形状という嗜好上の意味合いを与えているにすぎず、それは未だその商品や商品の包装の形状の範囲内のものと認識するに止まるものである。
したがって、上記の商品や商品の包装の形状における変更、装飾等は、自他商品の出所を表示する識別標識として機能しているものではなく、その立体商標の形状の全体を観察しても識別力を有するものとは認められない。
そして、本願商標は、前記認定のとおり、その形状が特徴的なものであっても、それは商品や商品の包装の、主として美感をより発揮させるために施されたものというのが相当であり、商品や商品の包装の形状を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであるから、その形状に特徴をもたせたことをもって自他商品の識別力を有するものとは認められないことは、前記のとおりである。
(3)さらに、請求人(出願人)は、原審において提出した甲第1号証ないし甲第6号証の登録例を示し、特に甲第1号証、甲第2号証及び甲第4号証について、「これらの登録商標は、審査官のいうように『立体的形状に識別力を有するものと認識される文字、図形等』は付されてない。審査官の判断は恣意的なものであり、誤りであること明らかである。」と述べているが、甲第1号証(登録第4217733号商標)は、その構成中に「UNICON」の文字及び当該文字の下部に三本のリボン状の図形を有し、甲第2号証(登録第4340317号商標)は、その構成中に「note framboise」の文字と「Bain de source」の文字を有し、甲第4号証(登録第4435485号商標)は、その構成中「PUIG」の文字を有しているものであるから、立体的図形のみからなるものではなく、立体的図形のほかに要部があるものと認められる。したがって、請求人のこの点に関する主張は採用することができない。
(4)また、請求人は、本願商標が使用により需要者において、請求人の製造販売する商品に付する商標であることを認識することができるに至っているから、商標法第3条第2項に該当する旨述べ、証拠として甲第7号証ないし甲第21号証を提出している。
しかしながら、いずれの書証においても、本願商標は、「ジャンポール・ゴルチェ」の文字、「ゴルチェ」の文字若しくは「ボーテ プレステージ インターナショナル ジャポン」の文字等とともに掲載されており、また、本願商標と異なる態様のもの、あるいは本願商標に文字が付加されたものであって、本願商標のみでの使用は見当たらない。
その他、本願商標が、取引者、需要者に広く知られるに至ったと認めるに足りる書証(商品の売上高、広告宣伝の回数等を証するもの)の提出もない。
そうとすると、本願商標が、その使用により取引者、需要者に広く知られるに至ったとは認め難く、この点に関する請求人の主張は、採用をすることができない。
(5)したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の認定、判断は、妥当なものであって取り消すべき理由はない。
なお、原審における拒絶の理由に開示した商標法第6条第1項及び同条第2項の拒絶の理由は、平成13年4月9日付け手続補正書によって解消したが、このことは、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとした上記判断に影響を及ぼすものではない。
よって、結論のとおり審決する。
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