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Trademark Appeal Case

不使用取消と使用の事実

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30668(T2002−30668/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2678884号商標の指定商品中「印刷物(文房具類に属するものを除く)」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2678884号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成4年3月13日に登録出願、第26類「印刷物(文房具類に属するものを除く)書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、平成6年6月29日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品中「印刷物(文房具類に属するものを除く)」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人は請求人には何の訴えの利益もなく、当該審判の請求が被請求人を害することを目的とするものであり、権利の濫用である旨主張するが、請求人は本件商標に類似する商標を、印刷物について使用することを計画中であり、決して、被請求人を害することを目的とするものではない。

また、本件商標に類似する商標を、指定商品「第26類 印刷物」について、いつでも出願する用意もあるため、被請求人の権利濫用であるとの主張は到底認められるものではない。

(2)商標の同一性について

本件登録と別掲(2)のとおりの構成よりなる登録第2678883号商標(旧商標法で本件商標と連合する商標として登録。以下「他の登録商標」という。)は、構成要素である図形の表示態様において顕著な相違があり、外観においては類似すらしないものであるため、商標法第50条第1項に規定する「外観において同視される商標」とは言い難いものである。

したがって、被請求人が提出した乙第1及び第2号証のポスター(以下、併せて「本件ポスター」という。)には本件商標と外観において同視される図形からなる商標が表されているとはいえず、本件ポスターは本件商標の使用を示すものとは認められない。

(3)商品について

仮に、本件商標と他の登録商標との社会通念上の同一性が認められたとしても、被請求人の提出した本件ポスターは、「遊技場景品等の販売、斡旋の促進を図る目的で製作されたもの」であり、その配布先は 「神奈川銘友会に所属している各遊技場との取引会社に対して広く配布し、広域に亘ってパチンコ遊技場に貼り出して展示している」という説明からも明らかなように、パチンコ遊技場における景品等の販売、斡旋の促進を図るための広告媒体であるため、独立して商取引の対象とされることがなく、商標法上の商品には該当しない。

したがって、本件ポスターに付された本件商標(注、「他の登録商標」の誤りと思われる。)は、被請求人の業務「娯楽施設の提供」についての商標法第2条第3項第8号に規定する「広告」としての使用であり、本件商標を本件請求に係る指定商品に使用しているとは認められない。

(4)具体的に、被請求人提出の各証拠をみると、本件ポスターには、本件商標(注、「他の登録商標」の誤りと思われる。)が本件ポスターの中央に表されているが、決して「印刷物」そのものを商品として取引の対象としているとみることはできないものである。このため、本件ポスターは、商品「ポスター」について本件商標の使用を立証するものとは認められない。商品「ポスター」について自他商品識別標識として商標を使用する場合には、通常、ポスターの製作、販売元の出所を表示するための商標として当該印刷部の上方あるいは下方に小さく識別標識としての商標が使用されるものであり、本件ポスターのように中央に大きく表されることはない。

思うに、商標が印刷物である「ポスター」について使用されるというためには、当該製造業者等が自己に属する商品であることを表示するための商標を使用するのが、印刷物である「ポスター」についての正当な商標の使用態様である。この点でも本件ポスターは、本件請求に係る指定商品である「印刷物」としての「ポスター」について本件商標の使用を立証するものとは認められない。

(5)乙第3及び第4号証は、本件ポスターのポスター製作業者が、被請求人にポスター制作費として請求した請求書の写しである。

しかし、当該各証拠からは、本件ポスターの製作の事実のみが示されているにすぎず、本件ポスターが流通過程におかれた事実が証明されていない。このため、本件商標が本件請求に係る指定商品に使用されているという事実は示されておらず、乙第3及び第4号証は、本件請求に係る指定商品である「印刷物」としての「ポスター」についての本件商標の使用を立証するものとは認められない。

(6)被請求人が提出した乙第6ないし第13号証は、被請求人の取引会社の証明書である。

しかし、各証明書には本件ポスターが被請求人により取引会社に送付されたという事実のみが記載されており、本件ポスターが印刷物の取引市場や流通経路に登場した事実は証明されていない。したがって、乙第6ないし第13号証からは、本件商標が本件請求に係る指定商品である「印刷物」としての「ポスター」について使用されている事実は立証されていない。

(7)以上のように、被請求人が本件商標を本件請求に係る指定商品「印刷物」に使用しているとの主張は、商標の指定商品についての使用態様を誤った解釈によるものであり、被請求人は本件審判の対象外の役務である「娯楽施設の提供」について本件商標の使用を主張、立証するに止まるものである。

また、本件商標が本件請求に係る指定商品について不使用であることの正当理由の存在も認められない。

第3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第15号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)請求人は、審判請求の際、本件商標について使用の事実がないと断言して十分な調査を行うことなく、本件商標の不使用を主張しているが、請求人自身、一個人であり、当方の調査したところ、印刷業務を扱っている事実も認められず、いわんや本件商標と同一又は類似の商標の使用の事実も認められないものであって、請求人には何の訴えの利益もなく、当該審判の請求は明らかに被請求人を害することを目的とするとしか認めることができず、明らかに権利濫用であって、本件審判請求それ自体、到底認められないものと確信する。

(2)被請求人は本件登録と類似する他の登録商標を所有する。他の登録商標は、ローマ字のブロック活字の「P」を3個配し、この3個のローマ字「P」にパチンコ玉とこのパチンコ玉を収める箱のイメージで態様が構成され、しかも「P」のローマ字が顕著に表現されているので、称呼としては、本件商標と同一の「スリーピー」「トリプルピー」「ピーピーピー」などの称呼が生まれることも明らかである。

