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結論

敗訴(請求棄却)

商標「IFF」の著名商標と混同のおそれ(第4条第1項第10号|審判異議2002−90827(T2002−90827/J7))

審判番号
異議2002−90827(T2002−90827/J7)
審判種別
異議

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標「IFF」
争点(論点)
著名商標と混同のおそれ
適用条文
第4条第1項第10号
指定商品・役務の区分
第41類・第42類
最終結論
登録維持(敗訴(請求棄却))

この審決(審判異議2002−90827(T2002−90827/J7)・異議)は、本件商標「IFF」について、商標法第4条第1項第10号への該当性が争われた事例です。主な争点は「著名商標と混同のおそれ」です。指定商品・役務は第41類・第42類に属します。特許庁は「登録第4599139号商標の商標登録を維持する」と判断しました(登録維持)。他人の周知・著名な商標と出所混同を生じるおそれがないか、出願前に使用状況まで含めて確認することが重要です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

登録第4599139号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4599139号商標(以下「本件商標」という。)は、「IFF」の欧文字を標準文字として、平成13年7月26日登録出願、第41類「食品に関する研究発表会の企画・運営又は開催」及び第42類「食品の試験・検査又は研究」を指定役務として、平成14年8月23日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)登録異議申立人の一方であるインターナショナル フレーバーズ アンド フレーグランシィズ インコーポレーテッド(以下「申立人A」という。)は、世界の42カ国で食品用香料及び化粧品用香料を研究開発・製造する世界企業であって、世界の香料生産業界中、少なくとも1998年ないし2001年の4年間を通して世界最大の市場占有率と売上高を誇っている。

他方の登録異議申立人であるアイ・エフ・エフ日本株式会社(以下「申立人B」という。申立人Aと合わせていうときは、以下「申立人ら」という。)は、申立人Aの日本支社として1965年に東京に設立された法人で、食品香料及び化粧品香料の双方を独自に国内で研究開発すると共に工場生産し、主に国内で販売する会社である。

商標「IFF」は、申立人らのハウスマークであり、かつ、略称であって、本件商標の登録出願前から取引者、特に食品メーカーの間で著名となっていた。

本件商標は、その指定役務を第41類「食品に関する研究発表会の企画・運営又は開催」及び第42類「食品の試験・検査又は研究」とするものであるところ、該役務は、申立人らが日常遂行している業務と同一であり、その需要者も、食品メーカーであるという点で一致している。

商標権者が本件商標をその指定役務について使用した場合は、その需要者は、申立人らの業務に係る役務若しくは申立人らと何らかの関係を有する者の業務に係る役務の出所について混同することは明白である。

また、本件商標は、不正の目的をもって使用するものである。

(2)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)甲各号証(以下、枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)によれば、

ア.申立人Aが発行する年報(Annual Report)には、申立人の商号である「International Flavors & Fragrances Inc.」の文字とともに「IFF」の文字が表示されていること(甲第1号証)、申立人Aは、世界の多くの国に営業所、工場、研究所を有しており(甲第1号証及び甲第2号証)、1998年(平成10年)から2000年(平成12年)における同人の製造する香料等の市場占有率は、世界の上位を占めていたこと(甲第3号証)、申立人Aは、世界数十カ国に「IFF」若しくは「IFF」の文字を含む登録商標を所有していること(甲第4号証及び甲第5号証)などが認められる。

イ.申立人Bは、香料、着色料、香辛料等の製造、販売などを事業目的として、昭和40年9月22日に設立された日本国の法人であり(甲第6号証)、我が国において「IFF」若しくは「IFF」の文字を含む登録商標を所有していること(甲第7号証)、申立人Bの発行した2003年(平成15年)2月12日付け納品書、2003年1月23日付け注文書及び2003年2月14日付け注文書並びに同人の製造に係る製品の包装用容器には、「IFF」の文字が表示されていること(甲第8号証及び甲第9号証;なお、甲第9号証の1の「ダークチョコレートフレーバー」には「製造年月日/2002年11月27日」の記載があり、甲第9号証の2の「薄口醤油」には「品質保持期限/2003年6月16日」の記載があり、また、甲第9号証の3の「ダークチョコレートフレーバー」には「品質保持期限/2003年11月26日」の記載がある。)、申立人Bは、雑誌「食品と化学 1999年8月号」及び「香料 1994年6月号」に「IFF」の文字を使用し広告宣伝し(甲第10号証の1及び2)、また、新聞に「IFF」の文字を使用し広告宣伝したこと(甲第10号証の3及び4、なお、これらの新聞の名称及び発行年月日は不明)、さらに、2002年4月22日付け「THE JAPANTIMES」には、求人広告として「IFF Inc.」、「IFF Japan」等の文字を使用したこと(甲第10号証の5)などが認められる。

(2)前記(1)で認定した事実よりすれば、申立人Aは、本件商標の登録出願前より、年報(Annual Report)に、同人の商号である「International Flavors & Fragrances Inc.」の略称の「IFF」の文字を表示したことが認められるとしても、該年報は、申立人Aの1年間の事業報告書というべきもので、我が国の香料等の需要者の目に直接触れるものではない。また、世界の多くの国で、「IFF」若しくは「IFF」の文字を含む登録商標や営業所等を所有していることが、必ずしも「IFF」の著名性に直接結びつくものとも認められない。

また、申立人Bは、申立人Aの日本支社として、我が国で香料等の製造、販売などを行う企業であって、その製造に係る製品及び取引書類に「IFF」の文字を表示し、かつ、香料等を取り扱う申立人Aの日本企業であることなどを「IFF」の表示とともに宣伝広告していることが認められるが、申立人Bの製造に係る「IFF」の文字が表示された製品は、いずれもその製造年月日が本件商標の登録出願日以降のものといえる(品質保持期限の記載のみであっても、その期限は、一般的には6ヶ月か、長くて1年であるといえる。)し、取引書類も本件商標の登録出願日以降のものである。のみならず、申立人Bが、本件商標の登録出願前に「IFF」の表示をもってした宣伝広告は、業界誌に2回掲載されただけである。

加えて、「IFF」は、欧文字3文字を羅列したにすぎず、組織等の名称の略称として一般に採択されやすい語であって、格別独創性がある語とは認め難いものである。

そうすると、申立人Aの製造に係る香料等の市場占有率が世界の上位を占めていた時期があったものの、甲各号証及び「IFF」の語の普遍性を総合勘案すると、「IFF」の表示は、我が国において、本件商標の登録出願前より、申立人らのハウスマークとして、あるいは申立人らの略称を表すものとして、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。

したがって、本件商標は、これをその指定役務に使用しても、該役務が申立人又は申立人と経済的、組織的に関係のある者の業務に係るものであるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというのが相当である。また、本件商標は、不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる証拠は見出せない。

(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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