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Trademark Appeal Case

不使用取消の立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30583(T2002−30583/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件登録第3109916号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ASCOTEC」と「アスコテック」の文字を二段に併記してなり、平成4年11月27日に登録出願、第9類「エアバッグその他の衝突感知型自動車安全装置及びこれらを作動させるためのプログラムを記憶させた電子回路,救命用具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同7年12月26日に設定登録、現に有効に存続しているものである。

第2.請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。

1.本件商標は、商標権者により継続して3年以上、日本国内においてその指定商品について何ら使用されていない。したがって、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。

2.乙第1号証はその写真の商品上に「NISSAN MOTOR」の表示がされていることから、当該商品が日産自動車株式会社の業務に係るものであることは明らかである。逆に言えば、乙第1号証は本件商標が使用された商品が被請求人の通常使用権者であるとされるボッシュエレクトロニクス株式会社(以下、「ボッシュエレクトロニクス」という。)の業務に係るものであることを何ら立証するものではない。

また、被請求人は上記写真の撮影年月日を明らかにしていない。

3.乙第2号証は日産自動車株式会社のエアバックシステムのカタログであって、通常使用権者であるとされるボッシュエレクトロニクスのものではない。そして、そのカタログ中でも問題の商品「センサーユニット」がボッシュエレクトロニクスの業務に係るものである旨の記述もない。

さらに、その表紙の「1994.7」からすれば、当該カタログは1994年7月頃に印刷されたものと推測されるものであり、当該年月は本件審判請求の予告登録前3年以内に該当しない。

4.乙第3号証はボッシュエレクトロニクスから日産自動車株式会社宛の請求書の写しであるが、単に部品番号が記載されているにすぎず、本件商標「ASCOTEC/アスコテック」及び商品名「センサーユニット」の記載がない。被請求人は乙第1号証の写真の商品上の番号が請求書中の番号と一致している旨を主張するが、ボッシュエレクトロニクスの部品番号リストのように取引上公示されている資料によって、請求書中の番号が、本件商標が使用されているセンサーユニットである旨が客観的に確認できればともかくも、被請求人が撮影した商品の番号と請求書中の番号とが一致したのみで、請求書中の番号が、本件商標が使用されているセンサーユニットであることが客観的に立証できたとは言えない。特に、1994年7月頃のカタログに掲載されている商品の番号と2001年4月に発行された請求書中の番号とが一致しただけで、両者が同じものであるとは言い難い。

5.乙第4号証は商品の写真であるが、該写真からはその商品がボッシュエレクトロニクスのものであることを何ら立証されていない。

また、被請求人は上記写真の撮影年月日を明らかにしていない。

6.乙第5号証はボッシュエレクトロニクス宛ての買掛金計上通知書の写しであるが、該通知書中には単に部品番号又は資材名コードが記載されているにすぎず、本件商標「ASCOTEC/アスコテック」及び商品名「衝突センサー」の記載がない。被請求人は乙第4号証の写真の商品上の番号が、請求書中の番号と一致している旨を主張するが、前記4.で指摘したのと同様の理由により、通知書中の番号が、本件商標が使用されている衝突センサーであることが客観的に立証できたとは言えない。

7.被請求人はボッシュエレクトロニクスが通常使用権者であると主張しているが、本件商標の原簿上同社は通常使用権者として登録されていない。

また、被請求人はボッシュエレクトロニクスに通常使用権を許諾したことを客観的に証するものを何ら提出していない。被請求人は両者がボッシュグルーブの一員である旨を主張するが、該事実をもって通常使用権を許諾したことにはなり得ない。

以上の如く、被請求人はそもそもボッシュエレクトロニクスが通常使用権者である旨を立証していない。

8.以上のとおり、被請求人提出のいずれの証拠方法によっても本件審判請求の予告登録前3年以内に通常使用権者によって本件商標がその指定商品に使用されていることは何ら立証されていない。したがって、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。

