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Trademark Appeal Case

不使用取消審判の証拠評価

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−30074(T2001−30074/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1981698号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1981698号商標(以下「本件商標」という。)は、「ルーク」の片仮名文字と「LUKE」の欧文字を上下二段に書してなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和60年7月18日登録出願、同62年9月21日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出している。

(1)本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用された事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

(2)請求人は、甲第1号証ないし甲第6号証に提示するとおり、本件商標と同一の称呼を生ずる商号において、現実に経済活動をなしており、かつ今後の自社ブランドの発展を期し、甲第3号証に提示するとおり、平成12年11月28日付けで、商標「LUKE」を指定商品「被服」等について、商標登録出願をなしたものである(商願2000−127833)。

(3)被請求人は、答弁書の7.理由の(1)において、請求人による本件審判請求自体に疑義を表している。

しかしながら、現行商標法において不使用による商標登録の取消審判は、何人も請求することが可能であり(商標法第50条第1項)、審判請求時に特段の利害関係を証する必要は存せず、請求人は、商標法に基づく審判制度を粛々と履行したにすぎない。

(4)被請求人は、本件商標をその指定商品について使用していることを証明するため乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)を提出している。しかしながら、これら証拠は、ある商品番号が包装袋に付された1個のVネックトレーナーに関するものに尽きる。

(5)乙第1号証(写真)

(ア)写真撮影日

乙第1号証の写真撮影日は、乙第1号証の2によれば、平成13年3月28日であるから、本件審判請求日後である。被請求人は、包装袋に付された商品番号との関連性において、後述する出荷案内書(乙第3号証)と併せ、審判請求日前の使用を立証する主張であると推測されるが、その写真が本件商標の使用を示す唯一の証拠である本答弁書の場合、本件審判における使用の事実を証明する証拠能力は認められないと解される。なお、その撮影日も、写真自体からは確認できない。

(イ)写真撮影者

乙第1号証の写真撮影者は、義澤則彦氏と記載されているが、本人の押印もなく、如何なる場所においてそのVネックトレーナーを入手・撮影したかも不明であり、かつ、被請求人あるいは後述する出荷案内書(乙第3号証)に出荷先と記された「(株)セシール」との関係も明らかでなく、これらの点からも、客観的には信用性に乏しく、証明力は極めて弱いものと解される。

(ウ)写真の提出量

被請求人は、特定の商品番号を有する「Vネックトレーナ」1着についての1枚の写真のみをもって本件商標の使用事実を立証している。しかしながら、同一タイプの商品であっても、寸法・カラーなどの各種バリエーションが存することは容易に推考されるべきところ、かかる証拠によって、商標法上保護に値する使用が証明されたとは到底評価し得ない。

(エ)被写体と商品特定性

写真に撮影されたVネックトレーナー本体と、後述する出荷案内書(乙第3号証)との同一性・関連性は、トレーナー本体からは何ら認識できるものでなく、そのトレーナーを包装する透明の包装袋に貼付されていると推定されるシール状の商品番号識別紙にすぎない。このように、商標の使用商品自体とその販売・流通過程における商品との特定が明確に証明されていない証拠は、客観的に信用性に欠くものと思料する。

(オ)被写体と商標

写真に撮影されたVネックトレーナーにおける本件商標を付した態様も、トレーナーなどの商品の場合、商標本来の自他商品識別機能を発揮した状態での使用を期する場合は、着用時に胸元などに付する方法が一般に考えられ、着用状態において完全に視認できなくなるタグに付する方法は、不自然な印象を受けるのみならず、当該タグには本件商標のみが確認できるが、襟元のタグにはサイズ、素材などの情報を標記するものが一般的と考えられる。

また、写真に写されたVネックトレーナーは、量販品として比較的廉価にて販売されるタイプと推測される。一方、請求人をして前記したように一般的方法では完全に使用事実を発見できず、かつ、答弁書における被請求人の提出する僅かな証拠に徴すれば、本件商標は、現在わが国市場における認知度は、商標権者との関係において皆無であることは明白である。したがって、量販品に商標が付されること自体稀であるにも拘わらず、認知度のない本件商標のみを付した商品をもって市場に陳列する販売方法が採用されるとは全く考えられない。

