結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2002−30254(T2002−30254/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4114953号商標(以下「本件商標」という。)は、「CLARITY」の欧文字を横書きしてなり、平成8年9月6日に登録出願され、第10類「歯科用矯正機械器具その他の歯科用機械器具」を指定商品として、平成10年2月13日に設定登録されたものである。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の要旨を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証を提出している。
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)被請求人が提出している書類からは、(ア)本件審判の請求の登録前3年以内に、(イ)日本国内において、(ウ)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、(エ)その請求に係る指定商品についての、(オ)登録商標(当該商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていること、の5つの条件を満たす証明は一切なされていない。以下その論拠を示す。
(2)登録商標(当該商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用について
被請求人は、本件商標「CLARITY」(及び、本件商標と社会通念上同一である旨被請求人が主張する商標「Clarity」)の使用の証拠として乙第1号証ないし乙第6号証を提出しているが、それら乙号証に係る商品について使用されている商標はあくまで「クリアティ」であり、「CLARITY」又は「Clarity」とは考えられない。
確かに、乙第1号証ないし乙第4号証には、欧文字「CLARITY」又は欧文字「Clarity」の文字が散見される。しかしながら、それらの欧文字は本文とは直接関係のない(又は、本文で直接言及されていない)箇所に使用されており、あくまでもそれら乙号証の本文においては、当該商品は「クリアティ」の商標名でもって紹介されている。そこで、「CLARITY」又は「Clarity」の欧文字は「クラリティ」又は「クラリティー」と称呼されることから(甲第2号証ないし甲第18号証)、前記乙号証に接する者は、それら乙号証における「CLARITY」又は「Clarity」の欧文字が、それら乙号証の本文において「クリアティ」の商標名で紹介されている商品の欧文字表記であると認識するとは到底考えられない。なお、「クリアティ」のカタカナ文字に該当する欧文字表記は「CLEATY」であると考えられる(甲第19号証及び甲第20号証)。乙第1号証の本文には、「クリアティ」の商標名で当該商品が紹介されているが、「CLARITY」の欧文字は、本文とは関係のない箇所に写真の横に、又は、本文で直接言及されていない図表中に表示されているにすぎない。
乙第2号証ないし乙第4号証の本文にも、「クリアティ」の商標名で当該商品が紹介されているが、「Clarity」の欧文字は、本文とは関係のない箇所に単独で、又は、本文で直接言及されていない図表中に表示されているにすぎない。なお、乙第2号証ないし乙第4号証においては、被請求人が本件商標と社会通念上同一である旨主張する「Clarity」の欧文字は見受けられるが、本件商標「CLARITY」の表示は全く見うけられないことを念のため指摘しておく。
また、乙第5号証に係る日付は、2002年4月15日であり、そもそも本件審判の請求の登録後のものであり、その本文の記述に徴しても、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品について、登録商標(当該商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していることの証明は一切なされていないものである。なお、乙第7号証において紹介されている商品に係る商標名は「クリアティ」であり、本件商標「CLARITY」ではないことを申し添える。
乙第6号証に関しては、当該商品は、「クリアティ」の商標名で表示されており、このことはとりもなおさず乙第6号証に係る商品の商標名は、本件商標「CLARITY」ではなく「クリアティ」であることの証左に他ならない。
なお、参考までに、被請求人は、本件商標とは別に「クリアティ」(登録第4363770号)の商標を所有しているものであることを申し添える(甲第21号証)。
(3)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによる使用について
被請求人の提出する乙第1号証ないし乙第7号証は、乙第5号証を除き、いずれもスリーエムユニテック株式会社に係るものである。
被請求人は、スリーエムユニテック株式会社は、本件商標の商標権者である被請求人が100%資本を有する、被請求人の孫会社であり、被請求人から本件商標の使用について黙示の使用許諾を受けている旨主張する。
しかしながら、スリーエムユニテック株式会社が、本件商標の商標権者である被請求人が100%資本を有する、被請求人の孫会社であることは、被請求人の提出する証拠方法からは必ずしも明らかではなく、また、仮にそのような事実が存するとしても、使用許諾契約が締結されていないにもかかわらず、被請求人の主張する黙示の使用許諾なるものでもって、スリーエムユニテック株式会社に本件商標の通常使用権が付与されているというのであれば、通常使用権者の範囲が不当に拡大されるものである。よって、スリーエム ユニテック株式会社に本件商標の通常使用権者であるとは認められない。
