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Trademark Appeal Case

不使用取消と証拠の信憑性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30150号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1466410号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和50年12月22日に登録出願され、第17類「寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同56年6月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。なお、指定商品及び商品の区分は、その後、平成13年12月19日に指定商品の書換登録により、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」及び第24類「かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」となっている。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証を提出した。

1.請求の理由

本件商標は、その指定商品について、本件審判請求前継続して3年以上、わが国において被請求人によって使用された事実はない。また、登録原簿上、本件商標について専用使用権者ならびに通常使用権者は登録されていない。請求人は、今年(平成11年)2月に、権利譲渡交渉をするため、被請求人を登録原簿上の住所に尋ねたが、そこには被請求人は見当たらなかった。被請求人は、現在、全く営業をしていないと推測される。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取消されるべきである。

2.第一弁駁の理由

前権利者株式会社ソーケンに関する調査報告書(甲第2号証 以下、「調査報告書」という。)10頁に明らかなように、株式会社ソーケンは、平成9年12月8日銀行取引停止し、事実上倒産している。被請求人は「権利譲渡の条件として通常使用権を許諾しており」としているが、破産直前に商標権を譲受ける場合、その譲受条件として通常使用権を許諾するというのは不自然である。また、答弁書には「この通常使用権者に使用の有無を問い合わせると......が送られてきた」との記述があるが、これは問い合わせて初めて使用を知ったかのようであり、通常使用権者に対する態度とは到底思えない。本件取消審判に対処するため、通常使用権者にしたと推測できる。

また、売上票(乙第2号証)の平成10年6月2日、同9月4日、同5月21日、同10月1日、平成11年1月19日、平成10年7月15日、同7月6日はいずれも倒産後のものである。そして、これら売上票に記載された本社住所の檜ビル2階は、「倒産後引払い、以降空室となっている」と調査報告書には記載されている。また、工場も売上票の住所には存在しない。これらは、実際には存在しない本社、工場から出された事実に反する売上票であって、被請求人側が任意に作成可能な内容であって、信憑性のないものである。

なお、請求人は、念のため、檜ビルを訪れて確認したが、平成11年11月10日現在、当該住所の2階には檜書店(売店)があり、株式会社ソーケン本社は存在しない(甲第3号証)。

また、これらの売上票単独では、商標法の定める「登録商標の使用」の態様で、実際に登録商標を使用したかどうかについては、何も証明されていない。乙第3号証の「カタログ」には印刷日が示されておらず、本件審判請求の予告登録前3年間に使用されたものであるか不明である。

乙第4号証の「商品写真」は、答弁書作成に関して撮影されたもので、この写真のものが本件審判の予告登録前3年間に使用されたものであるかどうか不明である。

以上のとおり、被請求人提出の上記乙各号証によっては、本件審判請求の予告登録前3年間に、実際に、当該「カタログ」及び「写真」の商品について、本件商標を使用した事実は証明されていない。

3.第二弁駁の理由

乙第5号証(佐川急便控及び受注控)によれば、金沢胃腸病院に送ったバックサポートクッション(BS−1)2ケの値段は、一ケ3300円であり、乙第6号証(佐川急便控及び受注控)によれば、緑カイロプラクティックに送ったバックサポートクッション(BS−1)20ケの値段は、一ケ2900円である。二つのクッションの値段は近く、品番も同じであるから、同じ商品であると推測でき、佐川急便取扱い者は、2枚とも荒川7161番の石川となっている。

ここで注目すべきは、佐川急便控の右上部にある重量・容積である。乙第5号証のクッション2ケは26kgであるのに対し、乙第6号証のクッション20ケは67kgである。10倍の個数であるから、20ケ分の重量は200kgを超えるはずなのに、あまりに少ない重量なのは不可思議である。乙第5号証及び乙第6号証の佐川急便お客様控には信憑性がない。