なお、株式会社セシールの取扱商品カタログ(2001 SPRING&SUMMER)においては、本件商標を付した同種商品は発見されなかった(甲第8号証)。

(6)乙第3号証(出荷案内書)

(ア)出荷案内書の形式

被請求人は、使用証拠として、「ユニチカ株式会社」の名称のみが印刷された出荷案内書(乙第3号証)を提出している。しかしながら、その出荷案内書には、商標権者をはじめとして何れの者の印影も認められず、殊に出荷元の欄の印の箇所にもその押印が認められない。

また、出荷案内書には、本件商標を表示する記載は一切なく、商標法上の使用を客観的に証する証拠としては承認できない。

(イ)商標の使用主体

出荷案内書には、右上部に「ユニチカ株式会社」の文字が印刷されているが、商標の使用主体、すなわち商標を付した商品の生産・譲渡などの行為が、いかなる当事者間でなされているのか判然としない。

被請求人は答弁書において、被請求人すなわち商標権者の使用が立証される旨主張するが、出荷案内書からは、商標権者とは別会社の「ユニチカガーメンテック(株)大東物流加工C」の表示が出荷元の欄に、「(株)セシール」の表示が出荷先の欄に、被請求人と如何なる関係にあるかは無証明な「製品営業部アパレルG香港」の表示が在庫部課の欄に、それぞれ記載されていることが確認できるに止まるものである。

(ウ)使用事実の証明

被請求人は、本件商標の使用事実を証明する資料として、出荷案内書(乙第3号証)1通を提出するが、例えば、注文書、納品書、売上伝票、請求書、領収書などの商品に関する極めて一般的な資料さえも提出されていない。特に、商品移動に伴う金銭に関する情報が全く確認されていないことは著しく客観性を欠くものと解される。

また、出荷先とされている株式会社セシール・資本金116億円(甲第9号証)から、販売事実の証拠資料として、注文書、納品書、請求書、領収書、売掛台帳、銀行振込台帳、一般購入者証明書等、一連の取引が合理的疑いのない程度に立証されていない。

してみれば、上記の他の客観的資料を提示できないとすれば、商標使用の事実を証明したものとはいえないと評価せざるを得ない。

(7)商標法上保護されるべき商標の使用について

商標法は、自他商品識別標識たる商標を保護し、商標使用者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする(商標法第1条)。

したがって、商標法において保護されるべき商標の使用は、単に形式的な使用ではなく、自他商品識別機能を発揮した状態での実質的な使用でなければならない。

被請求人が提出した証拠は、客観的な信用性を欠くものであって、本件商標の使用事実を証明する証拠足り得ないものであるが、百歩譲って、商品番号JV−48のオフホワイトLLサイズのVネックトレーナーを、出荷元として記載されている「ユニチカガーメンテック(株)大東物流加工C」が、出荷先として記載されている「(株)セシール」に出荷したという事実が証明されていると仮定しても、かかる事実が、商標法上保護に値する商標の使用に該当するであろうか。

なるほど上記商品Vネックトレーナー1着の移動は、形式的には「商品に標章を付したものを譲渡」した行為に該当するとも考え得るが、商標法上保護に値する実質的使用がなされたとは到底評価できないものである。

上述のような被請求人の使用証明が認められるならば、商品トレーナー1品が、商標権者の子会社から得意先に移動した事実を、3年間のうち、一度でも証すれば、商標権は永続的に存続することになり、その結果は、真にその商標の使用を欲する第三者に著しい不利益を強いることとなる。

さらには、かかる名目的な使用により商標権が存続すれば、商標権者自身、当該商標に対する市場における管理が希薄となり、形式的な侵害に該当するような他人の使用を放任することとなり、ひいては需要者に不利益を及ぼしかねない事態となる。

3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)不使用による商標登録の取消審判は、法制度上何ら利害関係のない何人も請求することが可能となってはいるが、本件商標は使用しているからこそ存続期間の更新登録を行い、大切に維持管理している無体財産権であり、それに対し、何の前触れもなく突然その登録について取消審判を請求されるのは極めて迷惑である。