第3.被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし第5号証(枝番を含む。)を提出している。

1.本件商標は、本件商標の通常使用権者により、その指定商品について、本件審判請求の登録前3年以内に使用している事実がある。

(1)本件商標の指定商品「エアバッグその他の衝突感知型自動安全装置及びこれらを作動させるためのプログラムを記憶させた電子回路,救命用具,電子応用機械器具及びその部品」は、それぞれ「エアバッグその他の衝突感知型自動安全装置」、「エアバッグその他の衝突感知型自動安全装置を作動させるためのプログラムを記憶させた電子回路」、「救命用具」、「電子応用機械器具及びその部品」として理解すべきである。この点、「エアバッグ」は第12類の「自動車及びその部品並びに附属品」の範疇に属するものである。

(2)そして、ボッシュグループの一員で、本件商標の通常使用権者たるボッシュエレクトロニクスは、乙第1号証として示す製品の写真及び乙第2号証に示す「新開発運転席SRSエアバッグシステム:日産自動車株式会社広報部発行」の説明書の第7頁の「4.1 システム概要」及び同第8頁の「4−2 構成部品の概要4−2.1 センサーユニット」で示される様に、「エアバッグシステム」を構成する部品「センサーユニット」を製造し、この「センサーユニット」に本件商標「ASCOTEC」を付して日産自動車株式会社に販売してきたものである。

このことは、乙第3号証として提出する2001年3月分(2001年4月3日発行)の請求書の請求明細書で、ボッシュエレクトロニクスの名義で、日産自動車株式会社に対し、写真の製品に付された番号「98584 2H400」と同じ部品番号を記載して代金の請求をしていることからも客観的に理解される。

なお、乙第1号証で示すようにラベル部分の左下には本件商標「ASCOTEC」の記載があり、乙第2号証の第8頁の写真のセンサユニットに付けられたラベル部分も乙第1号証に示されるものと同じであって、本件商標「ASCOTEC」が記載されていることが認識できる。

また、乙第2号証の上部に「広報資料 1994.7」とあるのは、保管用に乙第2号証を受け入れた時期が示されたものである。そして、乙第2号証は、乙第3号証と相まって、少なくとも、1994年7月当時から2001年3月にわたって乙第1号証に示す本件商標「ASCOTEC」を付した「センサユニット」を製造し、日産自動車株式会社に販売してきた事実を示すものである。

そして、本件商標がその指定商品を「エアバッグその他の衝突感知型自動安全装置」とし、その部品を明示していないからと言って、直ちに「エアバッグその他の衝突感知型自動安全装置の部品」が指定商品の範囲外となるものでないことは明らかである。

しかるに、以上の乙第1ないし第3号証によれば、通常使用権者であるボッシュエレクトロニクスが、指定商品「エアバッグその他の衝突感知型自動安全装置」の部品である「センサーユニット」について、本件商標「ASCOTEC」を、審判請求登録前3年以内である2001年3月時において使用している事実を立証するものである。

(3)また、ボッシュエレクトロニクスは、乙第4号証の製品の写真に示すように、「エアバッグシステム」を構成する「センサーユニット」の部品「衝突センサー」を製造し、この「衝突センサー」に本件商標「ASCOTEC」を付して有名自動車メーカーに販売してきた。

乙第4号証の写真では、「SIDEIMPACT SENSOR」とあるが、これは、乙第2号証の第7頁のエアバッグシステムの機能構成の図表及び第8頁の「4−2 .構成各部品の概要 4−2−1 センサーユニット」の説明に出てくる「衝突センサー」と機能的に同じものであり、よって、乙第4号証の写真に示す製品は、「エアバッグシステム」の構成部品「衝突センサー」であるといって良いものである。ただ、「SIDE」の文字から判るように、「ハンドルの中央部位に装着されるエアバッグシステム」の構成部品ではなく、例えばドア等に装着される側面衝突用の「エアバッグシステム」の構成部品である。

そして、「衝突センサー」に本件商標「ASCOTEC」を付して有名自動車メーカーに販売してきた事実は、乙第5号証の1ないし7に示す2001年1月分の買掛金計上通知書(2001年1月31日付け発行)ないし2002年5月分の買掛金計上通知書(2002年5月31日付け発行)において、乙第4号証の写真に示された番号「MR472 693」と同一の番号を「品番又は資材品名コード」として記述した製品について、有名自動車メーカーが取引先たるボッシュエレクトロニクスから買い入れていたと示されていることから客観的に知ることができる。