被請求人は、乙第7号証(商品説明書)の印刷日を、乙第8号証(明治印刷所の納品書)で立証するとしているが、乙第8号証の納品書は、捺印も納品書No.もなく、信憑性がない。特に、納品日付の平成9年11月20日は、1回目不渡り(平成9年12月1日)を出すわずか10日前である。乙第9号証(売買契約書)から、株式会社ソーケンは、納品時には既に倒産を明瞭に認識していたはずである。しかるに、乙第7号証の商品説明書の下部には、倒産により近く引き払う予定の本社及び工場住所が印刷されている。この厳しい時期に、住所変更により記載不備が生じるはずの商品説明書を1000枚(119000円)も印刷するような無駄はしないはずである。

乙第9号証(売買契約書)は、倒産直前に、他の債権者に取られることを防ぐ目的で、極めて安い価格(120万円)で、在庫商品を一括引き渡しすることに伴う売買契約書である。本契約書は、1回目不渡りを出すわずか3日前の平成9年11月28日に公証人の確定日付証明を受けている。しかしながら、公証人の検印から、本件契約書の第1ページ(乙9号証)を当該日付で作成したことは証明できるが、その他ページとの間に割印もないし、公証人の検印もないから、「(株)ソーケン商品リスト」(乙9号証の1)の真偽は不明である

また、たとえ「(株)ソーケン商品リスト」が本物であったとしても、本件売買契約書は、倒産直前(3日前)に債権者中の1人だけに、極めて安い価格で在庫商品を売買したもので、形式的には商品売買であったとしても、実質的には談合による「債権の実行」に使用したものであって、債務者は、商標法第2条第1項第1号の業として商品を譲渡する者には該当しないし、債権の実行は同条第3項の「使用」に該当しないものというべきであるから、そこに「ニューバックサポートクッション」の記載があるとしても、この記載は、商標法第2条に規定する商標の使用には該当しない。

乙第10号証ないし同第14号証により、予告登録以降に、株式会社ソーケンが被請求人とは独自に通常使用権者として営業していることは理解できる。しかしながら、審尋に対して、乙第2号証の売上げ伝票に対応する相手方の受領証、料金支払証明、また、乙第3号証のカタログにあっては、その印刷部数、印刷料金、納品日等、上記証拠を客観的に立証する証拠を提出していないから、依然として、乙第2号証及び乙第3号証は商標の使用証拠とは言えない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第17号証(枝番号を含む。)を提出した。

1.第一答弁の理由

本件商標は、乙第1号証(商標登録済通知書の写し)からも明らかなように、平成10年2月9日に被請求人に移転登録されたものである。

被請求人は、商標権の移転に際して、権利譲渡の条件として前商標権者に通常使用権を許諾しており、この通常使用権者に使用の有無を問い合わせると、現在も登録商標を継続して使用している旨の連絡と共に、乙第2号証(売上票の写し)と乙第3号証(カタログ)及び乙第4号証(商品写真)が送られてきた。

これらは、本件商標が審判請求前3年以内に通常使用権者により使用されていたことを証明するものである。

なお、請求人は「今年2月に被請求人を登録原簿上の住所に訪ねたが、そこには被請求人は見当たらなかった」と述べているが、被請求人は、本年1月に住所変更し住所変更届も既に提出済みである。

2.審尋に対する回答

第一答弁書で提出した乙第2号証の売上伝票に対応する相手方の受領書、料金支払い証明、また、乙第3号証のカタログにあっては、その印刷部数、印刷料金、納品日等、上記証拠を客観的に裏付ける書類を提出されたい旨の審尋を受けたが、いずれも、株式会社ソーケンの倒産により、書類が散逸して見当たらず、提出することができない。

しかしながら、使用証明期間内の「受注控」と該受注に対応して佐川急便により配送されたバックサポートの配送記録、商品説明書と明治印刷所発行の該納品伝票が新たに見つかったので、乙第5号証ないし同第8号証として提出する。