しかも、本件商標と他の登録商標は、旧商標法下で類似すると認められたため、連合商標として登録されたものであるから、他の登録商標の使用は、商標法第50条第1項の「......登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。......」に該当し、本件商標の使用と認められることも明らかである。

他の登録商標は、パチンコ遊技場を始め、ゲームセンターなどの壁面など、主に部屋の内外に貼付されているポスターに使用されており、神奈川銘友会の依頼により、被請求人会社がデザインを企画して製作し、各パチンコ遊技場などへ配布して来たものである。

そして、そのポスターは、主として遊技場景品等の販売、斡旋の促進を図る目的で製作されている。

製作には、平成4年10月の作成当初より今日まで株式会社フジプランニング(神奈川県藤沢市藤沢597:代表者 倉橋久輝)に継続して毎年2,000枚づつ依頼している事実がある。

(3)製作の事実を立証するものとして、製作業者、株式会社フジプランニングが平成12年及び平成13年に作成した本件ポスター及び同社が被請求人へ請求した請求書の写し(乙第3及び第4号証)によって明確にすると共に、平成4年当時から、被請求人が長年にわたって継続して製作している事実を株式会社フジプランニングが自ら宣誓した宣誓書及び証明書(乙第5号証の(1),(2))からも確認できる。

(4)さらに、ポスターの配布先は、神奈川県遊技場協同組合を始め、神奈川銘友会に所属している各遊技場との取引会社に対して広く配布し、広域にわたってパチンコ遊技場に貼り出して展示していることを立証した証明書(乙第6ないし第13号証)を提出する。

(5)以上述べたとおり、他の登録商標は、印刷物含まれるポスターの商品について継続して使用していることは疑いもない事実であり、今後とも引続き使用するものである。

したがって、本件商標の使用の事実は明白であり、商標法第50条第1項の規定により取り消されるものとはなり得ない。

第4 当審の判断

1 被請求人は、請求人には何の訴えの利益もなく、本件審判の請求は明らかに被請求人を害する目的のものであって、権利濫用であり、本件審判請求それ自体認められない旨主張する。

しかしながら、商標法第50条に基づく商標登録の取消しの審判は、何人も請求できる規定となっているばかりでなく、本件審判の請求が明らかに被請求人を害する目的のものと認めるに足りる証拠はないから、この点の被請求人の主張は採用できない。

2 本件商標及び他の登録商標は、それぞれ別掲(1)及び(2)に示すとおりの構成よりなるところ、その構成中にいずれも3個の「P」の文字を有するものであるが、他の構成部分である図形が全く異なっているため、これらの図形と組み合わされた本件商標及び他の登録商標の全体としての外観は明らかに相違しており、受ける印象も異なるものである。

したがって、本件商標と他の登録商標とは、外観において同視される図形からなる商標ではなく、社会通念上同一の商標と認めることはできないから、他の登録商標の使用をもって本件商標の使用とすることはできない。

また、被請求人は、本件商標と他の登録商標とは称呼において類似するので、社会通念上同一と認められる旨主張している。

しかしながら、商標法第50条でいう「登録商標」の使用とは、登録商標と同一の商標についての使用をいうのであって、登録商標に類似する商標についての使用が含まれないことは、同条の規定から明らかである。同条1項のかっこ書きは「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」と規定し、社会通念上同一とみて差し支えないものを揚げたにすぎず、登録商標と類似する商標を定めたものではない。

したがって、仮に、本件商標と他の登録商標とが称呼において類似するとしても、前記認定のとおり、他の登録商標は、本件商標と社会通念上同一の範囲とは認められないものであるから、被請求人の主張は採用できない。

3 被請求人は、本件商標をその指定商品中の「印刷物」に含まれる「ポスター」に使用しているとして証拠を提出しているので、その提出に係る各乙号証について検討する。

(1)本件ポスター並びに被請求人の主張によれば、本件ポスターは、パチンコ遊技場やゲームセンターなどで遊ぶ客に対して魅力的な景品があることを宣伝して、客が景品として持ち帰ることを促進する目的で作成されたものと認められる。

そして、本件ポスターの表(裏は白紙である。)中央には、他の登録商標と実質的に同一の標章(赤と緑に着色されている。以下「本件使用標章」という。)が表されている。

しかしながら、他の登録商標は、本件商標とは社会通念上同一の商標でないことは上記2の認定のとおりであり、さらに、本件使用標章は、本件ポスターの使用目的であるパチンコ遊技場やゲームセンターの景品に関する宣伝に使用されているものであって、これを目安に取引者、需要者が本件ポスターを印刷した者の出所を識別してポスターの取引を行うものでないことは明らかである。

したがって、本件ポスターに本件使用標章が表されていることをもって、商品「ポスター」について本件商標を使用しているものということはできない。

(2)乙第3ないし第5号証の(2)は、本件ポスターが製作された事実を立証する趣旨の証拠であり、乙第6ないし第13号証は、本件ポスターが頒布され、掲示、展示された事実を立証する趣旨の証拠であって、これら自体により本件商標の使用事実を認めることはできず、他に本件商標を使用した事実を示す証拠はない。

(3)そうすると、上記乙第1ないし第13号証によっては、本件商標がその指定商品である「印刷物」について商標権者によって使用されているとすることはできない。

また、本件商標が使用権者によって使用されているとする証拠はない。 その他、本件商標を本件取消請求に係る商品について具体的に使用している事実を認めるに足る証拠はない。

4 してみれば、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件商標を継続して本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品について使用していなかったものといわざるを得ず、また、被請求人は、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中「印刷物(文房具類に属するものを除く)」についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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