(2)本件商標は、被請求人自ら本件審判の請求に係る商品について、審判請求の日前3年以内に日本国内において使用している。

乙第1号証は、指定商品「被服」に包含される商品「Vネックトレーナー」について撮影された写真である。乙第1号証の1は、商品の全体を正面から撮影した写真であり、乙第1号証の2は、その左上部を中心として撮影された写真である。

包装袋左上部には「JV−48」「063 04」「Vネックトレーナー」「オフホワイト」「LL」「0366」の文字とバーコードが表示されている。また、袋の中の商品に縫着された織りネームには、ややデザイン化された書体で「Luke」(丸囲みしたRの文字が付されている。)と表示されている。

(3)乙第2号証は、英和辞典で「Luke」の単語が掲載されているページである。発音記号は〔lu:k〕で「ルーク」の発音が生じ、「ルカ(キリストの弟子)、ルカによる福音書、男子の名」を意味する。

したがって、本件商標の構成「ルーク/LUKE」において片仮名文字は、欧文字の唯一の発音を仮名書きしたものであるため、乙第1号証にて使用されている態様は、本件商標と社会通念上同一であると認められる。

なお、これらの写真は、本件商標の使用実態を明示するために本件審判事件の副本送達の日以後に撮影したものであり、商品の使用時期を証明するものではない。

(4)乙第3号証は、被請求人であるユニチカ株式会社が発行した出荷案内書の写しである。この出荷案内書の右上部「00/07/21」の記載より2000年7月21日に発行されたものであり、左中央部の日付より2000年7月19日に被請求人の得意先の一つである、香川県大川郡志度鴨庄大人4259−1に所在する株式会社セシールに、ユニチ力品番「JV−48」の商品「Vネックトレーナー」が出荷されたことを示している。また、これは下段の表示より色番「オフホワイト」サイズ「LL」の商品であり、これらは乙第1号証の2において商品の包装袋に付された表示と一致するものである。したがって、出荷された商品が乙第1号証で示した商品であることは明白である。

ここに出荷元として記載されている「ユニチカガーメンテック(株)大東物流加工C(センターの略)」は、被請求人の子会社で、製品の技術指導・検品・保管ならびに被請求人の指示に基づく各得意先への配送を担当している。また、製品は被請求人の「製品営業部アパレルG(グループの略)香港」が製造を担当していることを示している。

(5)先の答弁書に添付した乙第3号証について、請求人に誤解があるので補足説明をする。

乙第3号証の出荷案内書中の表において、「本数・反数」欄に重ねて「個」を印字し、その下欄に「1」とあることより、「1個」での出荷を表すことは明白である。また、数量欄には「20.0」、単位欄には「N」とある。この「N」は、被請求人が取り扱う繊維製品のうち「衣料品」に対して「着」の意味の単位として使用しており、これは「number」の頭文字であり、これに「商品、(特に)衣料品」との意味があることは、辞書にも明記されている。

したがって、乙第3号証は、オフホワイト・LLサイズのVネックトレーナー20着を梱包したもの「1個」が出荷されたことを示すもので、1着の出荷を示すものではない。

なお、トレーナー等の衣料品を数える場合に「個」を用いることはないし、梱包や配送費用と商品代金との関係から、小売前の衣料品の取引において1着のみを配送することも通常ではあり得ない。仮に、返品・交換等の事情で1着のみの配送があったとしても、使用証拠としてそのような伝票を提出することも通常では考えられない。

(6)次に、請求人が提出した甲各号証について検討するに、甲第1号証は、請求人である株式会社ルークの履歴事項全部証明書である。甲第2号証ないし甲第6号証は、請求人が経営する店舗で展開している商品が紹介された記事である。これにより、請求人の店舗では主に海外のアウトドアブランドの衣料品等を取り扱っていることが示されている。

甲第7号証は、請求人による商標「LUKE」に係る商願2000−127833号の出願書類の写しである。

これら甲第1号証ないし甲第7号証により、本件審判事件を請求する利害関係人であり、請求の正当性を証明する意図のようであるが、本件商標は、その公告公報から明らかなように、称呼を同一とする別件の商標登録第715517号が、請求人の会社設立の30年前である昭和41年8月8日に設定登録されて以来、被請求人において継続して使用しているものである。衣料品は1ブランドでも、サイズ・デザイン・色・素材等が異なる多種類の製品を生産することを要し、審判請求されると、写真撮影に用いる商品を配送センターから取り寄せ、さらに、この商品に合致する伝票を、過去に取引した大量の伝票の中から探し出さねばならず、証拠収集及び答弁書の提出に多大なる時間・労力・費用を要し、極めて迷惑である。