乙第5号証(配送記録、受注控)は、平成9年9月4日に株式会社ソーケンが、宮城県石巻市の「金沢胃腸病院」から本件商品「バックサポート」を2個受注し、平成9年9月10日佐川急便で送り届けた記録である。乙第6号証(配送記録、受注控)は、平成9年10月27日に株式会社ソーケンが、横浜市の「緑カイロプラクティック」から本件商品「バックサポート」を20個受注し、平成9年10月28日佐川急便で送り届けた記録である。乙第7号証は、本件商品「バックサポートクッション」の商品説明書であり、表面左上の三角部分に「バックサポート」なる文字が大きく記載されている。この「商品説明書」は、単独で配布されたり、乙第4号証のパッケージに入れられて商品と共に配布されている。

乙第8号証は、明治印刷所からの納品書であり、乙第7号証の商品説明書が1000セット、平成9年11月20日に明治印刷所から株式会社ソーケンに納品されたことが記載されている。

3.第二答弁の理由

請求人は、倒産直前の株式会社ソーケンに対して、通常使用権を許諾したことについて疑問を呈しているが、被請求人は、株式会社ソーケンが倒産する直前の平成9年11月1日に、株式会社ソーケンからバックサポートを含む同社所有の商品を120万円で買い取り、倒産後は、両者の合意の下、同社をして買い取り商品の販売を引き続き行わしめているものである。証拠として株式会社ソーケンと被請求人との間で取り交わされた売買契約書とその商品リストを乙第9号証及び乙第9号証の1として提出する。

請求人は、不使用取消審判に対処するため通常使用権者にしたと推測できる旨述べているが、実際の倒産現場では、債権者が自己の損害を少しでも補填させる意味で、或いは債務者の過去の事業実績を利用する意味で債務者を自己の販売員として活用する事は当然あり得ることであり、通常使用権を与え、買い取り商品の販売に当たらせることは通常の経済活動である。

不使用取消審判における証拠資料とはならないが、現在でも株式会社ソーケンは、被請求人の手足となって「バックサポート」を販売している資料を乙第10号証ないし乙第14号証(宅急便の配送記録)として提出する。

なお、請求人は、株式会社ソ一ケンが乙第2号証に記載されている本社所在地に存在しないことを主張しているが、倒産後、株式会社ソーケンは、檜ビルを退去して、同社の社長の現住所に本拠を移し現在も営業を続けている。このことは乙第10号証ないし乙第14号証からも分かるとおりである。

4.第三答弁の理由

(1)佐川急便控えに記載されている「重量・容積」の記載について

本件商品「バックサポート」は、椅子の背もたれに沿わせて使用するクッションであり、非常に軽量のものであって、その重量は1個当たり数百グラム程度のものである。

佐川急便の配達員は、依頼された品物の総重量を勘と経験からどの程度の重さのものであるか判断し、その重量によって、或いは軽量だが容積の大きい荷物は3辺の和によって配達料金を決定し、区分毎の数字を佐川急便控えを含む複写式の伝票に書き込む。

乙第15号証は、現在の佐川急便の料金表をインターネットから取り出したものであるが、重量については「2kg迄、5kg迄、10kg迄、20kg迄、30kg迄」というように、又、荷物の大きさについては3辺の合計が「60cm迄、80cm迄、100cm迄、140cm迄、160cm迄」というように区分けされている。

請求人は、乙第5号証の記載を「26」kg、乙第6号証の記載を「67」kgと読んだようであるが、これは明らかに間違いである。

佐川急便では「10kg未満」又は「100cm未満」を「1才」、「20kg未満」又は「140cm未満」を「2才」と記載するようになっており、乙第5号証の記載は「2才」、乙第6号証の記載は「6才」が正しい読み方である。本商品は、軽量物であるので、重量でなく荷物のサイズでその料金を区分毎に定めたもので、乙第5号証の場合は、2個に対して3辺の和が140cm以下であったため、2才が適用され、20個の場合がその3ランク上の6才が適用されたもので、サイズによる料金であるから、2個に対して20個が10倍とならなかったとしても何等不思議はない(ただし、6才についての料金は表には記載されていないが、6才の場合は、その容積が220cm未満である)。