なお、乙第5号証によって、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品について、登録商標(当該商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していることの証明は一切なされていないものであることは上述のとおりである。
(4)以上により、被請求人が証拠として提出している書類からは、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることが何ら証明されていないことは明らかである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由の要旨以下のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出している。
本件商標「CLARITY」並びに商標法第50条において本件商標と同一の商標とされる「Clarity」が「スリーエム ユニテック株式会社」によって使用されている。
(ア)スリーエムユニテック株式会社の「CLARITY」「Clarity」の表示がある矯正歯科器材総合カタログ抜粋(乙第1号証)
(イ)スリーエムユニテック株式会社の「Clarity」の表示がある「セラミックブラケット」のパンフレット(乙第2号証)
(ウ)スリーエムユニテック株式会社の「Clarity」の表示がある「セラミックブラケット」の使用説明書(乙第3号証)
(エ)スリーエムユニテック株式会社のホームページの抜粋(乙第4号証)
(オ)自由が丘矯正歯科クリニックのホームページの抜粋(乙第5号)
(力)スリーエムユニテック株式会社発行の納品書(乙第6号証)
(ア)及び(イ)は明らかに商標法第2条第3項第7号の「商品に関する広告」にあたる。さらに、(ア)総合カタログは同号の取引書類にあたるので、「取引書類に標章を付して頒布する」ことも行われていたことを立証している。(ウ)の使用説明書も「歯科矯正用のセラミックブラケット」の販売のために頒布されるものであるから同じく「広告」にあたると解される。
(エ)のホームページも、近年インターネットの普及により商品の広告宣伝を自社のホームページを通じて行うようになった状況下においては、「広告」にあたると解される。
(オ)の歯科クリニックのホームページ上に「当院で使用しているclarity(3M)」の記述から、スリーエム ユニテック株式会社が当該歯科クリニックに本件商標が使用された「歯科矯正用のブラケット」が販売されていることが明らかになった。また、上記の(ア)ないし(ウ)の証拠方法から本件商標は日本語では「クリアティ」と表記されており、納品書におけるカタログ番号と総合カタログ同1−8頁とを対照するとその中の商品名「クリアティブラケット」が本件商標が使用されている商品と確認できる。したがって、該納品書からも本件商標が使用された商品が販売されていたことが明らかになった。
以上述べたことから明らかなように、本件商標に関して商標法第2条第3項第1号、同第2号及び同第7号の行為がされていた。
本件商標は、上記証拠方法から明らかなように、「歯科矯正用のブラケット」に使用されている。この商品は明らかに本件審判において取消請求に係る「歯科用矯正機械器具その他の歯科用機械器具」に属するものであると解される。
本件商標の使用者である「スリーエムユニテック株式会社」は商標権者である被請求人の100%出資の孫会社であって、この資本関係及び販売している商品に鑑みれば、被請求人から黙示の使用許諾を受けている。
(ア)スリーエムユニテック株式会社のホームページの抜粋(乙第4号証)の中には「当社は米国3M社100%出資の矯正歯科器材総合メーカーです。」「これらのグローバルビジョンを掲げた3M社の一員として日本における矯正歯科器材の販売を行っている会社です。」「系列 米国ニューヨーク株式市場に上場してしいる3M社の孫会社であり矯正歯科業界おいてリーディングカンパニーの一つである3Mユニテック社の子会社です。」の記述がある。
(イ)スリーエムユニテック株式会社の創立35周年記念誌(乙第7号証)の中には「1987年3月27日、米国Bristol Myers CompanyがUnitek Corporationの全株をMinnesota Mining and Manufacturing Company(3M Company)に売却したことにより、3M Company100%子会社になった。」の記述がある。
このように、本件商標の商標権者が100%の資本を有するスリーエム ユニテック株式会が本件商標を使用している。
以上述べたことからして、わが国における本件商標の使用者であるスリーエムユニテック株式会社は被請求人から当該商標の使用について黙示の使用許諾を受けていることは明らかであるといえる。取引の経験則上100%の資本を有する子会社又は孫会社に自己の登録商標が使用された商品を販売させるにあたって敢えて使用許諾契約を締結することはしない。けだし、その登録商標が使用された商品を販売させるためにそのような子会社又は孫会社が存在するからである。
本件商標は本件審判請求の予告登録日前3年以内に使用されていた。