(4)以上のことから、本件商標の通常使用権者たるボッシュエレクトロニクスは、請求に係る指定商品について審判請求登録の日前3年以内に本件商標を使用していることは明らかである。

第4.当審の判断

1.本件商標は、「ASCOTEC」の欧文字と「アスコテック」の片仮名文字よりなるところ、「ASCOTEC」の欧文字部分より生ずる称呼は、その称呼を特定したものと無理なく判断される「アスコテック」の片仮名文字部分より生ずる「アスコテック」のみであるとみるのが相当である。

そうとすれば、本件商標は「ASCOTEC」若しくは「アスコテック」のそれぞれの文字のみで使用したとしても、社会通念上本件商標と同一視し得る商標の使用であるとみられるものである。

2.被請求人提出に係る乙各号証からは以下の事実が認められる。

(1)被請求人が提出した乙第1及び第2号証に記載されている商品「センサーユニット」と乙第4号証に掲載されている商品「衝突センサー」は、いずれも本件商標の指定商品中に含まれるとみるのが相当である。

(2)しかして、乙第1号証に記載されている商品「センサーユニット」には、先に述べた社会通念上本件商標と同一視し得る商標である「ASCOTEC」の文字が示されており、かつ、当該商品には「98584 2H400」の商品番号が表示されている。

そして、乙第3号証は、本件商標の通常使用権者であるボッシュエレクトロニクスから日産自動車株式会社への請求書であり、その請求明細書には上記の商品「センサーユニット」に付された「98584 2H400」と同一の商品番号が付されており、かつ、当該請求明細書の発行年月日(2001年4月3日発行)は本件審判請求の予告登録日(2002年6月19日)前3年以内に該当するものである。

(3)また、乙第4号証に記載されている商品「衝突センサー」には、前記と同様「ASCOTEC」の文字が示されており、かつ、当該商品には「MR472 693」の商品番号が表示されている。

そして、乙第5号証ー1ないし7は、本件商標の通常使用権者である「ボッシュエレクトロニクス」の「買掛金計上通知書」であり、その買掛金計上通知書には上記の商品「衝突センサー」に付された「MR472 693」と同一の商品番号が付されており、かつ、当該買掛金計上通知書の発行年月日(2001年1月31日ないし2002年5月31日発行)は本件審判請求の予告登録日(2002年6月19日)前3年以内に該当するものである。

3.以上の事実によれば、本件商標は、被請求人の通常使用権者により、その指定商品に含まれるものと認められる商品「センサーユニット、衝突ユニット」について本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において使用されていた事実を認め得るものである。

4.(1)請求人は、乙第3及び第5号証の請求明細書又は買掛金計上通知書(以下、「取引書類」という。)について、取引書類には、単に部品番号又は資材番号が記載されているにすぎず、本件商標「ASCOTEC/アスコテック」及び商品名「センサーユニット又は衝突センサー」の記載がない旨主張している。

しかしながら、本件商標を付した商品の商品番号と取引書類に付された商品番号とが一致する限り、当該商品と取引書類の商品とは同一のものとみるのが相当であり、これを否定する根拠も見あたらないところであるから、この点に関する請求人の主張は認め難い。

(2)同様に、請求人は、被請求人と通常使用権者であるボッシュエレクトロニクスとの間には、通常使用権契約を締結したという明確な根拠が見あたらない旨主張しているが、通常使用権は、登録原簿に記載することが、効力発生の要件となるものではなく、当事者間の許諾の合意をもって足りるものであり、被請求人の答弁の全趣旨からすれば、被請求人とボッシュレクトロニクスとの間に該許諾が合意されていないとまではいえないから、この点に関する請求人の主張も認め難い。

(3)さらに、請求人は、乙第4号証には、当該商品「センサーユニット又は衝突センサー」にボッシュエレクトロニクスの名称が表示されていない旨主張しているが、部品メーカーの場合、その製品に自社の名称を表示しない場合も多々あるのが実情であり、当該商品「センサーユニット又は衝突センサー」にボッシュエレクトロニクスの名称が表示されていないとしても、そのことをもって本件商標が使用されていないとはいえないところである。

5.以上のとおりであるから、本件商標は本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、その指定商品について、被請求人の通常使用権者によって使用されていたものといわざるを得ない。

したがって、本件商標についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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