甲第8号証は、株式会社セシールが2000年12月1日に発行した2001年春夏用の商品カタログの一部である。これに対して、乙第3号証の出荷案内書の日付は2000年7月21日であるため、時期を異にするものである。

さらに、この株式会社セシールの商品カタログは、平成12年4月26日に登録出願し、翌年9月17日に拒絶査定となった「衝撃の良品安価」なる商標(商願2000−55821号)を、カタログ表紙に大きく表示している。一部は欠けているが、提出されている全ページに「衝撃の良品安価」の文字を用いたマークが付されており、当該ページに掲載されている商品の商標として使用しているため、先の答弁書で使用証拠として提出した商品とはアイテムを異にするものであり、このカタログに掲載されていないからといって使用していないとの根拠にはなり得ないものである。

甲第9号証は、株式会社セシールの履歴事項全部証明書である。

請求人が提出した甲各号証からは、被請求人の先の答弁を覆し得る新たな事実も、本件商標の不使用を証明する新たな事実も、一切見出すことはできない。

(7)なお、甲第5号証によると、請求人店舗では「本物志向」のコンセプトの下にそのジャンル、スタイルの第一線にあるブランドの商品を展開するため、「アンチオリジナル」として、請求人の代表者自らがオリジナルブランドの必要性を感じないと述べている。請求人が全国誌の誌上で使用意思のないことを明言している以上、本件審判事件は全く無意味なものであると断言せざるを得ない。 ・

(8)上記するように、本件商標が、その取消請求に係る商品中の「被服」に包含される「Vネックトレーナー」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人により使用されていたことは乙第1号証ないし乙第3号証により明らかである。

4 当審の判断

被請求人の提出した乙第1号証の1及び2の写真には、本件商標と社会通念上同一と認められる「Luke」の文字よりなる商標が、取消請求に係る商品に含まれていると認められる商品(Vネックトレーナー)の襟元のタグに表示されていることが認められる。

そして、同写真に表示された包装袋の左上部に貼付されたシール中に記されてなる「JV−48」「Vネックトレーナー」「オフホワイト」「LL」の記号等は、被請求人が発行した(2000年(平成12年)7月21日付)、乙第3号証の「出荷案内書」における商品を指示する記号等と符合するものであることが認められる。

そうとすると、上記「出荷案内書」において取引の対象とされた商品は、被請求人の取扱いに係る乙第1号証の1及び2の写真に表示された商品(Vネックトレーナー)であるといい得るものである。

しかしながら、被請求人が本件において、その商取引の事実関係を証するものとして提出した書証は、上記「出荷案内書」であるところ、これよりは、被請求人も述べるとおり、「株式会社セシールに、ユニチカ品番『JV−48』の商品『Vネックトレーナー』が出荷されたことを示している。」ものであるとしても、当該商品を出荷先である株式会社セシールが授受したこと等、すなわち、被請求人と株式会社セシールとの間で行われた、本件に関わる商取引の一連の事実関係を確認することができないものであり、係る「出荷案内書」は、そのことを十分証明し得ていないものである。

しかして、被請求人よりは、これを客観的に証明し得る証拠、例えば、納品書、売上伝票、あるいは納品先である株式会社セシール発行による受領書等の取引書類の提出はないものであるから、被請求人本人の発行による、この「出荷案内書」1通のみによっては、本件に関わる商取引の実際を証明するには足りないものといわざるを得ない。

したがって、被請求人が提出した乙各号証によっては、同人が、本件商標をその指定商品中の「Vネックトレーナー」について使用していたとする事実を証明する証拠とはなり得ないものである。

他に、本件商標が請求に係る指定商品について使用されたと認め得る証拠の提出は見出せない。

そうとすれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人によりその指定商品について使用されていたと認めることはできないから、本件商標は、商標法第50条の規定によりその登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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