Trademark Appeal Case
称呼の音質差異
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90045(T2003−90045/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4615497号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ATMET」の文字を標準文字で横書きしてなり、平成13年12月6日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同14年10月25日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりである。
(1)引用に係る登録第2719340号商標(以下、「引用A商標」という。)は、「ATMEL」の文字を横書きしてなり、1988年7月21日アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、昭和63年8月12日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年1月31日に設定登録されたものである。
(2)同じく、登録第4068765号商標は、「ATMEL」の文字と「アトメル」の文字とを二段に横書きしてなり、平成3年4月11日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年10月17日に設定登録されたものである。
(3)同じく、登録第4152212号商標(以下、これらを一括して「引用各商標」という。)は、後掲のとおりの構成よりなり、1995年12月18日アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成8年5月21日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年6月5日に設定登録されたものである。
3 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標から生ずる「アトメット」の称呼と引用各商標から生ずる「アトメル」の称呼とは、共に4音と構成音数が同一であり、相違するのは語尾部分のみであり、その「ット」と「ル」も共に歯茎音であるから聴別しにくく、しかも、語尾に位置することから類否判断に与える影響は小さいものである。また、本件商標と引用A商標とは、語尾の「T」と「L」の相違のみしかなく、外観上も彼此混同を生じるおそれが高い。そして、互いの指定商品も同一又は類似である。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号の該当性について
半導体集積回路等の製造には多額の研究開発費と多額の製造設備に対する投資が必要なため、必然的に商品を提供するベンダーは、米インテル社、米モトローラ社、日立等の大手に限られることとなる。そのため、半導体集積回路の需要者・取引者にとっては、半導体集積回路等のベンダーはどれも広く知られているという特殊事情がある。
そして、「ATMEL」商標は、世界49カ国において登録されており、申立人の製造するAVRマイコンチップは、安価で高速であるという点において取引者・需要者の間において重宝されている。また、2000年度において、引用各商標を付した商品の日本における販売額は約174億円、引用各商標に関する日本における広告費用は約836万円となっている。
よって、申立人の製造にかかる「ATMEL」商標を付した「半導体集積回路」は取引者・需要者に広く知られていたものであるから、本件商標をその指定商品に使用するときは、申立人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがある。
(4)したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用各商標とは、前記及び後掲のとおりの構成よりなるところ、その構成文字に相応して、本件商標からは「アトメット」、引用各商標からは「アトメル」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、この両称呼を比較するに、両称呼は、後半部分の音において、「メット」と「メル」の音の差を有するものであるところ、「ト」と「ル」の音は、子音の調音部位からみれば共に歯茎音ではあるが、調音の方法(呼気のはき方)からみれば、破裂音と弾音の差異を有し、かつ、帯同する母音も異なるものであるから、音質を明らかに異にするものということができ、しかも、本件商標は、「メ」の音が促音を伴う関係上、「メ」の音にアクセントを置いて発音されるのに対して、引用商標は、全体を通して平坦に発音されるものであるから、両称呼は、全体の語調、語感を異にするものである。
そうとすれば、これらの音の差異が比較的短い両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両称呼は、それぞれ一連に称呼した場合であっても、相紛れるおそれがないものというを相当とする。
また、本件商標と引用各商標の外観を比較してみても、両商標は、比較的短い文字構成中において語尾とはいえ、明らかに字形の異なる「T」と「L」の文字の差異を有するものであるから、通常の注意力をもってすれば、その外観を見誤ることはないものというべきである。
さらに、本件商標と引用各商標とは、いずれも特定の意味合いを有しないから、観念において、比較すべきところがない。
したがって、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、紛れるおそれのない、非類似の商標である。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
本件商標と引用各商標とは、上記のとおり、十分に区別し得る別異の商標であるばかりでなく、甲各号証のみをもってしては、本件商標の登録出願時において、引用各商標が取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めるに十分なものとはいえない。
加えて、引用各商標が使用される商品が「半導体集積回路」等の商品であるならば、その需要者の多くはメーカー等の専門家であり、商品の取引にあたっては、商標のみをよりどころとするのではなく、商品の機能、用途、価格、製造者等を総合的かつ慎重に吟味して取引されることが想定されるところであるから、そのような商品取引の実情をも併せ勘案すれば、商標権者が、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用各商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に、何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
(3)むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。