Trademark Appeal Case
料理形状の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−4981(T2001−4981/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
本願商標は、後掲に示すとおり、「巾着寿司」の文字を縦書きしてなり、平成11年11月11日に登録出願、指定商品及び指定役務については、願書記載の指定商品及び指定役務を、平成12年12月28日付けの手続補正書により、第30類「薄焼き卵でばらずし又は五目鮨を包んだもの」及び第42類「薄焼き卵でばらずし又は五目鮨を包んだものの提供」と補正されたものである。
2.原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『薄焼き卵でばらずし(五目鮨)を包んだもの』をいう『巾着寿司』の文字を書してなるにすぎないから、これを本願指定商品・役務に使用しても、単に商品の品質、役務の質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品・役務に使用するときは商品の品質・役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3.当審の判断
本願商標は、「巾着寿司」の文字を縦書きしてなるところ、本願商標の前半の「巾着」の文字部分は、「布・革などでつくり、口をひもでくくり、中に金銭などを入れて携帯する袋」(「広辞苑」株式会社岩波書店、1998年11月11日第5版第1刷発行)を意味し、また、後半の「寿司」の文字部分は、本願商標の指定商品であり、商品の普通名称と認められるものであるから、全体として「巾着型のすし」を認識するものというのが相当である。
そして、「巾着」の文字が料理の名称として、取引上普通に使用されている実情としては、例えば、以下のような書籍、雑誌により、是認できるところである。
(1)きんちゃくぶくろ 巾着袋・・・巾着とは、布や革でできた袋のことで、口をひもでくくり、なかに銭を入れて携行した袋のこと。この袋に似せて料理したところからこの名前がついた。油揚げの袋煮や、薄焼卵を広げて中身を包み、口を絞って煮たものがある。中身には、貝類、青菜など好みで入れ、かんぴょうで結ぶ。巾着豆腐(ナスをくりぬき、豆腐を詰める)、巾着麩(麩を巾着のように作り、好みの具を詰める)、巾着柚などの料理がある。(「日本料理由来事典 上」株式会社同朋舎出版、1990年8月30日初版発行、360頁)
(2)きんちゃくぶくろ(巾着袋)・・・油揚げの袋煮。かんぴょうで結んだ形が、きんちゃく(口をひもでくくるように作った布または皮製の、金銭などを入れる袋)に似ているのでこの名がある。(「改訂 調理用語辞典」株式会社調理栄養教育公社、1998年12月25日改訂版第1刷発行、323頁)
(3)きんちゃく揚げ・・・餃子や焼売の皮が余ったときに。ビールのつまみにピッタリ・・・きんちゃく卵・・・油揚げの袋に卵を落として煮るだけ。簡単だけど立派な一品。(「小林カツ代 料理の辞典」株式会社朝日出版社、2002年4月30日初版第1刷発行、245頁)
(4)巾着・・・材料の中身をくり抜いて巾着袋のようにし、なかに好みのものを詰めた料理を「巾着」といいます。(「料理名由来考」株式会社三一書房、1998年3月15日増補新版第1版第1刷発行、115頁)
(5)巾着・・・本来の巾着は布や革で作った袋で、中に金銭などを入れて袋の口をひもでくくり持ち歩くためのもの。この袋に見立てて料理したところから、この名がある。献立名としては、「巾着袋」(袋煮)、「巾着豆腐」(茄子をくり抜き、豆腐を詰める)、巾着麩(麩を巾着のように作り、好みの具を詰める)などがある。(「和食の料理用語事典」株式会社旭屋出版、2001年8月23日初版発行、173頁)
(6)おでんの巾着・・・巾着の形をしたおでん。薄揚げの中にお餅などを詰めてかんぴょうで結んだもので、・・・関西では「巾着」というみたいですが、東京のお店でも「袋」の名前でメニューにあるんですね。(「宝石」光文社、1999年1月1日発行、270頁)
(7)茶巾ずし・・・このすしは、大正中期ごろ、赤坂の「有職」なるすし屋から売り出された、いわば包みずしである。シオ焼きの薄焼き玉子にみじん切りしたしいたけ、かんぴょう、粉のようにもんだのりをまぜた酢飯(一通りまるめたもの)を包み込み、細い昆布で開かないように帯状に結んだもの。・・・以来、このすしの需要度が上がるにつれ、亜流茶巾ずしの発生となり、その形も、四方包みから巾着型の出現となり、そのしぼり口を三つ葉などで結び、中心に、茹でグルむき小マキの片身をのせるなど、見た目のきれいごとをねらっているものも現れているのが現状である。(「鮓・鮨・すし すしの事典」株式会社旭屋出版、1992年4月30日第三版発行、338頁)
上記実情からすれば、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が「巾着型に薄焼き卵で包んだばらずし又は五目鮨」であると認識し、商品の品質を表示したものと理解するに止まり、それをもって、自他商品の識別標識とは認識し得ないものといわなければならない。
また、本願商標を、その指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、前記商品を役務の提供の用に供する物であると認識し、役務の質(内容)を表示したものと理解するに止まり、それをもって、自他役務の識別標識とは認識し得えないものといわなければならない。
そうすると、本願商標は、結局、商品の品質及び役務の質を表示したものであって、自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
また、本願商標を前記に照応する商品以外の商品及び役務の提供の用に供する物について使用するときは、商品の品質及び役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
なお、請求人は、請求人の経営に係る屋号「本二鶴」のすし店が製造し販売する「薄焼き卵でばらずし又は五目鮨を包んだもの」を指称又は表彰するものとして、本願商標が周知又は著名であって、自他商品識別力を有するものである旨主張し、その証拠として乙第1号証ないし同13号証を提出している。
しかしながら、これらの証拠をみるに、本願商標が使用された結果、取引者、需要者間に広く認識されるに至っているとは認められないし、上記認定、判断に照らし、請求人の主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
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