(2)乙第8号証(明治印刷所)の納品日付について

乙第8号証は、納品書であるから、発注は第1回不渡りの少なくとも1ヶ月以上前と考えられる。そして、事業が芳しくなくとも事業継続の意志があり、パンフレットがなくなれば、倒産の1ヶ月前でも発注するのが人情である。倒産というものは、期日に手形の決済が出来なくて発生するものであり、その瞬間まで、当事者は、倒産回避のために金策に駆け回っており、その瞬間まで毫も倒産を信じていない。僅か119000円程度のパンフレットの発注に対して「頼んで書いて貰ったのでは」というような推測は、倒産というような場面に遭遇したことのない者の考え方に過ぎない。

(3)乙第9号証及び同号証の2(売買契約書及び商品リスト)について

請求人の疑念に拘わらず、非常に安い値段であるが、株式会社ソ一ケンは、被請求人に「バックサポート」を含む商品を売り渡しており、商標法第2条の定義通りの行為があったものといえる。請求人のいう「債権逃れ」という行為は、通常、倒産した債務者の事務所や工場に押しかけて自己の納入商品を無断で引き上げてしまうような行為を指すものと考えられ、如何に安いとはいえ、正式に代価を払って購入しているのであるから、当然そこには「商取引」が存在するものである。

また、契約書の公証人の検印については、契約内容を認証して貰ったものではなく、単にその日に当該契約がなされたという日付の認証であり、当事者間で商品を確認すれば足りるので、契約書の添付資料である商品リストには割り印はされていない。

(4)なお、新たに平成10年10月13日付の有限会社杉山紙器の「バックサポート」に関する「納品書」が見つかったので、乙第17号証として提出する。

(5)被請求人は、平成9年9月10日の佐川急便の貨物受取書(乙第5号証)から審判請求予告登録直前の平成11年1月19日のカナオ治療院向け売上標(乙第2号証)に至る一連の伝票類(審尋には応えることができないが)を提出しており、株式会社ソーケンによる本件商標の使用の事実を示すものである。

第4 当審の判断

そこで判断するに、甲第2号証は、株式会社帝国データバンクの作成に係る株式会社ソーケンに関する平成11年3月4日付の調査報告書であり、乙第9号証は、株式会社ソーケンと株式会社シェブレストジャパンとの間で締結された平成9年11月1日付の売買契約書であり、乙第1号証は、平成10年2月9日作成の商標登録済通知書であるところ、これらの証拠によれば、本商標権の前権利者である株式会社ソーケンは、平成9年12月8日に事実上倒産したこと、これに先立つ同年11月1日に、株式会社ソーケンは、「ニューバックサポートクッション」を含む在庫商品を一括して、現権利者である株式会社シェブレストジャパンに売渡す契約を締結したこと、そして、商標登録原簿の記載をも併せてみれば、同年12月5日受付に係る商標権の移転登録申請により、平成10年2月9日に、前権利者である株式会社ソーケンから現権利者である株式会社シェブレストジャパンに本商標権の移転の登録がなされたことの事実関係を認めることができる。

しかして、乙第2号証の売上票のうちNo.0749の売上票は、株式会社ソーケンが平成9年8月7日付で北沢整骨院へ「バックサポートクッション茶BS−1」10個を販売した際の売上票であり、乙第5号証は、株式会社ソーケンが平成9年9月10日に金沢胃腸病院へ「バックサポートクッション茶BS−1」2個を発送した際の受注控及び佐川急便お客様控であり、また、乙第6号証は、株式会社ソーケンが平成9年10月28日に緑カイロプラクティックへ「バックサポートクッションBS−1」20個を発送した際の受注控及び佐川急便お客様控であるところ、上記乙各号証によれば、株式会社ソーケンは、平成9年8月から同年10月にかけて、「バックサポートクッション」を販売していた事実を認めることができる。