(ア)スリーエムユニテック株式会社の「CLARITY」「Clarity」の表示がある矯正歯科器材総合カタログ抜粋(乙第1号証)には、「1999年10月」の文字が印刷されており、取引の経験則からこの文字が当該カタログの印刷時期を表しているといえる。したがって、当該カタログによる広告並びに該カタログの頒布は本件審判請求の予告登録日前3年以内にされていたことは明らかである。
(イ)スリーエムユニテック株式会社のホームページの抜粋(乙第4号証)及び(ウ)自由が丘矯正歯科クリニックのホームページの抜粋(乙第5号証)はいずれも本年4月15日に打ち出されたものであり、一方、本件商標が使用された「歯科矯正用のブラケット」は1997年2月から販売されている(乙第7号証 スリーエムユニテック株式会社の創立35周年記念誌)。このことから、本件商標が使用された「歯科矯正用のブラケット」は1997年2月から現在に至るまで宣伝広告及び販売されていたことが判る。
(エ)スリーエムユニテック株式会社発行の納品書(乙第6号証)は2001年12月12日に発行されたものであるから、本件商標が使用された「歯科矯正用のブラケット」が予告登録日前3年以内に販売されていることは明らかである。
以上述べたことから明らかなように、本件商標が通常使用権者によって本件審判の予告登録日前3年以内に本件審判請求に係る指定商品について使用されていたことが立証された。
被請求人は、本件商標を通常使用権者が使用していると主張しているので、その点について検討する。
通常使用権は、商標権者が他人にその商標権について登録商標の使用許諾をすることにより発生するものであり、その使用許諾は、商標権者と使用権者の意思表示の合意によって成立し、契約自由の原則により何らの方式も必要とせず、口頭による使用許諾によっても成立するものと解される。
これを、本件についてみるに、被請求人提出のスリーエムユニテック株式会社作成のホームページを印刷した乙第4号証及び同社「設立35周年記念誌」(2001年12月1日発行)である同第7号証によると、スリーエムユニテック株式会社は、被請求人であるスリーエム カンパニーの100%出資の孫会社(米国3Mユニテック社の子会社)であって、被請求人の一員として日本における矯正歯科器材の販売を担当している会社であることが認められる。
してみると、スリーエムユニテック株式会社は、被請求人の矯正歯科器材を日本で販売することを担当している者であって、その販売に係る商品に使用する商標として本件商標の使用許諾がされていることを容易に推認できるものである。
(1)被請求人の提出に係る乙第1号証の矯正歯科器材総合カタログ(1999年10月 スリーエムユニテック株式会社発行)の乙第1号証2葉目には、「クリアティ メタル スロット セラミック ブラケット」を見出しとして、本件商標とほぼ同一の表示、及び他商品との比較するグラフの一つに「クリアティセラミックブラケット」に対応するものとして「Clarity」(「y」の文字の右上に「TM」の文字が小さく表示されている。)と表示されているものが認められ、4及び5葉目には「クリアティRoth1.ケースキット」の欄に商品リストとそのケースキット見本写真と思われる写真の表に本件商標とほぼ同一の表示がされていることが認められる。また、「クリアティ」「セラミック ブランケット」と二段にタイトルを表示したパンフレット(「スリーエムユニテック株式会社」作成。作成日不明。乙第2号証)の1葉目右上に「Clarity」(「y」の文字の右上に「TM」の文字が小さく表示されている。)の表示がされている。
(2)同乙第3号証の使用説明書(「スリーエムユニテック株式会社」作成。作成日不明)では、「クリアティ」「セラミック ブラケット」「(メタル レインフォースト)」と三段にタイトルを表示、その左上に太字で「3M」と、右上に「Clarity」(「y」の文字の右上に「TM」の文字が小さく表示されている。)と表示がされている。
(3)同乙第5号証のホームページ(自由が丘矯正歯科クリニックのお知らせメールvol.3 2000/10/7発行 発行元:自由が丘矯正歯科クリニックhttp://www.402415.COM)の3/4ページには、「当医院で使用しているclarity(3M)、」と記載されていることが認められる。なお、同号証の印刷は、「02/4/15」と記載されているところから本件審判請求の登録以後の日付けと解されるが、その記事は記載内容から「2000/10/7発行」と認められるので、本件審判請求の登録以前の事実を記載したものと推測されるものである。
(4)してみれば、本件商標とほぼ同一の商標及び本件と同じ欧文字よりなるが小文字で表された表示が使用され、いずれも本件商標と社会通念上同一と認められる商標が「歯科矯正用のブラケット」(以下「使用商品」という。)に1999年(平成11年)10月ころ使用されていたものと認められる。そして、その使用商品は、本件商標の指定商品「歯科用矯正機械器具その他の歯科機械器具」の範疇に属するものである。
なお、請求人は、被請求人提出の乙号証における商品の商標は「クリアティ」であり、本件商標の使用を立証するものではない旨主張するが、被請求人提出の乙号証及び被請求人の主張を総合してみると、本件商標の使用については前記認定のとおりであり、使用商品については、片仮名文字による場合は「クリアティ」と表示した商標を、欧文字による場合は「CLARITY」又は「Clarity」と表示した商標を使用しているものとみられ、使用商品には「クリアティ」の文字のみが商標として使用されているものということはできないので、この点についての請求人の主張は採用できない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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