そして、上記各取引書類における商品名の記載欄には、必ずしも鮮明とはいえないとしても「バックサポートクッション」の商標あるいは「BS−1」の商品記号が表示されていることを認めることができる。また、乙第7号証の「バックサポートクッションの商品説明書」には、本件商標と社会通念上同一と認められる「バックサポート」の商標の表示のもとに、バックサポートクッションBS−1の規格、性能、用途等についての説明が記載されている。被請求人の主張によれば、この説明書は乙第4号証のパッケージに入れられて商品と共に配布されていたとのことであり、商品説明書は、商品の販売において必要不可欠な書類の一つといえるものであるから、この点についての被請求人の主張は首肯し得るものであり、乙第7号証の商品説明書も上記「バックサポートクッション」の販売にあたって、パッケージ内に納められ使用されていたものとみるのが自然である。加えて、乙第8号証の明治印刷所からの納品書によれば、「グレサス商品案内状バックサポート入」1000セットが平成9年11月20日に有限会社明治印刷所から株式会社ソーケンに納品されたものと推認し得るところである。

この点について、請求人は、乙第5号証及び同第6号証の佐川急便控における重量・容積欄の記載には整合性がなく、その信憑性に疑問があり、佐川急便の担当者に書いてもらったのではないかと推測される旨主張している。

しかしながら、確かに、乙第5号証及び同第6号証の佐川急便控における重量・容積欄の記載を正確に読み取ることは些か困難ではあるが、乙第15号証及び同第16号証(佐川急便運賃表)によれば、佐川急便における運賃計算は、重量と容積が併用されており、軽量ではあっても容積の大きい荷物は3辺の和によって配達料金が決定されるものであることを認めることができる。そして、被請求人の主張によれば、「バックサポートクッションBS−1」の重量は1個当たり数百グラム程度のものであるとのことであり、また、包装された状態が乙第4号証の写真の如きものであるとすれば、配達料金はその容積によって決定されたものとみるのが相当であり、容積によったものであるとすれば、乙第5号証のクッションが2個であるのに対して乙第6号証のクッションが20個であるからといって、必ずしも10倍の数値になっていなくても不自然なものとはいえない。そうとすれば、佐川急便において、容積による場合の表示を「2才」「6才」のように表していたものであるかどうかは定かではないが、少なくとも、請求人が主張しているように、乙第5号証における該記載を「26」kg、乙第6号証における該記載を「67」kgと読むのは、記載されている字形との関係からばかりでなく、常識的な「クッション」の重さとの関係からみても無理があるものというべきであるから、重量・容積欄の表示に整合性のないことを前提とする請求人の主張は採用できない。

また、請求人は、乙第7号証の商品説明書における本社及び工場の住所が倒産により近く引き払う予定の住所が印刷されていることに疑問を呈し、乙第8号証の納品書は、明治印刷所に頼んでに書いてもらったのではないかと推測される旨主張している。

しかながら、乙第8号証の納品書を明治印刷所に頼んで書いてもらったとする証拠はないばかりでなく、むしろ、会社を経営している当事者は、倒産回避のために、その瞬間まで事業継続の努力をしている旨の被請求人の主張にこそ理があり、請求人の主張は単なる憶測の域を出ないものというべきである。

そうとすれば、前記認定のとおり、株式会社ソーケンは、平成9年8月から同年10月にかけて、「バックサポートクッションBS−1」の販売を行っていたものと認められるものであり、しかも、その販売行為は、本商標権の移転登録の時期との関係からみれば、株式会社ソーケンがいまだ商標権者であったときの販売行為であり、商標権者として、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品に含まれる「クッション」について本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものということができる。

そして、商標権の移転がなされた場合における商標の使用の事実の認定にあたっては、商標制度の趣旨及び不使用による商標登録取消審判制度の趣旨からみて、譲受人は、移転登録前における前商標権者による商標の使用についての状態・事実を含めて、当該商標権を承継しているものと解さなければならない。

してみれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、前商標権者が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「クッション」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができる。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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